秋吉理香子のレビュー一覧
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怖い。静かに、寒気が立ち昇るような冷え冷えとした感じがする。これは何かと思ったら冬である。雪がわんさかと降り、静かに歯を食いしばるでもなく過ぎるのを待つしかない悪夢の季節だ。
田舎の最低で最悪のところがこれでもかと描かれているが、誰も彼もが悪人ではない。窮地には手を差し伸べてくれるし、話も聞いてくれる。
そういうところが嫌なのである。読みながら、放っといてくれ、と叫びそうになった。
島から出たい、なのに出ていけない。オリバー・ストーンの『Uターン』のような悪夢の群像劇だが、映画がノワールならこちらはミステリだ。そのくせ心まで凍りつかせる。ああヤダ……。 -
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秋吉理香子『月夜行路』講談社文庫。
『序章「暗夜行路」』、『第一話「曽根崎心中」』、『第二話「春琴抄」』、『第三話「黒蜥蜴」』と日本文学の名作のタイトルが付いている。そして、『最終話「月夜行路」』とオリジナルタイトルで本編が締め括られる。
文庫化記念で特別収録掌編として『ある月夜のできごと』と『親友』の2編が収録されており、さらにはドラマ『月夜行路 ―答えは名作の中に―』の放送記念として、俳優の波瑠、麻生久美子、作家の秋吉理香子の鼎談『異色のバディが織りなす「未知」への謎解き旅へ』が収録されている。
最初は、夫の浮気に嫌気が差し、家出した主婦が元彼を探す話かと思っていたら、とんでもなく面白いミステリー小説だった。シャーロック・ホームズのような探偵役はオカマバーのママで元男性の野宮ルナ。そして、ワトソン役は元バレーボール選手で専業主婦の沢辻涼子。そんな2人は涼子の元彼を探すために向かった大阪を舞台に様々な事件を解決するのだ。
夫の浮気や自己中の娘と息子に嫌気が差し、20年以上前の元彼の面影を探し求める沢辻涼子と謎めいた文学好きの野宮ルナという奇妙な組合せも面白いし、最後の最後に明かされる驚愕の真相と感動の結末と読み手の五感全てを刺激するような作品だった。
また、特別収録の掌編、『ある月夜のできごと』と『親友』も見事な造りになっている。本編で様々な事件を解決してみせた野宮ルナが再び鮮やかな推理を披露するという内容だ。この2編でも文学の名作が鍵となっている。
銀座の高級クラブの若いホステスと浮気を重ねる大手出版社の編集者の夫と自己中の娘と息子に嫌気が差した専業主婦の沢辻涼子は45歳の誕生日に家を飛び出し、夫が深夜にも関わらずホステスに呼ばれて出向いた高級クラブに怒鳴り込もうとする。
ところが、何を間違えたのか、涼子は目指す高級クラブの入っているビルの1階にあるオカマバーの店員に強引に店内に引きずり込まれてしまう。結局、涼子はその店で飲むことにし、怜悧で美しい文学オタクのオカマバーのママである野宮ルナに夫の浮気や大学時代の元彼への思いなど、様々な愚痴をこぼすと、何故かルナと2人で大阪に住む涼子の元彼を探しに行くことになる。
涼子の元彼探しが難航する中、次々と事件に巻き込まれる2人だったが、ルナの恐るべき文学知識と推理力で事件を解決してしまう。
本体価格730円
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Posted by ブクログ
読み終えた瞬間、あまりの熱量に眩暈がした。本作は、愛が執着へ、そして狂気へと変貌していく様を、冷徹かつ官能的に描き出している。
登場人物たちがひた隠しにする「醜さ」が剥き出しになっていく展開は、まるで真夏の太陽の下で腐敗が進む果実を見ているような、背徳的な恐ろしさがある。秋吉理香子氏は、人間の心理的な隙間に巧みに指をかけ、一気に闇へと引きずり込む。「自分は大丈夫だ」と高を括っている読者ほど、最後に突きつけられる結末に、形容しがたい絶望を覚える。
読み終えたあとには爽快感よりも、じっとりとした余韻が残る。人間の感情の危うさを改めて突きつけられる一冊だった。
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面白かったです!!アイデアが秀逸。読んでも読んでも面白い本が出てくるなんて、とても幸せな人生です。
第1話 病院で僕は真美子に声をかけた。余命宣告済、独身、45歳、タワマン住みだということを確認してある。かなり裕福とみた。余命の理想的な長さは1年。余命わずかな女性を見つけて、結婚して、看取って、遺産をいただくのが自分の本業だ。プロポーズはうまくいった。
今、田舎でSDG sな生活を強いられている。どうせ少しの間だ。仕事もやめて田舎までついてきた。薬が効いて前よりいいですね、と医師に言われて、確認してみると未承認薬を使っていた。一月100万円という額だ…くそ、俺の取り分が減る…
自殺に見せかけて殺したろうかな、なかなかいい案が浮かばないし勇気もない。そうこうしているうちに1ヶ月4700万円もするアメリカの有効な治療が受けれることが判明。
第2話 交通事故で妻を亡くした。一緒に歩いていたのに、数歩が生死を分けた。妻は死に、自分ははねられただけだ。妻が亡くなって疎遠になっていた息子の広海が帰ってきた。リフォームしてバリアフリーにすることになった。その後自宅で三回忌を行う。家の片づけを広海と一緒にやる。なんだか楽しい。三回忌が近づくのに、広海が来なくなった。警察に届けを出さなければ!警察に行ったが、あれ…自分の名前が出てこない。警官の方で調べてくれた。あ、松永さん。息子さんはすでにお亡くなりになっています…
第3話 直木賞作家花菱あやめの葬儀に出席した神崎。昔は売れっ子作家だったが、25年前から売れていない。一緒にあやめと日光旅行にいった時、手がけていたミステリの手口を盗作された。おかげでスランプになり売れなくなった。追悼文を書くことになり、遺品分けに出席することになる。デビューの時にもらった文学賞の正賞であるワープロをもらうことにした。しかしその中には未発表の新作が入っていたのだ!
第4話 癌を宣告されたお笑い芸人。ガーンと言ってみたかったが、言えなくて腰を抜かしている。芸歴13年、まったくブレイクすることなく、生涯の良かったことはヨメに出会えたこと。かわいい花ちゃんを授かったこと。
病気や余命のことは秘密にした。ある日客席に全く笑わない男がいることに気づいた。仲間に話したところ、死神だという。笑わしてしまったら何故か死ぬらしい。P1グランプリに出場する。生命保険もかけてない自分がヨメと花ちゃんに残せるとしたらこの方法しかないのだ。