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巻之一では、唐に入った空海が幾つかの出来事を経験し、“妖物”に纏わる怪事件に出くわす。
巻之二では、出くわした怪事件に過去の大きな事件が関わっていることが明かされる。
巻之三では、過去の大きな事件の真相が更に掘り起こされ、進行中の怪事件との関係が明らかになって行く。
巻之四では、怪事件の解決が図られ、その後日の空海の活動の様が描かれる。序に申し上げると、事件の解決が図られる辺りに関しては、例えるなら「一堂に会した関係者に事件を巡る因縁等を解き明かす金田一探偵…」という場面のような“様式美”が入り込んでいるかもしれない…
この「伝奇」にして「伝記」という作品。出会えたことが善かったと強く思う。掲載誌を替えながら足掛け17年間も連載の形で発表され続けた、作者渾身の作品でもあるが、広く御薦めしたい!
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これは……ど傑作と作者が言うだけのことはある。
実は買うの迷ったのだけど……買って良かった。ど傑作だ。
空海が好きになる。歴史上には数々の天才、偉人がいると思うけど、間違いなく空海みたいな才が欲しい、と思う。
どちらかがきっと黄鶴の……と思いながら読み進めていったけど、やはり、という感じ。
黄鶴の企みは深みを感じたけど、弟子たち2人のやったことはあまりに短絡で、方術士のすることかと思ってしまうんだけど若さ故かな、と。
大猴があんな風にこの件に関わってくるとは意外だった。
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ここまで来たなら最後まで、と読み進める。
なぜ黄鶴が玄宗を恨むようになったか、にもかかわらず、娘の玉環を嫁がせたのか。
こうしたことが明らかにされる。
華清宮で、五十年前の因縁が解きほぐされる。
血の制裁と浄化という、鉄板の大団円。
そうしてやっと、空海の密の伝授を受ける。
やっと、空海の天才ぶりが納得できる形で語られる。
五筆和尚のエピソードとか。
もう一度読むかと言われたら、わからないけれど、十分楽しませてもらったと思う。
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空海の遣唐使時代の話。
夢枕獏は割と最近まで敬遠していたが、前に神々の山嶺を読んでから見直した。
今回は特に題名に惹かれた。
4分冊は長いけど読みやすい。
史実が上手く織り交ぜられていて、空海の超人的能力も本当にあり得るかもと思わせる(実際、空海は超人だと思うけど)。
歴史にあまり詳しくなくても知っているレベルの人物がたくさん出てくるので飽きない。
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今日は出かけようかどうか
迷っていた時
ちょうど梅雨期の曇天の空から
ぽつり ぽつり と
ええぃ
今日は雨読とするか
そんな朝に
この最終巻に入る
すっかり本降りになった
雨の音を聴きながらの
読む一日になった
それにしても
夢枕獏さんにかかると
あの 弘法大師さんが
こんなふうに なるのだなぁ
と つい つぶやいてしまうのでした
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空海が巻き込まれた事件は、想像を超える陰謀と野望が蠢くものだった。人の思いは一筋縄ではゆかぬものだ。時を超え、たどり着いた真実はえも言われぬ味わいで、よくぞその謎を紐解いたと空海の観察力の鋭さ、賢さに関心する一方で、翻弄された楊貴妃の運命が哀しい。野望も過ぎれば大惨事。恨みつらみで70年、80年生きるのは辛いものだ。後半はおかざき真里さんの阿吽とリンクするですよ。
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まさかまさかの
横溝正史か!と思うような動機の数々…(ネタバレか?)
思惑に思惑をかぶせて、なおまた思惑が交錯する。
白居易の『長恨歌』をモチーフに、
「宇宙」=「人の心」を描いた1800ページでした。
読み終えてみれば
「マンガだな」
なんですけど、
やっぱりそのへん、上手いよね…書き方が。
結局、物語の拠り所を
真言密教の持つ道徳観、人間観、美意識…等々にしているので
ややもすれば法力合戦とか、お涙頂戴とかになりそうなんですけど
そうはならないんだよな…。仕掛けがとても上手いな、と思います。
さらに言うと
この小説自体が、つまり、夢枕流の曼荼羅ってことに…なるんだよね?
