【感想・ネタバレ】送り火のレビュー

あらすじ

家族の幸せを思うとき、自分自身は勘定に入れない。「あの頃の父親って、ウチのお父さんだけじゃなくて、みんなそうだったんじゃないの?」女手ひとつで娘を育てあげ、いまはさびれた団地で独居する母が娘にそう呟く(表題作)。パンクロック評論で注目された青年の四半世紀後を描く「シド・ヴィシャスから遠く離れて」。大切なひとを思い、日々を懸命に生きる人びとのありふれた風景。とある私鉄沿線を舞台に「親子」「夫婦」のせつない日常を描いた胸に沁みる9つの短篇。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

久しぶりの重松清に気分上々!今回は重松清の短編集!全部、家族や夫婦、親子などの人間関係がテーマとなっています。やっぱり、重松清は切ないのにどこかあたたかい。久しぶりに読むとそう実感した。定期的に重松清は読みたくなってしまいます!
 皆さんも重松清の短編集はおすすめです!

0
2024年11月04日

Posted by ブクログ

短編小説集、どれも素晴らしい。気取った文章ではないのに、引きずり込まれてしまう。これが一流作家さんの力なんだろうなぁ。ほんのり怖くてあったかい物語、かぁ。

0
2022年09月20日

Posted by ブクログ

重松清さんの本はこの本に限らずですが、使っている言葉はおしゃれなものでも凝った言い回しでもないのに手のひらがムズムズして心をギュッと締め付けられるような気持ちがします。
ほんの短い台詞で涙が出たりします。
元気でこれからもいっぱい書いて欲しいです。

0
2023年02月26日

Posted by ブクログ

架空の私鉄沿線「富士見線」を囲んで展開される、ときどき怖くてときどき悲しく、そしてときどき温かい人生劇場が9本。ここには孤独なオジサンがいる、女性フリーライターがいる、子どもを亡くした夫婦がいる、神経をすり減らす主婦がいる、超能力を持つ駅員とイジメに悩む小学生がいる、パンク音楽にあこがれていた中年がいる、親子の絆を喪った女性がいる、離婚秒読みなサラリーマンと地縛霊がいる、そして人生の終わりを見つめる女性がいる??どの話も全く異なったカラーで、人生の様々な局面を味わえる。万華鏡のような逸品だ。

0
2018年01月08日

Posted by ブクログ

タイトルの話を含む9個の短編集。

何れも仮想の私鉄である富士宮線の周辺で起こる
家族や夫婦の生活を描いた作品。

相変わらず凄い登場人物の感情や背景が
イメージしやすい話ばかりでした。

でも何れもの話も現実的、都会的であり
ハッピーエンドではないんですが、
なんか読み終わると、
色々あるけど頑張るか~としみじみ思わせてくれる作品です。

0
2013年02月02日

Posted by ブクログ

 すこし不思議な話を含む、家族のことを考えさせられる短編集です。

 一つ一つの独立した九つの掌編から成る、短編集です。とある私鉄沿線で暮らす、生きる人たちの、様々な人生観や家族観に触れることのできるお話で構成されています。時々少しそわっとする、気付くと怖い要素が含まれるものもありますが、それ以上に家族の想い、家族への想いを感じさせられる話が多く収録されているように思います。

・フジミ荘奇譚
・ハードラック・ウーマン
・かげぜん
・漂流記
・よーそろ
・シド・ヴィシャスから遠く離れて
・送り火
・家路
・もういくつ寝ると

 収録作品の中でも、『よーそろ』、『送り火』、『もういくつ寝ると』がじんわりと響くお話でした。
 自分の幸せは、どういうところにあるのか。そんなこともわからない自分が、どういうところに行くことができるのか、答えのないものを探し求める日々ですが、私も『ロンドン行き』の急行で途中下車しているつもりで、もっと遠くへ遠くへ進んでいきたいものです。

0
2025年04月12日

Posted by ブクログ

ある架空の私鉄路線を舞台にした9つの話。
ホラーじみた話、生きる事へのささやかな讃歌、思い出のリフレイン、通勤地獄の意味、死後の幸せ。
とても深く、味わい深い作品が並ぶ。
「よーそろ」「送り火」「家路」「もういくつ寝ると」の4作は、励まされ、家、家族について考えさせてもらった。
線路は続くよどこまでも。しかし、最終点は必ずある。そんな人の一生を繋いでいった連作の傑作。

