角田光代のレビュー一覧
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昭和期の都市伝説、世紀末ブームを経て、SNS経由で“ニュース”が広がる時代へ。何かを信じることと、信じたことを人に伝えることの間にある一線に鈍感であっていい時代などなかった。食、子育て、災害…迷いも決断も個人のものだけど、社会的責任は? 答えに詰まる作品。
理不尽な出来事の理由や意味が分からない不安から、信じたい現実を信じる。分かるけれど、クリスチャン的には、だからこそ信仰が必要、とも改めて思った。全てを制御できると考えず、すべきことをしたら人知を超えた存在に委ねる。どうにかできるという驕りを捨てないと、理不尽な世界で絶望せずに生きることは難しい。 -
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ネタバレ2000年問題、地球滅亡、コロナのワクチン問題など我々はどの時代も情報に踊らされる。そして、それら情報に絶対はない。しかし、そんなわけないこともない。
「絶対そうだ」や「そんなわけない」と情報の表面だけをみてすぐに信じたり切り捨てるのではなく、そうかもしれないと情報の中身に目を向ける必要がある。
我々はどんなことでも物語や経緯がないと動くことができない。人に人の物語があり、あらゆることに物語を作ろうとする。そして、自分で作った物語を盲目的に信じようとする。しかし、他人の物語にはつい切り捨てがちで信じしようとしない。
物語は合っていることもあれば間違っていることもある。
だからこそ、自分で作った -
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表紙の猫の絵を見て買わずにいられましょうか。その昔飼っていた猫にそっくり。
猫が心配な気持ち、わかります。猫が人に懐かないというのも嘘だと思っています。わが家も隣家に餌やりを頼んで旅行に出かけたとき、家の裏の道に差しかかったらウチの猫が「ミャーミャーミャーミャー」鳴いて塀の上を走ってきました。隣家の人曰く、わが家の留守中、ウチの猫の姿は一度も見なかったそうです。
世界中でいちばん可愛い猫だと思っていたから、あの猫が死んでしまってから何も飼えずにいます。
ちなみに頁を開いて出てくる猫は、表紙ほど可愛くはありません(笑)。でもやっぱり猫が好き。 -
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ネタバレなるほど、想ってたより昔の本なのか
1999年出版と聞くととても納得できる物語。
文章は読みやすいし、テーマも悪くない。角田光代別の作品も読んでみよう。
うわべの自分の存在に気づき、自身の本質と向き合おうとする主人公を描くのがおそらく主題。
あんまり納得のいかないことも多い。主人公はすぐマリコを諦めるし、あまりにも口下手。
あと登場人物が揃いも揃ってやなやつすぎる。こんなに他人って冷たいかね。
主人公も旅人だけど、本質的には旅に酔っていないことがわかるのは好き。旅人は旅人然としていることが多いし、それってすごく鼻につく。自身を振り返る。過去の栄光?に縋って生きている人間はあまりにも多い。
マリ -
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[私たちは知らない。ただしいはずの真実が、覆ることもあれば、消えることも、にせものだと暴露されることもある。それだけではない、人のいのちを奪うことも、人に人のいのちを奪わせることも、あり得る。]
[自分が大人になるまでに、ポケットベルができて携帯電話ができてパソコンができて今はみんながスマホを持っている。あのころには考えられなかったスピードで他人とやりとりできるようになった。これほど大きく世界が変わっているのに、なぜ、見知らぬ人とかかわりたいという気持ちは変わらずあるのだろう。もしかしたら、こんなふうに幼稚な罵雑言があふれかえるところを見ると、見知らぬ人に向けた悪意や憎悪や、名もないネガティ -
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ネタバレ源氏物語中巻。光君も年を取ってきて、若い玉鬘や三の宮に疎ましがられているのはなんだか物悲しい。そんなことを言っている間に紫の上が亡くなり、悲しみのうちに光君も死んでしまうのだが…。しかし夕霧はいままで真面目で幼馴染の妻を大事にしていたのに、親友の遺した妻に見苦しくつきまとって外堀を埋めるようにして自分のものにしてしまうのがすごく不愉快でびっくりした。しかもこのパートが長くてうんざりする(笑)。
上巻のように光君が好き勝手するという話ではなくて思い通りにいかないことばかりで、角田光代さんがあとがきで書いているように「人」の物語になったように感じる。いっそう生々しい物思いをどっさり読むことになって -
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常に不穏な空気が漂いざらざらした気持ちにさせられる。そして闇が迫って来るような焦燥感、恐怖感がひしひしと伝わってくると同時にどこか切なさと優しさを感じる不思議な作品。
一見独立したホラー風の短編8篇は「目に見えない糸」で繋がり、一つの壮大な物語として構成されているのに驚かされる。
1話目の「おみちゆき」が土俗的な物語の源流であり、何かの共通のキーワードが時代を経て現代へとその業、因果がバトンタッチれていく。
本書を読んで感じたのは、根底にあるのは日本が貧しかった時代に食うに困り自分達の暮らしを守るために「命の選別、切り捨て」を行ってきた社会の闇だ。
そして主人公たちは気付く、自分も誰かの犠牲 -
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マイナスな感情を言語化した本は読むことがあまりないので、途中負の感情がまじまじと言語化されていてゾクゾクした。
総じて言えるのは、人は人、自分は自分でありそこは境界線を引かなければ自分自身が一番苦しむということ。そして絶望するような失敗があったとしても、日常はごく普通に続いていき、その失敗は生きていれば、なんともないと思える瞬間に巡り合わせるということ。
母親の物語であり、まだ親になったことがないが、子どもの人生と自分の人生も、しっかりと切り分けていかなければ、過度な期待や思い通りに動いてくれない子どもに苛立ってしまい、子どもを苦しませることになるということを肝に銘じなければならないと思っ