姜尚中のレビュー一覧
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フランクルの夜と霧について、NHK100分de名著ブックスの本で姜尚中先生が解説を書かれており、そこで私は姜先生と息子さんことを知りました。姜先生はクリスチャンなのでみなさん是非読んでみてほしいです。
メメント·モリを唱え生きることの意味を問う物語ですが、生と死以外に、自然と土地開発、恋愛と失恋、など相対する事象を描いています。なるほど、私はこの本に出逢い読んで感動できるために好きな人を失ったのかと失恋の意味を見い出すことができました。
私は彼女と決して邪(よこしま)な気持ちで付き合ったわけではありません。真剣でした。直広くんが萌子さんの心の中を顕微鏡で覗くように知りたいと願う気持ちはよくわかります。しかしそれはもはや必要ないのだと姜先生は直広くんとそして私に説いてくれました。正解も不正解もどんな未来もまとめて受け入れていくこと、それが人間的な誠実さではないでしょうか。 -
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資本主義社会の歪みが "勝ち負け" といった基準をつくり敗者には自己責任といった烙印を押す。勝者は過ちがあっても認めず責任から逃避する。このシステムでは決して互いに助け合う手段が選択されず弱者は一部の有志によるボランティアや少ない援助に期待するしかない。この理不尽な現状に怒りはうまれやがて "悪の力" が作用する。これが "悪" の全てではなく不安という思考がやがて排除という行動へ向かい果てに虐殺という惨劇もあり得る。ではどこに解決策があるのか、私たちは責任追及といった答えではなく "赦す" という持続を伴う心の変容を試みるべきなのだろう。苦難を要するが、共生する社会こそ悪を派生させない土壌ではないだろうか。筆者・姜尚中の言葉はわかりやすさの裏に困難な道程が見えてくる。しかし諦めることなく踏み出していこう。
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「不器用な日々」清水眞砂子さん(かもがわ出版)
の中に清水さんが国際児童図書評議会、
いわゆる「こどもの本世界大会」に出席されたときに
世界各地から集まった作家たちの中で
ー戦争を生きのびるのと平和を生きのびるのと、どちらが困 難か。ひょっとすると、平和を生きのびるほうがはるかに困難ではないか。それができなくなった時、私たちはまたぞろ戦争に手を伸ばすのではないか」
と発言し、いろいろな国の作家から反論を受けた。
と紹介されておられることを思い起こしました。
改めて
今のこの日本の「平和」って
どういうことだろう
俯瞰してみると
どうみえるのだろう
どうとらえたらいいのだろう
2007年に出版されて
すでに14年が経とうとしていますが
その現状が
さほど改善される気配が
みられないような気がしてしまいます -
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自由に生きることが可能であるゆえの苦しさとどう向き合うべきかを、夏目漱石やウェーバーの思想をたどりながら書き記している本。100年も前に生きていた二人だけれども、戦後の発達しきった社会で生きているという点で現代の私たちと同じだからこそ、通ずる考え方や悩みがあるのがとても興味深かった。
自由だから故の悩みを解決するためにだした作者の結論が、「悩み抜くこと」だというのが、(曖昧な感想ではあるけど)良いなあと思った。情報が溢れ、技術が進歩した社会で生きると、たくさん手段はあるけれど、結局一番自分が納得できて信用できる方法は自分で悩んで結論を出すことなのだなと思った。
15年以上も前に書かれたとは思えないほど、2024年現在を正確に捉えられている内容だったので驚いた。だけどよく考えてみると、細かな技術や価値観は進化しているが、戦後の発達しきった世界で自由に暮らすことが出来るという重要な点が同じであるため、15年前も今もぶつかる悩みは同じなのかもしれない。そして今後も自由な生き方があるが故の悩みを抱える人は多くいるだろうから、この本は今後も色褪せることなく読み継がれていくのだろうなと思った。(とても素敵な本だと思ったのでぜひ読み継がれていってほしい) -
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ネタバレ本書が安倍元首相暗殺(の一年)に前書かれたものなんだよなと言うことを思いつつ読み。内田先生はよく「これからの日本」を予測してそれがその通りになったかならなかったを検証するということをされるようです。(別の著作に書かれてました)
2024年春現在、米国でトランプ元大統領が再選される可能性が出てきたことを踏まえて読むと、三年前に出版された本書も一段と興味深く読める気がしました。
政治や世界情勢に疎いので果たしてちゃんとついていけるのか、と思いましたがやっぱりそれほど理解できた気はしなかった(笑)
しかし読み通せたのは対談形式だったからでしょう。
それにしても内田先生はすごい。専門家じゃないのに(とあとがきにご本人も書いてらっしゃるけれど)これだけよく語れるなとその博識ぶりに(好奇心に?)心から感嘆。それを引き出す姜先生も、専門家だけれどもちゃんと読者を置いてかないよう取り回しているのがわかりました。(あちこちついて行けないのは自分の浅学さゆえであります)
ポストコロナとはまだ言えないと思いますが、トンネルを抜けつつある今読まれる価値ある一冊だと思います。 -
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西洋一神教に基づく善悪二元論とは異なる新しい世界秩序とはどうあるべきか、それはかつてアジアにあった思想と根底で通じるものはないか、考えさせられる。少なくとも西洋文明こそが理想であり到達点であり、総ての人類はそこに向かうべき、という思想を今更信じる人は居ないのだろうが、さりとてその代わりが安易なナショナリズムである筈も無い。
