あらすじ
【あなたの死後、不要となるデータを削除いたします。】
罪の証。不貞の写真。隠し続けた真実。
『dele.LIFE』で働く圭司と祐太郎の仕事は、秘密のデータを消すだけ――のはずだった。
あなたの記憶に刻まれる、〈生〉と〈死〉、〈記憶〉と〈記録〉をめぐる連作ミステリ!
『dele.LIFE(ディーリー・ドット・ライフ)』。
真柴祐太郎がその殺風景な事務所に足を踏み入れたのは、三ヶ月ほど前のことだった。
所長であり唯一の所員でもある坂上圭司いわく、
「死後、誰にも見られたくないデータを、その人に代わってデジタルデバイスから削除(delete)する。それがうちの仕事だ」。
誰かが死ぬと、この事務所の仕事が始まるのだ。
新入りの祐太郎が足を使って裏を取り、所長の圭司がデータを遠隔操作で削除する。
淡々と依頼を遂行する圭司のスタンスに対し、祐太郎はどこか疑問を感じていた。
詐欺の証拠、異性の写真、隠し金――。
依頼人の秘密のファイルを覗いてしまった二人は、次々と事件に巻き込まれる。
この世を去った者の〈記録〉と、遺された者の〈記憶〉。
そこに秘められた謎と真相、込められた切なる想いとは。
『MISSING』『MOMENT』『WILL』などで「生」と「死」に直面した人々を描いてきた著者が、
今だからこそ書き得た新たな代表作。
≪dele=ディーリー。校正用語で「削除」の意。≫
※本書は、二〇一七年六月に小社より刊行された単行本を加筆修正の上、文庫化したものです。
感情タグBEST3
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ドラマから気になり購入。ドラマが圭の事務所から視点が動かないのと違い、小説では祐太郎の視点で進んでいき、祐太郎の生活や飼ってる猫さんを知れる。圭と祐太郎は考え方や行動が正反対ながらも、うまくやっていく相棒感があって面白い。圭の考え方が少しわかるドールズ・ドリームがこの中では好き。 俺は、死ぬ時何を消して、そして何を残したいだろうか。
Posted by ブクログ
『dele』本多孝好 著
1.職業 消去屋
弁護士事務所を経営する姉。
その弟が経営する事務所はその姉の事務所と業務提携をしている。
職業は消去屋。
依頼者が死亡後、依頼者の指示した時間以内に、指定されたデバイスのログを消去するという内容。
2.2人の登場人物。
消去屋の所長は、仕事のプロフェッショナル。依頼人との契約を遂行するために、どこまでも理論的にかつ理性的な思考の持ち主。
一方で所長のアシスタントは、消去する範囲そしてその理由に曇りがあれば、調べないと気がすまない情緒性豊かな思考の持ち主。
対極にある2人。
仕事を通じて、お互いのポリシーの明らかな違いを認識しながらも、あゆみ寄りが始まる。
3.消去できることと、消去出来ないもの
この世界から物理的なものは消去できる。
ログもそして生物としての存在も。
一方で、往きし人々との生前の思い出は、プラスもマイナスも消去できづらいものである。
この『dele』の世界では、残された人々が、往きし人々に想いを馳せる物語でもある。
タイトルがdelete /完全な述語ではないこと。
そこに、勝手に意図を想像をしてしまうのは、小説を閉じてしばらくしてからのことであった。。。
二人の距離感
ドラマを見て、魅力を感じたので小説も購入しました。一見距離のある二人、祐太郎がニャーニャー鳴いているだけに思えますが、何だかんだ頼りにしている圭司という関係性が胸に刺さりました。二人の価値観による言い合いがあっても、どちらも意思を持っていて、譲りたくはないけど相手の言いたいことも理解できる。と、いったような感情が見える気がします。沢山のdeleteがある中での数件を私たちは目にしていて、なるほどな!と納得できるデータに気を抜いていると、最後の最後にやられました。圭司は冷たい男だと思いがちですが、祐太郎のことを気遣う心も十分にありますね。祐太郎のことを"忘れない""覚えてる"と宣言した圭司自体も、妹の写真のことを頼まれずともずっと覚えている気がします。口調や表情、仕草では太陽と月の二人ですが、内に秘めているものは熱く、互いを必要としているこの関係性は今後もまだまだ見守っていきたいです。
