あらすじ
「悪いんだけど、死んでくれない?」ある日突然、クラスメイト全員が敵になる。僕たちの世界は、かくも脆いものなのか! ミキはワニがいるはずの池を、ぼんやりと眺めた。ダイスケは辛さのあまり、教室で吐いた。子供を守れない不甲斐なさに、父はナイフをぎゅっと握りしめた。失われた小さな幸福はきっと取り戻せる。その闘いは、決して甘くはないけれど。
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Posted by ブクログ
イジメをテーマに子供にも親にも焦点が当てられた短編集。
本当に読み進めるのが辛いほど、リアルで酷いいじめの内容だった。
その中でもこの子はどうなっちゃうのか?このまま親はどうしていくのか?を考えながらでどんどん読み進めることができた。
この本の登場人物たちは自殺はしなかったが、こんな状態だったら自殺したくなるよなと思ってしまった。ニュースでも子供の自殺報道は度々報じられているが、それと重ねるくらいリアルな描写だったと思う。
虐めている側はどんな気持ちなのだろうと、そちらの気持ちを示した小説もあれば読んでみたい。
Posted by ブクログ
すごい。
小学生の子を持つ親として、とても苦しく辛い内容ばかりでしたが、しっかり読ませていただきました。
小中学生のいじめの短編集。
無視の標的にされる女の子や、ひどいいじめをされるが父親に負けるなと無理矢理登校させられる男の子など。
いじめに関わる子供達、親達の心の弱さや葛藤、闘った末の自分の在り方など、涙なしには読めません。
最後だけ母親達VS若い女教師の話だけど、こちらもなかなか感慨深い。
特に【キャッチボール日和】【エビスくん】
いじめの描写も特に激しい。
変にぼかしたりせず生々しいが、決して美化などされるべきではない事実がしっかりと書かれている。
本気で心が沈むので、影響されやすい私は朝からズシっときてしまう…
でも、どの作品も読後は前向き。
あとがきも納得。
Posted by ブクログ
中学生時代塾の先生に読めといわれて借りたけど当時面白さが分からなくてほとんど読まずに返してしまった。それから10年程経ち偶然古本屋で見つけ偶然題名を思えていて購入した。
いじめって不思議なもので1人をターゲットにすることで他の人は団結しているように錯覚してしまう。ただのゲームだからいつ何が発端で自分がターゲットになりうるか分からない。大人になっても胸糞悪く共感してしまう不思議な一冊。
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ヤダこれもうステキ大好き。
な感じの、大人向けのこども話。まぁ現役のガキやら子どものいない大人やらには伝わるまいよ、この気持ち。要するに酸いも甘いも噛み分ける大人が子どもに対して持つ感傷やら苦痛やらやるせなさやら何やかんやと思う気持ちをすべてぶつけるような、要するにマスターベーションに他ならないのであって、そういうセンチメンタルに夢見がちなオッサンこそが読むべきではないか。オッサンのはそういうのが必要なわけですよ。分かってチョンマゲ。
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いじめを題材としているが読み易い。
中高生はもちろん、小学生でも読めると思う。すぐには消化しきれないかもしれないけれど、感じるものはあるんじゃないかな。
私は『ナイフ』を中学生の時に読んでいたかった。もっと早くに出会いたかった。
Posted by ブクログ
本当にリアルだなあ
けど、今とは少し違うところがあるんではないかな?とまずは言っておきますね。
しかし、本当に道徳とは。哲学とは。と考えさせられる本でした。27歳になった今でさえ本の内容の答えは何が正解かはでません。
おそらく正解はないのではないでしょうか。
親も、子供も友達も、先生もみんな人間で、完成された人はおらず自分自身の正解は、己の経験が信じられるものとなる。
特に大人は多いのではないでしょうか。
自分が親になった時。先生になった時。自分の子供時代の子供目線になれるのかなと不安になったり、強い力をもつ子供を育ててみたいと思える作品だったと、私個人は思いました
Posted by ブクログ
題名やあらすじでは分からなかったけど、読み始めたらイジメの内容が多くて驚き。でも最終的には嫌な終わり方ではなくストンと落ちるお話で満足。短編集。黙々と読んでしまった!「キャッチボール日和」は涙なしに見れなかった…。「エビスくん」がこの中では1番好きだったかもしれない。心に残るお話しでした
Posted by ブクログ
何故人はイジメをするのか?
何故人はイジメられても親に言わないのか?
