秋吉理香子のレビュー一覧
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ネタバレ
高次脳機能障害により数十分で記憶がなくなる麻由子が「人を殺した」と自ら通報する。
殺した相手は、かつて彼女の両親を殺害した通り魔事件で無期懲役の判決を受け、最近出所した男だった。
事件を担当する桐谷刑事は、認知症の母親を介護することが困難で施設に入れたことに関して自分を責め続けている。
記憶障害と介護の実態を交互に描きながら、妻の殺人を認め、刑に服させようとする夫の不可解な行動に対する真意と、事件の真相が少しずつ明らかになっていく。
読み始め早々の場面が衝撃的だった。
桐谷刑事の介護の大変さと、それを安易に考えている兄とのやりとりは、一般世間でも現実的にあるのではないかと思う。
物語のよう -
Posted by ブクログ
ネタバレ考えることの多い作品。
20年前、通り魔に両親を殺害された麻由子はその犯人を刺殺したと自ら通報する。何度もひっくり返るストーリーも良かったが介護や兄弟関係の難しさ、麻由子の数十分しか記憶を保持できない悲しさがリアルに描かれ同じ女性として尊厳を奪われる思い。恥ずべきことではないにしろ生理を夫に管理されることって、傷つく。優香の母親に対する罪悪感と悲しみ、男兄弟の理解の無さ。そんな中、バディの野村と麻由子の夫である光治は理解のある人たちだと思う。こういう人が身近にいるかどうかで人生の豊かさって変わる気がした。ミステリーというより社会問題をうまく取り入れてあるため本当に読んでよかった。 -
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Posted by ブクログ
「泣きぼくろの鏡」、「ナルキッソスの鏡」、「スタアの鏡」、「奇術師の鏡」、「双生児の鏡」の5篇が入った短編集。それぞれ独立したお話なのかと思っていたら、登場人物こそ違うものの、いずれも同じ鏡がからむ物語だった。
面白かった。すぐに引き込まれた。読みやすいし先も気になる展開だしで、あっという間に読み終えてしまった。
場所も時代も登場人物も違うし、語り口も違うのだけれど、共通するのは何かを願う気持ちの強さ。それが鏡にどう反射されるのか、果たしてどこまでが鏡の力なのか。ざわざわした気持ちで読み進めると、ダークで思いがけない結末を迎えるものだから、余韻がすごい。
どれも面白かったなーーー。哀しい -
Posted by ブクログ
ミステリーであり恋愛小説でもあった。
両親を殺され、通り魔から逃げる際に事故に遭い、その事故を起こした加害者と結婚をした万由子。
高次脳機能障害を患ってしまった万由子は、たった数十分しか記憶を保持できない。
そんな虚ろな記憶と自分がメモした記憶。
ふとした時に流れてくる記憶。
どれが一体正しくて、どれが間違いなのか。
交通事故の加害者であった夫、光治。
そして、物語の途中で現れた米森久江。
どちらが真実を語っているのかは、万由子には絶対にわからない。
読者は記憶を失くさない。
だから、それぞれの違和感を少しずつ感じていくし、万由子に気づいてほしいと思ってしまう。
そう思わされて、どんど -
Posted by ブクログ
ネタバレ友人に勧められて読んでみました。叙述トリック物はあまり読まないのですが、いや〜すごかったです。後半に畳み掛ける種明かしが驚きの連続です。特に最後の章は鳥肌立ちました。タイトルにある"聖母"たる様が、最後2ページで書かれていますが、その表現描写もグッときます。まさかこういうハッピーエンド(?)に持っていくとは。
そういえば、途中途中で心理描写にどことなく違和感を感じていたもののスルーしていたのですが、もう一度読み返してみると、あえてそういう表現をとっていたのだと気付かされ、ストンと腑に落ちるとともにやられたなと思いました。ヒントはちょくちょく出ているんですね。ミステリ好きの