おもしろかった。
ドラマがおもしろかったので原作を読んでみました。ドラマとは違う内容で、世界観は同じ。そのため無理なくドラマの配役のまま脳内再生できました。読んでよかったです。
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本多孝好のdele(ディーリー)を読みました。
主人公の真柴祐太朗は dele.LIFE というサイトを運営している坂上圭司に雇われています。
dele.LIFE は依頼人の死後(具体的にはパソコンやスマフォが一定時間以上操作されないとき)指定されたフォルダの内容を削除するという依頼を受けています。
祐太朗の仕事は圭司の代理として依頼人が死亡したことを確認する仕事です。
祐太朗が依頼人のところに行って依頼人の家族と話をしていくと、いろいろな事情が見えてきます。
収録されている5つの短編の中では、ドールズ・ドリームという短編が気に入りました。
幼い娘を残して死んでしまうことが分かった母親が dele.LIFE に依頼したこととは...
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ドラマで知りました。
ドラマとは若干話は異なりますが、もう山田孝之と菅田将暉のイメージで読みました。
実際に存在しそうな現実味もこめて、面白くあっという間に読めました!
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本多さんは今作が初めましてだったけれど、映像が浮かんでくる文章でスラスラ読めた!
感情移入しやすい主人公と仕事と割り切れる相棒の対比がいい。どのお話も優しさが滲んでいて、希望のもてる終わり方だったからよかった。
Posted by ブクログ
死後、誰にも見られたくないデータを依頼人に代わってデバイスから削除する。
ただのデータのはずが、そこに込められた想いの尊さに涙腺が緩んでしまう。
死んでから判明する真実はただ切なくて、隠しておきたい理由も様々で、その秘密を探ることで依頼人の人生を追いかけているみたいだった。
続編も読もう。
Posted by ブクログ
金城さんファンとしては読まざるを得ない作品。山田孝之と菅田将暉で脳内再生されて、ドラマの続きを見れた感覚になれました。
ありがとうございます。
Posted by ブクログ
ドラマが好きで、小説があることを知り読んだ
ドラマの話を活字で読めると期待していたのだが、ドラマの話はなく
小説として新しい話を読めた
祐太郎がドラマより柔らかく
猫と暮らしていて、妹の幼馴染みと交流があり両親は離婚していて
1巻では妹さんの医療事故までたどり着かなかった
ケイと姉の関係もドラマよりねちょっとしている気がする、いい意味で
面白かったので2巻も読もうと思う
Posted by ブクログ
ドラマが好きで放送当時に本も買ってたけど、読むのは今になりました。
死んだ人が預けたデータを消すという話の性質上、「依頼者はこう考えたんだろう」という推察で物語は進んでいくんだけど、圭司と祐太郎の考え方が優しくてあったかくて好きです。
好きなのはロスト・メモリーズとファースト・ハグ。
Posted by ブクログ
死後、誰にも見られたくないデータを、その人に代わってデジタルデバイスから削除するという仕事を行う圭司と祐太郎の対称的なやり取りや彼らが依頼人の秘密のデータを覗いてしまうことで、思わぬ真実を暴いたり、事件に巻き込まれてしまったりする様子にハラハラした。また話が進むことで祐太郎の過去が徐々に明らかになっていくのも続きが気になった。
Posted by ブクログ
ゲームで例えると、ubiのゲームみたい。
最初は「!!」だけど、そのうち「……」
(わかんないですよね、すみません
主人公、都内に家持ち、幼馴染の女の子付き…
ラノベのビックリの設定(笑)
Posted by ブクログ
連作短編集。
それぞれ独立したお話だが、緩く繋がっている。
