あらすじ
安倍晴明と源博雅のコンビが平安の闇をはらう大人気シリーズ。
このごろ都で評判の「蝦蟇法師」。犬ほどの大きな蝦蟇(ガマ)を連れた法師が、その蝦蟇に念仏を唱えさせて失せ物のありかをピタリと当てるのだ。ところが、ある公卿の仏間から消えた黄金の菩薩像を問われ、「どこぞの力の強い神か妖魅のしわざかもしれませぬ。我らの力では、どうにもなりませぬ」と、法師が言う。公卿から相談をうけた晴明と博雅は・・・「蝦蟇念仏」
アナウンサー渡辺真理氏に「桃」というお題をもらって書いた『仙桃奇譚』も収録。
※本作品は 2016年6月9日まで販売しておりました単行本電子版『陰陽師 蒼猴ノ巻』の文庫電子版となります。
本編内容は単行本電子版と同じとなります。
和風ファンタジーの題材としてすっかりおなじみの陰陽師。そのブームの火付け役であり、9月に市川染五郎・市川海老蔵らによる歌舞伎座公演も決定したのがこの「陰陽師」シリーズです。
平安時代の天才陰陽師、安倍晴明。その親友で音楽の才能豊かな源博雅。この二人が鬼や生霊など様々なものの怪にまつわる怪異を解き明かしていくこの物語。映画のような派手なアクションはほとんどなく、彼らは問題の怪異の原因となった人の業を探り、ものの怪達を納得させることで怪異を見事に解決していきます。
この物語の大きな魅力は、主人公二人の掛け合いが格別に面白いこと!
厄介事を頼まれ困り果てた博雅が、二人で酒を酌み交わしながら晴明に解決を依頼するのですが、その軽妙なやり取りに、自分も仲のよい友人と庭を眺めながら、美味い肴片手にお酒を舐めたくなる事間違いなし!
美しくも怪しい平安時代の余韻から抜け出せなくなりそうな不思議な物語です。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
読み終わって、オビの裏表紙側のシリーズリストを見て数えたところ、陰陽師の短編集も本作が11作目になるのですね。
別途、長編が2作に絵物語が3作(絵物語は未読ですが)。作者の夢枕獏さんは、よくぞこれだけの物語を生み出し続けておられるものだなと感心します。
晴明と博雅の二人が、晴明の屋敷の縁側の簀子の上に座して酒を酌み交わしている。陰陽師の物語の9割以上は、この場面から始まるのではないでしょうか。さしずめ、晴明の屋敷は平安京のベーカー街221番地Bってとこですかね。
ここでの二人の会話が、また味があります。
庭の草木や空を眺め、あけっぴろげに自然や物の移ろいへの思いを語り、その感性ゆえに思わず知らず物事の本質を見抜いている博雅と、常は冷静で理知的でありながら、博雅の鋭さには素直に驚き、笑みを浮かべる晴明。
ここのたわいもない会話だけで話がおわっても面白そうですが、さすがにそんな話はまだなかったかな。
そこへ誰かが尋ねてきたり、あるいは二人のどちらかが宮中で話題になっている不可思議な出来事を持ち出し、その真相を解き明かすというのが、ほぼ全話に共通のパターンですが、それでも一話一話がちゃんと面白い。
そういえば、本作中の「蛇の道行(くちなわのみちゆき)」は、これまでになかったパターンの話かも知れません。
あの晴明が迷うんです!これを読むだけでも価値はあると思います。
これからも、長く二人の話が続かんことを!
