あらすじ
死んじゃってもいいかなあ、もう……。38歳・秋。その夜、僕は、5年前に交通事故死した父子の乗る不思議なワゴンに拾われた。そして――自分と同い歳の父親に出逢った。時空を超えてワゴンがめぐる、人生の岐路になった場所への旅。やり直しは、叶えられるのか――? 「本の雑誌」年間ベスト1に輝いた傑作。
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「最近、いつ泣きましたか?」――ジメジメした梅雨も終わり、そろそろ疲れも溜まってきたのでは?そんな時は本を読んで泣いて、心をすっきりリフレッシュするのはいかがでしょうか?そこで、悲しいけれど心が暖まるストーリー、重松清の『流星ワゴン』をご紹介します。
リストラ、妻の浮気、息子の家庭内暴力など、度重なる不幸と家庭崩壊によって、死を考えていた主人公の永田一雄。そんな時、1台のワゴン車(流星ワゴン)に乗って、人生の岐路となる場面を旅するという物語。
タイムマシンで時空を巡るといった、非現実的な物語を想像するかもしれませんが、書かれている内容は実にシビアで現実的。流星ワゴンは決して希望に満ち溢れているわけではなく、非情なくらい現実を突きつけてきます。しかし、それでも主人公は問題解決のために必死に体当たりしていく…。そんな姿に「過去は振り返るためにあるのでは無く、前を向くためにあるのだ」と強く教えられたような気がして、何度も涙を流しました。人間とは何か、過去とは何か。心に残る名作です。
感情タグBEST3
流星ワゴン
一気に読んでしまいました。
ウチもオデッセイ乗ってたのよね。そこは、ちょっと複雑。
頭の中で、映像がしっかりと浮かんでくるあたりは、さすが重松さんです。
間もなくドラマ化、私のイメージどおりか、裏切られるのかが、とても楽しみです。
家族はやりなおせるのか?
いつ自分は間違いを犯したんだろう?あの時こうしていれば、という後悔は誰にでもある。人生の大切な時間に戻ってやり直せたら、本当にすべて上手くいくのだろうか?
ちょっとファンタジーな舞台設定の上に重層的な家族の物語が紡がれる。生と死、父と子、過去と現在をテーマに、壊れかけた3つの家族が再生の希望を取り戻すストーリーだ。
主人公の妻がちょっと共感しづらいのだが(笑)、それ以外の登場人物がとっても良くて、ほっこり気分。
Posted by ブクログ
長編小説の素晴らしさはこの本で知った。満足感すごい。あのときこうしてればよかったとか、後悔の感情が強い人に読んで欲しい。人間は完璧じゃないけど、そんな人間の良さがこの本に全て詰まってる。
Posted by ブクログ
子どもがいない頃に読んで気がつかない、感じられないことが沢山あった。
子供の頃、親は何でも知っていて、失敗や間違いなんてなくて、何でもできると思っていた。
でも親だって悩み、失敗して、失敗を重ねて後悔して、それでも子供に立派な背中を見せてやりたくて本当に毎日必死。
きっといつか、大したことない人だったんだなって、子供にバレるんだろうな。
チュウさんの生き方、私は好きだな。
確かに不器用で、子供に嫌われるのようなことばかりで結果心が離れてしまっていたけれど、親になった今、読んでいて分かる。
行動の何もかもが、子供を大事に立派に育てようと必死なんだと。
家族に良い生活をさせたくて、そして自分の人生も切り拓いて行きたくて、強くあろうと必死なんだと。
一人の人間として必死に生き抜いてきたのだと。
親の苦労子知らず、で良い。
知らなくていいんだ、それは親の人生なんだから。
Posted by ブクログ
うまくいかない人生に、もう死んでもいいと思っていたカズは、赤ワイン色のオデッセイで橋本親子に迎え入れられ、人生の岐路となった場所をやり直すドライブを始める。
