あらすじ
7年前、旭ヶ丘の中学校で起きた、クラスメイト9人の無差別毒殺事件。結婚を機にその地に移った私は、妻の連れ子である14歳の晴彦との関係をうまく築けずにいた。晴彦は、犯人の上田祐太郎の面影があるらしい。上田が社会に復帰したこの夏、ある噂が流れる――世界の終わりを見せるため、ウエダサマが降臨した。やがて近所で飼い犬の変死、学校への脅迫が相次ぎ、私と晴彦の距離は縮まらないまま、再び「事件」が起きる。
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Posted by ブクログ
今、中学生の子どもと暮らしている。赤ちゃんの頃から一緒に生活をし、一緒に思い出を作ってきたはずなのに、子どもが何を考え何に悩んでいるのかはわからない。親失格なのかもしれないが、それが本心だ。子どもが私に見せる笑顔も伝えてくる言葉も、すべてが本心とは限らない。
何もわかってあげられないし、勝手にこの世に連れてきてしまったけれど、この世に産まれてきたことを少しでもよかったと思ってもらえたら、涙がでるほどうれしい。
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少年による無差別毒殺事件『木曜日の子ども』事件を中心に、翻弄される家族の話。
人間は弱いから、不完全なものに惹かれるのかなぁと考えたりした。
1日を無事に終えた兵士は逆に安心して眠ることができない。静かで、清潔で、絵に描いたように幸せな街に暮らしても、どこか不気味さを感じる。
私たちは完全なものを手にしても、それが失われる恐怖に常に迫られる。
だからこそ私たちは、その恐怖が現実になる確率を下げて、不完全なものにすがって、「自分は大丈夫」と思いたいのかもしれない。
重松清さんの作品はもともと大好きで読んでいたけど、この作品はいつものような、リアルでどこか温かい親子の物語にとどまらない。ミステリーの要素が掛け合わされた良作だと思ったから、(このアプリ上でしかないけど)評価が意外と低くてびっくりした。
確かにラスト、というか犯人の言いたかったことは明確に書かれていなくて回りくどく感じる読者も多いかもしれない。
でもこれこそが作者の伝えたいことでもあるように思う。
人はみんなわからないものに対して不安を抱き、どうにか理解しようとする。意味づけをしたり意図を知ること、あるいは「狂気」とラベルをつけることで安心したがる。でもそれは自己満足であって、決して本当の意味の理解ではない。そういうことではないだろうか。
読んでよかった作品。
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2022.10.16
ノンフィクションと言われても納得いく
このリアリティーさ。
死にたいわけじゃないけど死んだっていい。
世界ってなに、命ってなに、親子ってなに
きっとだれもが考えたことのあること。
それでも答えの出ないこと。
答えが出ない不安をいつも紛らせている。
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真綿で首を絞められる、という表現がぴったりな作品。
読んでいる間は常に不安感に襲われ、どこにも逃げ場がないような
ジワジワと追い詰められていくような気持ちを存分に味わうことができます。
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重松清さんといえば家族物が多い。
今回はちょっと違ったミステリーっぽい感じだった。
引き込まれてすぐに読み終わった。
最後は悲しいけど温かな感じでうるっと来る。
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面白かったぁ。
晴彦には何かある、何か変だとずっと思いながら読んでいくんだけど、なかなか本質がわからない。
後半、ついに第二の事件が起こり、そこからは怒涛の展開。一気読みだった。
これはこの先いい方向に進むのか?希望の見えるラストのようだが、いやいや絶対うまくいかないでしょうと思ってしまった。
それにしても、みんなカプセルを水なしで飲めるのすごいな。のどに貼り付かないの?
