重松清のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ重松清氏の本は何冊か読んできたが、割とどれも結論は読者に想像させる作品が多かったように思う。
だが、今回は結論がある程度書かれて終わることが多かったように思う。
短編集に共通するテーマは「再会」。
再会できたかできなかったかだけでも結論がわかることは珍しいのでは?と率直に感じた。
小学生~大人までがテーマになっているが、最後登場人物の繋がりも見えてきた時に
最初と最後で本全体を「再会」で包含しているのだと気づく。
あとがきの中で、重松清氏の言葉で「会えない時の互いの人生がより再会を豊潤にする」「毎日会えてる幸せ、日常の幸せに気づく時が来る」という部分に共感した。
ここについては、コロナ渦で圧 -
Posted by ブクログ
ネタバレ重松清、四季シリーズの「春」
出会いだったり別れだったり、季節の中でも切り替わりの季節。人生の節目は春ともいわれている。こういう季節だから色々な出来事があって、重松の筆でその人間模様が描かれるのだから間違いないわけで。
「ジーコロ」と「目には青葉」は間違いなく好き。「島小僧」はなんとなく千鳥大吾を思い出す。「せいくらべ」はちょっと卑怯やけど泣ける。
「ツバメ記念日」は考えさせられたなぁ。子供を可愛く思えない夫婦の問題は、個人の資質もあるけど社会環境にもあるってことか。
「子育て支援」って言うけど、育児はもっとプライオリティが高いものでどっちかというと「子育て世代の就業支援」という立ち位置で -
Posted by ブクログ
ネタバレーー重松清さん作品の「子ども」はタイムマシンだ。
手を取って教室まで引き込んでくれる。僕も生徒のひとりになった感覚にしてくれる。それはくすぐったかったり、ヒリヒリしたりするが、干上がっていたあの頃の感覚がみずみずしく蘇ってくるのを感じる。
今、僕にはちょうど小5の娘がいる。去年まで男の子の家にお邪魔させていただくこともあったが今年から行かなくなった。背が急に伸びだす子もいる。
つまり「小学5年生」は男女それぞれを意識し始める頃。ここからが分かれ道が始まる。逆に言えば、この頃までは「男女が体験や感覚を共有している」とも言える。
だから重松さんは第二次成長前の子どもたちをよく登場させるので -
Posted by ブクログ
1975年。終戦からまだ30年しか経っていない広島へ転校してきた中学生のマナブと広島育ちの同級生ヤス、ユキオ、そしてクラスメートの真理子との交流の話。タイトルからは赤ヘル軍団カープの初優勝への軌跡がメインテーマのような印象を受けるが、実際はそうではない。赤ヘルの快進撃はむしろBGMで、中学生同士のぎこちない友情と、原爆被害の悲惨さあるいは戦争の記憶を継承していくことの難しさとが交互に物語の主旋律をなしており、特に後者は相応に重いテーマとなっている。
赤ヘル初優勝のストーリーを主に期待して本書を手に取る人は、やや期待を裏切られるかもしれない。ただ、荒くれものが多かった当時の野球界のエピソードは
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