夢枕獏のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ「夜叉婆」がダントツに心に残った。
この巻は比較的蘆屋道満が多め。
ある種パターン化している陰陽師がいまだにある程度受けているのは、キャラクターの書き方の妙だろう。
晴明はある程度パブリックイメージで怪しくひとをくったような怜悧な美青年として書かれ、相方はその反対に陽を求められる。
しかし、博雅の「陽」をとことんまでつきつめ、笛の名手であやかしにも愛される才能の持ちぬしにすることで、晴明に負けない魅力をもたせている。(これを理解しない監督が映画化で大失敗していたが)
この蘆屋道満も今まで何度となく、不気味な敵として扱われてきたが夢枕獏の陰陽師では晴明とよく似た人物として書かれている。
風体や立 -
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ネタバレ読み始めたのは、いったいいつだっただろうかというぐらいの昔の話であり、物語の中の時間の経過がほとんどなく、その間に時代が進んでおり、本来は登場しないはずの携帯電話が登場するなど、なんとなく今の当たり前のものが紛れ込んでしまっているが、まあそれは今の話に置き換わっているのだろう。本作はそういう時代の流れの中で、九鬼の高校時代のエピソードなど、物語が持っていた若い時代に戻りつつ、今の時代に即していこうという感があって良い。それにしても最後まで行き着くのか?多くのシリーズに結末をつけつつある作者ではあるが、これは終わらないほうが良いのかもしれない。
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Posted by ブクログ
作者自身は、めちゃくちゃ明確なものを、めちゃくちゃ明確なビジョンで描いているにもかかわらず、読者には幾通りもの解釈の仕方がある。
わたしの好きな「名作」は、そんなのが多い気がします。
例えば、マンガでは、永井豪の「デビルマン」。例えば、映画では、アナ・トレント主演の映画「ミツバチのささやき」。
小説では、なんだろう?最近読んだ、パウロ・コエーリョの「アルケミスト」がそうかもしれない。
みごとなぐらい、語る人、語る人によって、物語の解釈がかわっていく物語というのがあります。
そして、この岡野版「陰陽師」も、そんな物語の1つなのかも。
多分、岡野玲子自身は、説明するのさえめんどくさいぐらい明 -
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久しぶりに上下2巻、1000ページを超える大長編を読みました。
山岳小説の白眉と言われる作品です。
中高生時代は山に登っていて、新田次郎さんの山岳小説にも嵌りました。単独行の加藤文太郎を描いた『孤高の人』、両足の大半の指を凍傷で失いながらもマッターホルン北壁の日本人初登攀を果たした吉野満彦を描いた『栄光の岸壁』。これらは実在の超人的な山のヒーローを主人公にした物語です。
そしてもう一つ『白きたおやかな峰』。北杜夫が自らドクターとして参加したカラコルムの未踏峰ディラン遠征隊の体験をもとに描かれた、一流であっても超人とは言えない人たちの、どこか哀切な物語。
この作品は新田次郎に近い作風です。超人的