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重松清といえば『とんび』『流星ワゴン』など家族愛をテーマに描いた小説で人気ある作家だが、暴力や殺人もテーマにした『疾走』のようなダーク重松とも呼べる作品がある。
この『木曜日の子ども』も賛否両論あるような非常に暗い作品だった。
主人公は子連れの女性と結婚し、中2男子の父親になった中年男性。新居を構えた場所は、7年前に中学生が給食に毒物を混入させ、同級生複数を毒殺した事件のあった街であり、その中学校に息子が転入するところから事件が呼び覚まされる‥息子がその時の犯人に似てると噂になり‥中学2年生、14歳という微妙な年齢は子供でなく、身体も大きくなり、場合によってはモンスター化してしまう。子供のコミニュティに親が口出すことなんて不可能だ。無力感しかない。再婚して急に父親となった主人公に感情移入して、何ともやるせなかった。
架空の事件ではあるが、給食に毒物を盛るという話には、和歌山カレー異物混入事件を思い出してしまった。給食とかお祭りの飲食物って、性善説で口にするから、場合によってはめちゃくちゃ怖いよなぁ‥
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久しぶりに小説がするする読めた。
幸せと、嘘と、理解と、不安。
おとなと子ども、家族の関係。
そんなものが詰め込まれた小説だった。他のレビューにもある通りストーリーの細部で気になるところはあるけど、テーマとしてかなりまとまってたんじゃないかな。
「でも、幸せって、なんか、すごい、嘘ですよね。僕、そう思いますよ。嘘ついてるもん、そういうの」
テンプレ通りの「幸せのかたち」を演者としてなぞっていれば、表面上は幸せに見える。お母さんのように、その「幸せ芝居」の演目に気づかず、舞台にいること自体を幸せに感じる人もいる。
それに疑問を抱いたお義父さん。
演者が幸せ芝居から外れた行動を取ろうとしている。夢(=嘘=幸せ)から覚めたら、どうなるか?
そこに突きつけられる現実。
人は、他人を100%わかることはできないという事実。「一つのことがわかるなと引き替えに、また別のことがわからなくなる。一つの不安が消えるのと同時に、また新しい不安が生まれてくる。それを永遠に繰り返すしかない。」
それなのに、子どものことをすべてわかろうとする。なぜなら、子どものことが怖いからだ。だから、安心したい。子どもなら、悩みも苦しみもお見通しなんだと思いたい。
そして、それは臆病で、ずるいことだ。
幸せ芝居をやめるなら、子どもへの恐怖と向き合わなければいけない。
物語に通底するスローガン。〈心が見えているか/心を見せているか〉
「ああそうか、と気づいた。晴彦の完璧なつくりものの笑顔などを責める資格など、私にはなかった。私だって、ほんとうの笑顔など、一度も晴彦に見せたことはなかったのだ」
恐怖と向き合い、相手を完全に理解できないという前提のもと、自分を見せて、相手を見て。そうやって見かけだけの幸せ芝居・仮面家族ではなく、家族になっていく。
いいテーマだった。
自分の子どもができて大きくなってきたときに読み返したい。
Posted by ブクログ
人間の深淵。。。
死ねば聖者
生き残れば神さま
んなわけあるかい
父頑張った。
私だったらきっと思考停止。
覚悟
人は生きてる間ずっとぐだぐだするんだよっ!
私はそちら側にはきっと行けませぬ
Posted by ブクログ
◾️サマリー
・旭ヶ丘の中学校で起きたワルキューレ毒殺事件
・容疑者は当時中学2年生の男子生徒、上田裕太郎
・7年後、また旭ヶ丘で事件が起きる
◾️所感
いつも心温まる小説を書かれる重松さんのダークな作品。
血の繋がりがない親子であっても、子どもが道を踏み外そうとした時、自分は全力で助けられるのだろうかと自問自答した。
親とは、父とは、子どもとは、社会とは、自殺とは、殺人とは、…いろいろな角度から自分の立ち位置を重ねながら読んだ。
イジメ、自殺…荒んだ今の世の中をギュッと詰め込んだこの小説はとても暗い内容ではあるが、自分たちがその暗い場所に身を置く可能性がゼロではないんだよ、対岸の火事ではないんだよという筆者のメッセージを受け取りました。 貸
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大人は子供がする行動に意味を求めようとするけどそこに意味がないことのほうがほとんどだと、中学生と接することが多い仕事に就いている自分はそうだと思いながら読み進めた。サクサク読みやすかった
Posted by ブクログ
少し長めだけどテンポ感も良くてすぐに読めた。
今まで読んできた重松清作品とは一味違う作風だったかな、と思う。だけど好きで読みやすいのは変わらない。
後半、ウエダサマ、聖者、神、等が出てきたところからすごいわかりづらくなったので星4にした。
(私の理解力の問題かもしれない)
上田と高木は世界を終わらせたかった、全人類を滅亡させることはできないけど周りの人間を殺すことで自分から見える世界が一変することに気が付きそれを実行した。それと同時に、なぜクラスメートを無差別に殺したのか、〝分からない”状態にすることで周囲の人(特に大人達)を怖がらせ、一部の人間から崇拝されるようになった。彼らは自分の命を人質にとることは最強の手札になりうると悟り主人公を貶め、ワルキューレのカプセルが混ざった瓶を使って運試しをすることで、自分たちが神となれる存在なのか試そうとした。ここで運試しに負けたものは聖者に、買ったものはウエダサマ同等神になれる。
以上が私の解釈だが、合ってるのだろうか?
