有栖川有栖のレビュー一覧
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アリスと火村、三十四歳の友人同士のこの二人が、自然体で良かった。ホームズ&ワトソン型かと思いきや、「名探偵」の火村が、なにかすごくエキセントリックだったり、天才だったり、常人離れした人かというと、ふつうに良識の人。「助手」のアリスのほうも、火村を引き立てる「凡人代表」かというとそんなことはなく、火村も思いつかなかった仮説を考えていたりする。ふたりが対等な相棒同士で、親しみある人物像なところが気に入った。アリスが、標準語と関西弁を自然に切り替える様も面白い(敬語で話さなくてよくなると関西弁になる、気が緩むところが素直でなんかかわいい)。
「密室」への思い、綾辻行人氏との関係性など、あとがきと -
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作家アリスシリーズ。
・有栖と火村の同級生天農の家に死体が現れた話。天農の娘と20の扉をする有栖、その謎に思わずのめり込む実は私も分かったんよそっちは。この結末を彼らは伝えるのかどうするのか。
・壺のような部屋で壺を被って亡くなった事件の話。
・ホームレスが建てた月宮殿を有栖と火村が見に行く話。有栖のポテンシャルというか行動力強い。浜さんの気持ち分かってしまうのがしんどい。
・空きテナントで奇妙な同居生活をしていた3人のうち1人が死ぬ話。有栖の突飛な発想面白い。偶然、だから偶然なんだ。
・映画にも使われた屋敷を持つ主人が亡くなった話。虚しくなる。
・絶叫城というホラーゲームを準えた -
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火山の噴火によって孤立したキャンプ場が舞台となるミステリ―小説。物語の中心には奇抜なトリックや策略はないが、代わりに鮮やかな登場人物たちが織りなす人間ドラマと、緻密に練られたプロットが読者を惹きつける。
事件発覚後、暗躍する犯人だけでなく、奇抜な推理を披露して場を混乱させる者、証拠を破壊する者など、ユニークな行動が多数描かれている。彼ら一人ひとりの予測不能な行動は、物語に奥行きとユーモア、そして時に不穏な空気を加え、読者を飽きさせることがない。
また、作品全体の構成においても特筆すべき点がある。物語の冒頭から提示される様々な道具や要素が、決して無駄なく、しかし巧妙に配置されているのだ。一台 -
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有栖川有栖と火村英生のシリーズ第一作目の『46番目の密室』は、火曜サスペンス劇場を観たような気分でした。
(作中の)推理作家の有栖川有栖は、大学の助教授であり友人の火村英生を引き連れて、有名な推理作家たちとクリスマスを過ごすことにした。
何も起きなければ平和に終わったであろう聖なる夜は、悲しい贈り物と共に事件の幕開けとなる。
感想です。
有栖川有栖さんは初読みでしたが、個人的に高橋和明さんと似た読みやすい印象を感じました。綾辻行人さんとも親交が深いようで、解説のほうが印象に残りましたね笑
今作は阿津川辰海さんの館四重奏シリーズから館を除いた感じ?を感じましたが、有栖川有栖&火村英生シリー -
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作家アリスシリーズ。
ペンションに取材で泊まりに来た有栖が隣のスウェーデン館に住む人々と交流を深めた翌日にその館で死体が発見される話。
事件の情報を頑張って集めようとする有栖に絆される。海豹が好きでやけにその描写が詳しいところに笑う。
事件が複雑で火村に来てくれ、とと言ったその日中に来てくれる火村の友情が熱い。けどその火村がバランスを崩してしまう時は手を差し伸べたいと長年思い続ける有栖の友情も篤い。
木から雪を落として戯れあいのような口論始める仲良さが微笑ましい。
火村の書く童話が、魔法のランプに3つ願いを叶えてもらえるなら、世界の始まりを見せて、世界の終わりを見せて、それを見たことを忘れ -
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基本的に大体の時間は良質な恐怖作品を摂取したい!と嗅ぎ回っているような生活をしている。しかしどういうタイプの怖い話を摂取したいか、というのは日によって随分異なる気がする。
アンソロジーの良いところは、特に下調べせず手に取っても、なにかしら気分にぴったりな作品に出会えるところ。
今回しっくりきたのは三津田信三『集まった四人』、小池真理子『山荘奇譚』。
山あいの怪談が気分だったのかもしれない。
ーーーーー以下ネタバレーーーーー
三津田信三『集まった四人』
これ絶対アカンやつ!という序盤の電話シーンや神社絡みの伝説から期待膨らむ。知らない者同士で曰く付きの山に行くとか嫌やなぁ...。山あいに -
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ネタバレ寄せ集め感は否めないが、江神さんと火村助教授(准教授)を同時に読めるのは、なんとも贅沢で得した気分である。
特に江神シリーズは、なかなか新作が出ないので、久しぶりに会えて嬉しかった。
シリーズ外の2作品は、それぞれおもしろかった。
「ミステリ作家とその弟子」では、単なる童話も捉え方次第で、様々な姿をみせてくれることがわかり、とても興味深い。
作家の発想の豊かさのおかげで、私も豊かな気持ちになれた。
「小さな謎、解きます」は、もっと内容をふくらませて、1冊の本にしてほしかった。
とても楽しい設定だと思う。
いつも的外れで、存在意義に疑問を持っていたアリスが、珍しく勘を働かせ、解決に一役か -
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ネタバレ今やあまり使われなくなってしまった単語である「新本格」ミステリの第一世代である有栖川有栖の作品は、考えてみるとそれほど多くは読んだことがなかった。法月綸太郎や綾辻行人も、真面目に全てを読んだわけではないが、それでも数冊は読んでいる。しかしこの著者に関しては、なぜか手に取ることがなく、この年まで過ごしてしまった。自分がいわゆる館ものが結構好きで、少し軽めの作品があまり好みではなかったということもあるかもしれない。あるいは、後期クイーンの陰鬱とした雰囲気が好きでないというのも理由の一つかもしれない。
いずれにせよ、読んだことがなかった有栖川有栖の作品がAudibleにあることに気がつき、とりあえ