これは当事者で無いとわからない事なのかなぁ。
ナイフとキャッチボール日和は突如始まる絶望的なゲーム。家庭内に問題は無いのに子供が標的にされ教室の中でゲームは日常化されて参加者達は貪欲だ。そしてどちらも別の場所で起きている事と重ねて合わせる事でエールを送る。彼等や彼女を救う事が出来ずにいる親達もそしてもっともっと傷つき精神的に肉体的に追い詰められていく彼等を浮かび上がらせている点が凄い。
エビスくんは長編小説を読んだ気分になった。私の1番好きな作品である。松重清のあとがきを読んでもわかる様にSに向けた言葉がはみ出た作品だったようだ。結局最後は優子は健康になり嫁に行くみたいだ。奇跡は起こる。神様はおる。私もそう思った。
どこにおんねんや〜ホンマに
最後のビタースィート・ホームは今の若い世代は皆働きながら子供を育てている。私は専業主婦で子育てしていたから余り感じ無かったが、息子達は完全に二人で働き二人で子育てしていて実に素晴らしいと思う。ここでは元教師で今専業主婦対独身女教師の闘い。でも読み進めていくうち父親がふつうの家庭に自分を当てはめたくなって何かに負けてしまった為妻は仕事を辞めた。でも妻は自分で選んだのだと言う。そして今だったら復職してももっと良い先生になれると言う。そうなんだよね。人間は自分の立場でしか相手の事を思う事が中々出来ない。立場が変わって初めて知る事はたくさんある物だ。後悔とは人生において汚点ではあるけど、それを踏まえてこれからどう生きるかが成長なのではと思えた作品でした。素晴らしい(^^)v
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いじめをテーマにした5編からなる短編集。
いじめの描写があまりにリアルで過酷なため、何度も読むのをやめそうになったが、それでも最後まで目を背けずに読み切るべきだと感じた。
いじめという重く深刻なテーマを扱うにあたっては、安易にぼかすのではなく、このくらいの重さがむしろ適切なのかもしれない。
各短編ごとに視点が変わり、いじめを受ける本人だけでなく、苦しむ父親や見守る幼馴染など、立場の異なる人物たちの目を通してその実態が描かれる。それぞれの視点にリアリティがあり、多面的な痛みと向き合う構成になっている。
すべての物語がスッキリと終わるわけではなく、かすかな希望が見えつつも、根本的な解決には至らないリアルな結末が印象的だった。いじめは「なかったこと」にはできない。読後は心がすり減るような重さが残るが、それだけに深く考えさせられる作品集だった。
Posted by ブクログ
巻末にある、如月小春さんの
「巷の勇者たちへ」
が、私の感想と重なっている。
子供のいじめを
これでもか、炙り出しつつ、
その視点は父、母、教師、
いじめる側、いじめられる側、
同級生、
それぞれの
想いもしっかり描き、
それが重松清さんの
フェアな向き合い方だ、と。
短編小説集でありながら、
エビスくん、は
特に長編のような時の流れと重みを感じた。友人を亡くした重松清さんの経験と喪失を乗り越えるべくして書かれたという。
やっぱり、好きだ!
重松清さんの作品は
読後感がよく、
心に少しだけ足跡をつけてくれて、
明日は、少しだけ上手に自然に笑えている自分が見えるのだ。
Posted by ブクログ
読んでいて辛かった。
それはイジメの描写が生々しかったという理由だけではなく、自分の小学生、中学生の頃の行動を思い出させられたからだ。あの頃、自分の周りではイジメはなかったと思っていた。イジメは暴力を振るわれる、あからさまな仲間外れをするといった行動だけだと考えていたからだ。ただ、数十年が経過した今考えてみるとイジメがなかったと断言できず、
さらに自分がそのイジメに加担していなかったとも断言できない。あの頃はふざけて行っていたイタズラやいじりと思っていた言動もイジメであったのではないかと考えさせられた。
短編の中の1つ、キャッチボール日和での一節
"反省と後悔の違いが初めてわかった"から始まる主人公の言葉は深く印象に残った。
Posted by ブクログ
いじめをテーマに、親や子どもの立場から描いた作品。いじめは決して許されるものではないけど、「エビスくん」はまだ救われる思いがしました。 息子の学校でも、いじめの噂は耳にする。保護者や先生が出ていっても解決できないものなのだろうか。また私自身も息子がいじめに関わった時、それに気づくことができるだろうか。悲しいけど永遠の課題だなぁ。
Posted by ブクログ
「いじめ」がテーマの短編4編と「家族」がテーマの短編1編が収録された小説。
