村山由佳のレビュー一覧
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♪男と女の間には~、深くて暗い川がある~
どんなに親しくなっても、やっぱり分かり合えるのは難しい。
久々の、長編もの。
久々の、村山由佳さん。
揺れ動く女性の心のうちを書かせたら、さすがだ!
不倫に疲れて、傷ついた心の隙間に入り込んだ孝之。
ごく普通の夫の姿だ。
姉さん女房に、甘えと、嫉妬がドロドロにつまっていた。
妻にマウントを取りたい男のプライドがマックス!
マイホームが夫の仕事場である場合、
妻としては、ゆっくりできる空間ではない。
定年退職親父が一日家にいるのと大差ない。
バリキャリの涼子なら、もっと早く決断しても良かったのでは?
「でっかい決断っていうものはな、
慣れた場 -
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40代の落ち着いた恋愛のお話
房総の古い日本家屋に住む四十代半ばの小説家ハナ
幼少期に家が隣で姉弟のように過ごした4歳下のトキヲ
二人はお互いに二度の結婚と離婚の末に出会い、普段は千葉と大阪と遠距離な恋愛をしている
季節の移り変わりと共に描かれる、ハナとトキヲの大人の物語
文学性に関しては、解説の小手鞠るいさんが指摘しているように
「雨」という単語を使わずに雨の降り始めを表現していたりと
五感のすべてを動員して想像させられるような文章が美しい
一年間に渡る四季折々の情景や生活に密着した季節感は、流石は村山由佳さんだと思う
お互いの想いにしても、激しい感情ではないけれども
落ち着いた心持 -
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水島という家族、それぞれ6人の視点から描かれた連作。重いし辛い、最後まで読めるかなと。
内々のことは、なかなか他の人には伝わらないものだが、ある事情を除けばよくありがちな家族だと思う。ゆっくりと年月を隔て、父、母、息子たち、娘たち、息子の娘が内に抱え込んでいる悩み苦しみを主人公をかえながら綴られていく。
兎に角、ひとりひとり丁寧に描かれていて
一章読むごとにずしりと響く。目頭が熱くなった章もあった。生まれ育った環境のせいにしているとしても、時には道を反れることってあるのでは。特に、長男貢の章が気に入ってしまった。郊外での野菜作りに生き甲斐を見いだす。重い話の中、畑仕事の描写はほっとするひととき -
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ざくざく刺さって痛かった。手元に置くために買おうか、ちょっと迷っている。
「成長期に着ていた、とても好きな服」の例えがつらかった。
大好きで、似合っていて、心が安らぎ昂ぶりももたらしてくれる、最愛の服。でもからだが大きくなって、着られなくなってしまった。でも大好きなのだ。大切にしまって、掌で優しく撫でたりする。そうすると癒されるし、なくてはならないものだと感じる…でももう、着ることはできない。骨格が違ってしまっているのだから。
それは人に対してもそうだとしても、自分のガワについても言えること。私はこれまでの「ガワ」をどうしても捨てられない。もう私の姿には合わないモノになってしまったけれど、そ -
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再読
とにかく、モロッコの風景描写が素敵。
フェズの旧市街、マラケシュの市場、サハラ砂漠…まるで自分も一緒に旅しているような気分になる。
写真や映像以上に、文字だけで匂いや光、その場の空気感までもが頭の中に広がる。
ミントティー、ヘンナの刺青、ファティマの手…現地で見てみたいな。
風景描写もだけど、心理描写もとても繊細。
周の遺言で、サハラに遺灰をまく旅に出る4人。
弔いの旅の中で、彼らがそれぞれ大切な人への想い、自分自身の内側を見つめ直していく。
姿のない周が、彼らに寄り添う。
切なく悲しい旅のはずなのに、どことなく穏やかで優しさを感じる。
ラストまで読んで、タイトルに納得。
目に浮かぶ -
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✳︎…物事にはすべて、流れというものがあってな。うまくいかないなら無理にそれに逆らったって、絶対に結果は出ない。そういう時はあえて一歩引いて、仕切り直して、自分の乗っかる流れそのものが変わるのを待ってやることが大事なんだ。(by高橋社長)
✳︎…何を迷ってるの?逢いたければ逢えばいいし、抱かれたければ抱かれればいいじゃない。(byジョジョ)
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タヒチ、ボラボラ島。
文章を読んだだけなのに、頭の中にエメラルドの綺麗な海、強い日差し、タヒチで暮らす人たちの顔が頭