あらすじ
せんちめんたるの詩人、萩原朔太郎。
記憶を失った埋められた屍体の魂。
美貌の神父。
それぞれの視点で語られる摩訶不思議な物語。
詩人・萩原朔太郎の私生活をモチーフにした、幻想的大正ロマン小説!
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Posted by ブクログ
萩原朔太郎の静かに追い詰められていく心が…終章の、明らかに書き過ぎている手紙が本物の引用というのも狂気的でした。室生犀星からの返事は創作だろうけどこちらも良いです。
埋められている「僕」、神父、萩原朔太郎の三つの視点でお話が進んでいくけれど、この三人の関係性は昏い。腐りゆく天使の甘い腐臭。
引用されてる朔太郎の詩は勿論、作品の文体も好きでした。
「しかし、心の裡にその美を感知する能力のない者にとつては、そこには美は存在しないのです。(中略)言ひかへるなら、心の裡に美を持つ者だけが、その美に感応することができるのです」「心の裡に神を持つ人が、神を見ることができるのです」「人の、裡なる神の量によつて、外なる神の量もまた決まつてゆくのではないでせうか」。印象的な神父の言葉です。