姜尚中のレビュー一覧

  • 悩む力

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    ネタバレ

    「悩む力」という本書のタイトルに興味を感じ読んでみた。

    ふつう、我々は「できるならば悩みたくない」と感じていると思う。悩むような出来事からはできるだけ避けたいと思う。

    しかし、著者は「悩むこと」を推奨する・・・というよりも、悩む先に幸福がある。悩むことを喜びとさえとらえようという、ある意味発想の転換を促す本だろうかと思う。

    おそらく、在日であることで、子どものころから得体のしれない偏見などと闘いながら、葛藤の人生を歩んでこられ、そうした中で強い母の姿に励ましをもらいながら、様々に悩み、そして自分なりの方向性を見出されてきたことを本書にまとめられたのではないかと思う。

    学者としてマックス

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    2017年12月06日
  • 悪の力

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     自分の存在自体が空虚で不安であるとき、その空っぽを埋めるようにあくが忍び寄ってくる。
     自分が世間の一部であるという実感が、アイデンティティーとなり空虚感を満たす。しかし、資本主義社会では、自分だけが頼りで自社が勝ち残るという思想を教え込まれ、孤立し空虚になりがちである。
     世間の人間関係の中に、もっと入り込んでいくことが、悪をなくす方法である。

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    2017年11月11日
  • 悪の力

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    悪は病いである。愛するにも憎むにも他人が必要です。しかもその一人一人の田shが自分と同じように自由な存在であるとすれば、悪は人間の自由と他者の共存という、永遠のテーマとかかわっているのです。
    これが結語である。それまでは散漫な展開。初めての姜尚中の著書だががっかりだった。

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    2017年09月28日
  • 続・悩む力

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    ネタバレ

    「悩む力」の続編。夏目漱石とマックス・ウェーバーに心酔する著者が、その哲学的思想を存分に披露するのは前作と同様。ただ、東日本大震災のわりとすぐ後に書かれたものであり、著者の悩みがより一層深まっているようだ。
    まず、とにかく「暗い」。思考が非常にダークである。そもそも哲学的思考が強い人は、楽天的・楽観的な思考を蔑み、深く思考することが善という考え方であり、血を吐くような苦しみで精神を病むほど悩み、そこから復活を遂げる「二度生まれ」という概念を非常に重視している。しかし、そこまで苦しんでまで人生の真理を追い求めるよりも、何も悩まずに楽に一生を終えることができればそれはそれで幸せなのではないだろうか

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    2017年06月10日
  • 心

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    この本の存在を知った時、自分は疲れていたのかも知れない。それでも、死の事を考える程ではなかった。ただ、状態を言葉に変換できず、だからこそ行動にも繋がらず、モヤモヤとした嫌悪感を抱えたまま、救いを求めていた。本を読む事が救いであり、その世界から、また新たに姜尚中の心という本を知った。佐藤優の本だったと思う。佐藤優の紹介から、この著書がその時の自分とシンクロしたような気がしたのだ。

    著書は、生と死を見つめた内容で、一人の青年と姜尚中自身のやりとりを通じ、生きる意味を考えさせられる内容だ。自分のモヤモヤした気持ちを少しシフトさせるに、読んで良かったと思う。そんな風にしか、折り合いがつけないような事

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    2016年12月10日
  • 逆境からの仕事学

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    人それぞれ本の読み方も違います。著者は3つの方法を提案しています。自分の乱読もそろそろ意志を持たねばいけないですね。

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    2016年12月09日
  • 【カラー版】あなたは誰? 私はここにいる

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    NHK「日曜美術館」の司会をしていた著者が、当時出会った絵画や美術品について書いている。
    政治学者である著者は、芸術の専門家ではないので解説書ではなくあくまで著者自身の感想といったところ。
    冒頭と末尾に出てくるアルブレヒト・デュラーの作品は、とても印象的だった。
    最初と最後に持ってくるあたり、著者自身もこの絵画に大きな影響を受けたと思われる。
    絵画は、語る。
    それは、鑑賞者に向けてだけではなく、いやむしろ画家自身に向けてのメッセージなのかもしれない。
    そんな風にも思った。