本多孝好さんの作品は、いつもそこそこ面白い(褒めています)のだが、本作は、なんだか読むのに時間がかかった。
面白い!という程面白くない。
かと言って、読んでいるとそこそこ面白い。
要は普通の印象。
星は3つ。3.3くらいか。
「2」も既に持っているのだが、さあ読むぞ!という気になれない。
Posted by ブクログ
2024-10
依頼人が死亡したら、頼まれたデータを削除する仕事のお話。
本来は死亡したら中身を確認せずにすぐに削除するはずなのに、新人祐太郎になんやかんやと言われて中身を見てしまう圭司も圭司では……と思ってしまった。
登場人物に割と感情移入してしまうし、 なんか揺さぶられる感じがする。
私も死んだら誰にもみられずにデータを消して欲しい。
Posted by ブクログ
ドラマとは違うストーリーで新鮮な気持ちで読むことができました。都度出てくる登場人物に感情移入しつつも、深入りしすぎない結末がこの物語の世界観にとても良く合っていて素敵でした。
Posted by ブクログ
本多先生のセリフ回し、文章は変わらず軽やかでとても読みやすい。
ただ『死後に依頼されたデータを消す』という仕事がブレブレなのがとても気になってしまった。
『ストーカーブルーズ』もとても美化できる話ではないかな…
320pで思わず「こわっ」と声が出てしまいました。
ドラマも機会があれば見てみたいと思います。
Posted by ブクログ
死んだら削除されたか確認しようがないんじゃ…とか色々疑問はありましたが(/o\)面白かったです。個人的には、削除することで子どもに希望を与える「ドールズ・ドリーム」がよかったです。
テクノロジーの進化で、幸か不幸か人間は、データを永遠に残すことができるようになりました。
物語のラストで主人公は、人間らしい、ある願いを社長に言います。社長の応えも暖かくて、人間もまだまだ捨てたもんじゃないな、と思いました。
Posted by ブクログ
テレビにイメージをそのままに設定だけは多少ふくらましているので、わかりやすいのではあるが、テレビほど緊迫感にとぼしい。決して話がつまらないわけではないが、話が短編集になっているので、なんか期待はずれだった。
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総合評価まあまあ
死んだら、生前に指定した電子データを削除してくれるサービスの短編集。気軽なタッチですいすい読める。
消したいデータにもいろいろあるなあ。
Posted by ブクログ
ドラマのときから思ってたけど、祐太郎くん、大好き。
ドラマが大好きで、いつか原作も読みたいな~と。
設定は全く同じなんだけど、話は原作に沿ってはないんだ!と驚き。
でも、雰囲気や世界観はそのまま映像化されていたな、とわかった。
この設定って、いろんなドラマでも生んでくれそう。
無限にできそう。
T,Eの話とか、悪い結末にも、いい結末にも読み取れるの、死人に口なしだからよな~。こういう物語とても好き。
あとは勝手に解釈してね?みたいな。
Posted by ブクログ
連作短篇集
死んだらパソコンや携帯のデータを削除してくれる、そんな会社が舞台の話。
社長は車椅子に乗っている 圭司 、従業員はこの物語の最初に社員になった祐太郎。
社長の姉はこの会社が入っているビルのオーナーでもあり、弁護士事務所を経営している。
この設定で依頼主が死んで、様々なデーターと消去することになるのだが、いつも消去する前に祐太郎は依頼人の人間関係等から即削除を躊躇い、圭司は「依頼はデータ削除なんだから、詮索しなくていい」、祐太郎は「依頼主の為にも中身を知って役に立つべきだ」といつもたいりつするが、結局データから依頼主の為になろうと走り廻ることになる。
面白いのだけど、ワンパターンなので、この評価になった。
最後の一遍はどんでん返しもあり、面白かった。
Posted by ブクログ
重い過去を抱えているであろうクールな仕事屋と、人情派のフリーター(?)による相棒型のミステリー。人の死なないミステリではなく、人が死んだ後のミステリとでも呼ぶだろうか?
