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釣り船禁止令でお咎めを受けた朝湖は三宅島へ島流しに。その間赤穂浪士の討ち入りがあり、采女は敬愛する義父・上野介を失う。そして江戸の町が大地震による火災で炎上、周辺は津波に襲われる! 豪華登場人物で描かれる、元禄の歴史と人間ドラマ! (講談社文庫)
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Posted by ブクログ
釣りの師であり俳諧の弟子というシンプルな師弟関係でない2人の関係性が凄く良い。二人の今生の別れには涙なしには読めなかった。 釣りに狂っているんじゃないか、と自分でも思っているし言われることもあるけど、全然狂ってないな、自分、ってなった。
生類憐みの令、赤穂浪士、松尾芭蕉 それぞれ勉強したけど、時代が繋がると本当に面白い。 日本史の勉強しなおしたくなるなー。
今までの人生のうち釣竿というものに触った記憶は1回。 運よくその時1匹かかってくれたので釣りに対する印象は悪くはないのですが、釣りの好きな方が夢中になって話してくれるのはどうもピンときませんでした。 この本を読んで釣りの不思議な魅力を体験してみたいものだと一層思うようになりました。 思うよ...続きを読むうにならないことの多い人生。その中で何かに狂い、突き動かされるように生きるのは哀しくもあるけれど、そう生きてこそしあわせなのかもしれない。 そんな風に生きる人同士が本当の意味で触れ合うことができ、愛しく思うことができるのかもしれない。 自分の好きなこと、隣の人の好きなことを大切にしたいと思えるようになりました。
今までの夢枕獏作品とは傾向が違うので昔からのファンはちょっと戸惑うかもしれない。 時は江戸、徳川綱吉公が将軍であった頃のお話。生類憐みの令が人々に目を光らせているというのに、因果なことに釣りが好きでたまらないという人の群像劇。 傍から見れば救いようの無い愚かな行為をする人には、その人自身ではもう...続きを読むどうすることも出来ずただひたすらに自分を突き動かす業のようなものがある。その哀しみを静かに描き出す本作から、人間への静かな愛を感じる。 『「将軍様だの、お大名だのと言ったって、その着ているものを引きはがしてみりゃあ、おんなじ屎袋だろうがーーー」 「兄さん、けれど兄さんは、その屎袋が愛しくてなんねえんだろう?」 「そりゃあ、おめえ、結局その屎袋の人間しかいねえからな」 「屎袋だから、人はおもしれえ」』 ( pp.335〜336)
生類憐みの令で釣りがご法度になった肩身が狭く、生きにくい世の中でも 皆同じ事を考える。 浮世から離れ釣りがしたいと。 素晴らしい。 何もかも。 上巻より人間味溢れる内容だったのではないか、と思う下巻。 サラサラと読めて、途中で涙腺が緩みそうになったのも事実。 実在する登場人物がモデルだから、歴史好き...続きを読むな人には本当に勧めたい。 色々なことを考えさせられました。
幾つか調べてみたら、かなりの出来事が史実をベースに語られていることが分かりました。 言われてみれば納得だけど、かの生類憐みの令が釣りまで禁止していたとは、自分も一時期釣りにハマっていたので当時の人々のストレスは想像できる。 面白い作品だったけれど、江戸時代の粋人と呼ばれていた人たちの遊び方だけはあま...続きを読むりに品がなくて全く共感できない。
夢枕獏の長篇時代小説『大江戸釣客伝〈上〉〈下〉』を読みました。 ここのところ、時代小説が続いています… 夢枕獏の作品は5年前に読んだ『鳥葬の山』以来なので久し振りですね。 -----story------------- 生類憐みの令で釣り人はどう生きたか。 人間の愚かさ、気高さを釣りの世界を通して...続きを読む描く。 〈上〉 時は元禄。旗本、津軽采女は小普請組という閑職がゆえ、釣り三昧の日々を送っている。 やがて、義父・吉良上野介の計らいで「生類憐れみの令」を発布した、将軍綱吉に仕えることになるが・・・。 同じ頃、絵師朝湖と俳人基角は江戸湾で土左衛門を釣り上げた。 果たしてその正体は? 釣りの泥沼から覗く元禄時代。 〈下〉 釣り船禁止令でお咎めを受けた朝湖は三宅島へ島流しに。 その間赤穂浪士の討ち入りがあり、采女は敬愛する義父・上野介を失う。 