【感想・ネタバレ】陰陽師 玉兎ノ巻のレビュー

あらすじ

炭のように真黒の兎が叫ぶ、「晴明を呼べ、呼ばねば喰い殺すぞ!」
おなじみの蘆屋道満や盲目の琵琶法師・蝉丸も登場する、大人気シリーズ第15弾!

蛇に噛まれてから夜にうなされるようになった渡辺元綱。
その声は、かつて元綱が殺した者たちの声であった。(「邪蛇狂い」)

藤原兼家が真っ黒な兎を捕らえた。
ところが、その毛は日に日に白い部分が増え、しかも凶暴になっていくという。
清明たちが月蝕の夜に訪ねてみると、籠の中に、兎が二本足で立っていた。(「嫦娥の瓶」)

月の美しい晩秋の夜、蘆屋道満がどこか淋しそうに一人で酒を飲んでいる。
そこに萱鼠(かやねずみ)や蟾蜍(ひきがえる)が出てきて、落葉の衣をまとって舞い始める。(「道満月下に独酌す」)

今宵も晴明と博雅が、平安の都の怪異に挑む!

※この電子書籍は2016年9月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。

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和風ファンタジーの題材としてすっかりおなじみの陰陽師。そのブームの火付け役であり、9月に市川染五郎・市川海老蔵らによる歌舞伎座公演も決定したのがこの「陰陽師」シリーズです。
平安時代の天才陰陽師、安倍晴明。その親友で音楽の才能豊かな源博雅。この二人が鬼や生霊など様々なものの怪にまつわる怪異を解き明かしていくこの物語。映画のような派手なアクションはほとんどなく、彼らは問題の怪異の原因となった人の業を探り、ものの怪達を納得させることで怪異を見事に解決していきます。
この物語の大きな魅力は、主人公二人の掛け合いが格別に面白いこと!
厄介事を頼まれ困り果てた博雅が、二人で酒を酌み交わしながら晴明に解決を依頼するのですが、その軽妙なやり取りに、自分も仲のよい友人と庭を眺めながら、美味い肴片手にお酒を舐めたくなる事間違いなし!
美しくも怪しい平安時代の余韻から抜け出せなくなりそうな不思議な物語です。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

ずっと読んでるシリーズ。
いつも新しいようでいつも懐かしいような、晴明と博雅のやりとりがよかったです。季節の風景の描写がいつも綺麗なんだよなぁ。
道満がただ酒を飲んでいる姿も緩やかでよかった。

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2022年08月18日

Posted by ブクログ

今年は大好物にありつけた。
次はいつだろう・・・

前回くらいまでは、初期のギラギラは鳴りを潜め、年取ったな~といった枯れた内容に変わってきていた。
今回は、成熟しているというか、心理描写がこまやかになった。
とにかく安定の面白さ。ネタが尽きないのが凄い。

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2019年07月02日

Posted by ブクログ

安定した面白さの『陰陽師』シリーズ第15弾❗️

今回は全体を通して、「月」に纏わる話しが多かったです。好きな話しは、『嫦娥の瓶』、『道満月下に独酌す』、『月盗人』、『木犀月』の四編です。

男女の色恋の話しは、悲哀な結末が多くてちょっぴりセンチメンタルになったりもしますが、『嫦娥の瓶』のように古の異国(中国)の話しが絡むエピソードは、一笑に付する箇所も見られて、個人的には結構気に入っています❗️

