あらすじ
取り壊しが決まった団地に暮らす祖父を訪ねた六年生の杏奈。そこはかつてドラマ『たんぽぽ団地のひみつ』のロケ地だった。夢の中で主演の少年、ワタルくんに出会ったことをきっかけに、杏奈と祖父、そして住民たちは、団地をめぐる時空を超えた冒険に巻き込まれて――。大人たちが生きた過去への憧憬と、未来へ向かう子どもたちへの祝福に満ちたミラクルストーリー。『たんぽぽ団地』改題。
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重松清さんの作品を読みました。取り壊しが決まった昭和の団地を舞台に、重松さんらしい、時空を超えて子どもから大人まで、登場人物が自分たちの人生を振り返る。困難に立ち向かう姿を通じて、読者にさまざまな気づきをくれる一冊です。職人気質なおじいちゃんと子どもたちの距離が近づいていく。そしてこちらも重松さんらしい、いじめられていた子が立ち向かう。お話の世界をつくる人、とのフレーズあたりに、特に、ぐっときました。単行本はガリ版で刷られたイラストも掲載されているようなので、本屋さんに行ったら見てみたいと思います。#たんぽぽ団地のひみつ
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団地が舞台で、タイムトラベルの基地になってるドラマが本当になっちゃうようなお話。
私としてはあの悪役は立ち直れないほどぼこぼこにしてほしかったところですが、現実はそんなものですよね。
徹夫さんが不器用なりにコミュニケーションをとるところとか、すごく待ってた感がとても可愛いです。
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高度経済成長期以降、日本全国に建設された鉄筋コンクリートの集合住宅=団地。建物も住人も古くなり、解体そして再開発に。1970年代にこうした団地に住んだ多くの世帯。夫婦と成長し巣立っていった子ども世代。そして、その孫世代の思いとは。
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取り壊しが決まった築50年の団地。
一昔前に団地で行われた映画の撮影があった。
取り壊しされる前に団地からでた人々が集まり また撮影が???
当時子供だった人々は大人になり、自分たちの子供が……。
ネタバレしそうだから続きは読書ノートに書き綴りたいと思います。
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一戸建てが夢のような時代。文化的な暮らしのために?長屋から団地へ、我も我もと住み替えていった時代があったね。日本中に"ニュータウン" が一体幾つできたんだろう。
とある団地に住んだ人たちの、昔の出来事と今の出来事。どの時にも色々なことがあって、嬉しかったり悲しかったりしていたんだ。みんながね。
私には、特別なミラクルが起きたわけではないけれど、それなりに色々あったんだ。ウン。
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取り壊しが決まった3丁目団地。
そこは、かつてあるドラマが撮影されたロケ地だった。
そのドラマの名前は「たんぽぽ団地のひみつ」。
主演を演じたワタルくんはもう52歳。今は売れない映画監督。
ワタルくん、かつてロケに携わった団地の人々、今も団地に暮らす徹夫さん、その孫の小学生の杏奈。徹夫さんの奥さんで、杏奈のおばあちゃんも亡くなってしまったショーコ先生。
3丁目団地に集まる人たちが体験する、少し不思議な物語。
面白かった!
子供も大人も楽しめる、優しさと夢の詰まったファンタジーエンターテイメントという感じ。
設定が団地なので、派手さはないものの、万人が好感を持てる物語。
主人公の杏奈も元気いっぱいで、優しくてとても良い子。好きになれるキャラクターです。
登場人物みんなが魅力あって憎めないところも、重松さんの小説の持ち味ですね。
杏奈一人に視点を固定させず、杏奈のお父さんの直樹さんや、団地に現れた勝ち気な子役女優のカノンなど、そして、時を超えてワタルくん、ワタルくんにほのかな恋心を抱いていたナルチョ、…など、適切にストーリーテラーが変わるところも効果的と感じる。
若干、ファンタジー要素が後半は強すぎる感もあったけど。
重松清さんの本で何を読もうか迷っている方にはこちらをオススメします!
