和風ファンタジーの題材としてすっかりおなじみの陰陽師。そのブームの火付け役であり、9月に市川染五郎・市川海老蔵らによる歌舞伎座公演も決定したのがこの「陰陽師」シリーズです。
平安時代の天才陰陽師、安倍晴明。その親友で音楽の才能豊かな源博雅。この二人が鬼や生霊など様々なものの怪にまつわる怪異を解き明かしていくこの物語。映画のような派手なアクションはほとんどなく、彼らは問題の怪異の原因となった人の業を探り、ものの怪達を納得させることで怪異を見事に解決していきます。
この物語の大きな魅力は、主人公二人の掛け合いが格別に面白いこと!
厄介事を頼まれ困り果てた博雅が、二人で酒を酌み交わしながら晴明に解決を依頼するのですが、その軽妙なやり取りに、自分も仲のよい友人と庭を眺めながら、美味い肴片手にお酒を舐めたくなる事間違いなし!
美しくも怪しい平安時代の余韻から抜け出せなくなりそうな不思議な物語です。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ 2021年09月22日
数年前に読んだがもう一度読みたいと思い出したので。
安倍晴明がたやすく妖、物の怪による怪異を解決していく様が不気味でありつつも美しい。
短編だが、それぞれしっかりと厚みのあるストーリーなのであっさりと読めるが物足りないと感じることの無い内容。
同作を元にした映画もまた観たい。
Posted by ブクログ 2017年09月22日
陰陽師シリーズの最新刊です!我慢できなくて、他に本でいる本があったのですが中断して購入しました。
今回は山月記をモチーフにした作品が収録されていました。
「銅酒を飲む女」。助けたのに、恩返しではなく命を狙われるとは・・・。
「桜闇、女の首」。自分が死んだ後、夫にずっと1人でいてもらいたい...続きを読むかぁ。気持ちはわかる気がしました。私は見たくないので、成仏して待っていたいですね。
「首大臣」。朝起きたら首だけに・・・これはかなり困りますね。助けを呼ぼうとしても、電話もかけれないし、動けないし。朱雀門の鬼さんが登場します。
「道満、酒を馳走されて死人と添い寝する語」。すごいタイトル。内容もこのタイトルのまんまでした。道満すっかりレギュラーですね。
「めなし」。ちょうど最近京都へ行ったときに、下鴨神社で榊の木を見てきました。まさか、こんなホラーな情景になるとは。。
「新山月記」。山月記のお話ってやっぱり切ないです。
「牛怪」。彦星の浮気モノー!でも、年に1回、しかも梅雨の時期でもし雨が降れば会えない。これは彦星でなくても浮気するような。。?
「望月の五位」。「お月さまがわたしを追いかけてきてる」。自分が幼かった頃にそんなことを言ってたなと思い出しました。
「夜叉婆ぁ」。親心かぁ。私もあんまり心配かけないようにしないとなと思いました。
Posted by ブクログ 2015年01月20日
暗い夜は暗く、明るい朝は明るく、寒い冬には雪が降り、春には桜が芽吹き、夏になれば草が茂る・・・。そんなことを肌に感じながら、この世のものではないモノ達と折り合いをつけながら、生きていく。
体が首から離れたり、彦星さまが浮気をしたり、その中を晴明はするすると流れて行き、時々博雅の素直な言葉に助けられて...続きを読むいる。
この話はずっとどこまでもどこまでも続いて欲しい・・・と、思っていたら、あとがきで作者が仕事の整理をしているような話が・・・。この話は続けてもらえるようですが・・・。
いつまでも、晴明と博雅はこの館で酒を酌み交わして居てほしいです。
Posted by ブクログ 2015年01月07日
あとがきによると、作者の獏さんがこのシリーズを書いてから二十五年になるそうです(単行本の刊行当時と推察されます)。
