重松清のレビュー一覧

  • 疾走(下)

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    (5.0)
    言葉にできないほど胸がいっぱい。胸がいっぱい。ただいっぱい。こんなに心の真ん中がいっぱいになる本は久しぶりだ。物語の進め方、言葉のチョイス、表現全てが本当に素晴らしい本だった。内容はとてもつらくて、重いものだが色んな人に読んでほしいと思える、終始グダることのない完璧な一冊だと思った。
    186p 「自転車は買わない。ナイフを買おう、と決めた…」ここまで追い詰めまれて、心を壊して、閉ざして、、何も言えない気持ちになった。

    192p 「火は落ち着く タバコも放火も…」自分の心の闇と兄の心の闇が、ひとりぼっちの闇が繋がった気がして、悲しくなった。

    235p 「お前は知らない、神父の手紙

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    2023年03月10日
  • きよしこ

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    重松清さんの実体験を基にした少年の物語。エッセイではなく物語。自分のコンプレックスや、人には言いたくない思いも全部、この物語には詰まっていました。そして重松さんの伝えたいこともたくさん詰まっていました。

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    2023年03月09日
  • 疾走(上)

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    (4.6)
    暗くて、重い。どんよりとしていて呑み込まれていくよう。深淵に迷い込んでいく感覚。会う人、環境、境遇全てが救われない、酷い、切ない、辛い、目を背けたくなる。でも不器用に、必死に生きていくしかない。それでまた全ての心の描写、シチュエーションがリアルで生々しい。共感できる部分が多々あった。中学の頃のいじめだったり、人間関係に重なる部分があった。思春期は思い出にするには輝かしいけど、実際は重くて深くて悲しいものでもある。そして果てしない性欲にも襲われる。全てが懐かしく共感できて、スイスイ読めるのもそうだが、重松さんに、また小説作家の表現力の凄さに舌を巻いた。言葉だけでは表しようのない思春期

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    2023年03月08日
  • めだか、太平洋を往け

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    小学校教員を引退してすぐ、アンミツ先生は、血縁関係のない子のおばあさんに。息子と義理の娘が不慮の事故で亡くなり、思いがけない事態に。孫になる翔也は、学校に馴染めず不登校になっていた。「みんな」に馴染めないのは、父親譲りで、おばあちゃん譲りでもあったのだ。(血は繋がっていないけれど)

    ヒデヨシ、テンコ先生など、個性的な人物が、東北被災地の復興途上から人生について考えていく長編。

    教員は一読の価値あり。

    500ページ以上あったが、半日で読んでしまった!

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    2023年03月04日
  • また次の春へ

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    東日本大震災で被災した人たちの心情が伝わってくる7つの短編。
    どれだけ被災者の気持ちに寄り添っても本人でない限り、経験した思いを知ることはできない。
    だが少しでも、ほんの少しでもわかれば.と思う。
    どの物語も悲しさが伝わってくるが、前に進もうとする勇気もあった。
    そして、優しさも伝わってきた。
    なかでも「記念日」が泣けてきた。
    1月〜3月までのカレンダーも必要なんだと。

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    2023年02月26日
  • カシオペアの丘で(下)

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    静かに読み終えたあとほっとした気持ちになった。北海道の昔の実際にあった事故をもとに書かれた話のようで、知らなかったので調べながら読んでいて、心が痛み、それぞれの気持ちがわかり複雑だった。だけど後悔しても前には進まなくてはならないし、伝えたいときに伝えないといつ死ぬかなんてわからないなと、改めて今ある日々を大切に生きなければならないと思った。
    大切な仲間と出会えた主人公の人生は幸せだったと思う。

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    2023年02月20日
  • 定年ゴジラ

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    神本だと思う。2000年代前のニュータウンを舞台にしているが、その,心の動きは今と同じ。35歳でこれを書いた重松清の凄さも感じる。あとがきも良い。

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    2023年02月18日
  • 季節風 冬

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     遂にシリーズ最終巻。春から始まり、もうそろそろ1年が経とうとしているなんて。物悲しくも心が温かくなるような話が多かった冬編。『あっつあつの、ほっくほく』『コーヒーもう一杯』『サンタ・エクスプレス』『その年の初雪』『じゅんちゃんの北斗七星』がお気に入り。クリスマスにお正月、節分、バレンタインなど元々イベントが多い季節のため、他の季節に比べ分かりやすくバラエティに富んでいる。日常のちょっとした出来事に季節の彩りを添え、様々な人の心に寄り添ってくれた季節風シリーズ。1年を通して楽しませてくれ、これからも折に触れ読んでいきたい。

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    2023年02月12日
  • めだか、太平洋を往け

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    ネタバレ

    「楽しい場所」を見つけるまで、ずっと待ち続ける父親になりたい。たとえ世界中のおとなが「早くしなさい」と、きみをせきたてても、僕だけは「ゆっくりでいいぞ」と言ってやる。

    物語後半。「お父さん」から息子の翔也くんに宛てた手紙。「みんな」と一緒がうまくできなくて、学校に行くことができなくなってしまった息子への優しい気持ちが溢れてて。読んでてたまらなくなってしまいました。

    大好きな重松清の本。ここ最近学校に行きたがらない小5の娘を持つ親として、大切なことをたくさん教えてもらったような気がします。ありがとうございました。


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    2023年02月11日
  • ポニーテール

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    2023/2/3

    ステップファミリーで家族になった、小4のフミと小6のマキ。
    フミのお父さんとマキのお母さん。

    最高。
    重松清さんの作品読みたいな、ていうときってこういう読んだら心がまっさらになるものを求めてる。わたしは。

    心の機微を描くのが本当に上手で、小学四年生の女の子が主人公でも、感情移入できる。
    少し情けないけれど優しいお父さんにも感情移入できる。


    あとがきを含め、わたしが今読みたい本だったな。

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    2023年02月03日
  • ステップ

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    ネタバレ

    すごく良かった。なんかもう、ずっと泣いてた。

    なあ朋子、パパの抱っこはホネホネしてて痛いんだってさ
    あんちたたちのママは、しんだらいなくなっちゃうの?
    朋子が僕に残してくれた中で最も大切なものは悲しみだったのかもしれない