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取り壊しの決まったたんぽぽ団地での「過去」と「現在」を「時空たつまき」という不思議な現象によって行き来して、「お話の世界」と「現実」を行き交うお話でした。
読み終わった頃にはとても温かい気持ちになって、少し懐かしいような、泣けてくるような気持ちになりました。
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出来はさほど良いとは思わないのですが。。。
一徹な老人、真っ直ぐで賢くて活発な少女、いじめられる少年、いじめる少年、高慢ちきだがどこか寂しげな少女、ちょっと頼りないお父さん、明るくパワフルなおばさん。老朽化が進み、高度成長期に溢れてた明るい未来など影もなくなったノスタルジックな団地。重松さんがお得意のパターンがずらりと並びます。ですから途中までは初読にもかかわらず既視感など感じながら読んでました。
最後でぶっ飛びましたね〜。満艦飾のフェスティバルみたいなハッピーエンド
最初から『流星ワゴン』的なファンタジー要素はあったのですが、それにしても少々矛盾があろうが無理筋だろうがとにかく突っ走る。重松さんがここまでやるかと少々呆れつつもいっそ爽快でしたね。
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重松清の長篇作品『たんぽぽ団地のひみつ』を読みました。
『赤ヘル1975』、『流星ワゴン』に続き、重松清の作品です。
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団地をめぐる冒険が始まった!
幸せすぎる結末が待つ、家族と友情のミラクルストーリー。
取り壊しが決まった団地に暮らす祖父を訪ねた六年生の杏奈。
そこはかつてドラマ『たんぽぽ団地のひみつ』のロケ地だった。
夢の中で主演の少年、ワタルくんに出会ったことをきっかけに、杏奈と祖父、そして住民たちは、団地をめぐる時空を超えた冒険に巻き込まれて――。
大人たちが生きた過去への憧憬と、未来へ向かう子どもたちへの祝福に満ちたミラクルストーリー。
『たんぽぽ団地』改題。
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『しんぶん赤旗 日曜版』に2014年(平成26年)9月から2015年(平成27年)10月まで連載され、2015年(平成27年)に刊行された作品です。
■プロローグ
■団地坂の再会
■夢の中でクランクイン?
■徹夫さんと昭子さんとワタルくん
■ワガママ姫、登場
■ようこそ、8号棟へ
■おじいちゃん
■ナルチョさん
■純平の秘密
■チコさんの悔しさ
■帰ってきたワタルくん
■一九七三年の夏休み
■幻の続編を探せ!
■映画には悪役も必要だ
■勇気を出して
■再会
■たんぽぽの綿毛
■バイバイ
■エピローグ
■文庫版のためのあとがき
僕らの団地がなくなる前に、映画を撮ろう!運命と奇跡のクランクイン、、、
元子役の映画監督・小松亘氏は週刊誌のインタビューで、かつて主人公として出演したドラマ『たんぽぽ団地のひみつ』のロケ地だった団地の取り壊しと、団地に最後の一花を咲かせるため「たんぽぽプロジェクト」が立ち上がったことを知る――その代表者は初恋の相手、成瀬由美子(ナルチョ)だった。
取り壊しが決まった団地に暮らす祖父を訪ねた小学六年生の杏奈は、不思議な少年に出会う――そこはかつてドラマ『たんぽぽ団地のひみつ』のロケ地だった、、、
夢の中で主演の少年、ワタルくんに出会ったことをきっかけに、杏奈と祖父、そして住民たちは、団地をめぐる時空を超えた冒険に巻き込まれて……大人たちが生きた過去への憧憬と、未来へ向かう子どもたちへの祝福に満ちたミラクルストーリー。
少年ドラマ、ガリ版、片思い――あの頃を信じる思いが、奇跡を起こす……取り壊し前の団地に舞い降りた、奇跡と運命のハッピーエンディング。
取り壊しの決まった団地に住む祖父・徹夫と孫娘の杏奈が、かつてそこで撮影されたドラマの主人公・小松亘(ワタル)と出会って、時空を超えた冒険を繰り広げるという物語、、、
団地という舞台がユニークで、懐かしさを感じさせ、そして魅力的に描かれていたことが印象的でした……団地という舞台を活かした時空を超えた冒険と人間関係の変化を描きつつ、昭和から平成にかけて日本の住宅文化を支えた存在であり、多くの人々の思い出や生活が詰まっている団地の魅力や価値を伝えようとした作品なんじゃないかと感じました。