0
2024年11月03日

Posted by ブクログ

目次
・フジミ荘奇譚
・ハードラック・ウーマン
・かげぜん
・漂流記
・よーそろ
・シド・ヴィシャスから遠く離れて
・送り火
・家路
・もういくつ寝ると

どれも「死」や「別れ」を内包した短編が9篇。
重松清は上手いから、負の気配が本当にしんどい。

そして、作中の問題は解決しないまま終わるのがまた不穏。
ママ友の人間関係は、小学生のいじめは、古い団地でひとり暮らしを続けたがる母は、夫の無自覚の上っ面の優しさに心が冷えていく妻は…。

それでも時は過ぎていく…ということなのかもしれないけれど、どうしても幼い子どもの死やいじめに苦しむ姿は、読んでいて苦しすぎる。

ママ友の話も辛かったなあ。
子どもを近所の公園に連れていくだけなのに、どうしてこんなに心が削られていくのだろう。
私はそんな経験はなかったけれど、本当にこんな思いをしながら日々ひとりで子育てをしている母親がこんなにいるのなら、その歪みが子ども社会に影響しないわけがないよね。
夫が妻の窮状を察することをしないから、両親が揃っていながらワンオペ育児に追い詰められていく。

読後深呼吸が必須。

0
2023年07月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

新宿から郊外へと伸びる架空の私鉄「富士見線」を共通の舞台に、様々なストーリーを繋ぎ合わせた短編集。
ニュータウンに住んでいた重松清ならではの都会と廃れつつある郊外の対比が王道ではあるものの、「流星ワゴン」に似たファンタジー感がどのエピソードの根底にもある。
ただどちらかというと死者の霊や呪いなどゾッとするストーリーが多く、ハートフルなストーリーが多い重松清作品の中では意外な1冊だった。

個人的にはタイトルにもなっている「送り火」が胸を締め付けられて、悲しくも温かいお話でお気に入りでした。反対に、小さい子供ができた今、「漂流記」はファンタジーではない怖さを感じたのでしばらくは読まないと思う、、汗

0
2020年05月16日

Posted by ブクログ

時々、霊的なものも出ちゃったりするけど、基本的には家族って大事だよねぇ?と思える切なくも暖かい話。
重松さんの描く家族って懐かしい日本って感じがして、こんな風に家族を思い続けたいと思える。

0
2018年11月11日

Posted by ブクログ

久しぶりの重松清。この人が書くホラーテイストの話は初めて読んだ。人を見る観察眼が鋭い人が書くと、ホラーは一段と怖い。一見すると理解出来そうだが、ギリギリのところでやはり気狂いじみている境界線をうまく描き、そしてやはりそれは恐怖以外の何物でもない。この人は、長編よりも短編集の方が輝く作家さんのように思える。色々な感情の起伏を味わえる一冊。

0
2017年09月18日

Posted by ブクログ

架空の私鉄「富士見線」を舞台にした短編9編を収めた2003年発売に発売された文庫本です。

あとがきに「それぞれ独立した話だが、書き手としてはひそかに縦糸を通しておいたつもりだ」と書かれていましたが、私鉄沿線という素材を使いながら「人の暮らし・幸せ」という共通テーマを持たせたオムニバスな作品だなと思います。

自分自身の具体的な日常生活につながりながら、「家族とは」「親子とは」など振り返って考えせてくれるものでした。

お勧めの一冊です。

0
2016年04月16日

Posted by ブクログ

短編集。前半のお話はちょっと怖い。寝る前に読むの失敗した・・・と思ったものの、後半に向かうにつれほっこり。家族って何かな。親子って夫婦って。と自然と自分の家族と対比させながら読んでいた。みんな折り合いつけながらやってる。家族っていいなぁと思う反面、やっぱり煩わしいなぁとも。これから私が作る家族はどんな物語になっていくのでしょう。

0
2015年09月13日

Posted by ブクログ

夜中に地元の私鉄電車に乗っていると、ふと違う世界に迷い込む感覚に襲われるときがある。
田んぼばかりの田舎。灯りのない真っ暗な景色。不安と高揚感が入り混じったような胸のざわめき。
この作品はそのときの感覚に似ている。
不気味で怖いけれど、その先に何があるのか知りたくなる。

0
2015年02月18日

Posted by ブクログ

重松清さんの作品の中でも、いつもと一味違うこの作品。
富士見線という架空の私鉄路線を舞台に繰り広げられてゆく9編。
奇妙というか、不気味というか、なんと表現したらいいかわからないものがありますが、どこか温かみを感じる短編集でした。意外とスラスラ読めてしまいました。

0
2014年08月14日

Posted by ブクログ

身近な話題をちょっとファンタジーにして潜んでいる問題を考えさせるような短編集。「かげぜん」と似た経験が個人的にある。この話を多くの人に読んでもらって気づいて欲しいと思った。「家路」「もういくつ寝ると」が良かった。

