夢枕獏のレビュー一覧
-
-
Posted by ブクログ
まさかまさかの
横溝正史か!と思うような動機の数々…(ネタバレか?)
思惑に思惑をかぶせて、なおまた思惑が交錯する。
白居易の『長恨歌』をモチーフに、
「宇宙」=「人の心」を描いた1800ページでした。
読み終えてみれば
「マンガだな」
なんですけど、
やっぱりそのへん、上手いよね…書き方が。
結局、物語の拠り所を
真言密教の持つ道徳観、人間観、美意識…等々にしているので
ややもすれば法力合戦とか、お涙頂戴とかになりそうなんですけど
そうはならないんだよな…。仕掛けがとても上手いな、と思います。
さらに言うと
この小説自体が、つまり、夢枕流の曼荼羅ってことに…なるんだよね?
ということに気付 -
購入済み
獅子の門1の読後感
夢枕さんの本は若かりし頃愛読していましたが、歳いってから読むのは久々振りです。懐かしくまた夢枕さんの世界に没頭させていただきました。また続編も読ませていただきたいと思います。
-
Posted by ブクログ
青春時代の鬱屈を多大に晴らしてくれていた夢枕獏氏。内なる暴力性を読むことで昇華させてくれていたと今になると思います。勧善懲悪ではなく誰も彼も後ろ暗く、心の傷からどろどろと膿を流してのたうち回るような氏の文章はサービス精神の塊でありました。エロスとバイオレンスをこれでもかとぶち込みながら、人間の心内の泥の中に咲く一輪の花の美を描こうとしてきた人だと思っております。
その筆力は超名作「神々の山嶺」で証明され、陰陽師で一般の人達にも浸透する事となりました。
でも僕にとってはやはり「キマイラ」「餓狼伝」の獏さんなんですよね。30年程前に夢中で血をたぎらせて読んだのは今でも僕の血肉になっています。僕にと -
Posted by ブクログ
複数感を平行に読破で残していた1冊。たかが半年ぶりだし、内容も濃いので余裕。
伝説の登山家、羽生を追ってネパール入りしたカメラマン深町と元羽生のアンザイレンだった兄を登山で亡くした岸涼子。マロリーのものと思われるカメラは取り戻したが、本当の目的はカメラではなかったはずだ…。
ということで、登ります。しかも単独登攀なので、本の真ん中辺りからはひたすら自問自答が続く。また、極限状態で思考がままならなくなるあたりも、経験がなくともわかるように描かれている。
上巻に比べると、資料をたくさん織り交ぜると言うよりは、とにかく力技でグイグイ押すタイプの話になっているが、内容の濃さと登場人物を絞り込んだ -
Posted by ブクログ
やっと電子版で再読完了し、岡野氏の解釈はともかく、自分なりの解釈が落ち着いた。電子版は腕の負荷と見開きの読みづらさが解消され、物語をきちんと読める。
オムニバスで原作を続けるか、原作から逸脱してストーリーが終わるように展開するか、後者を選択して描き切った岡野氏と編集者、連載を完了させた出版社に拍手したい。
数字の部分も五行の部分も、ただの文字遊びなので考える必要はないと割り切れば乗り越えられる。
私にとって、問題は晴明と博雅の関係だった。
原作は短編のオムニバスなので、関係の描写が深くなる必要がない、却って漫画は難しかっただろうと思う。
その上で、10巻以降で原作から離れて描かれてきた -