Posted by ブクログ
春夏秋冬、簀子の上でつらつらとお酒を呑む二人。
いつもいつもこの世界に憧れてしまいます。
こんな風に過ごせたらなぁ・・・。
いろんな妖や鬼にもいつも通りの晴明と博雅。
現世は本当にいろいろと辛く、生き難いことも多いけど
この世界に触れると、ああ、この世界がまだ存在しててくれた・・・と少し拠り所になる気がします。
Posted by ブクログ
またぞろ懲りない兼家はん怪しい夜市に出会う/梨の倒木が橋のようになっているものから聞こえた声。博雅は行けなかった/韓志和をひどく扱った小鳥遊渡の顛末。露子姫も登場/伴正則を蛇がつけてくるのをなんとかしたが、晴明に少しの後悔/琵琶湖に舟を浮かべ月を愉しんでいた晴明、博雅、蝉丸は風に吹かれて/蝦蟇占いをする法師/不思議な桃を隠した男/倒れた男を助けてくれた女は/博雅に笛を吹いてくれと願う声/巨椋池の真ん中で舟に乗り込んでくるものたち。
■安倍晴明と源博雅についての簡単な単語集
【青猿】琵琶湖で晴明に恋路を邪魔された。大きな蝦蟇を使役している。
【青物主/あおものぬし】猪の化け物、神? 紀声足(きのこわたり)を配下に加えた。
【青音】藤原長実の娘。ちょっと変わってる女性のようだ? 藤原為成と橘景清が恋の鞘当て。
【蘆屋道満/あしやどうまん】法師陰陽師。安倍晴明のライバル的存在ではある。敵対することはあるが当人たちは特に敵視してないと思われる。酒好き。
【安倍晴明】日本史上最高の魔法使い。実在したそうだ。残ってる絵などを見るとなんだか冴えないおっさんやけど、このお話のようにさっそうとしている美形と考えておく方が楽しいでしょう。天皇にも遠慮せず、孤高で博雅など一部の人間以外には打ち解けず、山野の一角をそのまま切り取ってきたようなぼうぼうとした庭を愛でながら暮らしている。《事象の中に、つい、原理を捜してしまう。》醍醐ノ巻p.122
【綾子】賀茂忠輔の娘。
【綾女】晴明が使う式神。晴明んちによく似た女の描かれた絵がある。
【あわわの辻】二条大路と東大宮大路が光差して作られた辻。いろいろと不思議のある辻。
【一条の六角堂】観音菩薩を安置する予定だったが仏師が途中で死んでしまったので空のまま放置され寂れてしまっている小さなお堂。夜ともなるとかなりもの凄く寂しい。
【犬麻呂】赤髪の犬麻呂と呼ばれる五十くらいのもと僧侶だった盗賊で皆殺しにしてからゆっくり金品を物色する残虐なタイプ。
【魚丸/うおまろ】巨椋池の漁師。
【恵増上人/えぞうしょうにん】醍醐寺の僧。秀才で経などすぐに覚えられるがなぜか法華経の二文字だけが覚えられなかった。
【猿叫の病/えんきょうのやまい】痛さのあまり猿のような声で叫ぶ病。
【役小角】陰陽師の祖みたいなものかもしれない強力な超能力者。前鬼・後鬼という鬼を従えていた。
【応天門】どこも悪いところがないのになぜか雨漏りがする。
【陰陽師】魔法使いのようなもの。理を利用して理に外れたものを修繕するような役目かと。《晴明よ、我らに必要な才は、かなしいかな、信の才ではなく、疑の才じゃ。》醍醐ノ巻p.194。三態あり、晴明や賀茂保憲など宮廷に仕える陰陽師。民間で民のために働いた陰陽師。播磨を拠点とした僧侶としての法師陰陽師。上田早夕里さんの作品で法師陰陽師が主役の話を読んだことがあります。
【勘解由小路流/かげゆのこうじりゅう】賀茂家の流れを汲む陰陽道の流派。
【柏木季正/かしわぎのすえまさ】たびたび不調になるがその都度四徳法師という播磨の法師陰陽師が治してくれた。
【膳広国/かしわでのひろくに】死んだ後五日後に生き返った。
【梶原資之/かじわらのすけゆき】図書寮の役人だったが坊主になり般若経の写経を一日十回千日続けることにしたが色っぽいあやかしに悩まされている。僧名は寿水。
