姜尚中のレビュー一覧

  • 続・悩む力

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    100年前の夏目漱石やマックス・ ウェーバーなどの慧眼により、現代を的確に表現している。自殺者の多数、逸脱資本主義からの人と人との全般的や不信の構造、直接アクセス型社会からの公共領域の消失、柔らかい全体主義の傾向、宗教に代わった科学の存在、同時に人々の孤独感とともに肥大化する自意識の状態。
    「彼らをむやみに自分らしさの探究に駆り立てるものをしっかり見つめ直しておく必要があると思うのです。」引用

    前半は読んでいて、現代の病理的な現象を夏目漱石やウェーバー等の作品、表現を引用し論じられている。そのため正直気が滅入りそうだった。
    しかし、後半は、そのような世界においてどのように考え、どこに幸福を見

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    2024年10月13日
  • 【カラー版】あなたは誰? 私はここにいる

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    (2012/2/24)
    悩む力がベストセラーになった姜尚中さんの新書。
    NHKの日曜美術館の司会をやったのがもとでできたのがこの本のようで。
    タイトルからはわからない、美術本。といっても姜尚中氏独特の自己内対話になっていて。

    正直読み物としてはいまひとつ。
    ただ、取り上げている絵は興味深い。
    一番は今日のブログタイトルにもしたラスメニーニャス。ベラスケス。この絵の主役は画家だという指摘はうなづける。行きたいなぁ、プラド美術館。行こう。

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    2024年09月04日
  • NHK「100分de名著」ブックス 夏目漱石 こころ

    購入済み

    新しい視点

    若い頃から何度も読んでいる作品ですが、この作品の主題について新しい視点を提示しています。とても参考になりました。

    #深い

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    2023年11月27日
  • 【カラー版】あなたは誰? 私はここにいる

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     2009年4月から2011年3月まで、NHK日曜美術館の司会をされていた姜尚中氏による美術に関する考察本。
     美術はご専門ではなく、政治思想史が専門だが、在日であることからアイデンティティのあり方に悩んでいた時に出会った数々の絵や工芸品にどのようにして惹かれていったのかを語り、作家の心がどこにあったのかを考察した、大変興味深い本。

    特に興味を持てたのは、次の美術品に対する考察。

    ベラスケスの絵画「女官たち」
     宮廷の中央に王女がいて、そのまわりに何人かの女官がかしづいてして、絵筆を持ったベラスケス自身も絵の中にいる。ベラスケス自身の心はどこにあるかというと、隅っこに描かれた矮人(体が小さ

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    2023年10月15日
  • 悩む力

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    「何のために働くのか」「変わらぬ愛はあるか」「なぜ死んではいけないか」
    昔から考えていた、そして30になっても全然答えはわからない問に、これだ!とまで言わなくてもなんとなく、ああそういうことなのかなと思わせてくれました。例えがわかりやすくて結構刺さりました。

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    2022年12月04日
  • 悩む力

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    あおい夜空は星の海よー、人の心は悩みの海よー(アリラン)
    苦悩する人間は、役に立つ人間よりも高いところにいる
    人間は「自分が自分として生きるために働く」「自分が社会の中で生きていていい」という実感を持つためには、やはり働くしかないのです。
    愛とは、そのときどきの相互の問いかけに応えていこうとする意欲のこと。幸せになることが愛の目的ではない。
    人は自分の人生に起こる出来事の意味を理解することで生きている。

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    2022年05月07日
  • 母の教え 10年後の『悩む力』

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    悲しさのあまり、一滴の水も、一粒の麦も喉を通らないと思っていたのに、気がつけば、私は食べていたのだ。生きる気力を無くしながらも、確かに口を動かし、歯で噛み切り、硬い繊維質のものすら喉の奥に流し込んでいたのだ。
    「人間はどがん時でも食べんと。生きとるなら食べるとたい。食べたら尻から出すとばい。どがん辛かこつがあっても、生きとる限り、そがんするとだけん。」
    「どんなことでも何とかなるとよ」

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    2022年05月05日
  • NHK「100分de名著」ブックス 夏目漱石 こころ

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     高校の授業で初めて出会った『こころ』。当たりの先生だったおかげで、今でも授業風景を鮮明に覚えているほど衝撃を受けた作品。その授業は、かの有名な「精神的に向上心のない者は馬鹿だ」の解説だった。
     「死をたくさん描くことで、生を浮き彫りにしている」「先生はわたしに出逢えたから死ぬことができた」などの記述にとても納得した。名著を読み解く様々なヒントが得られ、新たな深層に入り込めるので、100分de名著テキストは最高。『こころ』も読み返したいし、他のテキストも読みたい。

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    2021年11月18日
  • 「自由」の危機 ――息苦しさの正体

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    忖度か、同調圧力か、権力の逸脱か。最近、表現の自由が失われつつある風潮がある。26人の研究者、作家、芸術家、ジャーナリストが自由について考察し、声をあげる。

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    2021年11月03日
  • 新世界秩序と日本の未来 米中の狭間でどう生きるか

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    内田樹の「妄想」ぶ不思議なリアリティを感じる。「素人故」とのことだが、世界の歴史を巨視的な視点で俯瞰する氏の語りには大いに学んだ。

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    2021年10月22日
  • NHK「100分de名著」ブックス 夏目漱石 こころ

