重松清のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
プロローグ
教室の廊下側の席に着くと、目線を窓側に向けた
ガラス窓は半開きになっており、そこから
爽やかな風が舞い込んでくる
その風の出入口に彼女は座っている
彼女の香りは僕まで届かない、なんとも近くて遠い
そして、僕の想いも彼女には届かない
彼女は、艶のある唇で鉛筆を挟みながら、
いつも窓の外を眺めていた
本章
『その日のまえに』こういう本に出逢いたかった!
感動の★5
NSFMさんの本棚から
あの冷静沈着にレビューを書かれるNSFMさんが
生涯トップクラスの感動!
屋外で読まないで!
との文言で即断!!!
6編の短編小説
どれも共通しているのは、過去と現在そして死
それぞれの家 -
Posted by ブクログ
重松清の『ステップ』を読み、前に進み続けることの大切さを改めて感じた。主人公の健一は、突然妻を失い、幼い娘のみきを抱えてシングルファザーとして生きていく。彼が娘を抱っこしながらも、どうしても「仕事の延長」のように業務的になってしまう姿は、とてもリアルだった。生活のために働き続けなければならない一方で、みきが求めているのは、抱っこのぬくもりや、母親のような柔らかさだ。そのギャップを埋められないと理解しつつ、それでも必死に寄り添おうとする健一の姿には胸を打たれた。
物語の中で、義理の父が健一に説教をする場面がある。「自分の娘が悲しんだことを他人事だと思うな。自分のことだと思え」という言葉は、読 -
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ホントにもう、重松清さんの本は電車で読んではいけないと思う。またしても涙と鼻水が止まらず…
氏の講演会で隣に座った男子学生が、人気投票1位と予想していた作品だったので手に取った(その講演会での一位は本作ではなかったけど)。
で、これを読みながら思った。
人の内面、感情を描いた作品はたくさんある。
その中でも、例えば三島由紀夫の金閣寺は、吃りの寺の跡取りというある意味特殊な主人公の屈折した感情の動きを、ここまで掘り下げるかというくらい深読みして、格調高い言葉を駆使して表現している、ある意味極北とも言える作品だと思う。ただ、「うん、こういう思い、わかるよ」と万人が感情移入できるモチーフ、表現 -
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★一緒にいなくても寂しくないのが友達なんじゃないの。
★俯いてから空を見上げると自然と笑顔になれる。
学校生活での恵美のまわりの友達について、俯瞰したところから書いた小説。一人一人にフォーカスした短編連続小説だった。
1番好きな物語は堀田ちゃん。すごく共感できたから。戦争より平和が好きだからどこの味方にもつかない。八方美人のようにいっぱい友達がいる。でも本当の友達は?そんな悩みが重なった。友達がいない訳じゃないけどだれにでもいい顔をしてしまう。私は恵美みたいなさっぱりした考え方と由香ちゃんみたいなほんわかした雰囲気を持った人になりたい。 -
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連作短編集。
連載を大きく改稿した単行本で、独立した短編としても読めるし、繋がった世界としてもさらに楽しめる。
生きること、死ぬこと、のこされること、歩き出すこと。それらに深く触れられる。
死という泣かせの常套句を扱ってはいるが、これほど素晴らしく表現されている作品はなかなかない。
・ひこうき雲
小学6年生の時に入院した、嫌われ者の女子、ガンリュウ。時は流れ、40代になってから同じ街の介護施設に入所している、認知症の妻の祖母。
病気。生と死。言葉や態度。正直な気持ちと建前。じわりと胸を締め付けられた。
・朝日のあたる家
マンション14階に住む、高校教師のぷくさん。夫を亡くして娘と二人暮ら -
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これも涙なくして読めなかった。
それぞれの短編の中で、それぞれの「きみ」の心の奥を見抜いて、端的だけど刺さる言葉を発する恵美さんが、瀬尾まいこさんの「あと少し、もう少し」に登場する先生を思い出した。
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でもさ、青だけの空って、のっぺらぼうじゃん。空の顔つきって雲で決まるんだよ。お日さまだってギラギラして、うっとうしいときもあるじゃん。雲は雨も降らせるし、日差しもさえぎるし、けっこうクセモノだから。
邪魔じゃないよ、雲は。
がんばれ、雲。
私は「みんな」って嫌いだから。「みんな」が「みんな」でいるうちは、友だちじゃない、絶対に。
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「みんな」という人はいないんだよな。
重松さ -
Posted by ブクログ
友人に「泣けるから読んでみて」と勧められて、まぁ、と思いながら移動中に読みました。移動中に読まなきゃよかったです。泣きました。
「その日」を迎える短編が最後にゆるっとオーバーラップ。どの話も温かくて、けれど寂しくて、涙なしでは読めません。
私は若い頃に「その日」を迎えており、病室に泊まり込んで管が刺さった母の痰が少しでも取れるように、加湿器の位置を変えたり、モルヒネの影響で意識が混濁し、意味不明な事を言ってる母の背中を泣きながら摩っている状況がフラッシュバックし、「あの日」一生忘れる事のできない出来事でした。
その日の前に、後悔がないように生きたいものです。
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