【ガネーシャ】シヴァ神(大黒天)とパールヴァティー(烏摩妃:うまひ)の間に生まれた。
【賀茂忠輔】腕のいい鵜匠で一度に二十羽の鵜を使うことができる。「千手の忠輔」と呼ばれることもあるとか。博雅の母方の遠縁。
【賀茂忠行/かものただゆき】陰陽師。安倍晴明の師。
【賀茂保憲】陰陽師。賀茂忠行の長男。晴明の兄弟弟子だったとか師匠だったとか言われる。岡野玲子さんの漫画では晴明の才能に嫉妬する兄弟弟子という感じ。こちらのお話では大らかでのんびりした大物の風情。
【韓志和/からのしのわ】木彫りが巧くつくったものが動き出す。
【漢多太】インド―中国―日本と渡った楽師。琵琶の名器である玄象の作者でもある。
【寛朝】遍照寺の僧。法力も強く剛力でもある。
【吉備真備】陰陽道の祖と言われているらしい。
【首塚】藤原純友の乱が鎮圧された後も暴れ回っていた残党の首領たちを捕らえその首をさらしものにした塚。
【黒川主】賀茂忠輔の娘、綾子のもとに通ってくる、尋常な風情ではない怪しい男。
【恵雲/けいうん】謎の僧。叡山の祥寿院にボロボロの僧衣で現れた。
【玄象/げんじょう】琵琶の名器。羅城門の鬼に盗まれたのを晴明と博雅が取り戻したことがある。事件が終わった後、ふしぎな琵琶になってしまった。
【金剛】白い犬。
【紫衣仙女/しいせんにょ】道満の酒の酌をしてくれることになった。
【式神】晴明など陰陽師が使役する精霊のようなもの。
【実恵/じちえ】長楽寺の僧。物覚えが悪くとろいが、品性のようなものがあり皆から愛されている。
【四徳法師】播磨の法師陰陽師。孔雀明王を拝しているという。智徳法師の知人。
【沙門/しゃもん】賀茂保憲が使役している猫又。黒猫。
【呪(しゅ)】このお話ではなんでも呪ということになる。こだわり、ことば、名前、勘違い、脅迫観念…。人はただの木の棒に「箸」という呪をかけ箸として使っている。ことほどさように呪とな日常生活の中で誰もが普通に使っている。要するに言葉というものそのものが、それによる概念の定義が呪ということだろう。
【朱天童子】朱雀門にて博雅と笛を取りかえた鬼。白い水干を身にまとった少年の姿をしている。
【性空上人/しょうくうしょうにん】播磨国書写山円教寺の僧。播磨国なら蘆屋道満のご近所さんかもね。
【祥寿院/しょうじゅいん】叡山の施設のひとつでその昔最澄が読経三昧に過ごすために建てた。
【正祐法師/しょうゆう】僧侶。病気関係に強く帝の腹痛を一発で治した。
【白比丘尼/しらびくに】有名人。死ねない女で、30年ごとに陰陽師のところにやってくる。
【心覚上人/しんかくしょうにん】元の名を加茂保胤(かものやすたね)、賀茂忠行の息子。世間では賀茂保憲の弟ということになっているが実は兄。一念発起して僧になった。真面目すぎて融通がきかず極端なことをしでかして物議を醸す。
【朱雀門の鬼】菅原道真の弟子、文章博士の紀長谷雄と双六勝負をしたり、博雅と笛を吹き合って葉双と博雅の笛を交換してくれたりした鬼。
【蝉丸】盲目の老法師。琵琶の名手。百人一首でもおなじみ。博雅が三年間通ってようやく琵琶の秘曲である流泉、啄木を聴かせてもらつた。
【千手の忠輔】→賀茂忠輔
【善智内供/ぜんちないぐ】妙法寺の鼻の長い上人。前は神護寺(じんごじ)にいた。芥川龍之介の「鼻」の主人公と同一人物かな。
【善膩師童子/ぜんにしどうじ】東寺(教王護国寺)の毘沙門天の脇に控えている護法童子のひとり。
【平大成/たいらのおおなり】70歳過ぎた双子の薬師。右頬に瘤がある。紅瓜茸が大好き。
【平実盛/たいらのさねもり】行方不明になった。
【平中成/たいらのなかなり】70歳過ぎた双子の薬師。左頬に瘤がある。
【小鳥遊渡/たかなしのわたる】珍奇なものが好きなコレクター。