    心揺さぶられる言葉やセリフがあちこちにあって、泣きすぎてひいひい言ってる私を、子供たちが不思議そうな顔で見ていた。

    原先生の言葉の端々に引っかかってしまうところや、お母さんは家にいますと言った美紀の言葉を嘘と言われた時の感情の動き方がすごくリアルで、同じ立場ならきっと私もこう思うだろう、そしてそれを口には出せないだろう、と思った。

    こういう話でありがちな、性描写や生理

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    2024年11月19日
  • ナイフ

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    中学生時代塾の先生に読めといわれて借りたけど当時面白さが分からなくてほとんど読まずに返してしまった。それから10年程経ち偶然古本屋で見つけ偶然題名を思えていて購入した。
    いじめって不思議なもので1人をターゲットにすることで他の人は団結しているように錯覚してしまう。ただのゲームだからいつ何が発端で自分がターゲットになりうるか分からない。大人になっても胸糞悪く共感してしまう不思議な一冊。

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    2023年01月25日
  • 疾走(下)

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    初めてこの本を読んだときの衝撃は忘れられない。”死にたい”の重みが違うと感じた。私にとってこの本は、辛い現実を生きていくための精神安定剤のような役割を果たしている。

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    2023年01月20日
  • めだか、太平洋を往け

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    長編小説でもあり、ストーリー自体が重たいものでもあったので読むのに結構な時間が経ってしまいました。が、読んでよかったと心から思っています。
    正しさもとっても大事だけど、幸せかどうかのほうがよっぽど大事、というフレーズが沁みました。
    他人に好かれていないことを自覚しながらもそれを貫こうとしてしまうテンコさんのキャラクターにすごく共感し、ヒデヨシの男らしさにはかっこよさを感じました。
    またいつか読み直したい作品です。

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    2023年01月15日
  • トワイライト

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    安定の重松さん。この方に40前後のおじさん?の郷愁描かせたら、右に出る人いないんじゃ?
    今回は小学生の時に埋めたタイムカプセルに同級生が集う。そこに残されていたものは。当時の担任の先生がいれていた宿題とは。
    一気読み必至です!

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    2022年12月23日
  • ナイフ

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    ヤダこれもうステキ大好き。

    な感じの、大人向けのこども話。まぁ現役のガキやら子どものいない大人やらには伝わるまいよ、この気持ち。要するに酸いも甘いも噛み分ける大人が子どもに対して持つ感傷やら苦痛やらやるせなさやら何やかんやと思う気持ちをすべてぶつけるような、要するにマスターベーションに他ならないのであって、そういうセンチメンタルに夢見がちなオッサンこそが読むべきではないか。オッサンのはそういうのが必要なわけですよ。分かってチョンマゲ。

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    2022年12月13日
  • 小学五年生

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    ネタバレ

    様々な小学5年生の微妙な心の揺れ動きを描いた17編を集めた短編集である。
    印象に残ったのは、「カンダさん」である。

    「少年」は、隣の家に住む「久美子ねえちゃん」と姉弟のように育った。表題にある「カンダさん」というのは、その「久美子ねえちゃん」と婚約したものの、双方の両親の反対で結婚に至らなかった男の名前である。
    「少年」にとって「カンダさん」は、「歳の離れたお兄さん」のような存在となり、一緒に雪合戦をし、プラモデルを作った。小学5年生だった少年にとって、「カンダさん」が手伝ってくれたプラモデルの出来は、「魔法か手品のようにきれい」であった。しかし、お姉さんとの結婚が破談となり、2年経ったとき

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    2022年12月03日
  • 希望の地図 3.11から始まる物語

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    東日本大震災があってから11年の歳月が過ぎた。ほとんど自分の記憶にはなくなっていた。この本に出会わなければ。
    最初と最後の写真が効果的で、私が知らなかった被災地復興の姿を知ることができた。復興に携わった、今も携わっている人の思いを忘れてはいけない。強く強く心に刻んだ。

    夢と希望の違いが語られる場面、深いなあと思った。

    夢  無意識のうちに持つもの

    希望 厳しい状況の中で、苦しみながらも持つもの

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    2022年11月20日
  • かあちゃん

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    ・色んなかあちゃんがいるなぁ。一人一人、人としてより『かあちゃん』として物語が構成されると、なんかグッとくるのは何なんだろう。『かあちゃん』は偉大って事?

    ・いじめがテーマの話が多いけど、こういうの教科書で取り上げれば良いのにっていつも思う。もう取り上げられているのかな??海外では、“いじめる側”が精神病院で診て貰えるって聞いて、もっともだと思った。この話だって、“いじめる側”に精神が参ってる事描写されてるもんね。しかしながら、いじめがテーマになると、『かあちゃん』がガクンッと弱くなる。気がする。

    ・一番グッときたのは『こたつ』かな。

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    2022年10月29日
  • 季節風 秋

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    やっぱりいいや、重松さん。
    40代だからこそ、響くのかな。どこか寂しさを感じる季節、悲哀を感じる季節。いや、眩い夏を乗り越えた成熟した季節だからこそ、今だからこそ、また原点回帰が求められるのかな?と思わせてくれた作品。でも、抜群の安定感でいつもどおりほっこりさせてもらえました。

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    2022年10月26日