本多孝好のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
主人公はビデオジャーナリストの女性、楠瀬薫で、元は出版社の雑誌記者で取材スキルがあり、友人には私立探偵の女性もいます。さらに薫は独身で恋人なしのためフットワークの軽さもウリになっています。
ここからミステリー要素が強い作品かと思ったのですが、オカルトを主軸にしたサスペンスホラーでした。
「魔術師の視線を追ってしまうと魔術師の術中にはまる」
これを中心に据えようとした着眼点はいいと思います。
そして、姿を見せぬ敵、政治家の影、ストーカーの存在と、緊迫感を煽る構成もサスペンスの王道です。
また、未熟な凶器・礼の真相を徐々に明かしていくという手法も正攻法です。
けれど、全体的にすっきりしない筋立てで素材や構想を活かしきれていないように感じました。
ストーリーは強引だし、展開には不合理な点があるし、不穏さを漂わせたラストシーンも、少し物足りない。
本多さんはサスペンスホラーがあまり得意でないのかも知れません。他の作品でも確かめてみたいと思います。
ただ「超能力は百発百中でなくていい」というのは目から鱗でした。
確かに99回失敗しても100回目に成功すれば、やはり超能力を見せたことになります。まったくその通りで、100% を望む方がおかしい。
かのユリ・ゲラー騒動に端を発したマスコミ、とりわけテレビが主導した過熱報道については、功罪で言えば罪の方が大きいと言えるでしょう。
昔からバラエティー系には興味がなかった自分でも覚えているのですから、かなりの騒ぎだったことは疑いありません。
つまらぬことに白黒をつけて囃し立てるような騒がしいだけの企画より、巨悪を糾弾するジャーナリズムを望みたい。そんなことを再認識した作品でした。