養老孟司のレビュー一覧
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よく読むということは、とりもなおさず、なにを読まないでおくべきか判断するということだ。 読みすぎは逆効果というわけだ。
現代は意識優先の脳化社会すなわち情報化社会である。だから言葉をあまりに重要視しすぎるし、読みすぎてしまう。読みすぎてしまうから生きにくくなる。なぜなら、人間は意識ではないからである。意識がない時間は人生の3分の1以上あるのだから、意識は人間の一部に過ぎない。そこを履き違えて、意識だけが自分である、そして自分の本質は永遠に変化しえないのだという思い込みが自己を蝕むことになる。
いつまでたっても変わらないのは情報であって自分ではない。「万物は流転する」とヘラクレイトスはいった。しかし、万物は流転するという情報は流転していないのがその証拠だ。諸行無常、人間こそが変わっていくのだ。 -
Posted by ブクログ
まるで内容を覚えていませんが、読めば養老さん的アナロジーがよくわかると思います。
第二章以降、雑誌で連載していた、
800字~1000字くらいなのかな、
短い時事のエッセイをまとめた本でした。
そのくらいの分量ではたいしたことは
言えていないんだろうとお思いのあなた!
無駄のない主張にガツンとやられること請け合いです。
養老さんって文章が下手なのかなぁ、なんて思い、
さらに養老さんの理屈は屁理屈めいているなぁと、
これまで思っていたんだけれど、今回読んでみて、
それはアナロジーのせいだったんだなぁと、ほんのり理解した。
文と文のリンクの仕方が、どこか飛んでる感じなのも、
読みなおしたり、なれてきたりするとわかるようになります。
そういったところは独特なんでしょう。
内容もまえがきからしてやられてしまいます。
「巧言令色鮮仁(こうげんれいしょくすくなしじん)」という孔子の
言葉が引きあいにだされて、「口でうまいことを言うヤツなんて、信用できないよ」
という意味だと語られる。
痛いところですね。
文章がうまくなりたいとか、もっといろいろしゃべれるようになりたいとか
常日頃考えていますが、そういうのは人として枝葉末節な部分で、
大事にすべきところではないのだなぁ。とはいえ、プロの人とかは、
そういった枝の部分も、考えや独創性などの幹の部分も
しっかりしていたりするんだろう。
言葉を使った表現力って、なんぞや?って思ってしまいますね。
日本におけるユング派心理療法のパイオニアで文化庁長官も務められた
故・河合隼雄さんが、まじめになると「私はウソしかいいません」と
きっぱりと言われたという話も載っています。
「ウソしかいわない」というのは、じゃ、その発言はウソなのか本当なのかという
矛盾を含んだものですが、だから河合さんは、言葉なんてその程度のものですよ、
みたいなことを言っておられたということらしいんです。
ここでも、小手先の言葉じゃなくて、人としての幹を育てることの
大事さを感じさせられます。
まえがきでも十分勉強になるのに、他にもいろいろなエッセイが盛りだくさん。
簡潔で平易な物言いなのに、深みがあって、
知識人で識者の養老さんと対話しているような読書感覚を覚えました。
とはいっても、読み手はあたりまえですがうなづくばかりですけどね。
でも、こうやって文章にすることで、アウトプットに頭を使っているのだから
少しはましなのかもしれないです。
こうやってブログを書くことにも、
あんまりサラサラっと書いてしまうのは
なんの経験にも、思索にもならないですね。
そこのところを頭の片隅に置きつつ、
自分の幹を鍛えることができるような記事を書けたらいいなぁ。
そうそう、日本が軍隊を持つことについての論説があるのですが、
そこで、国家としては武士道の精神が必要になるみたいなのがあるんです。
そこのところ、以前に読んだ北大の社会心理学者の山岸俊男さんの
『日本の「安心」はなぜ、消えたのか』の主張とぶつかるところだったのが
興味深かったですね。武士道を可にするも不可にするも、帯に短したすきに長しな
印象をうけるんですよねぇ。とはいえ、統治の論理である武士道は、
きたるべき信頼社会をもたらす商人の論理とは相いれないと言われています。
これは山岸さんの主張なんですがね。でも、そこのところ、ちょっと山岸さんの
話は精彩に欠いているようにも読めるのです。信頼社会の欧米だって、統治の論理に
属する「二枚舌」を使ったりするじゃないかって。
どうも、どちらにしても、なんでもありじゃいけないっていう風潮なんですが、
僕が育ってきた中で感じてきた自由というのが、
そもそもなんでもありなイメージだったりするんですよねぇ。
考え直せということなのか。
そんな、いろいろ考えさせられて、
内容をつぶさに覚えておきたくなるような本でした。
養老さんは今年で73歳。もっと長生きしてほしいですねー。 -
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環境、食料、エネルギーの諸問題の本質から考えてみる本です。
人類の歴史はエネルギー争奪史…。