「ナイフ」「キャッチボール日和」のいじめ描写が特に読んでて辛かったが、最後まで読み切ってよかったと思う。些細なことでいじめは行われる、加害者は軽い気持ちなのかもしれないが、いじめられる側だけではなく、その家族も辛い思いをすることを忘れてはいけない。
作中に荒木大輔や長嶋茂雄の引退の話が出てるのが、一昔前、二昔前の作品って感じだが、いじめの根本はいつの時代も変わらないんだなと実感。是非多くの学生、教師の方に読んでもらいたい作品。
立場の弱い人にフォーカスする重松清さんの作風がやっぱ好き。
Posted by ブクログ
いじめを題材とする作品集
最初は重いテーマと思いながら読んで行ったがキャッチボール日和、エビスくんで思わず涙した。
重松清ワールド炸裂。
やはり重松清さんの作品は心打たれます。
満足の一冊
Posted by ブクログ
いつも通りなんだけど、少しハラハラ、ドキドキ。どの話もすーっと入って、あっという間に感情移入してしまう。それで最後はちょっとだけハッピーに。大好き度❤️❤️
Posted by ブクログ
<突き刺すために読む、突き刺さった部分を確かめる>
全話、刺さる。痛い、とても。
それぞれの主人公(もしくはその友達、息子)の周りには、鋭利な空気が満ちている。呼吸するたび中からボロボロに傷付いてしまうような、苦しい環境の中で、彼らは生きている(最後のは少し違うけど)。
でも、みんな逞しい。目も当てられない程に押しつぶされても、無くならない。絶対に火が消えない。だから、最後まで読む事が出来る。
いじめが鮮明に描写される。曖昧な表現が無い。想像したくないのに、浮かんでしまう。いじめにハッピーエンドは無い。そんな当然を改めて思う。
人間は間違うんよなあ…どれだけ気を付けても、一所懸命にやっても。その『間違い』から目をそらさないこと、認めることが、一番大事でね… って、それが一番難しくてね。
普通である、むずかしさ
今、いじめで、大切な命を落としてしまう人いますが、真面目すぎるからなのでは、と思った!普通であるって、簡単そうでかなり自分を、偽って、生きて行くのだから大変だわーもっと、邪悪になれば、気楽だし、いい子でなくていいんだよー
Posted by ブクログ
◼️短編概要
①ワニとハブとひょうたん池で:娘、友達、両親
②ナイフ:父、子、不良グループ
③キャッチボール日和:私、父友、父友の子
④エビスくん:僕、転校生、友
⑤ビタースイートホーム:父、母、娘、教師
⇒娘の教育方針についてキャリア志向だった元教師の母と娘の担任の熱心系の女教師が対立する。対立内容は娘が日記に感想を書かないことについて。教師が何度も注意しても娘は一向に感想を書こうとしない。母も教師の過剰な教育介入に反発する。この教師は他の父母とも対立しており、親vs学校の対立にまで発展する。対立はその後に色々あって収束。その後、娘がなぜ日記を書かなかったのかが判明する。占い本に、背を伸ばすためには自分の思いを誰にも書いたり話したりしてはいけない、と書かれていたのを忠実に守っていただけだったのだ。
⇒大人の思いとは全然違う流れで子供の世界は進んでいる。子供は子供なりの考えで勝手に生きている。
Posted by ブクログ
自分にもあてはまる、親の無力さを感じる。何とかしてあげたいという親の行動が子供にとって全くよくないことにつながることがほとんどだ。普段通り、生活を変えずに、接する。仕事を辞めたりせず、気を使いすぎず、いつも通りに。寄り添う気持ちで、愛情は伝わる。とか聞くけど、そんな神対応みたいな冷静な親なんていないだろう。愛情ってなんだろう、今までの子育てってなんだろう、私が悪かったのかとか、親もただの人間であることを思いしらされる。
最後のビタースイート・ホームが若干軽さがある話で助かった。「エビスくん」は本当にきつかった。防波堤でエビスくんに病院に来てくれるように頼む辺りは、もう限界やんと思って涙がどんどんでた。大人が気がつくこと、できることは、こんなにないものだろうか。
Posted by ブクログ
表題作「ナイフ」は学校でイジメを受ける息子と、自分なりに向き合う父親に、胸を締め付けられる思いで読みました。その他の作品も思春期の子どもがいる家族が様々な壁にぶち当たるけど、ラストは良い感じのところにまとまる。キレイに終わりすぎるところが、なんかモヤモヤが重なる。
Posted by ブクログ
1999年第14回坪内譲治文学賞
受賞作「ナイフ」他4編の短編集
「ワニとハブとひょうたん池で」
「ナイフ」
「キャッチボール日和」
「エビスくん」
4編は、いずれも学校でのいじめがテーマです
そして、この短編集は子供達だけでなく
そのいじめを知った親達や、教室で対応しきれていない教師と 大人側の苦しさも書かれています