親子愛にグッとくる作品。親の立場として、こどもの考えや感情を勝手に理解・解釈して決めつけてしまうことのないよう気を付けようと思った。あと運転も気を付けよう。
Posted by ブクログ
子どもだった頃、大人は何でも出来て、何でも知っていてすごい人達なんだと思って疑わなかった。
でも、自分が大人になるにつれて、決してそうではない事を知った。
子どもだったから見えたものは、大人になったら忘れてしまって、大人になって見えるものは、子どもの頃に想像していたものよりもちっぽけで…弱い自分が残された時間をどう生きるのか、とても考えさせられる作品だった。
Posted by ブクログ
父と子、そして家族のお話。親の気持ちなんて、自分がその立場にならないと分からないし、親になった頃には子どもの気持ちなんて忘れてる。でもお互いに生きる世界と大切なものがあって、愛していて、自分にちょっとだけ甘いんだろうな。希望とは、未来を知らないから持てるもの。
めちゃくちゃ泣けたので泣きたい時に読む。
Posted by ブクログ
凄くファンタジーなお話なのに、その中で向かい合っていく現実は実にリアルで「サイテー」な惨状。
そのドロドロ感とSF感の混ざり合いが実に面白かった。主人公にとってこの旅は、サイテーな現実でも目を背けず、幸せのために戦い続けるために必要な勇気を授けてくれる旅だったのだ。
関係が修復できずに終わってしまった生(橋本さん親子、主人公と父)もあり、主人公もこれから家族を幸せに導けるかは分からない、それが現実的なのだが、その中にも小さな救い、それも現実を生きる私達からしても「ギリギリありそうな」救いを見い出せる点が、ファンタジーなのにリアルなこの物語の魅力に思えた。
橋本さん親子は走り続けているのかな、でも2人で成仏できていたらそれも良いなと思う。
Posted by ブクログ
一家離散とリストラに遭った永田一雄はもう死んでもいいかな、と思っていた。
終電の終わった最寄駅のバス停のベンチで、不思議なワインレッドのオデッセイに乗ることになる。
広島の故郷では折り合いの悪かった父親が63歳でガンを患い亡くなろうとしている。
一雄は大会社の社長である父親がくれるお車代目当てに月2~3回の帰郷を繰り返していた。
オデッセイの運転手は5年前に交通事故で亡くなった父子。
一雄を人生のターニングポイント「たいせつな場所」へ導いていく。
一回目のダイブは妻がテレクラにハマり出し、息子が受験のストレスを抱え出した1年前。一家離散の未来を知っている一雄だが、過去を変えることはできない。
家族に不正解の行動をとり、過去をなぞるだけのダイブに一雄はストレスを隠せない。
唯一過去と違うのは、自分の今の年齢と同じ父親と出会い、一緒に過去を見たこと。
日中は過去世界に、夜はオデッセイの父子と過ごすことになる。
一雄は過去をダイブすることに疲れ、オデッセイの父親橋本義明に恨み言を話すが、義明は「過去を何も知れない方が悔しい」と言う。
それには賛同しきれない一雄だったが、父親とまた会えることを一縷の望みに過去世界にまた戻っていく。
今度は近くの町の、観覧車がランドマークのショッピングモールだった。
クリスマス前の、息子の広樹の模試の後。
また過去を繰り返しそうになる一雄の前にチュウさんが現れる。
チュウさんがいる間は過去に縛られず動ける仕様のようだ。
チュウさんと、嫌いなはずの記念写真を撮ってから観覧車に乗ることに。
観覧車から見下ろすと頭を抱える健太が見える。
ストレスは相当量に達しているようだ。
受験に疲れた広樹に、受験を諦めさせ未来を変えようとするが失敗する。
反面チュウさんと広樹の出会いがあり、祖父と孫としては折り合いが悪かった二人も「黒ひげ危機一髪」をやったりして仲良くなっていく。