そういうような視点から語られる、環境・食料・エネルギーについて
お二方と第六章ではもう一人神門善久さんという方をまじえて対談、
そして鼎談を繰り広げています。
なかなか気のつかない、問題の根っこの部分をこの人たちはよく
見据えているなぁという印象。教養が深いです。
現在の、先進国として確立されたかのように見える日本の行政の
穴が見えてきます。穴だらけです。そうなのか、まだまだ完成されきっていない
のだな、この国は、そして世界は、ということが見えてくるし、
アメリカでも今後を見据えていない感じも見えてくる。
これから給付される、国民一人当たり1万2,000円の援助金についても、
この本がでたときにはそんな案がありませんでしたが、
偶然にも似たような発想がでてきていて、
そのお金の使い方によって、排ガスなどを撒き散らすことになって、
環境に悪影響だという論調も見られます。
こういう本こそ、新聞ばかりみていたのではわからない知識を得るのに
もってこいのもの、そして、頭を鍛えられたり、ぐっと帯を締めなおす気分に
させてもらえるものです。
といっても、記憶力悪いから、すぐ内容を忘れちゃうんだろうなぁ。
車のディーラーでこの本を読んでいて、「渡良瀬」という土地についての
くだりがあったのですが、店内で丁度、松浦亜弥の「渡良瀬橋」が流れました。
う~ん、シンクロニシティ。 -
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ネタバレ「養老孟司の<逆さメガネ>」3
著者 養老孟司
出版 PHP新書
p77より引用
“あの頃、そういう風潮に乗った人たちは、
反省してるんですかね。”
解剖学者である著者による、
世の中を視点を変えて見てみるための教育論を記した一冊。
ヒゲボソゾウムシと百円玉から脳に対する入出力まで、
著者の実体験から得られた考えが数多く書かれています。
上記の引用は、
90年代初めから半ば頃のオカルト流行についての一文。
ここ最近のTV番組等を見ていても、
まぁ反省などしていないんだろうなと思わざるを得ません。
p39の後ろから3行目以降の記述を読むと、
結局生きるためには辛抱強さが何よりも大切なんだなと思います。
予測不能の状況を前にして、
どんな結果が出るかわからずとも努力し、
失敗しても辛抱し、
なんとかかんとか切り抜けて行かなければならない。
こうして文章にするだけならなんとも簡単なんですが・・・。
著者のその他の著作で書かれる主張が、
この本でも繰り返し書かれているので、
ファンならばその考えを深めるには良い一冊です。
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ネタバレ[ 内容 ]
「世の中おかしくなった」と誰もがいう。
教育の荒廃、凶悪犯罪、環境破壊、金銭汚職…。
ことあるごとに「誰かのせい」がはじまる。
政治家が、役人が、教師が、そして会社が悪い。
そうじゃない!
あなた自身の見方・考え方がまちがっているのだ。
「都市こそ進歩」「個性は心にある」「バリア・フリーの社会を」…。
現代人のその価値観は、大きな錯覚である。
本書では、「都市主義」「脳化社会」のゆがみを鋭く指摘。
これまでの常識にしばられず、本質を見抜けるか。
養老流の“逆さメガネ”を披露。
[ 目次 ]
第1章 現代人の大きな錯覚―“逆さメガネ”の教育論
第2章 都市化社会と村社会―脳化社会の問題
第3章 身体感覚を忘れた日本人―都市化と身体
第4章 大人の都合と子どもの教育―問題は親にあり
第5章 変わる自分、変わらない自分―心と身体の関係
第6章 人間が幸福にならない脳化社会―意識的世界の限界
第7章 ふつうの人が幸福に暮らせる社会―共同体を生きる
エピローグ 男と女は平等か―人間を分割してしまうもの
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
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「寄り道して考える」3
著者 養老孟司、森毅
出版 PHP文庫
p72より引用
“人にはそれぞれ、いろいろな考え方、行動があるということを
前提にしていれば、いじめなどは起こらないような気がします。”
解剖学者と数学者である著者二人による、
対談をまとめた一冊。
著者達の戦中戦後の体験から、
現在の世の中の出来事までを語りあわれています。
上記の引用は、
みんな同じでなければならないと言う意識と題された項の、
現在のいじめに対しての一言。
大勢の人間達と少し違う所を目ざとく見つけ、
そこを取り掛かりにしていじめが始まる。
少し違う所位、
そっとしておいてあげればいいのにと思いますが・・・。
しかし、
許容や寛容の心などというものは、
大人になっていてもなかなか身に付けにくいので、
子供たちにそれを求めるのは酷かもしれません。
視点を変えて世の中を見たい方に。
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