角田光代のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2017年 映画化
作者は過去のインタビューで「執筆中は登場人物全員が嫌いで、自分の人生に関わってほしくない人たちだった」と語っています。嫌な人を書く時も糾弾はせず、どこか自分にも同じ部分を見出して共感しつつも、距離をとって描いたと明かしています。
ここに登場するのは、自分の身近にいたら「ちょっと面倒くさい」人々。
男たちに次々に寄生する母親、定職につかずフラフラしてる息子、子ども時代に裸で男の子と遊んでいた女性‥
まっとうではない人物を描きながら、作品全体をおおっている文学性。リアルな内面描写は見事です。だから、登場人物に共感はできないけど惹き込まれ、ページが進みました。そこが角田さん -
Posted by ブクログ
ネタバレ星3.5
『タラント』という言葉の意味は物語の後半になってようやく出てくるがどこか掴みきれない感覚を持ちつつ読み進める。
物語のテーマはとても深く、祖父・清美の戦争体験や足を失ったこと、義足と共に生きる苦しさが描かれている。清美の心情には胸が締めつけられ、切なくて涙が出る場面が多かった。
主人公のみのりも、大学進学で上京したものの思うように馴染めず、そんな中で出会ったサークル活動にのめり込んでいく。ボランティア活動を通して難民キャンプを訪れ、これまで知らなかった現実や情景を目の当たりにする。
何か役に立ちたいと思うが故にみのりがやってしまった事に対する後悔だったり自分に対して失望する感じが -
Posted by ブクログ
主人公が新しく行動を始めることで、性格も物事の捉え方も目まぐるしく変わっていく姿が好きでした。
「しゃべることは気持ちいいのだ。義母のことも、夫の不用意な発言も、口に出せば喜劇性を帯び、すぐに忘れられる。言わずに溜め込むと、些細なことが途端に重い意味をもち、悲劇性と深刻味を帯びる。」
この言葉をみて、チャーリーチャップリンの名言「人生は近くで見ると悲劇だが、遠くから見れば喜劇だ」という言葉を思い出しました。
話すことで、第三者的な視点で自分を捉えるようになることで、喜劇性を帯び、気持ちが良くなるのかもしれません。
辛くなった時に、思い出したい言葉をまた一つ見つけることができました。 -
Posted by ブクログ
何かの対談で西加奈子さんが取り上げられていて、角田光代さんの本なら間違いないはずと購入。
物書きという職業や昭和から平成の激動の時代を背景に、主人公の気持ちの移り変わり、成長していく様子を描いている話だった。
個人的に入り込みにくいテーマだったからかゆっくりペースで読んだ。仙太郎や母親の発言や毎回真に受ける和歌にはイライラしたり、まぁそういう考えの人もいるのかと思ったり、同時に自分が言われた気持ちにもなり、色々考えさせられた。
クリエイター的な仕事に就いている方や、近しい間柄の人間に対して漠然と大きな不満はあるものの、複雑な事情によりそう簡単に離れることはできない、みたいな状況の人に合う -
Posted by ブクログ
解説にあった「本そのものの魅力がつまった本」というのがしっくりくる短編集だった。
どの話にも、本がただの「物」ではなく、その人の記憶や人生、誰かとの関係と強く結びついている。
本は必要なときに巡り合ったり、人と人を繋いだり、ときには誰かを変えるきっかけにもなる。
そんな本好きなら思わず「あるある」と頷いてしまう不思議な力が、静かに描かれていた。
特別大きな感動がある作品というより、本好き同士で読書についておしゃべりしたあとのような心地よさが残る1冊だった。
作中の人物たちや作者自身からも、「本が好き」という気持ちが自然に伝わってきて、読んでいて親しみを感じた。
あとがきを読むと、短編の主