あらすじ
先生、あのときは、すみませんでした──。授業そっちのけで夢を追いかけた先生。一人の生徒を好きになれなかった先生。厳しくすることでしか教え子に向き合えなかった先生。そして、そんな彼らに反発した生徒たち。けれど、オトナになればきっとわかる、あのとき、先生が教えてくれたこと。ほろ苦さとともに深く胸に染みいる、教師と生徒をめぐる六つの物語。『気をつけ、礼。』改題。
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Posted by ブクログ
私は現在、小学校の先生になるために大学の教育学部で教職課程をとりつつ、ボランティアやアルバイトで小中高校生と関わっている。
その中で感じるのは、
「教師の仕事は勉強を教えることだけでは無い」
ということだ。
子供たちが生きていくために大切なことを悟らせる、子供たちと一緒に人間として成長していく。
これができる教師に私はなりたい。
Posted by ブクログ
物語全編通して、ほんとに個性豊かな「せんせい」たちが出てきて、面白い。学校という場では生徒に焦点が当てられがちだけど、先生もやっぱり1人の人間で、みんな自分を生きてるんだろうなと感じた。
「白髪のニール」
「キープ・オン・ローリングなんよ。」、「止まらん、いうことよ。」、「終わらん、いうことよ。」「要するに、生き抜く、いうことよ。」はやっぱり響く。
「ドロップスは神さまの涙」
最後に笑ったヒデオバの笑顔を想像すると、自然と笑顔が溢れてしまう。保健室の先生って不思議だしすごい。
「マティスのビンタ」
画家であることを諦めなかった先生なりの松崎への指導は、誰も邪魔することのできないものだったんだと思う。その手は画家であり、やはり教師でもあったんだろうな。
「にんじん」
正直この物語がこの本の中で1番リアルで、印象に残った。顔を見るだけでなぜか歯を食いしばってしまうような、なんとなく嫌いな奴って誰しもいるんじゃないかな。でも、それをなんらかの形で表出してしまった瞬間、自分の負けなのかもしれない。先生は必ずしも完璧じゃないといことを体現してしまった工藤に、同情したくてもやはりできないな。
胸くそ悪いけど、逆にそこまでリアルに人物を描ける著者の実力を賞賛せずにはいられない。
「泣くな赤鬼」
厳しく接することしかできなかった教師って、本当にたくさんいるんだろうな。でも、赤鬼のように、「俺の生徒になってくれて、俺と出会ってくれて、ありがとう」と思える教師はなかなかいないんじゃないかな。
「気をつけ、礼」
著者の経験にも基づいているはずなのに、程よくフィクションを感じさせるのは、著者の巧みな筆致あってこそなんだろうなと。先生ってほんとに不思議。
あとがきも、最後に作品を完成させる上で欠かせないものだなって改めて感じた。著者の「教師と生徒」観あっての作品であることを、認識しているかしていないかで、作品との向き合い方が大きく違ってくると思う。
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同業だからこそ共感できることも腹立たしいこともたくさんあった。しっかり向き合えた時も逃げてしまった時もあった教員生活。「こんな先生でありたい」にたくさん気付かせてくれる一冊でした。
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重松清さんの作品は本当に心暖まります。今回も大満足。後味も最高です。
特に「泣くな赤鬼」は涙が止まりませんでした。
通勤電車だったのですが電車で読んではいけませんね。
「白髪のニール」はロールすることの素晴らしさと凄さを感じました。
Posted by ブクログ
先生を目指している人はぜひ読んでください
6つの短編が収録されています。
泣くな赤鬼は号泣でした。
主に先生と生徒の関係が終わったそのあとの話が書かれています。
