重松清のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
誰しもが、誰かに伝えたいことを抱えている。色々な理由で話せなかったりすることもある。「一人」のときもあるけど「独り」じゃない、「ひとりぼっち」じゃない。誰かがきっと、わかってくれる。そう思えた。
少年が少年であった頃のお話たちは、どれも別れや悲しさを帯びている。しかし、それこそが少年を強くさせているのではないのだろうか。
生きづらさや恥ずかしい思いなんていう簡単な意味付けを、僕はこの小説にはしない。自分の悩みや苦悩は、他の誰でもない自分のものであることを作者は絶対に知っているから。
だから、作者は「そばにいる」ことだけを望む。一人で乗り越えようとする人たちを包み込み、温めるように。 -
Posted by ブクログ
広島という地にも思い入れがあるし、カープファンでもある私。
プロローグで語られる赤ヘル誕生当時のファン、とりわけ子どもたちの心情とはこんな感じだったのかと知る。
広島のつらい歴史も語られ、カープが初優勝した年は、まだそういう空気感だったのか、と知る。
タイトルでもある1975年の広島は、まだこんな雰囲気だったのかと知る。
過日、広島の学校で行われている平和教育のテキストの内容が変わったことが全国ニュースになった。平和公園の資料館はリニューアルし、焼けただれた人を表した人形が展示されなくなったと聞く。
物語の中で、庄三さんがちぎり絵に取り組むシーンに胸が締め付けられる。こういうことを、戦後生まれの私たちはどうやって後世に伝えていけばいいのだろうか。
手に取るのにちょっと勇気が必要な本の厚みと、ただ戦争の辛い歴史を語るものでもなく、ただカープの初優勝の歴史を語るものでもない、ノンフィクションに近いフィクション。
途中、随分長く積んでしまって再びページを開くのに時間がかかったけれど、最後まで読んで良かった。
著者によるあとがきもまた沁みる。今のカープを、今の広島を、今の世界を、きっとどこかで生きているであろうマナブ、ヤス、ユキオたちは、どう思っているのだろう。 -
購入済み
どこにでもいそうな家族の描写が上手すぎると思う。妻の不倫、息子の暴力、リストラ等決して明るい感じでも仲良し家族でもないのに、主人公の死に際になって、不運すぎる事故で亡くなった親子の運転する不思議な車に乗せられ、やり直しはきかないけど自分の人生で分かれ目になったポイントを1つ1つ振り返っていき、最後はまたサイテーな現実に向き変えることができた。生きる希望を与えてくれる。
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Posted by ブクログ
ネタバレ1975年の奇跡の優勝を軸に展開する中学1年生の友情(+かすかな恋?)の物語。
重松さんこの小説を書いてくれてありがとう。
控えめな熱狂的カープファン(広島生まれ)だが知らないことをたくさん知れた。またカープのことを知らない人たちにカープの素晴らしさを教えてくれた。
以下は心に残った場面の箇条書き。
181ページ
七月二十六日という日付を戦争と結びつけたことは、一度もなかった。(福山の空襲を受けた日付)
281ページ
「この帽子、お母さんにあげるから。それで、カープの帽子、かぶって帰る」(マナブ@東京が母との別れ際に)
369ページ
「広島の山本」は、やっぱり「浩二」の前に「一義」なんよ (広島出身の山本一義選手の元祖男気エピソード)
489ページ
この三連戦あたりから、家族の遺影を掲げてスタンドで観戦するひとが、目に見えて増えてきたのだという。(優勝争いの終盤のヤクルト戦)
559ページ
いまのファンではない。もっとこの国が貧しかった頃、広島の街にまだまだ戦争や原爆の傷痕が残っていた頃、なけなしのお金で買った入場券を握りしめて球場に通っていたひとたちだ。(優勝を決める試合中、カープと広島の人々の辛苦を回想)
563ページ
それでええんよ。それはほんまにええことなんよ、と嚙みしめる。「ほいじゃが、忘れたらいけん。忘れてしもうたらいけんのよ」(カントクさんがカープ弱小時代を顧みて。戦争のことでもありそう)
592ページ
「別に好きになってくれんでもええけど……ずうっと忘れんといて」(真理子がマナブとのお別れで。広島のことだけでなく自分のことでもある?)
623ページ
「わしゃあ、待っとる!マナブ!わしゃあ、ずーっと、待っとるけえの!」(ヤス@カープ宮崎キャンプ)
以下その他メモ:
マナブの父 勝征が結構謎な存在だけど、実はこの人も戦争に関する被害者である設定があるような気がするけど、どうだろう。
あとがきを読んで、ベルリン3部作も読んでみたくなった。
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