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    2016年09月15日
  • 心

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    著者自身がモデルと思われる大学教授の「わたし」が、西山直広(にしやま・なおひろ)という大学生から手紙を授かります。そこには、友人の恋を踏みにじったのではないかという彼の悩みが綴られていました。「わたし」は彼の真剣な悩みに向き合いながら、現代の日本が直面している問題と、その中で苦しみながらも前を向いて歩んでいく青年の姿に感銘を受けます。

    西山青年は、白血病で死んでいった「与次郎」というあだ名で呼ばれていた親友の長与次郎(ながよ・じろう)から、一通の手紙を託されていました。それは、西山や与次郎と同じ演劇部に所属する黒木萌子(くろき・もえこ)という女性への恋文だったのですが、与次郎と同じく萌子に心

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    2016年08月30日
  • 戦争と天災のあいだ─記録の改竄、記憶の捏造に抗して

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    保坂正康氏と姜尚中氏が2011年10月30日に北海道新聞ホールで行った講演会の講演録。

    歴史は、記録者の都合の良いように記憶される。
    勝利者の記録のみが正しい記録として、後世に伝えられる。
    歴史は改ざんされ、記憶はねつ造されるという内容を、第二次世界大戦、広島長崎の原爆から、福島原発事故までを例にとり説明される。

    米国では、ヒロシマ、ナガサキ、フクシマと列挙することにより、意図的な大量殺人と(人災の側面を除いて考えれば)事故である原発事故の区別をつきにくく、そして大量殺人の罪を薄めて考えるように仕向ける傾向がみられる。

    両名の講演のあと、学生参加による質疑応答が掲載されているが、そ講演の

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    2016年08月26日
  • 姜尚中と読む 夏目漱石

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    ジュニア新書なので本来は中学生向きだが、大人にもさくっと読め​る。これから夏目漱石を読もうという際の予習となる。漱石は読みどころがよくわからなかったので、参考になった。

    次の5冊を紹介している。

    吾輩は猫である
    ユーモアの影に、明治の社会に対する漱石の批判が書かれている。

    三四郎、それから、門
    前期三部作、年代を引き継ぎながら、登場人物は違うが続きの話のようにテーマがつながっている。愛と友情、その結果の姦通がテーマ。

    こころ
    上中下の3編からなり、先生と私、両親と私、先生と遺書 。
    多くの死が登場するデスノベルである。
    死にゆく者から次の世代への魂の相続の物語と読める。

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    2016年04月14日
  • 悪の力

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    悪の代表として、イスラム国の残虐非道ぶりを取り上げていたが、もっと言及してほしかった。彼らのしてることは宗教における原理主義でもなんでもなく、意味のない非道極まりない暴力集団にしかすぎず、到底許せるものでない、どうして他国は彼らをのさばしておくのか、理解に苦しむばかりだ。とにかく私は許せない。

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    2016年03月26日
  • 悪の力

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    「悪の力」
    姜尚中の悪に対しての考察である。
    古くは聖書から、その他古典的な文学から考察した悪に対しての考察である。
    キリスト教的な考えが強く、ベルゼハブやヨブ記についての考察が印象に残る。
    そして、資本主義が悪を生み出す根源ととらえているようで少々行きすぎのような気もする。
    しかしながら、空虚に悪が忍び寄るというのはわかるような気がするが、人間はそれほど高潔なものでも悪魔的なものでもないだろう。
    むしろなぜそういう悪の考えや行動が生まれるのかの科学的な知見が必要なように思える。原罪だの心の闇などと言っても何も解決にはならないし、そもそも解決できる問題なのだろうか。

