重松清のレビュー一覧
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生きるって、なんか、すごい
この一言が今の自分と重なって心に残っている。
大学生活を送り、就職活動をする中で、私は「やりたいこと」や「自分の未来」「生きること」について考えるよう求められてきた。大学生活では、高校生の頃に比べて「これをやりなさい」と指示されることが少なくなり、その分、自由な時間が増えた。その時間を友達と遊んだり、スマホをいじったりして過ごしていても、どこか満たされないし、暇を感じることがあった。そんなとき、「自分は何をやりたいのだろう」と考えるようになった。
就職活動では、さらにわかりやすく「やりたいことは何か」を問われる。これまで生きてきて、私は少しでも興味を持てないことは続けられないタイプだということに気づいた。お金のためだけに働くことはできない、ということも、うすうす感じている。しかし、それが具体的にどんな仕事なのかまでは、まだ考えられない。
そんな生活を送る中で、私は「何のために生きるのか」「生きるとは何なのか」という問いを持つようになった。誰かから与えられた課題をこなす生活が終わり、自分で考えて動かなければならない段階に、いつの間にか立たされているのだと思う。
友達や家族、親戚と遊ぶこと、その人たちが幸せに生きているかを知ること、自分の体形や健康を管理すること、動画で遊んだ記録を残すことなど、私が生きる中でしていることはさまざまある。しかし、それらのために生きているのかと問われると、正直よくわからない。
自然を見てきれいだと感じたときや、面白いことに笑ったとき、また、別れなどのとても悲しい出来事があったときに、私は「生きている」と強く感じる。でも、それだけが生きるということなのかは、やはりわからない。
それでも、生きるということは、わからないなりに素敵で、少しワクワクするものだとも感じている。 生きる ということをはっきり定義せず、「なんだかわからないけれど、すごいことだ」と伝えてくれたこの本は、答えを出せずにいる今の私に、そっと寄り添ってくれたように思えた。「このまま考え続けながら生きていてもいいのかもしれない」と思った。 -
Posted by ブクログ
ガチの名作!堂々の星5
葛藤であったり、気持ちが揺れ動く描写が妙にリアルで、読み進めるたびに泣けてくる。
不器用で熱意があって粗暴なんだけど、涙脆いヤスさん。昭和という時代のど真ん中にして、男手一つで周囲の支えもありながら、息子のアキラを育て上げていく大作。
男手一つの大変さ。たくさんの葛藤と悩みを抱えて、先行する気持ちが昂る。その度に息子との間に壁が立ちはだかる。
不器用すぎるヤスさん。心ではわかっているのに、素直になれず逆のことをつい口走ってしまう。そんなヤスさんの気持ちが痛いほど伝わってくる。だからこそ、どうしようもなく辛い…。
親一人子一人、親の温もりを知らないヤスさんはどう息子と接していくべきなのか。悩みながらも、周りの人たちの温かさに支えられるヤスさん。
悲しくて切ないんだけど、とても温かい。そんな場面が多くて、その度に目頭が熱くなってくる。。。
家族の在り方、親としての姿。
いろんな学びになる一冊だった。 -
Posted by ブクログ
重松さんの作品を初めて読んだ。
ドラマで観た『とんび』のイメージが強かったけど、とっても読みやすくてびっくりした。もっと早く手に取ればよかった。
使われている言葉も、話の内容も、かなり万人受けするものだと思う。読む人によって思いを寄せる人物が異なってくるはず。
根っからの悪者は出てこないけど、言葉って人によって受け取り方が違う。相手の境遇次第では無意識に相手を傷つけてしまう。自分も気をつけなければいけないな。
美紀の成長を節々に感じることができて、心に刺さる言葉も沢山あって、最後は泣きそうになった。
誰にでもおすすめできるとても素敵な作品だった。
健一を山田孝之が演じたと知ってしっくり来なかったけど、映画も見てみようかな。 -
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タイトルのインパクトとジャケットの綺麗さに惹かれて購入しました!
ブレーメンツアーズという旅行会社の走馬灯の絵師という奇想天外な職業について読み進めていく内に奥が深いなと感じて徐々に興味をそそられました。
走馬灯について色々と考えさせられる内容で自分が生まれた時から今までの人生で起きた出来事を走馬灯の絵師に覗いて貰ったら色が付いているのはどんな思い出なのかなぁと想像しました。
誰でも後悔している事はいくつかあると思いますがそれが人間らしさであり大切な事だなと思い、後悔すらしなかったら自分が間違った事をしてしまったという認識すらないというのは恐ろしい事だなと…
主人公の遥香は幼い頃に母親に捨てられてしまい祖母も亡くなってしまいましたが母親が亡くなる前に再び会って思い残す事なく色々な話をした事で悔いが無くなったのは本当に良かったと思います。
自分が遥香の立場だったとしても10年以上会っていない母親に会うのは相当な決意と緊張の場面になるなと想像しました。
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Posted by ブクログ
子に読ませたい一冊です。
吃音のある「少年」が、さまざまな出会いや経験を重ねながら成長していく姿を、7つの物語で描いた作品。
「きよしこ」って何だろう?
