あらすじ
京の北、丑の刻に貴船神社に現われる白装束の女。唇には釘、左手には人形、右手には鉄の鎚……自分を捨てた男を取り殺すため鬼と化す。男の窮地を救うため、安倍晴明と源博雅が目にしたものは!? 嫉妬に狂った女の悲しさを描いた「鉄輪」他「瓜仙人」「這う鬼」「迷信」「ものや思ふと……」「打臥の巫女」「血吸い女房」の7篇収録。平安の世を騒がす魍魎(もうりょう)に立ち向かう、若き晴明と博雅の胸のすく活躍! 「陰陽師」シリーズ第3弾。
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和風ファンタジーの題材としてすっかりおなじみの陰陽師。そのブームの火付け役であり、9月に市川染五郎・市川海老蔵らによる歌舞伎座公演も決定したのがこの「陰陽師」シリーズです。
平安時代の天才陰陽師、安倍晴明。その親友で音楽の才能豊かな源博雅。この二人が鬼や生霊など様々なものの怪にまつわる怪異を解き明かしていくこの物語。映画のような派手なアクションはほとんどなく、彼らは問題の怪異の原因となった人の業を探り、ものの怪達を納得させることで怪異を見事に解決していきます。
この物語の大きな魅力は、主人公二人の掛け合いが格別に面白いこと!
厄介事を頼まれ困り果てた博雅が、二人で酒を酌み交わしながら晴明に解決を依頼するのですが、その軽妙なやり取りに、自分も仲のよい友人と庭を眺めながら、美味い肴片手にお酒を舐めたくなる事間違いなし!
美しくも怪しい平安時代の余韻から抜け出せなくなりそうな不思議な物語です。
感情タグBEST3
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シリーズ3冊め
飄々とした安倍晴明と優しい源博雅のコンビ、
とっても好き。
「ものや思ふと…」
よい歌を作りたいけども才能がないことに気づいて鬼に作ってもらってきた貴族が、最後に自分がこれぞ!と思って自作した歌が、歌会で選ばれなかった無念。
このお話は面白かった!
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いつも通りとっても心地よくて晴明がかっこよくて二人の関係がかわいくて好き。
夏の描写がいいね。
代わりに歌を詠んであげる鬼とか、ちょっとかわいい
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シリーズ3作目。前に出てきたキャラの再登場もあって良かった。新キャラ道満もクセがあっていい。
鬼の話はどれも切ないが、晴明と博雅の掛け合いや、二人の鬼に対する態度がとても良い。「鉄輪」「ものや思ふと……」「打臥の巫女」が特に好き。
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一番恐ろしく哀しいのは鬼でも物の怪でもなく、人の心だなあ、と、ありきたりな感想を抱く。それにしても博雅が素敵だ。ずーっと変わらず、このままでいてほしい。
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シリーズも第3巻になり、ワンパターンの構成とその時々で平安時代らしいエピソードのバランスが良い。
かつ、知識と術によってすべてを見通す晴明と、素直な感性で本質を感じる博雅の対比も良い。蘊蓄めいたことをあまり語らず、勧善懲悪でもないストーリーは読者の想像力をもって完結するとも言える緩さによって、いくら読んでも飽きないような味わいがあります。
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第3弾
短編集7つ
大体、パターンは、同じやけど、京都の知ってるとこで、2人で、妖と対峙するんで、雰囲気が共感できて良い!
一回、牛車って乗ってみたい!酔うかな…
何編かの感想を!
「瓜仙人」
全く関係ないけど、管狐出てきた〜!
こっちの方が、かわいい気もする!
夷さん、すみません〜!w
「鉄輪」
貴船神社の「丑の刻参り」か…藁人形のやつ。ここが、ゆかりの地らしいけど、こんなんのゆかりの地って、嬉しないんとちゃうかな?
「人を呪わば穴二つ」っていうけど、できれば呪わずおれれば良いんやけど、男の勝手と言えばそうだし…
「迷神」
やっぱり、反魂の法はあかんな。
死んだ想い人を何とかしたいと思っても。
イザナキとイザナミやないけど、やはり、世界が違う。
道満!許すまじ!
「ものや思ふと…」
この時代の歌合って、一大イベントなんやろうな。
紅白歌合戦とかレコード大賞みたいな。かなり前のになるけど。
これに勝負をして…(T . T)
道満と白比丘尼が、準レギュラーみたいな感じ。2人とも不死身っぽいし。
「血吸い女房」
こんなのに取り憑かれるの嫌や〜!
「あとがき」
「陰陽師」を描いてる漫画家 岡野玲子さん、べた褒め!
原作ありきの考え方やなく、そこから、どれだけ飛べるかが面白さの秘訣みたいに思ってるとこが。
漫画は、小説とは、別作品みたいに考えてるとこ。
やっぱり、あとがきある方が良いわ!