先生にとって、あのころの生徒とは。生徒にとって、あのころの先生とは。時が経ったいまだからこそ言えるお互いの本音が書かれています。
私も学校の先生を目指しています。私的2023年ベスト本になりました。
Posted by ブクログ
厳しく、優しく、でも弱いところもあって、こんな先生いたよなぁと感じる短編集。
もちろん全ての先生が完璧で良い先生の訳もなく、未熟な面もあるのだけど、卒業後も背中を押してくれたり、言葉をくれている。
「白髪のニール」
キープオンローリング
生き抜くこと
僕の人生はまだ止まっていないか、まだ間に合うか、間に合うと言ってくれ
ステージでの卒業生の粋な計らいが気持ちいい。
「にんじん」
自分もにんじん側の扱いをされていたのを思い出した。人を嫌いになるのに深い理由がないのも、分かる。
子供の頃って感性が強く、気付いてしまう。
同窓会で、にんじんが成長した姿、親としての姿勢、覚悟が格好良かった。単純に和解と言う形にもならなくも、先生も救われた感じで良かった。
「泣くな赤鬼」
先に逝ってしまう教え子の、成長した姿を見届ける赤鬼先生。
悔しい。
死ぬことに迫られ、悔しいという感情が大人に成長したという表現が切なく泣きそうになる。
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特に「ドロップスは神さまの涙」と「泣くな赤鬼」が好きですが、一番印象に残ったのは「にんじん」でした。
教師という子どもを教え導く者でも間違いはあるし、自分と同じ人間なんだということに気付かされました。
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大人になった今この本を読むと、登場する7話すべての先生、そしてかつての自分の先生が愛しく思えてきました。
「マティスのビンタ」のエピソードに、認知症になっても元学校の先生だけは、「先生」と呼ばれると振り向いたり、返事をしたりする、弁護士や医者はそういうことはない、というのがありました。
ヘルパーさん曰く「学校の教師の『先生』って、肩書きや役職じゃなくて、敬称でもなくて…、なんと言うのかな、もう『先生』としか呼びようのない存在っていうか…」
んー、正に言い当てている感じがしました。
あの頃の先生の歳を越えた大人に、読んで欲しい本です!
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「教師だって人間だ。」(にんじん)
そう自分のことも思ってる。
でも、周りの教員のことを受け入れる自分がいるかというとそうでもない気がする。
もっと心の大きな人間になりたい。
もっと些細なことを気にしない人間になりたい。
教師は教師である前に人間。
だから、やっぱり人間として成長しないとな。
本を読んだ感想はそんな感じです。。
Posted by ブクログ
せんせい。生徒がいなけれは決して成立しない仕事。生徒から学び、正しい完璧な教育法なんてないと知りながら謙虚でいるべき仕事。学生のためにと自己犠牲を払い続けることなく、自分の好きな生き方からも教えられることがある仕事。ここに書かれている全てのせんせい。は尊いです。
Posted by ブクログ
文庫本のあとがきに、教師濃度の高い作品集との作者説明あり。2001年に書かれた、気をつけ礼、なにやら自伝的な物語に読めます。2008年 泣くな赤鬼、は、映画もいいけれど(赤鬼演じるは、堤真一)、小説には小説の良さがあるな、と改めて感じさせてくれる作品、作者の紡ぎだす先生と生徒の物語に☆四つです。
Posted by ブクログ
『にんじん』が特に心に残りました。
私にも、1人だけ先生としてではなく、人間として許せなかった先生がいます。だからかもしれません。
『ドロップスは神さまの涙』の保健室の先生が、担任の先生にビシッと言ってくれたところはスカッとしました!