この小説の解釈に答えなどなく、分からないままにしておくのが良いのかもしれないが。
Posted by ブクログ
恐ろしい犯罪を犯してしまう子どもも、親からしたら「うちの子が一体どうして」と思うことがほとんどかもしれない。
幼少期の辛い記憶は大きくなってから幸せな体験で覆ってやることはできるのだろうか。
もし、自分の子どもだったら支えて包み込んでやれるだろうか。
読んでいる途中で恐ろしい気持ちになったが、最後まで読み終えた。
心地よい読後感に包まれることはなかったが、親としての覚悟を持っているか試されたような気持ちになった。
Posted by ブクログ
読みやすく一気に完読。
この子たちの言う世界の終わりの定義が
イマイチ分からなかったけれど、
『命を捨てたいわけじゃない。誰だって自分の命がなくなるなんて嫌ですよ、せっかく産まれてきたんですから。でも、明日をどうしても迎えたくないと思ったら‥‥』
ってとこには 激しく共感。
そうなんだよね。そう思うんだよね。もうそれしか考えれなくなるよね。
Posted by ブクログ
重松清さんの本は何冊か読んだことがあるけど、ヒューマンドラマみたいなのが多くてこういうミステリーみたいなのは初めて読んだと思う。少し奇妙で不気味さがあって次が読みたくなる。木曜日の子供の歌があることを改めて知って展開に最後までドキドキした。新鮮でなかなか面白いと思った。
重松さんの作品を読むと元気をもらうことも多く読んできた。いじめや過去の親との確執などをテーマにした作品も多く、中学受験にもよく出題されるようだ。
こんなサスベンス的な作品を書くんだと驚き。
学校給食での大量殺人から7年、新たな殺人が起こる。日常生活の中に不気味さガンダム潜み、全体的に面白かった。ただ最後にの展開は、ちょっと物足りないかな。
Posted by ブクログ
全く感情移入できなかったが、カッコ悪い泥臭い真実の姿が本当の心に訴えかけるのかもしれないと思った。
このような作品を書き上げる筆力はすごいと思う。
Posted by ブクログ
『お母さんを悲しませたら殺しますよ。』
コロシマスヨ。とてもゾッとした。
血縁関係があろうがなかろうが、親と子に信頼関係を結ぶことは非常に困難だ。
全力で本音が言える人間関係なんてあるのか。
私はないと思う。
家庭や職場であったり恋人、友人その関係性によって差はあるが、100%で相対することはできない。
他者の心境などわからない。
だから、努力する。
97年に起きた神戸連続児童殺傷事件を彷彿とさせる作品でした。
Posted by ブクログ
表紙からして明るい内容ではないと思っていたけど、ずっと暗いし、主人公(父親)や大人たちが子どもに振り回されてばかりでモヤモヤした。
再婚相手の連れ子(晴彦14歳)と父親が気を遣いすぎてギクシャクしている。本当は母親がしっかりしなきゃダメだろうけど、ポンコツで役に立たない。
なんで主人公ばっかりが気を遣っているのかが気になった。そんなに気を遣う相手なら再婚しなきゃいいのに…。他人を辛そうだったから助けたかったなんて偽善者。
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●内容は暗いけど、
印象的な表現はたくさんあった。
↓↓↓
「知る」というのは残酷なものだ。
知ってしまうと、もう「信じる」ことができなくなってしまう。
死ぬつもりだった、訳ではなく、
終わりたかっただけ。
命を捨てたいわけじゃない。
わからないままの不安な状態に耐えきれないから、なんとかして、わかりたいと思う。
一つのことがわかるのと引き替えに、
また別のことがわからなくなる。
自分が安心したい『わかりたい』と、
相手と共感を持ちたい『わかりたい』は違う。
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自殺したい人の心理って、そういう感じなのかなと思った。死にたい訳じゃなく、世界を終わりにしたいから死ぬしかない…重いなぁ。
そもそも人間が生まれる前から世界がある訳だから、そう都合よく終わらないだろう。
主犯の上田は"神"ではなく典型的な"中二病"。
■余談
『木曜日の子ども』⇒旭ヶ丘中学校
『黒い糸』⇒旭ヶ丘小学校
…旭ヶ丘って使いやすい地名なんだろうか?