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    2016年02月27日
  • 国家のエゴ

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    佐藤氏の著作を初めて手に取ってみた。
    姜尚中先生によるインタビューが気になったから。この二人の組み合わせが、想像できなかったからだけど、本書は姜先生が学長をつとめる聖学院大学での佐藤氏の講演記録から再構成されたもの。
    現代の日本を「スターリン主義の顔をした保守主義」とする佐藤氏の分析は鋭い。好きじゃないけど。

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    2016年01月09日
  • 悪の力

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    悪は拠り所ない空虚な心に宿る、という指摘は
    新しい考え方だったが得心した。
    悪事を働いて世間に迷惑を掛ける行為は、
    自分の存在を知らしめたい→社会と繋がりたい
    という気持ちが、負の方向へ発露してしまったもので、
    結局はコミュニケーションを欲している。
    陳腐な言葉だが、人間は他人との関わりなしには生きられない
    というのは不変の真理だと改めて思った。

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    2015年12月14日
  • 心

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    ネタバレ

    わたしは箱の中にしまってあった青春の遺留品を一つひとつ確認するように、思い出の本をよんでいった まるごと受け入れることです 「生きとし生けるもの、末永く元気で」と最後の言葉を残して、自ら死んでいった息子のを思い、この物語を書いたと思う

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    2015年09月06日
  • 心の力

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    トーマス・マン 「魔の山」
    夏目漱石 「こころ」
    同じ時代に書かれた2つの小説の姜尚中的な、その後の物語。

    幅のある選択肢の中から、もっとも最適なものを選択する。(本文より)


    世間で言われている方程式に従ってたった一つの高い理想を描き、そこからはずれたらおしまいだなどと震え上がらないでくださいと。まずは自分自身がいいと思う道を進んで、それがダメだったらいくらでも図太く方向転換すればいいのです。心の豊かさとは、けっきょく自分の中に選択の幅を持っていることなのですから。(本文より)

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    2015年08月20日
  • 国家のエゴ

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    現下日本の政治エリートは反知性主義的機運が万延している。
    中国は、新帝国主義で海洋進出が脅威とされているが、中国西方に第二イスラムができる可能性が高く尖閣問題は発展しない。発展しないもう一つの可能性は沖縄の日本からの独立がある。

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    2015年08月16日
  • 心の力

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    心の力とは?

    →心は人生に意味を与える物語においてのみ理解可能
    人生に目標が見つからなくて立ち往生してるとき、時間を無駄にしているように感じるが、最終的には無駄ではない
    心の豊かさとは、自分の中に選択の幅を持っていること

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    2015年08月01日
  • 続・悩む力

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    ネタバレ

    東日本大震災後に見られる社会に対する問題について書かれている。主に、夏目漱石などの文学作品から読み取れる社会問題を切り口に、現代社会に対する警告を示している。

    大筋に関しては、同感できる内容で考えさせられた。

    ただ、原子力発電の問題については、疑問の残る内容だった。震災で起きた原子力発電の問題は、原子力発電そのものではないように思う。それを覆う建造物の耐久性や放射能漏れ対策が問題だと思う。

    原子力発電は震災後であろうと、それを支える科学自体には、間違えがあったわけではない。それを使う人間や使う判断をした人間に問題がある。

    という面で原子力発電問題の議論自体に問題ありだと思う。

    ただ、

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    2015年12月03日
  • 姜尚中の青春読書ノート

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    著者が若い頃に大きな影響を受けた5冊の本についてのエッセイです。取り上げられているのは、夏目漱石『三四郎』、ボードレール『悪の華』、T・K生『韓国からの通信』、丸山真男『日本の思想』、そしてマックス・ウェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』です。

    『三四郎』について語った章では、熊本から上京して絢爛たる消費文化が花開く大都会・東京のありようを目にして著者が屈折した気分を抱くことになり、そうした気分と漱石のメランコリーと重ね合わせた著者の青春時代の思い出が語られます。

    T・K生の『韓国からの通信』という本についてはまったく知らなかったのですが、「在日」でありつつ「反共」の立

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    2014年12月05日