良いも悪いも、やはり先生というものは多少なりとも影響がありますよね。
あの頃の世界は学校が全てですから。学校が全てじゃない、先生が全てじゃない…もっともっと子供たちの世界が広がるといいな。
Posted by ブクログ
先生とて、決して聖人ではなく、人間なのでいいろいろな感情はあるけれど、生徒が好きではないという理由で、無視する先生はいただけない。ほとんどいじめに近い扱いをする先生は、好きになれないなあ、ひどいなあと感じた。どれほど、この少年が傷ついていたのかなと思うけれど、先生よりずっと大人だったような気がする。
保健室の先生が一番素敵だったかな?厳しくて怖いけれど、ちゃんと見たくれているやさしさがあったから。
この、物語の先生は、人間臭くて、たぶん、こういう先生に会っていたら、学校は好きに離れなかったのかもしれないなと思う。あまり、好きになれる先生はいなかった。
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誰もが、一番身近な大人を“せんせい”と呼んだ日々を過ごしてきた。
そのなかには、イヤだなと思ったり、
当時は好きになれなかったりした人もいたけれど
その時代はかけがえのないもので、
楽しかったと思えることもたくさんある。
そして、
何よりしんどかったときも
楽しかったときも、
あの時代を過ごしてきたから
今こうして過ごしているんだなとも思います。
なつかしい気持ちになりました。
Posted by ブクログ
先生と生徒を描く7話の、短編集。白髪のニールはギターを通じてロールし続ける先生の話。これが泣けた。その他も先が気になり読み進めたくなるものばかり。少しイマイチなものもあったが。
Posted by ブクログ
先生と生徒の忘れられない繋がりを興味深く読ませてもらいました。先生からの支援は、生徒の人格形成に深く刻まれ、大切だと言うことを改めて感じました。
現在の先生方は、時間的余裕が無かったり、先生自身がメンタルにかかったりで大変だと聞きます。民間のA I等のデジタル技術を活用し、無駄なことは大胆に切り捨て、真に生徒の成長支援に繋がることに時間を費やせる環境を作って欲しいと思います。
今の教育現場の状況では、先生なりたい人材が集まらないのではないかと大変心配です。先生の働きやすい環境のために、革新的な改善を文部科学省、政府の皆さんには強く望みたいですね。
Posted by ブクログ
学校教師と生徒が出てくる短編6つ
聖人君子の先生ではなく
欠点も嫌なところもある先生たちが描かれている
大人になった今だから広い心で見られるけれど
自分が生徒だったころには
やっぱり先生には理想の先生であって欲しいと思っていたに違いない
現役児童が出てくる唯一の話
『ドロップスは神さまの涙』のヒデおばと子どもに心動かされた
Posted by ブクログ
安定の面白さと切なさ!
何だかんだ最初の話が1番良かったな〜〜
結構キツイ話も多かった。。。
大人になるにつれ、先生も自分たちと同じ一人の人間だったということがわかってくるなぁ〜
Posted by ブクログ
『せんせい。』
家族や小中学生をテーマにした作品が多い重松清さんの、今回は先生にフォーカスした物語
6つの章から構成されており其々にメインとなる先生が登場する。
子どもの頃は先生の言うことは絶対に正しくて、親も先生を敬っていて、だから先生はえらい人なんだって、特に田舎育ちの昭和世代とあってか、そんな風に過ぎた子ども時代を回想しながら読んだ。
聖職ともいわれる先生。
先生だっていつも正しい訳じゃない
先生だって悩んだり落ち込むこともある
先生だって学校以外の生活がある
そんな当たり前のことは、考えればすぐに分かる。
それでも子どもからみた先生は、小さな社会の中でやっぱり特別な存在。それはいつの時代も変わらないと思う。
『ドロップスは神さまの涙』と
『にんじん』『泣くな赤鬼』が
特に印象的だった。
学生時代の担任を思い出しつつ、子どもの目線に戻ってどっぷりはまりたい一方で、大人目線で気付ける気持ちを持て余したくなった。懐かしさや苛立ちや哀しさが込み上げて来て、心があっちこっちと揺さぶられる作品だった。
とりわけ子どもの心理描写の巧さが光っていて、読者の記憶の奥底に共鳴するような感覚は、重松清さんの作品ならではと感じる。
Posted by ブクログ
短編集の為サクッと読める。
にんじんが特に印象的。
先生も人間だもんなあ
小さい頃の先生の事を思い出して、自分はどう映っていたのかなと考えてみた。
嫌な、生意気なこどもだっただろうなー
Posted by ブクログ
先生と生徒の関係はすごく羨ましい。
学生時代に戻りたくなった。
もっと学生時代に本を読んだり、いろんな経験していたらと思うけど、それはそれで良かったと思える。
青春は過去を振り返ることで、味わい感じることができるのかもしれない。
先生は他の大人と違い特別だが、特別な人間ではない。
お互い言葉では表さないことの方が多いけど、
信頼し合える関係性はとても良いなと思えた。
映画の泣くな赤鬼も悪くなかった!