その後、恩師の葬式に出ると言った美代子を駅に迎えに行き、不器用ながらもカマをかけるが躱され未来は変わらず。
一雄はまた疲れて夜にオデッセイに戻るのだった。
義明は健太を母校に連れていく。
他に遊んでいた場所を知らないので、遊ばせる時はいつも学校だった。
そこで一雄は健太に成仏するために事故現場に行こうと説得を試みる。
健太と義明は義理の父子関係だった。健太は自分が心を開けなかったから義明は何とか仲良くなろうと、ドライブに行くため頑張ったのだと。
それが事故に繋がってしまったことに罪悪感を感じていた。
父子はお互いの成仏を祈っており、自分の幸せよりもそれを優先している状態だった。
オデッセイに戻るとそこにはチュウさんの姿が。
余命いくばくもないチュウさんを一雄の冒険に付いてこさせるため、義明が無理にオデッセイに乗せたのだった。
自分の死を受け入れられないチュウさんと一雄は、また過去世界にダイブしていく。
今度は地下鉄乃木坂のホームだった。
チュウさんと揉み合いになった健太も一緒に来てしまった。
一雄はリストラに合わないように立ち回るためにここに来たのではないか?と考えるが、健太に「それだともっと後の時間軸に来てるんじゃない?」との指摘に我に返り、地元へ向かう。
最寄駅に着いた時、チュウさんの不思議な能力で近くの公園でペットボトルを改造パチンコで撃ち抜いている広樹と出会う。
現実世界では広樹が中学受験に失敗していじめられたと思っていたが、実際いじめは始まっており、広樹は誰にもそれを言えず既に孤独を抱えていた。
一雄は受験しなくても良い、と伝えるが広樹の受験したい意志は固く、未来は変わらない。
その夜一雄は美代子に自分が全てを知っていることを打ち明ける。
美代子は狼狽しながらも夫の言葉を半ば受け入れ、自分の夫以外を求めてしまう性癖を告白する。
健太は偶然オデッセイの外に出られたことに喜び、母親に会いに行くが、母親は再婚し新しい子供を授かっていた。
オデッセイに戻った橋本父子は事故現場に行き、健太を成仏させることを決意する。
が、健太は血の繋がっていない父親と離れがたく、それは実現しなかった。
一雄はチュウさんと最後に散歩しながら話す。
お互いの気持ちが知れた二人に後悔はない。
連れションしたのを最後に、一雄は途中下車する。
一雄は「サイテーな現実」に戻った。
依然現実は「黒ひげ危機一髪」と「観覧車でのツーショット写真」以外変わらなかったが、全てを受け入れた一雄は壊れた家族と共に再び人生を歩きだしたのだった。
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同い年の父親に出会うという設定は最高。
これは自分の身にも起きてほしい奇跡だ!
チュウさんが広島方言なのが更に泣ける設定だった。
過去世界を旅して「未来を変えよう」という話ではなく「未来を受け容れよう」という物語なのが深い。
流星ワゴンが「流れ星のように願い事を叶えてくれそうなファミリーカー」というのがオシャレ。オデッセイ=冒険っていうのもオシャレ。
これは偶然だったが、作品が2000年代初期で、携帯電話やゲームの描写が懐かしいのもノスタルジーを掻き立てた。
親子の関わり方って難しいよな!って子供いないのに思えるほど息子に対する親としての接し方が正しい。それに対して反発する子供の心理も正しい。どちらかに偏って描いてしまうと簡単な問題になってしまうところを、絶妙なバランスが表現されていた。
奥さんの性癖は異常ではあったが、愛情がなくなったわけではなかったのでギリギリ受け容れられなくもない、これまた絶妙なラインだったと思う。
橋本父子もストーリーテラーとして優秀。
本人達にもドラマがあって、成仏するかしないかのところは感動してしまった。
