重松清のレビュー一覧
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年々深刻化している「空き家問題」
新しい造成地に、どんどん新築物件が増えるにつれ、
かつての団地や住宅地では高齢化と共に、空き家が増えている。
賃貸アパートにしても、Wi-Fiなど、新しいプラスαがなければ、老朽化と共に空き室になってしまう。
人が生活をするには、まずは住む場所が必須。
それが、マイホームであろうと賃貸であろうと。
そして、マイホームでの、生活が長ければ長いほど思い入れは強い。
両親が建てたマイホームをどう処分するか、
売却か、リノベをして利用するのか、
健太郎と美沙とのやりとりは、リアルだった。
実家ときちんとお別れができて、ホントに理想的だ。
「勝ち組」としての健太郎、 -
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いじめで自殺した子の遺書に親友として名前が書かれていた少年のお話
以下、公式のあらすじ
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いじめを苦に自殺したあいつの遺書には、僕の名前が書かれていた。あいつは僕のことを「親友」と呼んでくれた。でも僕は、クラスのいじめをただ黙って見ていただけだったのだ。あいつはどんな思いで命を絶ったのだろう。そして、のこされた家族は、僕のことをゆるしてくれるだろうか。のこされた人々の魂の彷徨を描く長編小説。吉川英治文学賞受賞作。
いじめを止めなかった。ただ見ているだけだった。それは、「罪」なのですか――?
自ら命を絶った少年。のこされた人々の魂の彷徨を描く長編小 -
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物語全編通して、ほんとに個性豊かな「せんせい」たちが出てきて、面白い。学校という場では生徒に焦点が当てられがちだけど、先生もやっぱり1人の人間で、みんな自分を生きてるんだろうなと感じた。
「白髪のニール」
「キープ・オン・ローリングなんよ。」、「止まらん、いうことよ。」、「終わらん、いうことよ。」「要するに、生き抜く、いうことよ。」はやっぱり響く。
「ドロップスは神さまの涙」
最後に笑ったヒデオバの笑顔を想像すると、自然と笑顔が溢れてしまう。保健室の先生って不思議だしすごい。
「マティスのビンタ」
画家であることを諦めなかった先生なりの松崎への指導は、誰も邪魔することのできないものだった -
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シングルファーザーの子育て奮戦記と書くと安っぽくなっちゃうけど、読み応えバッチリ。
一人で育てる訳でなく、周りの人を一緒に巻き込みながら親も成長していく。
幼児から小学卒業まで1年1年丁寧に描かれる。よくあるあれから五年後、十年後と雑に成長が飛躍せずに少女の思いと共に、義理の家族の気持ちの変化も緻密に表現されるのが秀逸。ホントにリアル。
この二人だけの物語だけでなく、残された人皆の物語として前向きな気持ちにされる。
これからも前途多難なんだろうけど、不安無く希望が持てた。
こういった作品に出会えるから、読書はやめられない、と久々に実感した。
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初の重松さんの作品。
吃音の『少年』が辿ってきた7つの物語+最後の手紙の構成
特にゲルマ・交差点は人の優しさとある意味思いやりがたくさん感じられて特に好きだった。
今回は吃音が1つの題になっていたが、人それぞれいろんなコンプレックスがある。
本人じゃないと本当の意味での苦悩はわからない。
少年は言いたいことはたくさんあるけど、30%しか相手に伝えることができない。
でも、伝える手段はいくらでもあるし成長とともに相手の苦悩も自分なりに解釈できる。
重松さんの描写は難しくないが非常に奥ゆかしく、一気に読めてしまうから驚き。
苦しい時に寄り添ってくれる本だと強く思いました。 -
Posted by ブクログ
都内から2時間のニュータウンにマイホームを持つ主人公が、定年退職後の生き方に悩み、葛藤と試行錯誤を繰り返しながら、自身の生きがいを探す物語。
本書は小説でありながら、主人公目線の記述になっていないところがユニークでした。
会話以外の記述においても主人公のことを「山﨑さん」と終始「さん」付けで書かれている等、ストーリーを少し俯瞰した立場から眺めているような、不思議な錯覚を覚えます。
無事に定年まで勤め上げ、自宅のローンも完済。娘2人は元気に巣立ち孫にも恵まれている。
一見すると幸せな60歳、悠々自適な第二の人生の始まりだが、作中では『平凡なサラリーマン生活を終え、残ったのモノは都心から2時 -
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この本は、ある人から薦めてもらった。その人は言っていた。
「きよしこの夜を『きよしこ』『の夜』と勘違いした少年の話だ」と。てっきり明るい話しだと思っていたが、内容はとてもセンシティブだった。
吃音(きつおん)の少年が、少年から大人になるまでの物語。出会いと別れを繰り返し、野暮ったい気持ちと真剣に向き合った、ちょっと孤独で、とても優しい少年の物語。
私も吃音を抱えている。主人公の少年ほどではないが、予め口腔内で音を作っておかないと、言葉がスムーズに出てこない。そのため、言い換えたり、余計なことは言わなかったりして過ごしている。日頃の会話では言いたいことの半分も言えていない。そこは少年と同じだ
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