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小学校高学年のことを思い出すと、悪いことしたなと反省もするが、総じて考えることなく思い切り走ったり笑ったちしたものだ。大人になっていろんなことがあるけれど、子どもたちには一所懸命過ごしてくれるようエールを贈りたい。2023.9.7
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小学低学年の頃、近くにあった円山北町団地の事を思い出しながらノスタルジックな気持ちで読みました。(団地には住んでなかったけど、友達はたくさんいて、団地の敷地にある公園やら、イベントやらではよく遊んだ記憶があります。)文庫版にはガリ版の挿絵がないのが残念かもしれません。ネットで探すと見つかる味のある挿絵も作品の一部だと思います。
ストーリーやキャラクターは、ちょっと物足りないところもありましたが、昭和の情景やら匂いを楽しむことができたかな。
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平成、昭和…わたしたちの世代、親の世代、祖父母の世代…といろいろな世代の人々が交差しながら話が続いていくフシギな「お話の世界」。ストーリーは途中、退屈かな?と感じる部分はあったけど、わたしたちが普段感じているけど口には出せない想いを登場人物たちが代弁してくれる箇所が所々にあって、だからわたしは重松清さんの小説が好きです。
男子に、世間に、同じ女子に、その他もろもろ、負けていないはずなのに勝てないことは、たくさんある。
子どもの頃の後悔や心残りは、おとなにならないとわからない。振り返るたびに胸が痛くなる思い出があって、それで初めて、後悔や心残りに気づく。
生きていれば、みんな、思いどおりにならないことも、うまくいかないことも、失敗することも、誰かに負けてしまうことも、なにかをあきらめることも…たくさんある。「でも終わるな」
などなど。
気持ちが優しくなれるような気がします。
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微妙なファンタジーで、正直つまらなかった。
50代、60代の男性で、少年時代を懐かしく思い返せる人には合うのかも。
ガリ版は小学生の頃に使ったことがある(ガリを切るのは先生で、児童が刷ることがあった)ので想像出来るが、若い人には、あの味わいを想像するのは難しいかも。
でも、ラストは良かった。
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重松清さんのストーリーは常に書くが登場人物のキャラクターがとてもリアルにイメージ出来、世界観がイメージしやすい。今回もまさしくそれに当てはまり暖かく感じるキャラクターが多い。
時空を超えるというストーリーは重松さんにとっては珍しく有り得ない世界を表現しているようにも思うがそれでも楽しめるストーリー。
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久しぶりに読む重松作品。
スタートからなんか不思議な違和感を感じながらの展開。
その違和感は、なぜか途中から「あ、これってこういうもんなんだな」と納得が出来てしまう。
子供から大人まで、登場人物すべての「懐かしい」を感じられる。
かと言って登場人物の誰かに自己投影できるかというと、どっちかというとそうではなく、どちらかというと自分も登場人物のひとりになったかのような感じになる。
昔、確かに『少年ドラマ』ってあったなぁ。
NHKのは世代が違うのかわからないのだけれど、『おもいっきり探偵団 覇悪怒組』とか大好きだった。
誰が出ていたのかも覚えていないし、わざわざ思い出して懐かしむことも無く、何気なくあんなドラマあったなと数年に一度くらい思う程度だけれど、出演者そのまま30年ぶりの新作とかあったらちょっと感動するかも。
そんなちょっとした思いを形にしてくれた。
結局最後まで違和感は違和感のままだったけれど、それもまたこの作品の一部。
帯、すごいな。重松作品をすべて読んだわけではないけれど、ここまで言い切ってしまうなんて。
なんか作家と編集者の関係性の良さを感じられる帯。