重松清のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
(5.0)
言葉にできないほど胸がいっぱい。胸がいっぱい。ただいっぱい。こんなに心の真ん中がいっぱいになる本は久しぶりだ。物語の進め方、言葉のチョイス、表現全てが本当に素晴らしい本だった。内容はとてもつらくて、重いものだが色んな人に読んでほしいと思える、終始グダることのない完璧な一冊だと思った。
186p 「自転車は買わない。ナイフを買おう、と決めた…」ここまで追い詰めまれて、心を壊して、閉ざして、、何も言えない気持ちになった。
192p 「火は落ち着く タバコも放火も…」自分の心の闇と兄の心の闇が、ひとりぼっちの闇が繋がった気がして、悲しくなった。
235p 「お前は知らない、神父の手紙 -
Posted by ブクログ
(4.6)
暗くて、重い。どんよりとしていて呑み込まれていくよう。深淵に迷い込んでいく感覚。会う人、環境、境遇全てが救われない、酷い、切ない、辛い、目を背けたくなる。でも不器用に、必死に生きていくしかない。それでまた全ての心の描写、シチュエーションがリアルで生々しい。共感できる部分が多々あった。中学の頃のいじめだったり、人間関係に重なる部分があった。思春期は思い出にするには輝かしいけど、実際は重くて深くて悲しいものでもある。そして果てしない性欲にも襲われる。全てが懐かしく共感できて、スイスイ読めるのもそうだが、重松さんに、また小説作家の表現力の凄さに舌を巻いた。言葉だけでは表しようのない思春期 -
Posted by ブクログ
ネタバレすごく良かった。なんかもう、ずっと泣いてた。
なあ朋子、パパの抱っこはホネホネしてて痛いんだってさ
あんちたたちのママは、しんだらいなくなっちゃうの?
朋子が僕に残してくれた中で最も大切なものは悲しみだったのかもしれない
心揺さぶられる言葉やセリフがあちこちにあって、泣きすぎてひいひい言ってる私を、子供たちが不思議そうな顔で見ていた。
原先生の言葉の端々に引っかかってしまうところや、お母さんは家にいますと言った美紀の言葉を嘘と言われた時の感情の動き方がすごくリアルで、同じ立場ならきっと私もこう思うだろう、そしてそれを口には出せないだろう、と思った。
こういう話でありがちな、性描写や生理 -
Posted by ブクログ
ネタバレ様々な小学5年生の微妙な心の揺れ動きを描いた17編を集めた短編集である。
印象に残ったのは、「カンダさん」である。
「少年」は、隣の家に住む「久美子ねえちゃん」と姉弟のように育った。表題にある「カンダさん」というのは、その「久美子ねえちゃん」と婚約したものの、双方の両親の反対で結婚に至らなかった男の名前である。
「少年」にとって「カンダさん」は、「歳の離れたお兄さん」のような存在となり、一緒に雪合戦をし、プラモデルを作った。小学5年生だった少年にとって、「カンダさん」が手伝ってくれたプラモデルの出来は、「魔法か手品のようにきれい」であった。しかし、お姉さんとの結婚が破談となり、2年経ったとき
表示されていない作品があります
セーフサーチが「中・強」になっているため、一部の作品が表示されていません。お探しの作品がない場合は、セーフサーチをOFFに変更してください。