25年前から日常化していたいじめは、変わっていないどころか 悪化しているように思う
読んで苦しいのは、いじめの対象となってしまった子供達が抵抗しない事を最善としているかのようなところ
親達の中にも待つという対応を選択している人も多い
子供を守れない事に苦悩する親も苦しい
重松さんのいじめ小説は、いじめられる側の気持ちを充分に表現しているのだけれど
どうにかやり過ごすという方向性が多いと思う
「エビスくん」は 転校生で仲良くなりたいために
暴力的な行動をとったらしい
家庭環境が良くなくて本当は優しいとか
そうは言っても、やられる方はたまらない
「キャッチボール日和」は、少年がなかなか過酷ないじめを受けて 最後は転校するのだけど
いじめていた側が転校した後何か思ったところで
それで解決にはならないですよね
「ナイフ」は 息子を救ってあげたい父親の苦悩
教材としても使われる重松さんの作品を読んでも
全くいじめの解決策は見当たらない
Posted by ブクログ
重松さん好きだけどあんまり刺さらなかった。
いじめの描写が結構苦しかった。
もやもやした感情を持つ家族の話ならビタミンF、ちょっとしたすれ違いを描いた話なら日曜日の夕刊、ふとした時に思い出して読みたくなるのはロングロングアゴーです。この本はイマイチって人にはそちらをおすすめします。なんか最後の話のオチが同じ作者の別の作品で読んだような気がして残念でした。
Posted by ブクログ
かなり心が苦しくなります。
辛すぎて目を背けたくなるような内容がほとんどですが私の卒業校では似たようないじめがありました。
この話をフィクションだからと軽い心で読んではいけない。
Posted by ブクログ
どこかのサイトで紹介されてたので買ってみた一冊。
いじめの話しの短編集だった。
短編の話でも続けていじめの話しを読むのはなんとなく気が重くなる。
結構えぐいいじめの描写もあったし
この小説は20年以上前の話みたいだか、いじめの内容がけっこうえぐい。今も多分実際に同じような内容のいじめを受けている人はいるだろうし、これからもひどいいじめを受ける人はたくさんいるのだろうと思う。
時代がすすんでもいじめはなくならないし、解決できない問題だと思う。
この小説の話でも、いじめ問題は解決してない。
どの短編もいい感じで話が終わってる感じがするが、根本的な所は解決していないように感じた。
いじめについて改めて考えさせられた小説でした。
Posted by ブクログ
夫の友人からお借りしました。
いじめをテーマとした5作品が収録された短編集です。
今まで、温かい涙を誘うようなほっこりした気持ちの読後感の作品しか読んだことがなかったので、著者が書いたものでこんなにつらいいじめの描写があるなんて思いもよらず、衝撃を受けました。
ラストはほんのり希望のみえる作品もありましたが、とにかくいじめの描写が鮮烈過ぎて今も憂鬱な気持ちから立ち直れません。これが今のリアルないじめなのでしょうか・・・
それは私には知りえないことですが、ただ、読んでいてハッキリわかったのは、いじめられている側はそれを周囲に隠したがり、心配や同情も嫌うんだなっていうこと。
大人にSOSを送れば心配かけちゃうしカッコ悪いし、という子供なりのプライドも大事にしてあげたくなりました。
でも。
それ以上に大切なのが、心や命なんだよ、と教えてあげたい。
小説では父親が悩みながら奮闘する姿に救いをみましたが、実際にはどうなんでしょうか。
Posted by ブクログ
重松清の小説の中でも特に「いじめ」にフォーカスした短編集。さらっと読めますが、いじめの描写はやはりリアルで痛々しい。
印象に残ったのは「エビスくん」です。どんなにいじめられても、強い子が好きだから、いじめっ子であるエビスくんが好き、という主人公キヨシには共感できませんが、、エビスくんには一度会ってみたい。
最後のあとがきで、エビスくんは実際に亡くなった友だちがモデルになっていることを知りました。「どこにおるんや、エビスくん」というキヨシの最後のセリフは、切ないです。
Posted by ブクログ
いじめをテーマにした短編集だった。今までいじめの現場を目撃したことがないから、現実にこんないじめがあるのだと考えると、かなり驚かされる。時代が違うのもあるかもしれないけど、子供たち同士のいじめについて考える良い機会になった。ビタースウィート・ホームが一番好きだったな。教師の立場から見る学校と、親の立場から見る学校は、やはり違うのだなと改めて知った。どの話もあまりハッピーエンドにはならないけど、この妙な現実感が良いなと思う。