角田光代のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
解説にあった「本そのものの魅力がつまった本」というのがしっくりくる短編集だった。
どの話にも、本がただの「物」ではなく、その人の記憶や人生、誰かとの関係と強く結びついている。
本は必要なときに巡り合ったり、人と人を繋いだり、ときには誰かを変えるきっかけにもなる。
そんな本好きなら思わず「あるある」と頷いてしまう不思議な力が、静かに描かれていた。
特別大きな感動がある作品というより、本好き同士で読書についておしゃべりしたあとのような心地よさが残る1冊だった。
作中の人物たちや作者自身からも、「本が好き」という気持ちが自然に伝わってきて、読んでいて親しみを感じた。
あとがきを読むと、短編の主人公たちに作者自身の姿も重なって見えた。
数々の賞を受賞している作家でありながら、ひとりの読者として本を愛している感覚は、自分たちと変わらないんだなと少し身近に感じられた。
読み終えて改めて、「本っていいな」と思わせてくれる作品だった。 -
Posted by ブクログ
扉を開けるたび、誰かの「大切な記憶」に出会う
東京、大阪、上高地の3つの帝国ホテルを
舞台にした42のショートストーリー
母に教わった「バーの味」や
夫婦で訪れた憧れの上高地など
誰の人生にもある「特別な一日」や
「忘れられない光景」が
角田さんの手によって丁寧に
瑞々しく描かれている…
1話がわずか5ページという短編ながら
その一編一編が驚くほど濃密!!
幻想的な夢のような世界もあれば
現実の夫婦の何気ない会話にクスリと笑ったり
過去と現在を行き来する物語に
ふと涙がこぼれたり…
42編すべて趣向が異なり
角田光代さんの作家としての人を
見つめる眼差しが
とても温かくてほっこりしました…
ホテルという場所は、人生の交差点のようだ…
そこにはこれから始まる物語への期待や
過ぎ去った日々への慈しみが満ちている
ページをめくることは…
ホテルの部屋の扉を一つひとつ開けていくこと!
その向こう側で待っている誰かの喜びや
悲しみに触れるたび
自分の心の中にある「いつかの記憶」の扉も
そっと開いていくような感覚を覚えました♪
忙しい日常の中で
自分を見失いそうになったとき…
この本を開けば、いつでも「温かな記憶」が
待っていてくれる!
そんな安心感を与えてくれる
お守りのような作品でした♡ -
Posted by ブクログ
ネタバレどの情報を信じるのか。
その情報は真実なのか。
病院でおばさんの会話を鵜呑みにした飛馬、マクロビオティック料理を信じた不三子。
そのせいで2人共、大切なモノを無くしてしまう。代償が大き過ぎた。
情報に振り回されるのは昭和も平成も令和も変わっていない。戦時思想も口裂け女も反ワクもある意味、同じなのかもしれない。(ノストラダムスの大予言も信じてたなぁ。)
自分が信じて行って来た事は果たして良かった事なのか。家族が離れてしまって自問自答する不三子に、胸が苦しくなった。
情報が氾濫する今日、真実の見極めはより難しくなっている。冷静に考えて行動しないといけない、と感じた。