Posted by ブクログ
重松清は先生、生徒、保護者の話が多いね。
この本は、6編の短編集。
中でも、『泣くな赤鬼』 は今月、映画が公開されるらしい。
本を買ったときには知らなかったけど。
高校野球の監督と選手の話。
努力しても報われないので、不良になって学校を辞めてしまった生徒が大人になって病院で再開するという話。
悪くはないけど、私は6編の中だったら 「ドロップスは神さまの涙」 の方が好きだな。
イジメにあって保健室しか行けなくなってしまった少女。
しかし、イジメされていると確信したくないので意地悪されているだけだと思うようにしてる。
先生はイジメに気が付いてクラスメートに反省文を書かせて少女に渡そうとする。
少女はそう思いたくないのに、先生が精神的に追い詰めてしまう。
少女の気持ちがわかってくれるのは怖い保健の先生。
このような先生と児童生徒の短編集。
学校にいい思い出がない人も沢山いると思う。
この本読んでちょっとでも慰めになったらいい。
Posted by ブクログ
いろいろな先生がいる
いわゆるカッコイイ先生でも、熱血先生でもないけれど
人間らしいというか、
ちょっと癖のある先生たちが登場する。
いそうで、あまりいないような先生たち
何だかストレートに良い先生でないだけ、
人間的に魅力的な気がする
とはいえ、本来は、先生にとっては
教える技術が重要だと思うけれど
その点にういては、ほぼ記述なし。
なので、現実は、もっと複雑で難しいだろうね・・・
Posted by ブクログ
短編集。教師として、生徒として。いろんな立場から進む。ハッピーエンドばかりではない。その時々の苦悩や後悔が上手く描写されていると思う。「教師についてたくさん書いた作家だと言われたい」というようなことがあとがきにあった。他の作品も読んでみたい。
Posted by ブクログ
教師と生徒を題材にした短編集。
教師とはいえ人間。完璧ではないし、失敗や後悔もある。
完璧ではなくても生徒の心に寄り添える教師であって欲しかったな、と感じる作品もあった。
一方で、厳しくても生徒にとってはかけがえのない教師の話はじんときた。
Posted by ブクログ
先生と生徒からなる6つの短編集。
昔は色々な個性豊かな先生がいたなぁ。
よくビンタさせられたりもした。今なら体罰で大問題になってしまうだろう。
でも、それが先生からのメッセージであったのだと今考えれば思う。
現代の先生像ってどんなんだろう。
作者からしたら、あのとき先生が教えてくれたことが、大人になって胸に染み入るってことなんだろうな。
Posted by ブクログ
子供の頃って先生が全てだと思ってきたし、基本的に先生が好きだったから先生っていう立場の人を嫌な風に思ったことはないけど、先生も人間だもんなぁって改めて思った。にんじん は結構衝撃的だったな。学校の先生をしてる友達の話を聞いてると、本当に責任感と強さと優しさを兼ね備えてないと、難しいだろうなぁと思うし、心の底から先生を尊敬する。
Posted by ブクログ
泣くとかはなかったけど。
赤鬼、気をつけ、礼 よかったです。
でも1番心に残ったのはにんじん
にんじんの人の素晴らしさと
私が教師だったら絶対こういうこと
してしまうだろうなって思ってしまったり。
教師だって人間。
面接官だって、お医者さんだって。
Posted by ブクログ
先生だって人間だよなぁ、と今になって分かる。
悩みながら先生をやってるんだな。
よかれと思って対応しても、その事が子供たちに伝わってなかったり、かえって悪くなっていたり、先生も大変だ…。まぁ、分かってはいるけど、親の立場からしたらしっかりやってくれよ、と複雑な面もありますが…。
『泣くな赤鬼』
これは柳楽優弥さん、堤真一さんで映画にもなっていて、そちらも拝見しました。生徒と先生、生徒同士の気持ちがすれ違う。あの時、もう少し言葉を尽くしていれば、とか、あの日あんな言い方をしなければ、もしかして違う未来になっていたかもしれない。ゴルゴは、赤鬼先生に素直にほめて欲しかった、よくやったって、言ってほしかったんだなぁ。