重松清のレビュー一覧
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小学生向け「働く」本を探して。これは良書!
絵本サイズですが、内容は普通の小説短編くらいの字のサイズと分量です。小学校の中・高学年から読めるかな。
挿絵も大きくて工場の機械類に温かみを感じる優しさがあります。
新しいゲーム機を買ってもらうために「ゲーム機が壊れた」と嘘をついたエリカは、両親に言われておじいちゃんが働く工場に行くことになった。
おじいちゃんの働いている工場では機械を作るための機械の「工作機械」を作っているんだって。
エリカは「工場」といったら煙がもくもく…のようなものだと思っていた。でも工場長さんに案内された工場は思っていたものとは違っていた。周囲の環境や、働く人たちの快適を考 -
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好きな作家は?と聞かれて、必ず答えていたのが重松清。ビタミンFに収録されている短編は、すべて”ある家庭の30代後半から40代のお父さん”の視点の物語である。中学生の頃は、お父さんの生態を解き明かす解剖書のように読んでいただろうか。31歳、妻歴4年目、社会人歴11年目の今、再読すると、30代になった変化、夫婦としての日常、会社の先輩後輩とのやり取りが、あと何年後かの自分の予言書のように思えた。
こんな大人になりたくないになってしまった私達に、そんなもんだよ、だけどちょっぴりでも変えることはできると希望感を残してくれる。人生に希望はあるなんて大仰に説得してこようとする話なんてない。一つ一つのお話が -
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ネタバレ自分に関わりのある人のその日(人の死)を前に人々が何を思い、成していったかを綴った短編集。最後の物語は、それに加えて「その日」と「その日の後」も綴られている。
涙、涙で読み進んだ小説だった。
特に、二人の息子のいる妻のその日の物語は、「その日のまえに」「その日」「その日のあとで」で描かれていて、特に印象深かった。前編に出てきた登場人物が出てくるのもよかったし。
「その日のあとで」、亡くなった妻が何度も何度も書き直した夫への手紙が、息子達の未来を託すとかの内容でなく、
「忘れてもいいよ」
のただの一言だったのが印象的だった。
死期を悟った時、私自身、または親族がその日を迎える前にどう思い -
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苦しくなって、嬉しくなって、何度も泣いた。
吃音でうまく話せない村内先生は、たいせつなことしか言わない。
生きづらさを抱える中学生たちの心の奥に寄り添っていくお話。
理性が出来上がっていく途中である中学生という中途半端な年頃、学校という狭いコミュニティの中では大人の世界よりも過酷な子供の残酷さがあり、例えば無意識に自分より下の存在を作っていくカースト上位群、相手の状況や気持ちに考えが及ばないことからの未熟な発言、簡単に受け流せない側の未熟さ、、
そういった全てのものから関わりを断とうにもにも断てない’狭さ’が、さらに強い苦しみの原因となる。
まさに本にあったとある女子の周りに全員が集まるよ -
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子どもがいない頃に読んで気がつかない、感じられないことが沢山あった。
子供の頃、親は何でも知っていて、失敗や間違いなんてなくて、何でもできると思っていた。
でも親だって悩み、失敗して、失敗を重ねて後悔して、それでも子供に立派な背中を見せてやりたくて本当に毎日必死。
きっといつか、大したことない人だったんだなって、子供にバレるんだろうな。
チュウさんの生き方、私は好きだな。
確かに不器用で、子供に嫌われるのようなことばかりで結果心が離れてしまっていたけれど、親になった今、読んでいて分かる。
行動の何もかもが、子供を大事に立派に育てようと必死なんだと。
家族に良い生活をさせたくて、そして自分 -
Posted by ブクログ
上巻では謎に包まれていた様々な事情が、下巻で明らかになっていきました。
小学5年生のトシが大怪我をした日のこと、大学時代のシュンとミッチョの過ごした日々、ユウちゃんの秘めていた思い、シュンが故郷に背を向けていた訳、、、色々なことが、繋がっていく感覚で、時には涙しながら読みました。
幼なじみ四人に加えて、ミウさん、川原さん、シュンの妻子・恵美さんと哲夫くん、シュンの兄・ケンさん、そしてシュンの祖父・倉田千太郎さん、、、みんな心に重いものを抱えながらも、相手を思いやり、時には許し許され人生を生きていく、この小説の中に流れていく情景や交わされる言葉が心に沁みて、重松さんの優しさを改めて深く感じ
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