0
2013年02月24日

Posted by ブクログ

富士見線沿線でのお話
短編集

これぞ重松清だね
重松清の短編集は、本当に読みやすいし、奥が深い


幽霊が出てきたり、現実離れしてるんだけどね
どれもやっぱり、じーんとするんだよなぁ…


30代~40代を主人公にした話を書かせると、右に出る人は居ないだろうな

0
2013年01月24日

Posted by ブクログ

 寝る前に軽く読めるのがいい。
 生と死について考えた。
 『よーそろ』のムラさんのあんたの目の前の水平線は「終わり」のしるしと違うでえ!『家路』のただいまとお帰りの言葉は、じんわりとした。

0
2017年09月12日

Posted by ブクログ

情け無い話なんですが、「アーバンホラー」という帯の文句になかなか読み出せなかったんです。最近の読書は専ら夜なので。結論から言えば、ホラー嫌いは怖がることはありません。確かに、ちょっと不気味だったりもしますが、そこは重松清。泣かせるんだよなぁ、というのが先に来るんです。

「かげぜん」「送り火」「もういくつ寝ると」この三作にかなり泣けたんですが、やはり人の生き死にには心を揺さぶられるものではないかと思います。
生まれ変わりなんかを心底信じているわけでは無いのですが、なんでしょう、お墓のことって最近ちょっと気になってたりします。結婚して、両親とは別のお墓に入ることになるだろう主人公が、もう一度お墓の中でお父さんお母さんと家族になりたい、と思う気持ち。なんとなくだけどわかるなぁって。

(2004年8月28日)
(2012年7月28日)

0
2012年08月02日

Posted by ブクログ

重松さんにしては不思議系だなと、最初はやや違和感を覚えました。幽霊話が多いんですよね。でも考えてみれば「流星ワゴン」もそうでしたね。
もちろん、ホラーでは有りません。やや不気味なところはあっても、重松さんの幽霊は心温かい(笑)。
特に飛びぬけた作品がある訳では無いのですが、改めてパラパラめくれば、どれも強い印象が帰ってきます。その平均点の高さは、さすがに重松さんです。その中でも強いてあげれば「家路」かな。過労働で帰宅途中の駅で頓死したサラリーマンの霊が、夫婦仲が上手く行かなくて別居中のサラリーマンに帰宅を促す話。年齢的に近いせいかもしれませんが。。。

0
2016年08月16日

Posted by ブクログ

すごく面白いんだけど重くて心のどこかが落ち込んでいく気分になる
でも、それぞれになんとなくグッとくるからずっと読んでしまう

0
2024年08月28日

Posted by ブクログ

ほのぼのこころあったかストーリーだと勝手に思ってたら、なかなかの重さ、しんどさ、暗さでびっくり。
現実は確かにそんなものだよね、と思う一方で、明るい方を、心残りのない方を選びたいものだな、という気持ちになった。
親子、夫婦は、難しいけど、よいもの。よいものだけど、難しい。

0
2023年11月14日

Posted by ブクログ

好きな話半分、苦手な話半分って感じですかね。アンダーサーティーの世代が読んで
どう感じるんでしょうか?
かげぜん、漂流記が好き。

0
2021年09月18日

Posted by ブクログ

「お父さんが家族を大事にするっていうとき、自分は含めていないのよね。お母さんとあんた2人だけが家族なの。」

0
2020年12月24日

Posted by ブクログ

寝る前の15分で1編ずつ、くらいの感じでサクサク読めた。「世にも奇妙な物語」のみたいな感じ。
「ビタミンF]ともう一つ(敢えて書名は記さないけどあの異色作)とこれを続けて読んだけど、この人は超絶テクの人と認識。読後に何も残らないのも良い。そして時々「きみの友だち」みたいな刺さるのを書く。

0
2014年03月16日

Posted by ブクログ

わたしにはなかなか感想にしづらい短編集だった。リアルさもなく空想らしさもなく、その真ん中の世界のような感じだった。

0
2013年10月29日

Posted by ブクログ

泣かされる小説というものがあります。
このあいだ読んだ、伊坂幸太郎さんの
『アヒルと鴨のコインロッカー』もそうでしたが、
今回読んだ重松清さんの『送り火』という短編連作集の中にも、
2編ほどが、ほとんどいつも乾季である僕の心の大地に、
恵みの雨季を訪れさせました。
ドライばかりの心ではとらえられないものがあります。
ウェットな心の様であることで見えること、感じること、
想像できることがあるよなぁと、確認しました。