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    放映されたものを鑑賞できなかったため、書籍にて『こころ』を読み解こうと手にとりました。
    高校の教科書に『こころ』の一部(ちょうどKが自死する場面の前後)が掲載されていたおかげで、二十年が経過した今でも、「先生」が冷たくなった「K」の頭を抱える場面は強烈に私の中に残っています。全編読むたびに新しい発見があり、今では私の読書歴の中でベスト5に入る愛読書です。
    本書では、あらゆる角度から『こころ』を掘り下げてくれています。著者の意見にうなずき共感しながら、ああだから私は『こころ』に惹かれたんだなと納得させられました。また、知らなかった漱石の一面を知ることもでき、大変興味深く読めました。『こころ』を好

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    2021年10月18日
  • 【カラー版】あなたは誰? 私はここにいる

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    面白い!
    失礼ながら、テレビでよく見かける
    気難しそうなコメンテーターに、
    まさか、こんなにも分かりやすく、
    そして、感動的に、
    芸術の解説をしていただけるとは!
    そもそも私は芸術に無知無関心だったのに、
    このタイトルに吸い寄せられました。
    少しだけ人間の幅が広がった気がします。
    感謝です。

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    2021年07月31日
  • 「自由」の危機 ――息苦しさの正体

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    まず著者群の面子を見て、少なくとも既知の名前において、それぞれの発信することばを追いかけている人が多いことを確認。演繹的に、その他の著者についても、かけ離れた立場にはないであろうと判断。あわよくば、今後の人生指針になり得る存在と出会えることも期待。前置き長いけど、そんな考えの下、発売前から気にかけていた本書。日本学術会議任命拒否問題についても、どこかでちゃんと読まなきゃと思っていたけど、その欲求も本書で満たされた。中曽根時代から綿々と受け継がれて今に至るってのも、何とも根深くて嫌な感じ。そのあたりまで遡って、ちゃんと勉強しなきゃ。あとは、己でさえままならない自由の取り扱いを、更に次世代に伝える

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    2021年07月28日
  • 「自由」の危機 ――息苦しさの正体

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    26名による日本学術会議任命拒否問題に端を発した、自由への権力の介入に関しての論考集。息苦しさの正体にはさまざまな形での!自由を禁じようとする動きがあったことに改めて気がつく。
    それぞれの立場で見た自由への介入は、幅広いものがあり、私たちの生活がじょじょに狭められてきていることが分かる。
    誰かの問題なのではなく、自分の問題として、さまざまなやり口で介入しようとしてくる権力にはNOを突きつけたい。

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    2021年07月16日
  • 悩む力

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    素晴らしい。悩みを解決してくれる本ではないが、悩むことを肯定してくれる。

    序章,1章 悩みの背景と解決策
     情報化社会やグローバリゼーションによって自他の境界が曖昧になり、アイデンティティが不安定なものになっている。
     便利になりすぎたせいで1人でも生きていけるようになり、これが孤立化に繋がっている(合理化の副作用)。
     結局のところこれらは他人との相互承認でしか解消することはできない。

    2〜4章 悩みのタネ(金、知性、青春)
     金:金はしゃーない、資本主義だから。金を蔑みながらも金なしでは生きてはいけない。
     知性:知性と合理化を混同していないか?科学は生活を豊かにするが、自分の生きるた

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    2021年05月22日
  • NHK「100分de名著」ブックス 夏目漱石 こころ

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    ネタバレ

    夏目漱石の他の作品や評論文なども引用し「こころ」という小説が本格的に論じられていてしかもわかりやすく書かれた良書だと思う。自分の分身を殺すことにより自分自身を殺すエドガー・アラン・ポーの「ウィリアム・ウィルスン」のように、Kは「先生」の分身であったとも読めること、「夜と霧」のフランクルがいう「態度価値」(自らの努力では逃れられない運命とも呼べるような事態に陥ったときに、その運命を受け止める態度によって実現される価値のこと)により「先生」はKの死後ぎりぎり生きていたという部分が印象に残った。

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    2020年10月14日
  • 漂流者の生きかた

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    五木寛之(1932年福岡生まれ、引揚者)と姜尚中(カンサンジュン、1950年熊本生まれ、在日二世)の「憂」「愁」対談です。「漂流者の生きかた」、2020.7発行。いろいろ考えさせられました。今は、明日が分からない時代。そして、あらゆる分野が「鬱(うつ)」の方向に進んでいる。敗戦は国破れて山河あり、東日本大震災は山河破れて国あり。日本国民、自分は生き残った。なぜ彼らは死んだのだろうか。(この本にはないですが、コロナもそうですね)日本国民の在日化(日本人が国を信用しなくなった)が。
    平均的な日本人の願いは、健康、カネ、平和に尽きる。これは、言葉を換えれば、最大の不安三つ(健康、カネ、戦争・地震など

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    2020年07月23日
  • NHK「100分de名著」ブックス 夏目漱石 こころ

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    作品にはいろんな解釈があっていい。
    この作品をKと先生の同性愛小説と見る人もいるくらいなのである。
    看取り人の存在は、確かに大切でKの話しは先生に、先生の話しは、私に繋がっていくのである。私の口から、Kと先生の話しが伝えられ、それは続いていく。

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    2020年02月23日
  • 逆境からの仕事学

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    未来について不確実で、全てにおいて様々な選択肢がある現在、仕事は自分らしい生き方を体現する手段でもある。生き抜くためには、複眼的な視点を持つ必要があり、そのために最も効果的なのは、古典的な書物を読んで人文知を高めることだと著者は言う。著者の前半生や読書論も展開され、全編を通して読みやすく、触発された。

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    2019年10月17日
  • 母 ―オモニ―

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    어머니、オモニ、母…どんだけ苦労されたんだろう。うちは、日本語の「お母さん…」「オカン…」より「어머니…」という響きに胸がキュンとなる。在日という言葉は日本人にはわからないほど深くて複雑で、残酷やねん。いや、誇り…かな。そう思った本でした。

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    2019年05月01日