養老孟司のレビュー一覧
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ネタバレ世間の内側にいたい伊集院光と世間の外側にいることに抵抗がない養老孟司が、「世間」をキーワードにして対談した内容をまとめた本。世間の内と外の話から都市と自然の話に発展したり、AIの話になっていたり、あまり縛りなく様々な話をしている。
伊集院さんのことを全然知らず、深夜ラジオで下ネタを言っているイメージしかなかった(友達からそう聞いたので・・・)。だから伊集院さんと養老先生が対談するって、何がどうなったらその二人がくっつくんだと気になって購入した。実際読んでみると、伊集院さんがとても論理的に物事を分析していることに驚いた。
会社の研修を受けていると、世間の内に内にと閉じ込められる感があってとても息苦しい。今まで私は自分が世間から外れていると思ったことはないけれど、世間というものが狭くなったら外に出たくなるのかもしれない。耐えられなくなったら養老先生の助言の通りいったん外に出てみようと思う。そして伊集院さんのいうように、ぎりぎり世間の内側に、あるいは塀の上にでも戻れれば良し。 -
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最近新書を読んでいないな、と思い、書店に並んでいるものの中から気になるものを買ってみた。
対談集なので、テーマが分散しているものの、幅広いジャンルでの気づきが持ててよかった。
死期の迫った子供のエピソードは、悲しくなった。
成熟は共感力。本来なら成長しながら少しずつ身に付けるのに、急速に「聞き分けのいい子」になってしまうというもの。
子どもの自殺が多い理由を「幸せな瞬間が未来に回されるばかり」としているのは、そうかもしれないと思った。
そればかりではないだろうけど、「幸せ」を実感できないと、将来に待ち受けるものに対していいイメージは持てないと思う。
「子どもは人材ではない、人間である」の言葉は、『エッセンシャル思考』の「遊びそれ自体が本質的」を思い出した。 -
Posted by ブクログ
対談形式の本で個人的には楽しめた。
文系の壁というタイトルではあるが、文系と理系で人間が二分されるのではなく、個人が理解する範囲の差で性質の違った人間となるのかなと思った。
自分は工学の人間なので物事の前提を気にしなきゃいけないんだけどもこれがなかなか難しい。それに完全に再現性がなきゃいけないと思ってたけども、生物とか複雑なものを扱っていくにつれて100%ではなく80%の再現性にどうしてもなってしまうものもあるよなあ。その場合、前提に気をつけなきゃ次にその研究結果を利用するときにうまくいかなくなってしまう。
認識を正していくには、本書でも述べられている通り、フィールド系と実験系など新しい分け方が必要かも。
まあ、個人的に面白かったのはこの本の評価でさえ、色々なことを感じる人もいれば理解できない人もいるということ。考える力は人それぞれだねえ。 -
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よそのお宅の猫を覗かしてもらえる番組
「NHKネコメンタリー 猫も、杓子も。」の本です。
夫が養老先生のお宅に行くと まるが居て
邪魔だったよ。とチロじゃなかったの?
と聞くと、ウーン?ドスンと座ってたけど?
それに、わざと邪魔な所に居るんだよ。
またいで、通ってたんだよ。と
嫌われていたのかしら?
自分の思い出になってしまった猫たちを重ねて見てしまいます。
猫の下僕となった人間も、そうなのよねー。
と共感してしまいます。
テレビで、いくちゃんとたまちゃん・カグラちゃん・大ちゃんと見てその下僕化した作家さん達を見てうふふと癒されてます。
この本が、何冊も続くと嬉しいんだけど。
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養老さんの本を読むと、アタマがほぐれてすっきりする。
いつも刺激をくれた橋本治さんがいない現実がつらい。
これは2018年の本だけど、コロナ禍の中、
すでに世の中はあちこちで煮詰まっていたことが分かる。
白か黒かの2択、あるいはゼロか1か、
個別の現実の事例を、統計を取り平均化して、データとして扱えるくらいにまでそぎ落とす。
一般化することで楽をして、分かったような気になっても、
そこから漏れた一般化できないものはなくなるわけではなく、理解しがたいものとして残り、
ときに表に出て日常を脅かす。
人の心の暗部であったり、自然災害であったり、今のコロナもそうだ。
コントロールできないものに出会って、分かりやすさだけで組み立てた頭には対応できない。
戦争が終わり教科書に墨を塗った経験、
虫を観察し多様性に向き合い変化を見つける経験、
信じられないものと信じられるものの基準が、養老さんの本を読んでいて信頼できるところ。 -
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がんの当事者、相談された側、治療する側の3者の随筆と対談。
柏木さんのがん体験を中心に、実際の治療の進み方や、
治療の在り方、人生観や死生観など、
地に足の着いた話が続いていろいろと参考になる。
がんは不治の病ではないが、ずっと様子を見ながら付き合っていく病。
私が自分の乳がんを治療していた時期のこと、
そして今現在、がんと闘っている友人のことなど思いながら読む。
痛みを押さえるモルヒネの使用が日本ではとても少ないというのも、
我慢することを美徳と考える気質が影響してるんだろうな。
QOLの向上も、迷いや不安も、口に出して求めていっていいし、
主治医やスタッフの方たちと信頼関係を作りながら、
ゆだねるところはちゃんとゆだねていく。
医師であっても、自分が実際にがんになればまた別というのも
この本の中で語られていて興味深かった。 -
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この対談本が面白いのは、上から目線の養老先生は本質を見失ったことも言っているのに、対談相手の竹村さんは本質を見抜いたコメントをされていることだ。
例えば、60ページで養老さんは、「自給率を高めることとフードマイレージを低く抑えることは必ずしもイコールではない」と述べている。環境・エネルギーの観点からは全く正しい。ところが、EUがそういう発想で各国で分担しているというのは、論理の飛躍だ。EUは幾重もの陸路と海路で繋がっているから、食糧安全保障の観点からも分担は正しい。しかし、日本は輸入=海路なので、コロナ禍のコンテナ不足のようにリダンダンシーの点で危うく、日本はEUとは違い、単独での自給率はやはり不可欠な指標だ。
第四章には、「水争い」をする必要がない日本の役割というタイトルがついているが、竹村さんは、東大の沖教授のバーチャルウォーターを取り上げて、日本が間接的には水の大輸入国であることや、水問題が地球温暖化の影響の目に見える事象であることを伝えている。つまり、日本は食料や材木の輸入という形で水争いに巻き込まれていることを示している。これは、まさに本質を見抜いている。 -
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タイトルから内容を想像して手に取り、果たして期待した通りの話。でも、2人の年配の男性が、自分たちが子供の頃はこうだった、あの頃はよかったが今は駄目だ、を延々と繰り返しているようにも思えて、本筋では共感しつつも、引いた目でバランスが良くないように思った。
一つ印象に残ったこと。今でこそ、森を守ろう、自然と共生しよう、といってもある程度共感される流れもできてきている。が、高度経済成長まっしぐらの日本で、森を守ろうと1人で国などを相手に闘ってきたニコルさんの日々の壮絶さは、ちょっと想像を超えていると思った。「鬼」と言われた、というのも肯ける。