チュウさんも良い昭和の親父。平成も令和も関係ない。良いお父さんなんだと思った。自分の父親とも重なる部分があり、感情移入できた。
一雄が嫌いになるのもわかるし、橋本さんが認めるのも理解できる。派手に人間関係を広げて財を成すのに、死に直面するとみっともなく取り乱す、こういう大人になりたい。
でも一雄や義明みたいに、そこまでガッツリいけず小さくまとまって最低な結末を迎えるみっともなさにも共感した。
一雄と美代子の官能小説みたいなシーンが度々出てきて女性には勧めづらいところが少し残念。「このエロゲー、エロシーン必要?」っていう感覚に似ている。
Posted by ブクログ
過去に行っても行動を変えられず過去をなぞることしか出来ない前半。少しずつ行動を変えられたのに未来に影響することはない後半。
「あのときこうしていれば」「こんな言葉をかけておけば」そう思えるのは全て今になってから。
融通のきかないやり直しに主人公がもどかしくなって嫌気をさす。そんな融通のきかなさが「そりゃそうだよな」と思えて、たまらなく好きだった。過去をやりなおしたから未来がハッピーエンドに変わるわけじゃなくて、今を生きなおしてこの先を変えていこうとする終わり方が凄くよかったと思う。
健太くんがお母さんに会いに行って、自分が亡くなった後再婚して子どもがいると知って、砂場で泣く姿にもらい泣きした。中学生の時に読んだときは「そういうこともあるよな」とあまり印象に残っていない部分だったけれど、親になった今まだ幼い子どもの健太くんを思って泣けた。
Posted by ブクログ
人生に絶望する時、死にたいと言う気持ちと共に後悔も生まれるだろう。この世に希望を失った主人公の、人生の分岐点を巡る旅は自分も同情してしまう部分もあった。でもその長旅を終えて再び生きることを決意した彼の姿に、自分はとても心を揺さぶられ、この本を通じて生きる希望というものを得た。
この本は少し疲れている人におすすめしたい。
Posted by ブクログ
オデッセイの、ロングドライブ。
ーなにも知らない僕は、すべてを知ってしまった
僕よりも、ずっと幸せだった。
抗えない現実と、未来を知ってしまった過去に、
『何もできない』のに向き合わなきゃならない。
幸/不幸は、物事の定義じゃなくって、
その人がどう受け止めるか。
そんなこと、わかってるつもりではいたけど。
読み終わった後には、ちょっとしゃんとして、
現実と向かい合おう、って前向きになれる、
寂しくて泣けるのに、ポジティブなお話。
どこにでもいそうな家族の描写が上手すぎると思う。妻の不倫、息子の暴力、リストラ等決して明るい感じでも仲良し家族でもないのに、主人公の死に際になって、不運すぎる事故で亡くなった親子の運転する不思議な車に乗せられ、やり直しはきかないけど自分の人生で分かれ目になったポイントを1つ1つ振り返っていき、最後はまたサイテーな現実に向き変えることができた。生きる希望を与えてくれる。
息子を父親のみなさんにおすすめ
父親と息子の物語。私自身が息子をもつ父親であり、共感を持って拝読しました。
自分と親父の関係、自分と息子の関係、この物語と同じ道を辿ると思うと少し寂しくなります。
父親が息子とどう接するべきか、答えのないこの問いに作者なりの答えがあります。それを読み思うのは、父親と息子は上下関係ではなく、寄り添う関係がいい。友達とも違う、ただ見守るのとも違う。言うは易し、行うは難し。
旅
私にとってのたいせつな場所ってどこだろう。
人生の分岐点って,どこだったんだろう。
どこで間違ったんだろう。
現実は,甘くないから現実だ。
奇跡なんてそうそう起こらない。
だからこそ,魔法より強力な何かを見つけるために。
旅をし続けるんだ。
ときには流れ星の力を借りて。
健太くん可愛い!