【橘景清】青音をはさんで藤原為成と三角関係に。
【単/たん】絵師であり表装も得意とする超高齢の先生。
【智徳法師】晴明を試しに来た坊さんです。ほんのちょっとだけかわいそうな目にあった。
【智羅永寿/ちらようじゅ】中国の力の強い天狗。
【月駆道人】天帝から月とともに歩むことを命じられている。
【土御門流】晴明を始祖とする陰陽道の流派。
【露子姫】虫めづる姫君。橘実之(たちばなのさねゆき)の娘。いつも男のなりをしていて少年のように見える。式神の黒丸と、虫集めの子ども、けら男を連れている。他人がいるとき晴明は博雅に対し丁寧な口調になるが露子姫だけのときは普段通りのタメ口。
【天狗の羽団扇】ある事件の後晴明のものとなった。
【透子】琴の名手、橘花麻呂の娘。一輪だけ散らない花のある桜の下で琴を弾き行方不明になった。
【伴正則/とものまさのり】信濃守の任期を終え帰って来る途中蛇がずっとついてきた。笙の名手で博雅の管弦の友。
【呑天/どんてん】寛朝僧正のとこの池にいた亀を晴明が譲り受け式として使っている。
【猫又】長生きした猫が妖怪となり、尾が二つに分かれたもの。賀茂保憲はチャーミングな黒い猫又を飼っている。
【葉双/はふたつ】博雅が鬼からもらった笛。
【秘曲】琵琶の秘曲に「流泉」「啄木」「楊真操」などがある。
【藤原兼家/ふじわらのかねいえ】摂政。何かとトラブルに巻き込まれるがけっこうそれを楽しんでいるフシもある。
【藤原貞敏/ふじわらのさだとし】遣唐使。琵琶の玄象、青山(せいざん)とともに幾つもの秘曲を持ち帰った。
【藤原実貞/ふじわらのさねさだ】目が覚めたら虫(むかで)になっていた。
【藤原忠輔/ふじわらのただすけ】空を見上げるのが好きで仰ぎ中納言と呼ばれる。六十間近。
【藤原為成】首に憑かれた男。青音をはさんで橘景清と三角関係に。
【藤原道長】藤原兼家の息子。後に我が世の春を謳歌する人物。
【藤原妙瑞/ふじわらのみょうずい】雅楽寮のトップ雅楽頭(うたのかみ)。楽器の名手。
【瓶子(へいし)】このお話ではよく出てくるアイテム。たいがいお酒が入っている。これをかたわらに片膝立てて杯を傾けながら庭を眺めているのが晴明のお気に入り。
【牧場/ぼくば】玄象と並ぶ琵琶の名器。牧場が描かれているのでこの名がついた。
【帝】この国のトップ。安倍晴明と賀茂忠行と蘆屋道満の三人は「あの男」呼ばわりして他者を慌てさせることがある。
【右姫/みぎひめ】蘆屋道満が連れていた女童。人間ではなさそうだ…平将門の右手で今は道満が式として使っているらしい。
【密虫/みつむし】晴明が藤につけた名前。のちに使役する女性の姿をした式にもこの名前がついているので藤の精かも。
【蜜夜/みつよ】晴明の式。
【蜜魚/みつを】晴明の式。
【源博雅/みなもとのひろまさ】もう一人の主人公。真の主人公というべきか。平安時代の貴族。地位は三位(さんみ)。実在の人物のようで、醍醐天皇の孫(長男の息子)らしくかなり上流。このお話では30代後半で、晴明の友人。実際に会っていた可能性は高いでしょう。晴明は博雅よりかなり長生きしたようですが物語のような関係だったとしたら寂しかったかもしれません。無骨だけど愛敬のあるタイプ。まじめで、純粋で、正直で、つねに驚きをもって人生を歩んでいるいい男。かなりのロマンチストでふしぎなものは不思議として味わいたいが晴明に分析されて興がさめがっかりさせられることがある。善人で懐の深い大人物だと思う。笛その他の楽器の名手でそのせきで時折この世ならざる存在とかかわるが霊能力は皆無。それでも晴明にすらできないこともしてしまうことがある。このお話の魅力は晴明よりも、むしろこの博雅が醸し出していると思われる。《酒をよばれに来たのではないが、出てくる酒を拒みはせぬ》陰陽師P.27。《よい漢だなあ、博雅》太極ノ巻p.66