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シリーズ3作目
今回は女の人の執念みたいな話が多かったような。
芦屋道満が出てきました。映画で見た時は悪い人ってイメージありましたが、今のところ悪い人って言うかトリックスターというか、やりたいようにやってる人って感じがしました。
這う鬼がちょっとグロい。
八百比丘尼が再登場しました!
陰陽師は読みやすくて好きです。
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「瓜仙人」「鉄輪」「這う鬼」「迷信」
「ものや思ふと……」「打臥の巫女」「血吸い女房」の7篇収録でシリーズ3作目。
村上豊のカラー絵にもなった「鉄輪」。
丑の刻参りの末に生成りの鬼になった徳子は強烈。
物語もかなり強烈。
「ものや思ふと……」では宇宙の概念がつづられる。
宇は天地、左右、前後・・・の空間を意味し、
宙は過去、現在、未来・・・の時間を意味する。
空間と時間を合わせた宇宙という言葉を、
中華文明はすでに持っていた。
そして、人は呪という手段でこの宇宙を理解していた、
と、晴明は続ける。
また、言葉は呪を盛るための器であるとも言う。
──んんん、もしかして数学的認識は呪なのだと思った瞬間だった。
「打臥の巫女」は八百比丘尼で、白比丘尼だったんだ。
すっかり忘れてましたねぇ。
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平安陰陽師伝奇ファンタジー第三巻。短編七編を収録。男女の情愛漂う狂おしく、切なく、そして悲しい話が多かったかな。個人的には"恋すてふ"の壬生忠見リブートがうれしい。和歌に自分を懸けた男たちの悲しい生き様がぐっとくる。
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中学生以来の陰陽師シリーズ、自然に関する描写が本当に綺麗だなと。
誰かを想うことの儚さ、美しさ、切なさ、醜さ、きっと平安時代も令和の今も本質的なところで変わっていないのかなと思った。
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魔の巣窟平安京のお話で未知魍魎、百鬼夜行の世界なのに、おどろおどろしくない。グロテスクな雰囲気にならない「陰陽師」。読み易いです。ワザと古語表記、読み方にしている所がお話の世界に入り込める感じがして好きです。シリーズ3冊目は古典で習った様な知っているお話が揃ってる。蘆屋道満も登場。
「鉄輪」「ものや思ふと」は読み終わると物哀しくなる。どうにもならない事もある。
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芦屋道満も出てきて仄暗い話も増えてきた印象。今までとは違う感じで楽しめた。
陰陽師はなんとなく年を重ねていく話ではないと思っていたので、年月が経っていたことが少し驚きだった。
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いやさ、もう、理解している男性作家の書くものほど威力のあるものってないよね。
「ばか」の破壊力ときたらもう。
忘れ去っているので、漫画も楽しみ。
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平安時代の貴族、しかも陰陽師という、イメージとしては非常に優美でたおやかな時代、人物を描いているのに、描写は冷徹とも思える程簡潔で、写実的。
『迷神』の冒頭部分、早春、咲き始めの桜の花びらが風もないのに一枚ひらりと落ちる場面なんか、カメラの連射で捉えたようです。
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陰陽師シリーズ、3作目。
今作から(?)晴明のライバルである蘆屋道満が登場。他作家さんの作品で読んだ時はもっとバチバチしたライバルだったんだけど、夢枕版ではそうでもないのかな?いい感じでライバル感を愉しんでいる二人がいて、これはこれで良かったと思う。
ホラーな話もあるけど、全体的には綺麗な文章で読みやすい。聞いたことのある和歌と絡めたお話だったり、丑の刻参りの元?みたいな話もあって、面白かった。今後も読み続けたいシリーズです。
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痴情のもつれって怖いよね、と思わずにはいられない。救われないエンドも多いのに重苦しくないので読みやすいですし、続巻も読みたいと思える。が最後まで、なにをもって付喪神ノ巻だったのかは分からずじまいでした。
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陰陽師シリーズ3作目
「鉄輪」
「這う鬼」
「打臥の巫女」
がお気に入り(^o^)
ドラマ陰陽師が大好きで、懐かしいですね(≧▽≦)
DVDが欲しい…(´・ω・`)
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鬼になるほどの思いってすごい。今回はこの時代の怪異な美しさだけでなく、恐ろしさを感じた。3巻目だがまだまだ面白く、清明と博雅の心地よい関係や個々の過去の出来事など少しずつ描かれているのが楽しい。
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「鉄輪」を初めとする、捨てられた女の恨みが恐くも哀しい話が多かった気がします。印象深かっただけかもしれませんが。あと、和歌ってうたう方も選ぶ方も知識やセンスが必要で大変だな、としみじみ。
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人道端に飢饉で亡くなる人がそのまま放置されたり、貧富の差が大きく今で言う犯罪の横行する、ある意味地獄絵図が日常生活と隣り合わせの時代、人々が闇夜や多くの物に恐怖する背景、前作もそうであったが、物語りとしてこれはこれで良いと思う。摩訶不思議な展開、大人のお伽話!シリーズが進むにつれ登場人物も個性もよりハッキリし、今後も安定した展開が予想できる!この不思議で奇妙な物語を気分が向いた時読んでいこうと思う!