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2025年11月08日

Posted by ブクログ

 陰陽師安倍晴明と源博雅の活躍を描く陰陽師シリーズ第15弾。

 久しぶりの「陰陽師」だったので、晴明、博雅の二人と酒を飲みながら、不思議な話を聞かせてもらったような、懐かしい感触を思い出しました。

 未だに続いているのこのシリーズ、どのエピソードから読んでも楽しめるところはさすがだと毎回感じます

 今回も準レギュラーの道満や蝉丸も登場し、彼らの言動によって、愚かな人の業がより深まるように感じました。。

 また、人を思う気持ちや憎む気持ちなどは、いつの時代も変わらないのでしょう。

 ただ、平安の頃はその思いが鬼という闇に飲み込まれたのに対し、今の時代は、鬼とは違う恐ろしい闇に支配されているように思いました。

 晴明と博雅の会話を聞きながら、私の心の闇が少しでも浄化できたらいいのにと思う今日この頃です。

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2025年07月19日

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祟られた渡辺元綱/月蝕の夜、兼家はんが捕まえた兎が人語を発した/道満の月下の酒宴/寂しい女の感応/魃を射た/体調崩した男を治すには月の光を飲ませること/月から仙人がやって来た/水に映る顔を描き変える筆/晴明にとっても対処が難しい異国の鬼/パターン化されてるけどそれでも読みたくなるのはこの世界にひたるのが心地よいからでしょう。

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2024年08月19日

Posted by ブクログ

シリーズどこまで読んだかわからなくなったためとりあえず玉兎から再読。『陰陽師0』を観てきた影響もある。
相変わらずゆっくりしみじみと読みたい話たち。
永遠に続いてほしい

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2024年04月29日

Posted by ブクログ

相変わらずの清明と博雅である。
短編9編なわけですが、魃の回では天然博雅の能力が発揮!
魃をとらえるつもりが、葉二の音色にうっとりして弓を引くまでもないという素敵所業。

いつまでそのままでいて欲しい所です。

ゆっくり読むにはちょうど良い一冊。

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2022年08月24日

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今回も変わらぬ晴明と博雅の掛け合いを楽しめました。
そして、道満が出て来る話は今回も良かった。
晴明と一緒に登場し、あの手この手で晴明を振り回す道満の話も面白いですが、今回のように道満メインで少し趣向を変えてという展開もまた良しです。
あとは、「木犀月」他の話とはひと味違う感じで印象的でした。

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2021年10月12日

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晴明と博雅いいよなぁ。
岡野某先生の漫画も獏先生の原作に沿って書いていてくれればよかったのになあ。
そう思いませんか。

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2019年09月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ


個人的には「道満月下に独酌す」と「月盗人」の話が好みだった
道満の過去に触れたり、悲しい恋物語に一気に読み進めてしまった
「邪蛇狂ひ」は、救いようのない人間の結末に、殺された使用人達が救われたのなら良かったのでは?と思ってしまう

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2023年07月30日

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陰陽師の十五巻『玉兎ノ巻』。

「輪潜り観音」と「月盗人」がよかった。
愛情、恋慕のゆえにおきてしまった怪しの事なのだけど、この二つは繋がっているよに思う。「水化粧」もか。
事の初めは、純粋な想いだったはずが、いつの間にか雑多な感情が入り混じって、自分自身ではどうにもならなくなってしまった末の出来事
なるようになってしまったことは、なるようにしかならない。ただ、知ってしまったからには、自分にできることはして差し上げよう、という姿勢の晴明。そして道満。
酒をもらう、酒のためならば、というのは道満の偽悪であるのです。

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2022年12月04日

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岡野玲子さんの漫画版が『玉手匣』も含めてなじめなかったので、ホンモノで口直し。
やはり『陰陽師』の晴明と博雅両氏に生身の女性はいらない。

こちらは短編集だったので、ある意味(夢枕陰陽師にしては)玉石混交でした。
既視感のあるお話もあったし…。

ほろほろとした世界観に今は行けない古都への想いを強くしました。
今頃は一条戻橋の河津桜も満開でしょうね。

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2020年02月23日

Posted by ブクログ

長く陰陽師の文庫本をコツコツ読んできたが、やっと追いついた。今回も京に起こる奇怪な出来事を晴明、博雅の2人が解き明かす。蝉丸も、段々、準レギュラーに?

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2020年01月05日

Posted by ブクログ

優しさと激しさ、寂寥と癒し、澄んだ音が澄んだ空気の中を、天に昇っていく。
月あかりの中での蝉丸の琵琶と博雅の笛の合奏は、是非ともその場に居合わせたいと思わせる。

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2019年06月30日

Posted by ブクログ

安定・安心の一冊。
蝉丸法師が出てくるとはと思ったらコラボCDとか発売になったのか。色々と世界が広がるなぁ。
芦屋道満も結構良いキャラになってきたな。

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2019年06月20日

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