圭司と祐太郎のコンビの登場に、ホームズ&ワトソンのような超古典的役割分担か、はたまた杉下右京&亀山薫的な頭脳&肉体的役割分担か?と想像していたが、読み進めていくと必ずしも謎に対する役割が明確でなく、二人三脚で謎に挑んでいく姿が面白く、こういうのもあるんだなーと思った。ミステリに造詣が深い人には当たり前かもしれないけど。
ついでにドラマの感想(1話のみ視聴)
謎の手がかりや真相が感情に訴えかけるものが多く、ドラマ版でも映えており、アクションも加わり原作以上に熱い展開だった。
Posted by ブクログ
とても興味深い職業。
ケイのビジネスライクな対応が正しいのもわかるし、祐太郎の心の葛藤もよくわかる。
次作でケイと祐太郎がどうなっていくのか楽しみ。
Posted by ブクログ
現実のちょっと裏、ギリギリありそうでなさそうな感じが引き込まれる。こういう仕事って実際あるんだろうか。
気になったのは、何気に主人公も万能過ぎる点。あらゆる場面で社交性やマナー対応が出来過ぎ、更には駆け引きも出来る。特異的な人になっていて、「普通」を発信するキャラクターとしては適さない。「器用」というキャラクターにしては人情に揺れすぎる。いまいち立ち位置が定まらないと感じた。
話は要素の引き出し方が上手いな、と思った。ついついちょっとずつ釣られて続きが気になる。続編もそのうち読もうと思った。
Posted by ブクログ
依頼人の死後に残されたデータから浮かび上がる謎を元にした連作短編で、この作者らしいミステリ要素にハートウォーミングを交えて無難に面白くはある。
ただ個人的には職業倫理が希薄すぎて納得いかなかった。
Posted by ブクログ
妹の死、父の死
わたしは家族関係で痛みを味わってきた登場人物に惹かれる傾向にあるらしい。
死生観、記憶と記録
これをどう捉えるか
残された人に寄り添い真っ直ぐに向き合う
故人最後の願いを淡々と遂行する
どちらもきっと正解だ
自分ならどちらだろうか。
そんなことを考えた
ひとには知られたくないことがある
知らなくていいこともある
ただ、家族だから、深い関係性だったからといってそこにズカズカと踏み込む必要は無いと思うのだ。
伝えたい、そう思ったときに、伝えたい相手に伝えられるようにしていたい。
Posted by ブクログ
シリアスなミステリー物かと思って読んだので、
思っていたのと違う内容でしたが
どのエピソードも心温まる内容だった。
依頼を遂行しようとする圭司と
データを消す前に残された家族や知人のため、本当に消してしまっても良いのかと止める祐太郎
二人は一見対局の考えの持ち主同士かと思ったが、二人とも不器用でも依頼主やその家族など相手のことを思い、優しさに満ちた人物だと思った。
データを消せばそれでお終いなはずなのに
毎回突っかかってくる祐太郎を無下にせず、
なんだかんだで調べて付き合ってくれる圭司は優しいです。
同僚、友人とはちがう二人の信頼関係が築けていく様子も素敵でした。
自分が死んだ時のためにデータを消すように依頼して逝った人たちの想い、
残された知人や家族の想い、
データを消す方が正しいのか、家族に内容を知らせるのが良いのか。
自分だったらどうするだろうと考えさせられました。
個人的には
トランスデューサーの男性と老紳士との恋のシークレット・ガーデン、
自分が死にゆくため、残された娘に何かできることはないかと母親の愛が感じられたドールズ・ドリーム
が好きなエピソードです。