【壬生忠見(みぶのただみ)】死んだ男。歌合わせで平兼盛に敗れて化けて出る。特に悪さもしないので、みんなほっておいている。
【明徳/みょうとく】遍照寺の僧。寛朝の弟子。
【無子訶/むしか】妖魔。鼠の姿。琵琶の牧場に憑いていた。ガネーシャ(象鼻天:ぞうびてん)の乗り物。
【狢】ある人物を利用して家族の仇を討とうとしたが晴明に止められ逃してもらえたのでなにかあれば呼んでくれと言い残して去っていった。
【明鏡/めいきょう】西光寺の僧。
【戻橋】晴明が式神を置いているというウワサがある。
【夜光杯】黒い肌に星が透けて見える杯。藤原成俊の持ち物。唐から持ち帰られた阿倍仲麻呂の遺品。
【楊玉環/ようぎょくかん】楊貴妃のこと。玄宗皇帝に寵愛された美姫。
【楊真操/ようしんそう】藤原貞敏が唐から持ち帰った琵琶の秘曲。今弾けるのは博雅か蝉丸法師くらい。
【余慶律師/よきょうりつし】叡山の僧侶。
【羅生門】朱雀門をさらに南へ進み京のはずれまで来ると荒れ果てた羅生門がある。いろいろ不思議なことが起こる観光スポットに。当時日本最大の門でもあったそうです。
Posted by ブクログ
陰陽師シリーズである。
花びら一枚一枚が仏に見える博雅と、それに関心する清明といつも通りで短編10本。
深く掘りさげてないけど、基本的には古の物語をベースに作っているだろうから、そこも調べると楽しいかも。
Posted by ブクログ
今宵も晴明と博雅のコンビが都の怪異を解決していく短編10編。
久しぶりの「陰陽師」、この巻も晴明と博雅がホームズとワトソンの二人のような関係で読んでいてとても安心できます。
この巻の10編のうち、一番印象に残ったのは、「安達原」のお話です。
昔話にある山姥の怖い話かと思いきや、ラストは鬼でありながら人として思う心を描いた逸品でした。
こういう話に出会う醍醐味が「陰陽師」の魅力なのでしょう。
これからもやめられません。
Posted by ブクログ
あれ、1話1話ってこんなに短かったっけ? と首を傾げてしまうほどさらっと読めてしまった。
気になったのだが、弁才天って女神だよね。で、泣沢女も女神だし。つまり女同士? 逢瀬ってそういう事だよね?
もしかして弁才天は男神説があるのかと調べてみたけどやっぱり女神で……。神様の恋愛事情に性別は関係ないみたい。
Posted by ブクログ
陰陽師の十三巻『蒼猴ノ巻』。
「蝦蟇念仏」が良い。
執念の物語。いつか迎える物語の結末を楽しみにしたいと思います。ぐちゃぐちゃの妄執の果ての結末。
心のうちにあるどうしようもない衝動。そのぐつぐつしたままの熱量に突き動かされる描写が、夢枕獏作品の好きな部分。あの青猿の行動は自分本位なものなのだけど、善悪は抜きにして、突き動かされているのは確かなので。
Posted by ブクログ
陰陽師の晴明が呪術に困っている人を助けるという内容だ。晴明が原因を即座に見つけ、そしてあっているか確かめて、ネタバラシをするという内容がほとんどで、続き続きが気になりやすい話だった。そしてさらに話が10遍に分かれているのですぐに話が終わり非常に読みやすい。本が苦手な人が慣れとして読むのにおすすめだと思う。
Posted by ブクログ
今回も楽しく読みました♪
特に道満メインの話が面白かった!
道満は悪役風で出てくるけど、根はいいヤツということがよく表れている作品だなと。
他には「安達原」も切ない余韻が残る作品で印象に残りました!
Posted by ブクログ
このシリーズを初めて手にしてから10年近く。
晴明と博雅の関係性も、彼らの周辺で起こる怪異の類も、少しずつかたちを変えて穏やかなものになってきた。
自分自身はどうだろう、とつい思う。