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Posted by ブクログ
長めかもしれない物語であるが、劇中人物による会話や「告白が綴られた書簡」というような読み易くテンポが良い文章で綴られている。殊に、橘逸勢―空海と共に唐へ渡った人物―と空海との禅問答のようなやり取りが多く散りばめられているが、これは“主筋”の展開上必要な内容の他、“副筋”である空海が至ろうとした境地、或る意味「哲学」のような内容の示唆に富んだモノで、非常に好かったと思う。
どうでもいいことながら…作中の空海と橘逸勢とのやり取りだが、読んでいた時の「頭の中での“声の出演”」は少し古い映画でそれらの役を演じていた北大路欣也(=空海)と石橋蓮司(=橘逸勢)だった…
本作に関しては、この小説を原案とした中国と日本との合作の映画も在ると聞いた。空海達が渡航したような時代、或いは作中に登場する<安史の乱>という事件が在ったその半世紀近く前という時代の“長安”は「絢爛たる大都市」で「世界最大級の街」だったという。広大な唐帝国の領域の隅々から、加えて日本やペルシャというような少し遠めな国々から色々な人達や文物が入り込んでいて、巨大な発信力を有していた。そんな舞台での「伝奇」は、映像作品にすれば見応えは在ると思う。それへの好奇心は駆られるのだが、それはそれとして、本作は色々な要素が絡まり合った長篇小説という表現が非常に似つかわしいようにも思える。
Posted by ブクログ
前巻は仲麻呂が李白に送ろうとした手紙で終わっていた。
この巻では高力士が仲麻呂(晁衡)に宛てた手紙をクライマックスとする。
手紙の後には、黄鶴と瀕死の高力士との対話に続く。
いよいよ楊貴妃と玄宗の話に集中していく。
楊貴妃にかけられた術を緩めたのは誰か。
ドゥルジとは誰か。
黄鶴と楊貴妃との関係は。
―といったことになるのだけど。
空海は主人公というより、狂言回しのような位置にいる。
逸勢はもはや、ワトソン君。
詩に取りつかれたオタク青年、白楽天がむしろ個性的に見える。
手紙の文体が基本同じなので、話者が変わった感じがあまりない。
ちょっと残念な感じ。
巻末の解説を読んで、十八年もかかった作品と知り、びっくりした。
たしかに、書く方は大変だろうなあ、と思う。
それをたかだか数時間で消費するようで申し訳ない気がする。
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