重松さんの小説に出てくる、子ども達は本当に可愛い。可愛くて、いとおしい。健太くんも、ヒロくんも。その子ども達を見つめているから、大人たちも素敵。
愛があるなぁと思います。
ラストが「しんどいのは変わらないけど、これから」な感じなのも、好きです。
自分自身を見つめ直しました。
家族や自分の父親に対して描かれている作品です。
あまり書くとネタバレになるので書きませんが、読んでいて自分と重ね合わせていました。
自分もよく考えると勝手に色々決め込んで、押しつけたり、または家族に対して配慮がなかったりしたなと色々考えて改めたりしました(笑)
年頃の子は細かい言い方に傷ついたり、愛って何なんだろうなぁと考えたり…すぐ身近にいる大切な人に対して、優しくなれる事を考えさせられる作品だなぁと思いました。
面白かったです。
大人のSF
親子関係を主軸にした、不思議な旅の物語です。
ハートウォーミングで、読後にちょっと勇気をもらえる作品です。
人生に失敗した主人公が不思議なワゴンに乗って過去を見直す旅に出る。その中で自分に関わった家族とのすれ違いやぶつかり合いを経て、もう一度自分を見つめ直す。
自分もそんな経験出来れば良いんですけどね。
現実は小説じゃないから出来ないけど、でも読んでる内に自分の人生も見つめ直させられます。
そんな感じの、人生の岐路っぽい所に立ってる、若くもなく、年寄りでもない、まだまだ先は長いんだけどいつの間にか折り返し地点に来ちゃってる中途半端なポジションにいるおじさん向けのSF小説です。
ドラマをみて読んだのですが、
本作も凄く素敵でした。
ドラマの配役のイメージが、先についていたので、
ドラマを基軸に読みきった形になりますが、
違和感なく読みきれました。
あぁーこう終わるのかと切ない気持ちで終わりましたが、これも1つかと。
ドラマはどうなるのか!?楽しみてす。
父と息子
一気に4時間くらいで読みました。
置かれてる状況とか年齢が近いこともあり何度も泣かされた。
親子ってすごく身近だからこそ素直になれなくて…
父と息子だと余計にそうなんだろうな。
この本を読んですっごく両親に会いたくなったし、息子たちとの関係もすごく参考になった。
匿名
この本に出会えて良かった。
例えば、ワゴンに乗る事は出来ない本当の日々の中で、今は、様々なあの日を思い起こす事ができる。後悔ばかりではないと笑える。失敗も愛せる。何より、一瞬先の未来のために、何を選択すべきかを(例え後悔しても)考える事が出来る。だからこの本は未来へ進む本なのだと思う。
すっきり読める!
ファンタジーぽいんだけどそんな子供のような話ではない。設定だけ聞いたらはいはいって感じだけど読むとハマる。日常生活のふとした瞬間に思い出す。重すぎず軽すぎずほっこりした作品でした。
泣ける。。。
ファンタジーなんだけととてもリアル。
人生のターニングポイントに戻って
そこで出会った人々、出来事をいろいろ思い出して
しまった。。。
久しぶりに帰省しよう。そうしよう。
Posted by ブクログ
主人公がすごく色々頑張ったけど、だからといってすべて丸く収まりましたって結果にはならないところがよかった。
どんなに頑張ってもどうにもならないこともあるけど、でもその時その時やれることをやるしかない。
結果が望むものじゃなかったとしても、「まぁ、やるだけはやったか!」と自分で自分を褒めてやるくらいの図太さを持っていたいなと思う。
Posted by ブクログ
昔から父と仲が悪かった。
本作を読むまでは疑問符を持たず過ごしていくのだと思っていた、だけど主人公同様自分の年齢の時の父を考えてみたり、同じ歳なら仲良くなれたのかなんて考える度に色んな感情が錯綜する。
今はまだ作品の全てを受け止める事は出来ないけど、38歳になった時、もし家族を持った時に読み返してみたい。
Posted by ブクログ
TVerでドラマをやっていたので、読んでみようとおもって。(ドラマはみていません)
親子の確執と、人生の見つめ直し。
私も父にはあまりよい思いは持っていない。
思い返すなら今では信じられないような言葉も投げられた。