そんな小さな疑問から始まり、気づけば物語の世界にぐっと引き込まれていました。
特に「乗り換え案内」と「北風ぴゅう太」は胸が熱くなり、「ゲルマ」と「交差点」は、いろんなことを考えさせてくれる物語でした。
そして、この作品は始まり方も終わり方も本当に素敵です。
読み終えたあと、静かな余韻が長く心に残りました。
最初から最後まで大好きだと思える作品。
また、読み返したい一冊です。
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重松清作品の中で特におすすめ度
⭐⭐⭐⭐⭐
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Posted by ブクログ
ネタバレ始めの方で主人公である「健一」が亡き妻、朋子以外が娘の母になることなどあり得ないくらいのことを思っていたわりに、わりとあっさり何人かの女性に気を持ちかけていて、しかも健一の脳内朋子が「いいんじゃない?」と肯定してる描写で健一に対してなんだかなぁ…と白けてしまった。
しかし、「我が家とは笑顔をつくるだけの場所ではない。(略)その涙を、ただ見つめてもらうだけでなく、そっとすくい取ってほしいと思うのは____それも生きている者の身勝手さにすぎないのだろうか」
という文で健一への見方が変わった。
そりゃあ死別してすぐは自分1人で…!と決意するだろう
1人で育てる中でたくさんの苦労もあっただろう。
その苦労や痛みを気兼ねなく分かち合える人がいてほしい。
誰かと寄り添って支え合って生きていたいと思うこと。それは別に薄情なわけではないなと。
「永遠の不在」にいつまでも囚われる必要はないのだと気付かされた。
後半には心に留めておきたいと思う言葉も多く、自然と涙が溢れた。
出会えてよかった作品だし、人におすすめもすると思う。 -
Posted by ブクログ
昔ブレーメンに住んでいたためか、本屋でふと目にした重松清x本書タイトルで、思わず手に取ってしまった一冊。
人に触れることで、その人の過去を見ることができるという特殊能力により、人間の内面、それを通じた家族愛、葛藤を丁寧に描写している。
ストーリー全体として急転直下な動きは無いものの、この後どうなってしまうんだろうか、とページを捲る手が止まらなくなるほど入り込める作品。
電車内などの公共の場で本書を読むことは推奨しない。涙が溢れるのを堪える必要がある。
最近の動画ストリーミングサービスは、地上波でないことを良いことに、過激な表現、ともするとどれもが同じように見える作品が多い印象。そんな現状に辟易としているなか出会った本作は、久々に心を潤してくれた良作だった。 -
Posted by ブクログ
重松清さん著「とんび」
おそらく著者の作品の中で一番有名な作品だと思う。NHK、TBSでもドラマ化、映画化もされており国民的人気小説の一つなのだろう。
今回初めて触れたこの「とんび」。
一人息子アキラの出生からの成長を軸に描かれていく人情物語。本当に良い作品だった。
父親ヤスの不器用で照れ屋で繊細での感じがとても人間っぽくっていろんなエピソードが凄く胸に響く。
ヤス… 父親として男としてとても格好よかった。
不器用さが格好よい
照れ具合が格好よい
繊細さが格好よい
中盤、アキラの就職先でヤスが内緒で読ませてもらったアキラの就活中に会社に提出した作文。「嘘と真実」
この件は作中で想像できる伏線であり、いつかアキラはこの嘘の真実を知るだろうとは思っていた。
しかしまさかアキラが真実を知った上でこんな作文をヤスが絶対に知り得ないところで書いていたとは…
「嘘と真実」
その優しさからの嘘があったからその真実の重みは次第に凄く重たくなってしまったが、その嘘の背景にある「愛」がより浮き彫りになってそれらの嘘や真実さえ越えていってしまった。素晴らしかった。
そして終盤。アキラの少年時代の面影が伏線となっているかのように孫の大輔に重なっていくところなんか著者の力量の凄さを見せつけられた。
ここで「やっしゃん」絡めてくるか…
胸が苦しくなる。
ヤス…昔の思い出が巡れば巡るほどそれは自分が年老いたことであるという実感込みなのだろう。そしてそれらは満足も後悔も織り重なっている思い出だろう。
アキラの父親としての今が見えれば見えるほど、ヤスはその思いを募らすだろう。
そしてその思いは今と過去とが重なるのだろう。
親子だから…
二人きりの家族だから…
なによりも本気で息子を愛したから…
ヤスとアキラの親子鷹。特に周りの皆がヤスの兄弟のように、アキラの母親の様に接していたのもとてもよかった。ヤスとアキラの人徳であろう。
美佐子さんも天国で絶対に喜んでいるだろう。
これだけの人がこれだけの想いをこの家族に。
本当に素晴らしかった。
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Posted by ブクログ
命を区切られた人とその周りの人たちの日々を描いた七編からなる連作短編集。
泣き疲れてしまった…。
“あとがき”を読んで、もともとは独立したお話を集めた短編集になるはずだったものを 重松さんが恩師の急逝をうけて全面的につくり直したことを知った。
どうしても、そうしたかった。と…
「生きること」と「死ぬこと」、「のこされること」と「歩きだすこと」をまっすぐに描いてみたかった。
そう書かれていた。
「生きること」「死ぬこと」「のこされること」「歩きだすこと」……
私はいい歳をしてすぐに泣くけれど、まだ何もわかってないのかもしれない。
いつか わかる時がくるんだろうか…。
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