姜尚中のレビュー一覧
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「国体」をめぐって展開されてきたさまざまな言説が置かれている、ミクロな権力構造の磁場を解明している本です。
著者はまず、近代において成立したナショナリズムが、国民国家という「作為性」と郷土に代表される「自然性」を接合することによって生じたものだと論じています。とりわけ日本の近代においては、伊藤博文がこうしたナショナリズムの性格を自覚し、近代日本の枠組みをかたちづくったと著者はいいます。また、こうした二重の性格をもつナショナリズムを取り巻く言説に著者の考察はおよんでおり、本居宣長の「漢意」の排斥や、リービ英雄の日本に対するアンビバレンツがとりあげられています。
つづいて著者は、橋川文三の国体 -
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私の好きな作家,内田樹さんと姜尚中さんの対談なんだから,面白くないわけがありません。
この二人は,いつも新しい視点を与えてくれます。
今回のテーマは,アジア。日本と韓国と台湾の連携で,新しい可能性が拓けていく…というのは,現実からみると無理そうに見えますが,そういう大風呂敷を広げないことには,いつまで経ってもアメリカの属国になっているだけです。
今回の安倍とトランプの外交を見ても,悲しくなってきます。
日本の右翼がどうして反トランプ,反安保にならないのか,不思議です。
韓国が植民地支配の反省から,漢字を廃止してハングルにしたために,若者たちが韓国の古典を読めなくなっている…という -
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ネタバレ今日も大変。でも書評ブログは続けるよん。今日の書評は「見抜く力」姜尚中(カンサンジュン)著。
お前、コリアンの方の書評って言われる方もいるかもしれないが、サンジュン先生は在日二世で、もちろん日本語はペラペラ。早稲田大学大学院博士課程修了後、ICU准教授、東京大学大学院教授、聖学院大学学長などを歴任している、まさに日本人にとってのオピニオンリーダーの一人なのだ。
「サンジュン先生なら知ってるよ!朝まで生テレビに出てた先生でしょ?」と言われる方、かなりの通ですね。私もサンジュン先生を同番組で知りました。氏の日本国への愛情はディープ(深い)かつコンシスタント(首尾一貫)で、私も「この方日本好きな -
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ネタバレ仕事とは何か、何のために働いているのか、このような疑問を持つ人は多いだろう。特に現在の仕事に満足感を得ていない人ほどもやもやした思いを抱えながら、それでも仕方なく毎日仕事をしているのではないか。本書は姜尚中さんが自らの体験を交えながら、仕事の意義について語る。そもそも仕事とは何か、という問いに対しては「社会へのチケット」、「自分らしさの表現」と答えている。二つめの「自分らしさの表現」というのが難しく、特に仕事ではそれが達成できないことが多くなっている。そこで著者は仕事だけでなく複数の軸を持つことを勧めている。また「自然」、そのままの自分を受け入れることが大切であると話している。そのままの自分
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ネタバレ読書数がある程度増えてくると、良書には共通した考えが流れていることに気づきだした。
本書でも、アドラーの共同体、マインドフルネスの考え等の内容が参照もしていないのに自然と書かれていることに驚いた。
著者自身の経験談も豊富に語りつつ、これまでの研究成果も引用されており、非常に説得力ある内容になっている。
単なるノウハウ本ではなく、これからの時代の仕事とは何かということを一緒に考えるための良書である。
・自分はなぜその仕事をしているのか、その仕事を通じて自分はどうなりたいのか、そして社会に対して自分は何ができるのかを、日々、真剣に問うことは、働くうえで原点になると思います。
・複眼的な視点を持つ