それは考え方の違い、わかりあえることのない考え方に、そしてもう人生の終わりが見えているにもかかわらずおやじの威厳を、マウントを取りたいという気持ちが背景にある。私も子を持つ親として、そのような父にはなりたくない。自分への戒めも含め、改めてそうおもった。
親は自分の命に代えてでも、子を守りたい。そして子の幸せを願う。
だからこそ、勢いをつけて国が、自然が、環境が壊れていく今この日本の現状を憂いているのである。
世界の流れを、起きていることを知る努力をせず、メディアに流され洗脳され3Sに溺れる父。私には彼を変えることはできない。
日本はいま、基本的人権という極めて大切な条項を削除した憲法が提案され、可決されることだろう。そして緊急事態条項が定められる。
Posted by ブクログ
読んでてとても心が苦しかった。
今自分が死んだら絶対後悔するって思ったから。
登場人物たちの後悔が自分に言われているかのようだったから。
生きてるってそれだけで幸せなんだなって思った。
Posted by ブクログ
父親として
私自身が娘2人を持つ父親として物語を読んだ。
また、自分が子供だった頃の父はどうだっただろう、と思い出しながら読み、ノスタルジックな感情にもなった。
SFではないが、タイムスリップものの物語である。
個人的には元々この手のものは苦手ですが、こういう設定だからこそのストーリー展開と、それによって得られる学びがあり、なるほどなと。
【特に印象深かった一節】
”やっとわかった。
信じることや夢見ることは、未来を持っているひとだけの特権だった。
信じていたものに裏切られたり、夢が破られたりすることすら、未来を断ち切られたひとから見れば、それは間違いなく幸福なのだった。”
ひとつの幸せの形を提示してくれました。
Posted by ブクログ
★★★★☆やり直したいこと後悔していることってたくさんある。あの時に戻れたらどうするだろう。橋本さんの運転するオデッセイ、現在は変わらなくても乗ってみたい。チュウさんが親父くさくていい。ウルウルきた。
Posted by ブクログ
使われる方言が地元のものと近いのも相まって余計に父親を思い出しながら読みました。僕は父親じゃないけど、同い年の自分の父親に会うって、確かにやってみたいかも。長いけど読みやすい。
Posted by ブクログ
感動よりも残酷が強い。
分岐点で何か変わろうとしても、現実は変わらない。ワゴンは過去をたどるだけ。
そういう意味では、リアリティがあり、自分の生き方・考え方、親、妻、子どもとの接し方も改めて考えるようになりました。
Posted by ブクログ
死の際で、変えられない過去の分岐点を廻る、そんのな救いのない展開で進んでいく本作でしたが、最期には展望が見える形で結ばれました。
近くにいても見えない家族間での思いやすれ違いが描写されています。相手を思うからこその行動が相手を傷つける⋯自分が主人公の立場であるなら、どうできるのだろうか考えながら読んでしまいました。
自分の子供と同じ歳だった頃の自分を重ねる、親の視点になってから再び読んでみたい作品です。
流星ワゴン
主人公の『死にたいまではなくても、泡のように消えてしまいたい』気分、メチャクチャ分かる。
でも子供を置いてはいけない。
ま、子供を道連れってのももっと無いけど。
交通事故の加害者には絶対なりたく無いよな
Posted by ブクログ
ほろ苦く感動してしまうという作品。心の柔らかいところを突いてくるエピソードを、ワゴン車にのって時を超えて訪ねていきます。
面白かった~。
作者もあとがきで、登場人物が男ばかりだったので、
みたいなことを書いているように、女性にはあまり
受けが良くなかったりする小説なのかもしれません。
男ならね、読んでみるといいです、面白いです。
主人公がもう人生に疲れ果てて、終電を過ぎた駅の前のベンチで
一人ウイスキーを飲みながらおにぎりをかじっている場面から
その不思議な話はスタートします。
現実には反映されないのだけど、やりなおしの人生を過ごすことで…、
と内容はあえて書かないことにします。
Posted by ブクログ
バックトゥザフューチャーみたいなワゴン。
未来は変えられないのが異なるところか。