Posted by ブクログ
前半はめちゃくちゃ面白かった!どんどんストーリーに惹き込まれた。その分後半が残念やった、、
重松清ちょっと苦手意識あったけど、解消されたかも。
Posted by ブクログ
最初から得体の知れない恐怖みたいな、
もやもやしたものがあって
どうなっていくんだろうとサクサク読めた。
だけど、最後ついていけなかった…。
内藤先生に手紙出したのなんだったの?
あんなにお母さん思いの子なんだから、
お母さん登場してほしかった気もする。
Posted by ブクログ
うーん、楽しく読めましたが共感ができないというが本音です。
ミステリーだから共感する必要はないのですが、ここまで狂ってしまう人も大変だと思いつつ、スリルがあまりなくて、本当に奴らと息子がつながっていたんだという物語が安っぽく感じた。
Posted by ブクログ
7年前クラスメイトに毒を飲ませて大事件を起こした犯人が住んでいた街に引っ越してきた主人公家族。
主人公には血の繋がってない中学生の息子がおり、
その息子の様子もどこか不気味。
そんな時にその犯人が娑婆に出てきてこの街に帰ってきたかもしれないという噂が広まり—
新しい思想を吸収できた様な気がする。
Posted by ブクログ
あ〜もう世界が滅んでくれたらいいのにな。
と思ったことは数知れず。
だけど実際には毎日を何とか生きて、一喜一憂しながら大人になりました。
辛い経験を積んでしまった子どもたちが見ている、失望という名の景色に、大人になった今、どれだけ気付けているだろうかと考えさせられました。
万人から好かれる人などはいないから、だからこそ大切に思う人からは好かれたいし守りたい。
Posted by ブクログ
2023/1/16
少年事件のあった街へ引っ越すと、義理の息子がその犯人と見間違われる。
そして不穏な出来事が続く...
確かに少年事件が起こると
「なぜこんな事件を起こしたのか」
動機がすごく気になってしまうよね。
とにかく題材が好き。そして大好きな重松清作品。
だけど...自分の読みたいものとは違った。
大事件は起きなくていいから、重松清お得意の心の機微で読ませて欲しかった。
これはただのわたしの好み。
自分の世界を終わらせるためには、殺したい相手を殺すか、自分が死ぬしかない。
Posted by ブクログ
何においても物事の動機は誰にも分からないということ。99%はわかっても最後の1%は絶対にわからない。家族でも子供でも全てを分かり合えることはできない。
なぜやったのかを知りたいのは、自分が安心したいから。子供のことをなんでも知っておきたいのは子供に対して優位に立って置きたいから。人間は他者の分からないことが怖いものだ。
その不安をわかってもわかっても、また次の不安が出てくる際限なく。その通りやと思いましたし、その不安を解決することなく何気なく紛らわせて生きている。
生きていて本音で話せないことの方が多いように思います。仮面を被らずありのままでいられるということは信頼があって出来ること。
考えさせられました。
展開のスピード感が良かったです。