晴明の屋敷の縁側で、簀子の上に座して、晴明と博雅がゆっくりと酒を呑んでいる。ロマンチストの博雅が季節の移ろいや何かを語り、晴明が呪の話に結びつけようとするのを博雅が押しとどめる。
やが...続きを読むて屋敷に人が訪ねてきて怪異を語り、二人が腰を上げてその謎解きに出かける。
この黄金パターンに飽きることなく魅了され続けております。
Posted by ブクログ 2016年05月13日
相変わらず、良い男達である。
雅な大人達の物語である。
いつも二人が庭を見ながら酒宴を開き、そこから物語は始まる。
そして、収まるところに収まる。
いつ読んでも風と庭が心地良い物語。
Posted by ブクログ 2015年11月01日
今宵も安倍清明と源博雅の二人が平安の都に蠢く生きとし生けるものの歓びと哀しみを描き出す。
物語の季節の移ろいと二人の掛け合いから始まる展開はいつも通りで、読んでいると心地よくなってきます。
今回は二人の活躍だけでなく、いつも以上に蘆屋道満も活躍し新たな楽しみが増えた感じがしました。
こ...続きを読むれからの展開がさらに楽しみになりました。
Posted by ブクログ 2015年04月22日
『道満、酒を馳走されて死人と添い寝する語』では典型的な悪人ではないけれど作中では良く描かれない蘆屋道満の見方がすこし変わりました。
『牛怪』でも晴明に協力したりと行動の読めないお人。それは以前の作品でもそうでしたが、この巻でも変わらない。というよりも巻を重ねるほど、興味があるのに煙に巻かれていく気が...続きを読むします。
一体どういう行動理念を持った人なのだろうか。
Posted by ブクログ 2015年01月28日
久しぶりに陰陽師を読んだ。いつまでも変わらぬ安倍晴明と源博雅。恐ろしきことにも、いつでも風流な形で話は進む。書いて25年。変わったけど、変わらないこの物語はステキである。
Posted by ブクログ 2015年01月24日
晴明と博雅が庭の風景を肴に呑んでいるところに客人が…といういつもの感じ。
ただ、今回は道満が色々と出てきてたので、今後は彼に軸足を移す布石かな、とも
Posted by ブクログ 2015年01月23日
漫画版は妙な方向へ行ってしまったが、原作のこちらは晴明と博雅を巡る世界が楽しめる。男女の悲しい業を描きながらも飄々としていて、いやな後味は残らない。
Posted by ブクログ 2015年01月20日
「夜叉婆」がダントツに心に残った。
この巻は比較的蘆屋道満が多め。
ある種パターン化している陰陽師がいまだにある程度受けているのは、キャラクターの書き方の妙だろう。
晴明はある程度パブリックイメージで怪しくひとをくったような怜悧な美青年として書かれ、相方はその反対に陽を求められる。
しかし、博雅の「...続きを読む陽」をとことんまでつきつめ、笛の名手であやかしにも愛される才能の持ちぬしにすることで、晴明に負けない魅力をもたせている。(これを理解しない監督が映画化で大失敗していたが)
この蘆屋道満も今まで何度となく、不気味な敵として扱われてきたが夢枕獏の陰陽師では晴明とよく似た人物として書かれている。
風体や立場は違うが、権力などに興味はなく有り余る力を退屈しのぎに使う。
ひとを外から見ているような言動が多いが、人が嫌いなわけではない。
決定的な違いは博雅がいるかどうかということだけだ。
今回の蘆屋道満主人公の『夜叉婆』はそれがよく出ていたと思う。
昔話の母親が鬼にすり替わっており命を狙われる兄弟もののモチーフだ。
偶然出会った道満はあってもいない彼らの母親を「可愛い」と評する。
愛おしいわが子を死ぬまで見守りたい母親の妄執も、彼にとってはあさましいからこそいじらしく映る。