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安倍晴明・源博雅コンビが活躍する「陰陽師」シリーズ第3弾。本書は7編収録の短編集。
魑魅魍魎が跋扈する平安の世にあり、いわゆる鬼と呼ばれる存在が引き起こしたであろう出来事を解決していくのだが、共通しているのは鬼には必ず生きていた(時には生きている)人間の怨念があるということ。むしろ、それがあるから鬼が存在するのかもしれない。そんな成仏できない思いに寄り添って解決に導いている印象が強く残る作品群。
陰陽師は鬼たちのカウンセラーなのかなとも思えてくる。
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解説にもあるように、相棒の源博雅を生み出したのがこの小説の最大の功績だと思った。シリーズ3冊目まで読んで、気が済んだ感。映画やアニメの元になった作品がどのようなものかわかったので良かった。
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付喪神、つくも神とは、日本に伝わる、長い年月を経た道具などに精霊(霊魂)が宿ったものである。人をたぶらかすとされた。
「瓜仙人」
梨売りと仙人 の昔話から逸話を取っているのかしら?
管狐を竹筒に戻して解決。管狐(くだぎつね)とは、日本の伝承上における憑き物の一種である。長野県をはじめとする中部地方に伝わっており、東海地方、関東地方南部、東北地方などの一部にも伝承がある。
「鉄輪」
男を恨んで鬼となった貴族の女、それが茨木童子であるとする『平家物語』「剣巻」による。自分を捨て若い女といっしょになった夫を取り殺そうと、現世で鬼となった女の能。京都貴船神社の神職が、丑の刻詣での女に、鬼に変身させようとの神託を告げる前段。からかなあ。
晴明と博雅に救われる。
「這う鬼」
好きだった男に殺されそうになった女が、一命を取り留め男を殺して、生霊となり、男の新しい女を殺そうとする。自身の髪を皮ごと削ぎ、それを使い殺そうとする。哀しい復讐。メデューサの様な描写と髪をダウジングに使う、面白いね。
「迷神」
人をまよわせるという神。
愛する夫を亡くした女が、反魂の呪で亡き夫を蘇らせてもらう。毎晩訪ねてくる夫。女は、耐えられなくなり、晴明に反魂をおさめてもらう。迷わせるものは、人の心の中にある。
「ものや思うと」
天徳四年村上天皇主催 内裏歌会
忠見 恋すちょう我が名はまだき
兼盛 忍れど色にいでにけり
百人一首を覚えはじめの頃、似てるよねとは思っていた。同じ歌会の恋の歌。兼盛の勝ち。負けた忠見は悶死。鬼となる。
源博雅が歌の読み間違えたのは史実らしい。
この歌会を描いた作品は幾つかあるようで、詳細も伝えられている。悶死したかは、謎。
「打臥の巫女」
八百比丘尼(やおびくに)は、日本の伝説上の人物。特別なもの(人魚の肉など)を食べたことで不老長寿を獲得した比丘尼である。京都にも伝説が残る。長生きしてるうちに、予言とかできちゃう。
「血吸い女房」
巨大なヒルに取り憑かれた女性。これは嫌だわ。
さて、ようやく再読完了。晴明•博雅コンビは、平安の怪異事件を軽妙に解決する。
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シリーズ第3弾。
今回はいよいよ、晴明のライヴァルである蘆屋道満が登場します。といっても、飄々とした性格の晴明と、食えない老人の道満の対決なので、正面切ってのバトルになることはなく、おたがいに相手の出方をうかがいながら力を試すような駆け引きがくり広げられます。
博雅の熱いキャラクターとの対照が利いていて、おもしろく読めました。
Posted by ブクログ
相手に対する好きという気持ちが叶わなかった時、その気持ちが大きければ大きいほど、相手も自分も傷つけることになるんだなと…
今回の男女の縺れがメインの話はどれもこれも切なかった。
相変わらず清明と博雅のやり取りは最高!の一言に尽きます 笑
あと個人的には道満のキャラが好き!
Posted by ブクログ
陰陽師、シリーズ第3弾。
鉄輪の話
どちらかを救おうとすれば、もう一方を見捨てることになる。
これは現代の裁判などでも言えることだと思う。一方の意見を飲めばもう一方は泣き寝入り。
難しいなぁ
晴明ってツンデレ?