【感想・ネタバレ】せんせい。のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

厳しく、優しく、でも弱いところもあって、こんな先生いたよなぁと感じる短編集。
もちろん全ての先生が完璧で良い先生の訳もなく、未熟な面もあるのだけど、卒業後も背中を押してくれたり、言葉をくれている。

「白髪のニール」
キープオンローリング
生き抜くこと
僕の人生はまだ止まっていないか、まだ間に合うか、間に合うと言ってくれ

ステージでの卒業生の粋な計らいが気持ちいい。

「にんじん」
自分もにんじん側の扱いをされていたのを思い出した。人を嫌いになるのに深い理由がないのも、分かる。
子供の頃って感性が強く、気付いてしまう。
同窓会で、にんじんが成長した姿、親としての姿勢、覚悟が格好良かった。単純に和解と言う形にもならなくも、先生も救われた感じで良かった。

「泣くな赤鬼」
先に逝ってしまう教え子の、成長した姿を見届ける赤鬼先生。
悔しい。
死ぬことに迫られ、悔しいという感情が大人に成長したという表現が切なく泣きそうになる。

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2023年05月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「先生と生徒」について書き続けている重松清の、「教師」がテーマの作品を集めた短編集。

あとがきで重松清は、死後に自分がどんな作家として紹介されたいかという考えに対して、こう書いている。
「教師の話をたくさん書いて、親の話をたくさん書いて、子どもの話をたくさん書いた男」

小学校、中学校、高校の様々な先生と子ども、または、子どもから成長した大人を登場人物として書いている。
先生では教師という立場の葛藤を、子どもでは繊細な子どもの気持ちの変化を、それぞれ見事に書いている。
性別に問わず、どんな年齢の登場人物の気持ちを表現できているのは凄い。

自分は未読だが、子どもに焦点を当てた『きみの友だち』も読みたい。


以下、各話の感想。

『白髪のニール』
高校を舞台に、生徒からギターを教わる理科の先生と少し不良な生徒たちとの話。
大人になってから、その時の先生の年齢をゆうに超えた中年のおじさんになった主人公。
「ロックは文句を言うこと、ロールは自分の言った文句に責任をもつこと。ロールについて分かるのは大人になってからだ」という先生の言葉が印象に残った。

『ドロップスは神さまの涙』
小学校を舞台に、クラスでいじめられている女の子と保健室の先生、保健室に通っている病弱な少年の交流の話。
ぶっきらぼうで生徒への言葉はきついけれど生徒思いな先生はいる。

『マティスのビンタ』
高校のとき、美術の先生だった「マティス」と彼からビンタをされた主人公。数十年後、認知症を患い老人ホームで生活を送っているところに訪れる主人公。
マティスはビンタをしたときに何を思ったのだろうか。
(その時点では)才能あふれる子の絵に何度もやり直しをさせていたときのマティスの思いはどのようなものだったのだろうか。

『にんじん』
小学校を舞台に、やる気に溢れつつもある特定の生徒を嫌ってしまう先生と嫌われている「にんじん」

『泣くな赤鬼』
高校で野球部顧問をしている男性教師とその野球部を退部し、学校も退学した(元)生徒。数年後に男性教師がその元生徒と妻に病院の待合室で再会するところから物語が始まる。
過去に「赤鬼」と呼ばれながら今は落ち着いてしまっている先生。自分の教員人生はどうだったのかと振り返るところに悲しみを感じた。映画化もされたらしい。

『気をつけ、礼。』
吃りを患っている中学生の主人公とその吃りを流さずに指導を続けた男性教師。卒業後、男性教師が主人公の家に訪れ……という話。
立派な人間は全てにおいて立派であるとは限らないという人間の多面性について考えさせられる。

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2021年12月21日

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