まず表題作の『送り火』がなんといっても文句なしに泣かされます。
家族の、ちょっとした軋轢や、空回りするコミュニケーションなど
描写や状況構築が上手で、また重松さんがよくテーマにするものが、
今作のすべてにおいて描かれていますけれど、そこに、超自然的なものが
付加されて、すなわち、超常現象とか心霊現象とかそういうものなのですが、
そういったものがとても効果的に、現実では埋まらない溝を埋めたり、
崖をわたる橋になっていたりする役目をしています。
きっと重松さんには、人がなかなか言葉にできない、
うっすらとした夢というか願望というか祈念というか、
現実の世界に長く忙しく暮らして、世知辛い目に合って捨てていった
「幸福な夢想」というものをしっかりとらえることができる人なんだと思います。

また、いろいろと自分の家族構成や状況などと鑑みて、
自分の個人的状況に落としこんで空想して泣けてしまったのが、
『もういくつ寝ると』でした。
やるよなぁ、重松。
…というか、勝手にやられてみたよなぁ、僕。

考えさせられるのは、『シド・ヴィシャスから遠く離れて』。
これはツイッターで書いたのだけれど、
たとえば、このようなのがあります。

___

他人や時代につっぱって生きていくことを、
若い時のようにかっこいいと感じなくなって、
えらくもなりたくないし権力もほしくないし、
それ以上にそうは絶対になれはしないわけで。
あれこれ命令をきいて働いたりしてそれでも
残るゴミみたいな小さいのが自分というものだとして、
それを保つ難しさ。

パンクロックとか尾崎とか、もっというと坂本龍一だとか、
音楽でいえばこういうようなところだけれど、
歌詞や発言をほんとに真に受けちゃロクなことはないんですよね。

不純なものを受け入れない人は、生きづらい生活を送ることになる。
不純なものを受け入れないように見せかけて本当は不純な人っていうのが山ほどいて、
さらに、そうしていることに自覚していない人ももっといて、
そういう人は比較的、楽。
問題はそれを真に受けて純粋が素晴らしいと感じてしまう若い人?

僕の言う「不純」というものは、
別に、犯罪や犯罪まがいだとか倫理を冒すとかそういう意味じゃなくて。
やりたくないものもやることだったり、
しょうもないと思いながらも人間関係の建前を繕うことだったり、そういうことです。
___

このように、僕はミュージシャンの発言を(それも特に若い人をですが)批判しています。
しかしながら僕はまたこのほど坂本龍一さんの対談本を購入しましたし、
呪縛だとはいいませんが、一生、ある程度の距離感をもってして、
付き合っていく人たちだなぁと感じています。
当たり前ですが、悪いところだけではないということですね。

重松さんの作品は、まだ数えるほどしか読んでいませんけれども、
さばさばした文体がたばになって涙を生むものを構築するようになっている感じがします。
「泣かせるよ?」っていう筆者の心意気みたいなものが、
文体からありありと、香のように立ち上っている小説も巷間にはありますけれど、
そうではない重松節には、ストレートなものを感じますし、
普段、直視してこなかったものを、ファンタジーを眺めることで何故かできてしまうという
逆説めいたものがあるようにも感じます。

0
2013年03月29日

Posted by ブクログ

人間の底暗い部分を見せつけられている筈なのに、
強烈に惹きつけられる。不思議。
いかにも身近に起き得るからですかね。

救いのないショートショートみたい。

0
2012年08月21日

Posted by ブクログ

富士見線沿線でつながる短篇集。
不思議なことも暖かく、それぞれの人間模様やそれぞれが抱える問題。
重松さんが幽霊というか怪談じみたものを書くのは珍しいかな、っと思ったのですがそういえば「流星ワゴン」もそうだった。
このお話しもそうだけど、重松さんの幽霊は血が通っているようで温かい。だから幽霊っぽくないんだけど、やっぱりやり残したことや問題を抱えているんだよね、幽霊も。やっぱりヒントは残してくれるけど、明確な答えはぼやけてる。
グッと来て、読んだあとも考えて。重松清らしい短篇集です。

0
2012年03月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

重松さんの著書の中で初めて読んだ短編集。
ちょっと切なくなるような、暗めのお話がいっぱいw

個人的な感想ですが、やっぱり長編の方がおもしろいかな。
富士見線という電車沿線で起こる様々なドラマについて書いているんだけど、
共通項は富士見線沿線というだけ。
もう少しそれぞれのストーリーのつながりを深くすればさらに面白かったかな。
前話で出てきた主人公が、次の話でちょこっと脇役で出てくるとか。

でもまぁ読みやすく良い本だったと思います。

0
2012年03月19日

「小説」ランキング