重松清のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ両親がなくなって使われなくなった空き家、離婚して使われなくなった空き家。いろんな空き家が出てきます。
サロンとしてお茶会をひらくマダム、火葬待ちの安置所としてのビシネスを立ち上げるビジネスマン、空き家を傷まないよう管理する不動産会社。
重松作品なので、空き家にまつわる家族の物語になります。親の介護が終わり親の家を相続することになった人、相続しなかった人にささる作品です。
両親が長年住んだ家、子供である自分が一時期住んでいた家、その家が空き家になったとき、人によって思い入れが違います。
親を看取った様に、空き家も看取ってほしいという著者の願いが込められているように感じました。
先月母を看取り、相続を考えないといけない自分自身にとってはとても現実的なテーマでした。
追っかけセブンの皆さんがすごすぎます。つらい時期があればこそかもしれませんが、このような70代がある意味理想です。うらやましい。
-
Posted by ブクログ
教師を引退したアンミツ先生と、かつての教え子たちの温かくも切ない物語。
東日本大震災も交えた情景描写は、人の儚さや弱さと同時に強さや逞しさも感じることができた。
「正しい」ことは決して「正解」とは限らない。
アンミツ先生がテンコさんに伝えた「優秀な教師や、正しい教師、強い教師じゃなくて、いろんな子どもたちを包み込める大きな教師になりなさい」の言葉が心に刺さった。
アンミツ先生が主人公ではあるが、「私」と表現せず、「アンミツ先生は...」「先生は...」と表現することで、感情移入し過ぎずに客観的に読むことができた。
これも重松さんの策略なのだろう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ初めて読んだのにどこか懐かしく、再読のような気にさせられた。
とにかくいい本。
美佐子さんは少ししか出てこないのに最後までヤスさんを見守っているんだろうなと想像できるほど序盤ですごくステキな描かれかたをしてたので、美佐子さん亡き後のヤスさんとアキラの2人家族に不安しか抱けなかった。
ヤスさんは私にはない感覚すぎるほど照れ屋で熱くて焦ったくなることも多くて、もっと素直になったらいいのになんて思いながらも、それこそがヤスさんの良さなんだと、ヤスさんなりの愛情なんだと思えた。
世の中にはたくさんの家族模様があるとは思う。
そしてこの家族の真っ直ぐすぎる愛情は読んでて心が温かく、いつの時代に読んでも、それは変わらないのだろうなと思えた。
読んでよかった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレあらすじ
リストラによる失業、妻の不可解な家出と浪費、そして中学受験の失敗を機に家庭内暴力を振るうようになった息子――。絵に描いたような幸せから転落し、絶望の中で死を意識する中年男・永島一雄の前に、突如ワインセラー色の不思議なワゴン車が現れる。運転するのは、すでに亡くなっている橋本親子だった。ワゴン車は時間を巻き戻し、一雄の人生における「やり直したい分岐点」へと彼を運ぶ。その旅の道中、一雄は病院で末期癌に冒されて死の淵にいるはずの父親・忠雄と、なぜか自分と同じ歳の青年「チュウさん」として出会う。豪快で横暴、反面教師として嫌悪していた父とともに過去を巡る中で、一雄は家族が壊れていった本当の理由と、不器用な父が胸の奥底に秘めていた切ない真実を知ることになる。
所感・深掘り
崩壊していく家族の痛みを生々しく抉り出しながらも、親が子を想う不器用で深い情愛に胸を打たれ、涙なしには読み進められない圧巻の人間ドラマだった。
特に深く胸を抉られたのは、反発し続けてきた父・忠雄の「見えない裏側の姿」だ。家庭内では独善的で威張り散らし、粗暴にしか見えなかった父が、一雄の知らない場所では周囲に深々と頭を下げ、泥水をすする思いで家族の暮らしを守り抜いていた。親の背負ってきた重圧や孤独は、自分が親となり、人生のどん底を味わって初めて痛切に理解できる。ドラマ版では表現が和らげられていた妻の自暴自棄な逸脱も含め、人間誰しも弱さや心の闇を抱えて生きている。表面的な言動だけで人を裁く浅薄さを恥じるとともに、不器用な生き方の中に宿る本物の愛の重みに胸が熱くなった。
また、「過去をやり直すことはできなくても、現実を受け止めて今を生き直す覚悟は持てる」という結末のメッセージも心に深く染み渡る。過去の分岐点に戻ったところで、一度起きてしまった過ちや家族の亀裂を魔法のように消し去ることはできない。しかし、相手の痛みや背景を正しく知ったいま、逃げ出さずに現実の家族と向き合うことはできる。親から受け取った見えない愛情のバトンを胸に、ボロボロになっても自分の足で立ち上がり、再び前を向いて歩き出す一雄の姿は、責任を背負いながら生きるすべての大人の背中を力強く押してくれる。
表面的な不満や苛立ちに囚われるのをやめ、人の見えない苦労と愛に感謝し、現実を誠実に引き受けること。
家族や身近な人間関係の摩擦に悩み、相手の真意を見失いそうになっている人はもちろん、父や先人たちの歩んできた重みを噛み締め、どんな逆境からでも自らの人生を再生させたいすべての大人にとって、魂の深部に温かな灯をともしてくれる不朽の名作だ。
表示されていない作品があります
セーフサーチが「中・強」になっているため、一部の作品が表示されていません。お探しの作品がない場合は、セーフサーチをOFFに変更してください。