そして江戸の町が大地震による火災で炎上、周辺は津波に襲われる! 豪華登場人物で描かれる、元禄の歴史と人間ドラマ! ----------------------- 2011年(平成23年)に刊行された作品で、同年の第39回泉鏡花文学賞、第5回舟橋聖一文学賞を受賞し、翌年の第46回吉川英治文学賞を受賞… 文学賞3冠達成の時代小説です。 ■序の巻 幻談 ■巻の一 沙魚 ■巻の二 技師 ■巻の三 安宅丸 ■巻の四 鯛 ■巻の五 水怪 ■巻の六 釣心 ■巻の七 密漁者 ■巻の八 側小姓 ■巻の九 無竿 ■巻の十 釣り船禁止令 ■巻の十一 釣秘伝百箇條 ■巻の十二 夢は枯れ野を ■巻の十三 この道や行く人なしに ■巻の十四 其角純情 ■巻の十五 島流し ■巻の十六 初鰹 ■巻の十七 松の廊下 ■巻の十八 討ち入り前夜 ■巻の十九 討ち入り ■巻の二十 元禄大地震 ■巻の二十一 霜の鶴 狂える猿 ■巻の二十二 弥太夫入牢 ■巻の二十三 忘竿堂 ■結の巻 ■―あとがき― 夢の釣り宿から ■解説 小説ものくるい 北方謙三 綱吉治世の元禄時代、釣りに出た絵師・多賀朝湖(たがちょうこ)と俳人・宝井其角(たからいきかく)は江戸湾で屍体を釣り上げる… 竿を持ち、笑みを浮かべながら流れ死んだ男の正体は? 一方、旗本・津軽采女(つがるうぬめ)は小普請組という閑職がゆえ、釣り三昧の日々を送っていたが、義父・吉良上野介の計らいで、「生類憐みの令」を発布した将軍・綱吉の側小姓となる、、、 綱吉とのトラブルがきっかけとなり城勤めを辞したにも拘わらず「釣り船禁止令」のため釣りが出来ない采女は、釣道を極めんとしたという投竿翁の足跡を追う… 赤穂浪士討ち入りで敬愛する義父・上野介を失う采女。 綱吉の相次ぐ禁令発布に反抗した朝湖は三宅島へ島流しとなり、江戸では支援の秘策が練られる… そして江戸の町が大地震による火災で炎上、周辺は津波に襲われる! 世間が騒がしいなか、釣り人たちの運命は!? 最古の釣り指南書『何羨録(かせんろく)』を著した津軽采女を中心に描く、釣りに憑かれた人々の活躍、、、 元禄の世の釣り勝負の妙、名人の業… 愚かで滑稽、しかしロマンと夢溢れる釣りに生きた激動の元禄の男たち、豪華登場人物で描かれる、元禄の歴史と人間ドラマ! 江戸幕府の第5代将軍・徳川綱吉によって制定された天下の悪法と評される「生類憐みの令」により翻弄される、元禄時代の釣りキチ、釣りバカたちの生き様、運命を描いた作品… 実在の人物を登場させながら、松の廊下の刃傷事件や赤穂浪士の討ち入り、元禄大地震等の当時の出来事を絡めてあることや、釣りに関する蘊蓄を織り込むことで、リアリティのある作品に仕上がっていましたね、、、 『何羨録』は実際に存在する日本最古とされる釣り専門書だそうですし、著者の津軽采女も実在の人物なんですねー 時代考証もしっかりしている印象だし、読みやすい文体で800ページを超えるボリュームだけど一気に読めました… 釣りのことを知らなくても愉しめますが、釣り好きだったら、もっともっと愉しめると思いますね。 面白かった♪
流石だなと思う。 釣りに興味がない私でも大変面白く読ませてもらった。 綱吉の最悪の法「生類憐みの令」 これが引き金になった赤穂浪士の討ち入り。そして天が怒った元禄大地震。そんな窮屈な時代に釣りを媒介に繋がり続けた男達。 朝湖と其角の最後のやりとりには涙が出てきた。 良い小説でした。
元禄時代の俳人、絵師、商人。生類憐みの令と討ち入り。粋な生き方と釣り。江戸の文化の花開いた時代を「釣り」の視点で説く。出てくる釣りは、ほとんどはぜときすだが、そこがいいのかも。
日本最古の釣り指南書「何羨録(かせんろく)」を記した津軽采女(つがるうねめ)を主人公に同時代に生きた男達の生きざまを描いた作品。 下巻では、いよいよ厳しくなっていく生類憐みの令と赤穂浪士の討ち入りが佳境に入り、それらに巻き込まれていく男達が描かれ、憧れを感じつつも男の哀しい性も強く伝わってきま...続きを読むした。 采女の辛い人生でも釣りを通してしっかりと受け止めていく生き方は、一人の男の生きざまなのだと感じました。 自分も釣りのような自分としっかり向き合っていけるものを一つ見つけて力強く生きていきたいと思いました。
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