ということに気付くと、
作者は「自画自賛」と言っていたけども、
こんなの自画自賛でも何でもなく、
よく書いたな(驚嘆)
です。
この人の小説って、ほとんどページの下が白くって読みやすいので
なんだか読んだ気になるのが好き(笑)
あと
つまらないことですが
中学か高校の漢文の授業で『長恨歌』やるようだったら
これ読んでからがいいかも。
「あー、これがあのシーン…」
って授業中ボロ泣きしながら受けられます(笑)
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とにかく壮大だった。
唐の時代の中国が舞台で、牡丹の花を始めとして、極彩色の花たちや、魑魅魍魎ともいえる生き物たちが溢れているイメージ。
仏教はもちろん、いろんな国の文化が入り乱れ、バランスを保ちながら増幅し、熟れている長安という都市の空気感を感じることができた。
空海について、読む前は、名前を聞いた事がある程度だったけど、なんとも魅力的な人だと思って興味が湧いた。
絶世の美女と云われた楊貴妃が、果たして幸せだったかどうかなんて分からないけど、白楽天の「長恨歌」の中の楊貴妃は、玄宗と共にあるという誓いを胸に天界で過ごしていて、玄宗と居るときは幸せだったのだろうと感じられた。
漢詩は分からないけど、この詩がとても美しいということは、なんとなくだけど感じた。
映画を観た後に衝動的に買った本。映画とはまた違った筋だったけど、映画以上にスケールが大きくて圧倒された。
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久しぶりに読む夢枕貘作品。
この作品を読んでいると、文字であるのに匂いや風、音などがリアルに脳内再生されて、実際に感じている、聴こえているような錯覚に陥ってしまった。
すごい。
あと、映画は全くの別物(笑)
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一挙に読めた。最初はSFファンタジーかと思ったが壮大な唐の歴史と白居易の長恨歌に秘められた楊貴妃の物語。空海、橘逸勢、玄宗皇帝、楊貴妃、李白、白楽天、など聞いたことのある登場人物が複雑に交わる壮大な歴史ファンタジー。夢枕獏が自著最高作という岳のことはある。面白かった。
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この巻の前半が、玄宗皇帝と楊貴妃ゆかりの地である華清宮でいよいよ宴。後半は日本に帰るまで。短い文でサクサク読めるんだけれど、いや、長かったね。17年楽しみながら書かれていたのかしら。楊貴妃はどうなったか、そんなことがあったのかと、物語の流れだけでなく、空海と逸勢の会話は楽しく、術について、空海の宇宙観など、興味を引くことばかり。運命によるものか、時代によるものか、悲劇だと感じるところもあったけれど、やはり空海ってすごい人だったのねと。映画は一体どういう風になっているか、気になるところ。
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一つ石が転がりはじめると怒涛のように結末に向かっていく、という印象の4巻目。1巻目から絡まってきた紐が解けるような、まさに起承転結の『結』といえる部分で、一気に読み進めてしまった。
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おもしろかったわー
様々な文化や宗教が集まる長安の活力や
王宮の煌びやかさ、凛々しい観音像や
道士と呼ばれるひとの不思議な力
地中に埋まった俑
美しく哀しい楽の音が聞こえてきそうな美女の舞
映像になればさぞかし素晴らしいものになるでしょうね
白楽天の詩もこれがあの有名なあれかーと感動!
残念ながら勉強不足で意味はぼんやりとしかわからなかったけど(笑)
空海という人は若い頃から凄い 人だったのね〜
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空海と黃鶴と呪での戦い。楊貴妃が黃鶴の娘であることがわかり、最終的に死なずに、弟子の丹翁と最後は暮らし死んでいくところで終わる。空海がその後恵果和尚から授を授かり、日本へ帰るところまで。途中は波乱が一杯で、映画になりやすい話が続いたが、最後の100ページで空海が密の授を授かるところが描かれる。まあ、そちらは物語としてはおまけのようなもの。まあこの本自体が娯楽小説だから仕方ないか。
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空海の唐、修行時代の話をベースに夢枕獏さん得意の妖物ストーリーや楊貴妃の謎が乗っかって、李白や白楽天の漢詩の世界が織り込まれるという多層な物語だった。
エピソードが何度も重複するのが最後まで面倒だったが、それを補う物語の強さはある。
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面白かったです!完結までに18年って…
残っている書物、史実にある程度基づき、伝説や逸話を掛け合わせ、作者の想像力を盛り込みこんなにおもしろい作品に仕上げたということに改めてすごいなと…
