あらすじ
せんちめんたるの詩人、萩原朔太郎。
記憶を失った埋められた屍体の魂。
美貌の神父。
それぞれの視点で語られる摩訶不思議な物語。
詩人・萩原朔太郎の私生活をモチーフにした、幻想的大正ロマン小説!
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Posted by ブクログ
朔太郎の狂気が美しく詰まった物語というか何と言うか、表現しがたい本だった。
読み始めはどんな話かわからず、ただ淡々と読み進めたものの物語が進んで行くににつれ、さらに意味不明にw意味不明なんだけど、先が気になって手が止まらなくなる。夢枕獏の独特な書き方は、狂っていく朔太郎の描写にすごく合っていた。
不思議な世界観にビョーキになりそうだった。
Posted by ブクログ
詩人・萩原朔太郎の恋愛と、ある神父、そして土に埋められた男の
視点で話が進みます。
とにかく湿った雰囲気で、様々な謎の中進むストーリーが面白くて
一気読み確実。
特に土に埋められた男の章は、紙面で様子を表現していて、
圧倒されました。
Posted by ブクログ
朔太郎のがんじがらめな狂気に持ってかれます せんちめんたるの詩人さくたろはくるってをります
この時代の人たちっていうのは誠実ですよね でもこの本のどこがいいかって本筋は埋められた屍体と神父さまの方で
しかも時間の流れに太刀打ちできない身体の成長とそれに反比例するあどけなさや無垢さを愛すってところで
Posted by ブクログ
なんというか、美が醜へ変じていく混沌としたプロセスとか、その辺がもうホント夢枕獏だなぁ…と。
個人的に「上弦の月を食べる獅子」の向こうを張る傑作だと思う。
Posted by ブクログ
実在の詩人萩原朔太郎と、美貌の神父と、埋められた屍体の記憶のない魂の話が最初はバラバラにスタートするが、最後の方にそれぞれの物語が一つに収束する様が面白かった。
萩原朔太郎がいい具合に病んでて、詩や手紙から感じるイメージ通りで良かった。
幻想的で耽美だった。
まさに菊が腐っていくような嫌なような美しいような雰囲気。
Posted by ブクログ
萩原朔太郎の静かに追い詰められていく心が…終章の、明らかに書き過ぎている手紙が本物の引用というのも狂気的でした。室生犀星からの返事は創作だろうけどこちらも良いです。
埋められている「僕」、神父、萩原朔太郎の三つの視点でお話が進んでいくけれど、この三人の関係性は昏い。腐りゆく天使の甘い腐臭。
引用されてる朔太郎の詩は勿論、作品の文体も好きでした。
「しかし、心の裡にその美を感知する能力のない者にとつては、そこには美は存在しないのです。(中略)言ひかへるなら、心の裡に美を持つ者だけが、その美に感応することができるのです」「心の裡に神を持つ人が、神を見ることができるのです」「人の、裡なる神の量によつて、外なる神の量もまた決まつてゆくのではないでせうか」。印象的な神父の言葉です。