姜尚中のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
悩みぬく事で自らの生きる力を取り戻して欲しいと書かれた4年前の『悩む力』の続編。 悩みぬいた末でなければ見出すことのできない大切なものを著者自身が掴み取りたいと続編『続・悩む力』書かれている。
が、正直この本難しすぎて途中で興味をなくしてしまう。思い出してみたら前作『悩む力』は途中でギブアップ。あまい興味の無い分野であることも理由の1つかも。著者の本はしばらく遠慮することにする。
究極まで発達したグローバル社会の中では自分らしさという唯一無二のものは削がれる方向にある。
人間はどこでもだれでも代替可能で入れ替え可能な等質な『商品』になることを求められている。
それに必死に抗おうとして、 -
Posted by ブクログ
相変わらず姜尚中氏の本は難しい。
同じ時期に構想され、書かれた2つの傑作、夏目漱石の『こころ』とトーマス・マンの『魔の山』のそれぞれの主役、『私』と『ハンス』がその後どうなったのかを著者が想像し、その続編として『続、こころ』というタイトルで勝手に書いている。
元の2つの作品は、100年前、世界に大きな変化が生まれ人々の心が失われ始めた時代の『心』を描いている。
一方『続こころ』は、100年後の今の若者に向けられている。
グローバリゼーションによって世界中の人々の間で価値観が画一化し、代替案を持つことすら難しくなっている。
1つの価値観が崩れてしまうと立ち直ることも難しい。
そんな生 -
Posted by ブクログ
悩む力・続悩む力に続く第3弾的著作なのかなと。
ターゲットは大学生くらいの年代でしょうか、今回は一段と若者に向ける先生の熱意が感じられるようでした。
「心の力のようなものを探し続けることを、きっと『まじめ』というのだ」という第5章にあった言葉が響きました。
その通りだなぁとしみじみ思いました。
平易な言葉で現状の社会の空気とは違う生き方を提案されていますが、これもその通りと思いつつ、やはり若い人たちにはそのように生きようとするのは困難なことではないかなぁとも考えました。
それだけに先生の、若い人たちに潰れて欲しくないという願いのようなものが伝わってきます。
一番訴えたいのもこの章なのでは -
Posted by ブクログ
『悩む力』(集英社新書)の続編。前著に引き続いて、漱石やウェーバーに現代の社会を生きるための秘訣を学ぶことがテーマになっています。
とくに本書では、東北の大震災以降、「液状化する近代」の不安が人びとの意識に暗い影を落とすようになった時代状況の中で、「それでも人生にイエスと言う」ための生き方について語られています。
V・E・フランクルは、「意味のあるもの」探しに取りつかれた人生ではなく、「人生のほうから投げかけてくるさまざまな問い」に対して、一つひとつ答えていくことを説きました。「おまえはこの忍びがたい屈辱を忍ぶことができるか?」「おまえはこの別れの悲しみを乗り越えられるか?」という問いに対 -
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在日コリアンで、政治思想史家の著者が、異国の地で生きた母(オモニ)への思いを語っています。
日本と運命を共にする決意をした著者の叔父の生き方や、戦後に万日山のバラックで貧困生活を送ったこと、また、子どもの頃に「チョーセン」という言葉の響きや、祖先を祀る母の姿に恥ずかしさを覚えた自身の過去を取り上げつつ、やがて韓国を訪れることでみずからのルーツを見つめなおし、母の生き方に対する思いも変わっていった経過が、真摯に綴られています。
ただ、内容自体は著者の自伝である『在日』(集英社文庫)と重なるところが多く、少し期待外れに感じたところもありました。 -
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「心の力」を読み始めて、今一つ漱石の位置付けが分からず、筆者の著作を遡って読むことにした一冊。「三四郎」「それから」「門」と、確かに昔読んだ記憶がある。その頃は主人公の悩みや戸惑いが何となく若い自分の思いとシンクロして、それ以上深く考えることはなかった。姜尚中という人は、60を過ぎても漱石の憂鬱と向き合い、マックス・ウェーバーまで引き合いに出して、近現代を相対化し、我々を覆う憂鬱や絶望を解析しようとする。自由、科学といった近現代の基本的概念に切り込もうとする筆者の姿勢から、気づかされる点はいくつかあった。
分かれ目があるとしたら、「現代の憂鬱や絶望」をどう捉えるかだろう。憂鬱や絶望は常にある -
Posted by ブクログ
前作「悩む力」に比べるとインパクトが弱い気がした。
それでも理論的かつ、わかりやすく書かれているのは
同じ。名前はきいたことあるけれど著書をよんだことの
ない著名人(フランクル、ウェーヴァーなど)がこう書いている
と例として示してあるのが参考になった。
終章にある「人間の三つの価値」について、そのうちの「創造」
と「経験」は一般的に日本人に足りないとされていることだと
思う。が、もう一つの「態度」については誇りをもっていいの
ではないかと思う。これまでのところは。
日本人としてはこの誇れる「態度」を貫きたく思う。
この本を読むと、また夏目漱石を読もうかなと思う。