「理解は出来ないが受け入れる(梨木香歩先生)」という考え方を持ちつつ、相容れない思想を抱きつつも最後の一線だけは越えないように出来ないか。相手が攻めてきているのにそんなナイーブな事は言っていられない、というのはその通りである。防備は必要だろう。だがそれは話し合いが無くて良いという事では無いはず。防備しつつも話し合いを絶やさないこと、決して分かりあえない事を知りつつも努力を続ける事が求められるのだろう。
中国の和平が打算に基づくと知りつつも、その打算が成立しないようにしつつ、なお平和を達成することが出来ないか。相手が変わらなくても良い、こちらに従わなくても、同じ考え方をしなくても良い、互いに理解は出来ないが共存は出来る、となるのが、現状、ベストであり最も難しい道なのだろう。だとすれば、「東アジア」といった緩い枠組みの中で、鍔迫り合いながら同床異夢のまま過ごす、というのは、意外と最も有効なのかも知れない。 -
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ネタバレ今から3年前2019年、当時の首相による日本学術会議の会員任命拒否問題は、政府による自由・学術・教育に対する介入であると大変な危機感をつのらせることになった出来事でしたが、自分の周りでこの件について同じようなことを考えていたり意見を交換したりということがあったのは、小学校教員である友人ただ一人との間でした。
そこにあるものの不穏さを感じ取った人が自分の周りにはあまりにも少なかった、と思います。
それから現在までを振り返ってみるとたった3年の間に自由というものがとても堅苦しく緊張の伴うものになってしまっており今なお進行形であると感じます。
気づいたら周りから固められてて自分は奇特な意見を述べる少数派になってる…という状況がたまに起きるようになり、うかうかと思ってることを言いづらくなりました。(例えばマイナンバーカードを持つことについてとか…)
組織の中でできる活動として、教育に関するおかしな介入や締め付けに抵抗している友人の姿を目の当たりにすると、自分も黙っていてはいけないと思うものの一個人でどんな風に「おかしいぞ!」とか「ふざけたことしてんじゃないよ」と世の中に問えばいいのか、問えるのかと無力感が正直あります。
大きな声を発することができなくても、周りがみんな朱くなっても自分が白だと思ったら白という意見を曲げない強さをせめて維持し続けたいと思います。
本書は、これからまた数年過ぎたところから本書が著された当時を振り返る、そしてその時の現実・現状を見直すという、考え続けるための一つの標となる一冊だと思います。
編集部によるあとがきにも勇気をもらいました。今後もこのような良書を出版し続けてほしいです。 -
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内田樹と姜尚中の対談本。お二人の対談本、私は読むのは初めてであるが、これが3冊目のものらしい。
対談の内容も面白いのだが、あとがきで、内田樹が書いていることが本当に面白かったので紹介したい。
【引用】
■何よりもありがたいのは、僕がこの領域では素人だということは読者のみなさんはつとにご存じですから、「政治についてウチダの話は眉に唾つけて聴かねばならない」というルールが周知されていることです。
■政治に関する領域では、僕の発言の真実含有量は35%くらいです。残り50%は「思いつき」で、「思い違い」が15%くらいです。
【引用終わり】
内田樹は政治を含む世相に関して一家言を持っている思想家くらいに考えられているのではないかと思うが、もともとはフランス文学が専門で数年前までは、実際にその分野で大学教授をやられていた方である。
内田樹の発言は切れ味するどく、また、読むのが楽しくなるような論理構成と話の流れを持っているので、ついつい、本書で言えば内田樹は、政治の分野の知見が深い専門家と思ってしまったりするが、ご本人が「そんなことはないですよ」とおっしゃっているわけである。
それでも、姜尚中のような実際の政治学の専門家に対して思いつきを言ってみることは誰かの(というか、読者である我々の)知的好奇心を刺激するので、このような対談をやっているのだと思う。実際、そのような(頭の回転が早く、物事の本質を見抜く力を持っているがその分野では素人である者が、その分野の玄人に思いつきを投げかけ専門家の考えを聞いてみるような)構成の本書を私はとても面白く読んだ。
内容については、アメリカ・中国・米中関係について考え、今のような米中が対立するような状況の中で、日本はどのようにあるべきか、的な話を2人でしているもの。これも、タイムリーな話題で、ここでは詳しく触れないが、コンテンツ自体も面白いものであった。 -
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一部ネットで嫌われてそうな論客たちからのメッセージ集。みなさん、日本から少しずつ自由が奪われていると危惧している。
ある一面の行動・発言が切り取られて批判されることが多い方々だが、その考えに直に触れると、国の在り方や自由について真剣に考えているのが分かる。
例えば表現の不自由展に携わった津田大介氏。近年、アートの世界では政権の意向に沿った展示しかできなくなってきたと言う。意向に反せば、補助金が下りないなど不自由を強いられるそうだ。
詳しく知らないが、おそらく、この展示は慰安婦像などを展示するのが目的ではなく、賛否両論のものを公の場で示すこと自体が目的だったのではないか。こうした国の動きに対する挑戦というか。
個人的には反日思想の展示など不愉快だし、する必要はないと思うが、一方で表現に規制がかかる危うさには怖さを感じる。こうした規制を許せば今後、反日的なものでなくとも、政府や権力者が、言論や表現に制約をかけられる世界になっていくわけだから。
アートの世界だけでなく、科学技術なども国の意向に沿わなければ補助金がなくなり、活動できなくなってしまう模様だ。それは果たして国民にとって健全な、豊かなことなのだろうか。賛否両論のものに対して全員が自由に発言できる世界、何事にも反対意見を出して議論できる社会、多面的に物事を考えられる世の中、そうしたものを守らなければ。などと思いました。