ただあの時を振り返ることによって今の感じ方が変わる。
Posted by ブクログ
ごめんなさい、全然ささらなかった。
男子高校生の母としては、共感できるところもある。自分も大昔とはいえ高校生だった事もあるのだから、その時の親に対する感情などもありありと思い出せるからね。
だがしかし。ネタバレになるが、いくらファンタジー好きの私でもこの設定(ワゴン)がはまれなかった。バックトゥザフューチャーとかそんな感じで(人物によって)過去と未来をいったりきたり。それにだ。嫁がマズい、こんな嫁の設定は無理がある、彼女の側からの掘り下げがないから、どうしてもはぁ?ってなってしまった。
Posted by ブクログ
過去を変えることはできないのかとソワソワしながら読んだ
でもこんな世界にいけたら私はどうするのかとも考えさせられた
自分が大切だと思った時期と、人生を変える大切な時期は違うんだろうなあと感じた
人間味を感じられる作品
長編ではあるがすぐに読み切ってしまったのは、重松清の言葉の表現さにあると思う
Posted by ブクログ
父親と息子を描いた作品。父親から見た息子と息子からみた父親は当たり前だけど考えが異なる。父親でもあり、息子でもある人ならより共感できる部分があったのかな。タイムリープものであっても過去を変えることのできないもどかしさ。知らないより知ってる方が酷なのにそれでも尚、前向きに生きよう姿には胸が打たれる。P54.55.266.320.365.381
Posted by ブクログ
【書名】
流星ワゴン
重松清
【手に取った動機】
「自分の頭で考える読書」荒木博行で紹介されており、久々に小説を読もうと思って手に取った。読んで泣いたとのコメントから、小説に涙してみたいなと興味をもった。
【読後の印象】
・いきなり放り出される人生の岐路、過去は変えられないけれど、自分の現状認識であれば変えることは可能である。
・未来を知らないわたしは今が人生の岐路かなんて当然わかるわけもない、日々に生かすのは最近気を付けている「後悔しないか」という選び方を続けていきたいと感じた。
【印象に残った点】
・親子が友達になるというファンタジー、友達になれそうと感じる人にはより感動的だと思うが、わたしは自分の親と友達になれる気がしないので、この点だけ自分に残念に思った。
・成仏すべきかせざるべきか、レールにのった成仏という人生(?)だけではなく、レールから外れてドライブするのも一つの個人の選択なのだと感じた。
・未来がわかっていて変えられないと知っていたら、らどんな行動をとるのか?納得できる程度にもがくのかもしれないが、わたしは根性なしなので淡々と受け入れてしまうかもしれない。
【着想】
子供の遊び道具がパーティーゲームからテレビゲームに変わり、今は一体なんだろう。
子供の数は減って、一人当たりに投下される各家庭のリソースは大きくなっているのだろうと思うが、いまの子供の過ごし方は幸福感につながっているのか、興味深いなと感じた。
(友達と外で遊ぶのか、一人でゲームやyoutubeに興じるのか??)
もしもワゴンが現れたら、そもそも乗り込むのか?もし、連れていかれるならどんなシーンなのだろう。ぱっと思い浮かぶのは働き始めて以降の異動や転職の帰路だが、実際は自分でも気づいてない瞬間に放り出されるんだろうなと思った。
あのとき、スーパーに買い物に行かずに、駅前に行ったら自分の家族がしらないところで○○していて、なんてことも、実はあったりするのかもしれない。
Posted by ブクログ
社会史家エリザベートは「XYー男とは何か」で家庭は新しい相貌を帯び始めたと言う。母親が管理する家族という私的な領域と男だけの国である公的な職業の領域である父と息子の不幸はここから始まる。距離はドンドン離れ居場所を失った父親は権威を振りかざす。三組の父子は本当は凄く似ている。ただ最初から間抜けな父親の交通事故の話から始まったのは度肝を抜かれた。ファンタジーであるけど父親だからこそかけた作品である事には間違いない。私が書くとすれば娘と私...何故か生々しい感じがする。流星ワゴンの二人は悲劇的ではあるもののあえて母親の立場を語らない事で問題をクリアにしている。素晴らしい!