哀れですらない、最強の呪術師のひとりである彼には「かわゆく」しか思えないのだ。
喰うことで子供を取り込めるわけがないことをよく知っているから、そんなこともわからない愚かしさはたんなるかわゆさに過ぎない。
彼がとった行動も、攻撃的なものではなく、誰も傷つけない優しいやりかただ。
だが、このエピソードを晴明でやると無理が生じる。
かわゆい、と表現するには晴明には人世界への縛りがあるような気がするからだ。
もちろん、その縛りは博雅なのだが。
それがいいわけでも悪いわけでもない。
そして、晴明ではできない陰陽師の表現を賀茂保徳(今回は登場なし)や蘆屋道満で行うことで小説の世界を広げている。
だからタイトルが「晴明」ではなく「陰陽師」なのは偶然の結果なのだろうが上手にはまっていると思う。
Posted by ブクログ 2022年11月19日
陰陽師の十二巻『酔月ノ巻』。
「首大臣」が良い。
晴明と道満の不思議な関係。敵対の関係に思える二人だけど、たまたまいる場所が違がっているだけで、本質は同じなんだろうなぁと思う。
なんというか、ブラックジャックとDr.キリコみたいな関係性。
そういえば、道長以前の時代だったんだよな、と彼が登場する...続きを読むたびに確認。
Posted by ブクログ 2020年05月28日
浮気をしたひこ星を牛にのって地上に探しにきた織姫星の話「牛怪」
年老いて夜叉になってしまった母とそれに食われそうになる息子たちの話「夜叉婆ぁ」 他。
一つ一つは興味深い話だったが、強烈に惹かれた話がなく星3で。
Posted by ブクログ 2016年09月13日
晴明と博雅のいつものやり取り、いつ読んでも良いなぁと思います。
道満と晴明のやり取りも好き♪
そしてそして、今回は道満が中心の物語があるのも嬉しいところ。
道満は悪役に徹していることも多いけれど、本当は優しい心を持っているというのが良く出ている話が多くて良かったです!
Posted by ブクログ 2016年02月15日
蔵人・橘盛季に届けられた恋文。やがて姫君のもとに通うようになった男は一族の秘密を覗き見る(「銅酒を飲む女」)。貴公子・藤原道長は父・兼家に起きた異常事態を晴明と博雅に訴える(「首大臣」)。仲睦まじい猟師の兄弟を喰らおうとする者の正体とは(「夜叉婆あ」)。平安の都に蠢く生きとし生けるものの歓びと哀しみ...続きを読むを活写する九篇。
Posted by ブクログ 2015年10月14日
夢枕さん、漢詩に凝りだしたのかな…。
親というものは子供よりも長生きをして、その子の生涯を見届けてあげたい、役に立ってあげたいってものなのだって蘆屋道満さんが言う『夜叉婆あ』は、へぇ~って思いました。
Posted by ブクログ 2015年07月13日
銅酒を飲む女
桜闇、女の首
首大臣
道満、酒を馳走されて死人と添寝する語
めなし
新山月記
牛怪
望月の五位
夜叉婆あ
の9編
どうやっても新山月記が思い出せない。齢だ。
首大臣で鬼が博雅と鬼の関係がいい。
道満は万物に対する慈しみの心を持っている・・・
そんな気がする。
Posted by ブクログ 2015年02月23日
ワンパターンなんですけど、イヤではないので読んでいます。なんとなく読むと心が落ち着く気がします。
読み続けているのは、TVで毎週水戸黄門を観る感じに似ているかもしれません。
Posted by ブクログ 2015年01月17日
季節がうつろうう美しい晴明の屋敷の庭
その庭を眺めながら酒を酌み交わす晴明と雅博
そこに、晴明への頼み事が持ち込まれ、その解決のため
「ゆこう」「ゆこう」と二人連れだって出かける。
その形式で変わらぬ雰囲気を感じさせながら、
妖という形を持つにいたった、人の妄執が描かれる。
それにしても、人の妄...続きを読む執は尽きないねぇ。