楊貴妃も黄鶴も白龍も丹龍も、玄宗も高力士も…みんな可哀そうでした。白龍が可哀そう過ぎる…きっかけは黄鶴の過去にあるにせよ、一連の悲劇は誰が悪いわけでもないから余計やるせない気持ちになりました。あえて言うなら国の、時代の風潮がそれぞれの心の隙間に闇を生みだしてしまったせいという感じでしょうか…
最後に見せた黄鶴の父親としての顔…泣けました。
空海は最後まで安定の空海でした。逸勢も(笑)
空海の日本時代のお話も読みたいなと思いました。
それにしても夢枕さんは空海が大好きなんだなぁ。
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空海が唐に渡って、楊貴妃の因縁と対峙する話。
コンビはほとんどそのまま陰陽師と同じ作り。
で、安定の面白さ。
人の恨みを買うのはおっかないということを、多くの人が身にしみると良いのだが。
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夢枕獏による「陰陽師」の同パターン別バージョン、といったところ。
唐という大国を舞台にすることで、スケール感は倍増してます。
面白かった。
遣唐使として爛熟期の唐に渡った空海と橘逸勢(はやなり)。
空海は密教をわがものとし、逸勢は儒学を学ぶために。
唐の国の進んだ文化、華やかさ、広大さ、異国の文化を受け入れる懐の深さに触れる二人。
異能の人にして天才である空海は、唐でもすぐにその存在感を示していく。
と同時に、国の秘事ともいうべき深い闇と関わることになっていき……というお話。
作者が18年かけて完成した物語。
長い、でも、高度な娯楽性とキャラクターの力でもってどんどんと読めてしまう。
空海と逸勢の関係がまるで「陰陽師」の安倍晴明と源博雅。そのまま。
でも、それが気になったのは最初の方だけ。
同パターン別バージョンとして、楽しめました。
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ついに最終巻。
もしかしてそうじゃないか?と思っていたことの真相が明かされる。事件で終わりではなく、空海が帰るところまで書かれているあたりも素敵。
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完結!登場人物がたくさんいすぎて混乱しましたが、面白かったです。関係者が皆疲れはてちゃってて、最後ようやく終わる…って感じがね。これまでのながーい話があるからこそですね。盛者必衰って感じですね。うまく説明できないけど…
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さっき、読み終わりました。1巻読み始めてから3週間くらいかな。最近は小説が読めなくなっていた(なんとなく興味がわなかい)から、読み終えることができてうれしい。ストーリーが面白かったのと、よく知ってる中国の古典が舞台というのが珍しかったからだと思う。
全部で4巻あって、17年かけて書いていただけに、繰り返しっぽい部分もあるけど、よくここまでまとめることができたなあ、と感心した。これもあとがきにあったけど、伝奇小説って、ラストが難しいのだ。八犬伝だって、みんなが集まるまでは面白いけど、あとはどーでもいいような話になっちゃうし。風呂敷を広げるまではすごいけど、たたむのは難しいのだ。
小説の中にさかんにでてくる密教にはとても興味がわいた。早速本屋に行って、密教の本を買っちゃいそう。
空海は、昔マンガで読んだ「孔雀王」の影響もあって、私のイメージだとなんか超能力を使ううさんくさいやつ(すみません)なんだけど、この本では宗教家という側面も描かれている。(本来はそっちが主なんだろうけど)。
中国の仏教の歴史や、その中での空海の評価というのにも興味がでてきた。
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さくっと四巻続けて読めた。
あとがきを見てストーリー展開に納得。作者すら予想しきれない(言葉は悪いがいきあたりばったり?)展開だったので、読んでいて感じた「なんだこの超展開は?!」は当たり前なのかな。
テンポの良さと、読みごたえで☆よっつ。
作者が夢枕漠ではなかったら☆みっつ半かと思います。
唐の国に出掛けた晴明と博雅……………
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壮大な物語のオチはそこ!?と、ほんの少し残念ではあったけど、まあ伏線を見ていけば、そういうことなんだろうなというので、落ち着くところに落ち着いた感じでもありました。
夢枕獏さんの筆が、幻想的な舞台を目の前に展開してくれる感じが好きだし、☆4つキープ。
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中国唐の時代、空海、玄宗皇帝と楊貴妃、仏密…。
いろいろと調べて18年かけて完結されたお話だけど、やはり『陰陽師』の別バージョンにしか見えませんでした。
わかったようなわからないようなベタな雰囲気小説。
シンプルな分で行間からその場の風景、香り、大気の湿りまでも感じさせてくれる文章は流石でした。
でも1回読んだらもういいかな。