重松清のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
父・石井信也の晩年を知る人たちから、明らかになる父・石井信也。
『自分史』を作ろうとしていた父・石井信也。
カレンダーに残る、母、姉、洋一郎の誕生日…何を想っていたのか…
父は何を残したかったのか…
父の遺骨を故郷に持ち帰り、母に合わせようとする洋一郎。母は…
やはり、ひとにはひとの想いがある…
洋一郎には記憶がなくても、母には母の、姉には姉の…
『ひとはいいことも悪いことも含めてひとだから』
父・石井信也は決していい夫、いい父親だったわけではない。
が、石井信也がいなければ、今、自分はいない。
父親でいられなかったことの申し訳なさはずっと抱えていたのだろう。
どんな父親になりたかったのだろう。
『父』をたどることで、自らのこれからの生き方を考えることができただろう。
息子へ、孫へ、つないでいかなければならないことを。
親の介護、自分の老後、墓の問題…
現実と老後を考えさせられた。
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Posted by ブクログ
(5.0)
言葉にできないほど胸がいっぱい。胸がいっぱい。ただいっぱい。こんなに心の真ん中がいっぱいになる本は久しぶりだ。物語の進め方、言葉のチョイス、表現全てが本当に素晴らしい本だった。内容はとてもつらくて、重いものだが色んな人に読んでほしいと思える、終始グダることのない完璧な一冊だと思った。
186p 「自転車は買わない。ナイフを買おう、と決めた…」ここまで追い詰めまれて、心を壊して、閉ざして、、何も言えない気持ちになった。
192p 「火は落ち着く タバコも放火も…」自分の心の闇と兄の心の闇が、ひとりぼっちの闇が繋がった気がして、悲しくなった。
235p 「お前は知らない、神父の手紙」いい…
247p 「ラブホテルにてクライマックス」
ここからは呼吸を忘れるくらい物語に引きづり込まれる。
2時間が一瞬だった。
352p 「おまえは、すでに、物語の閉じ方を決めていたのだろう…」
オチのつけ方を想像しながら読んでいた。ここまで盛り上がってどう終わらせることができるのだろうと。この一文で自分の思考など、推測など全てを嘲笑うかのように吹き飛ばされた。ゾッとした。身震いさえした。降参です。
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Posted by ブクログ
(4.6)
暗くて、重い。どんよりとしていて呑み込まれていくよう。深淵に迷い込んでいく感覚。会う人、環境、境遇全てが救われない、酷い、切ない、辛い、目を背けたくなる。でも不器用に、必死に生きていくしかない。それでまた全ての心の描写、シチュエーションがリアルで生々しい。共感できる部分が多々あった。中学の頃のいじめだったり、人間関係に重なる部分があった。思春期は思い出にするには輝かしいけど、実際は重くて深くて悲しいものでもある。そして果てしない性欲にも襲われる。全てが懐かしく共感できて、スイスイ読めるのもそうだが、重松さんに、また小説作家の表現力の凄さに舌を巻いた。言葉だけでは表しようのない思春期の難しい感情を物語を通して表現している奇跡のような一作だと思う。死刑囚と同じ穴の空いたような目になってしまったおまえがこれからどこまで落ちていくのか下巻が楽しみでしょうがない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ様々な小学5年生の微妙な心の揺れ動きを描いた17編を集めた短編集である。
印象に残ったのは、「カンダさん」である。
「少年」は、隣の家に住む「久美子ねえちゃん」と姉弟のように育った。表題にある「カンダさん」というのは、その「久美子ねえちゃん」と婚約したものの、双方の両親の反対で結婚に至らなかった男の名前である。
「少年」にとって「カンダさん」は、「歳の離れたお兄さん」のような存在となり、一緒に雪合戦をし、プラモデルを作った。小学5年生だった少年にとって、「カンダさん」が手伝ってくれたプラモデルの出来は、「魔法か手品のようにきれい」であった。しかし、お姉さんとの結婚が破談となり、2年経ったとき、中学生になった「少年」が改めて目にしたプラモデルは、「接着剤が意外と外にはみ出していて、たいしたことはなかった」。
子どもに頃は、憧れていた大人や輝いて見えたものが、小学5年生から中学生への時間の中で、色褪せたことに気がつく物語だった。その後、「カンダさん」とは違う男が、「久美子ねえちゃん」と結婚することになる。ただ、その男は、もう中学生となってしまっていた「少年」にとって、「歳の離れたお兄さん」という存在にはならなかった。
「少年」の記憶に残るのは「カンダさん」という「お兄さんになりそこねたひと」であることが、子ども時代の思い出の持つ特別さを伝えている。
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