青崎有吾のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
このシリーズの第1巻を、著者サイン入り本プレゼント企画でいただいてから読み始めた。4年ぶりの第3巻。
首から下を奪われた不老不死の少女・輪堂鴉夜と、鬼の血を混ぜられて半分鬼になった男・真打津軽。そして鴉夜に仕えるメイドの馳井静句。
奪われた体を取り戻すべく、三人は「怪物事件専門の探偵」として、19世紀のヨーロッパに渡る。通称「鳥籠使い」。体を奪ったのは、あのモリアーティ教授とその一味。彼らの目的は、各地の怪物の体を集め、切り裂きジャックと融合させて新たな怪物を作り出すこと。今回は「人狼」を探してドイツへ。人狼が住むという村は何処に?
今巻ではホームズとワトソンは少しだけの登場だが、ロイズの怪物根絶を目指すエージェントたちは大暴れするが…。
いろんな有名人(?)を登場させすぎのきらいはあるが、気楽に読めて面白い。若い人向けのエンターテインメント路線のレーベルから出版されているが、見取り図とか入れてあり、これは「本格ミステリー」なんだと主張しているかのように思えた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ☆「その爪先を彩る赤」(武田綾乃)
生徒会でこき使われてるボクっ娘が、多重人格と言い張る理事長の娘とともに、演劇部の小道具(赤い靴)盗難事件の謎を追う。
☆「東雲高校文芸部の崩壊と殺人」(斜線堂有紀)
文芸部の部室で部員が殺された謎を、奇人の部長が解く。ほのぼの系が多い中で、オチの付け方など、かなり異質。
☆「黒塗り楽譜と転校生」(辻堂ゆめ)
合唱コンクール用の楽譜が黒塗りにされた理由を、語り手の少女の、幼馴染である変わり者の男子が解く。リア充滅せよ。
☆「願わくば海の底で」(額賀澪)
これもトーンが重い。3.11で消息を断った祖父の足跡を追う青年を、手伝うことになった語り手。彼の美術部での先輩もまた、震災で行方不明となっていた……。これミステリになるのかな、と思ってると。
☆「あるいは紙の」(青崎有吾)
裏染天馬シリーズのスピンオフ。本来ブレーキ役の新聞部副部長が、彼なりに探偵役を務める。このシリーズ食わず嫌いで読んでなかったけど、読んでみようかな。
以上5作。学園モノだからか、探偵役のキャラが濃い話が多い。そのせいでシリーズ物の第一話みたいだな、と感じた。実際にシリーズ物なのは、「あるいは紙の」だけのようだが、案外このキャラで別の話が書かれるかも知れない。 -
Posted by ブクログ
五人の作家達が、高校生の青春をテーマにしたミステリーです。
初めてアンソロジーという作品を読みましたが、それぞれの作家さんの色が出ていて、面白かったです。今までの作品から出てくる雰囲気や構成が滲みながらも短編に仕上がっていて、1つで5つの味を味わえました。
「その爪先を彩る赤」 武田綾乃
演劇部で使われていた赤い靴が行方不明。果たして何処へいたか?
主に女子高生を中心に描いていて、生き生きとした表現にアニメを見ているような雰囲気や元気さが伝わってきました。
「東雲高校文芸部の崩壊と殺人」 斜線堂有紀
軽度な犯罪かと思いきや、殺人事件が発生。果たして犯人は?
サスペンスを得意としている斜線堂さん。ガッツリと本格的で、短編集ながらもドンデン返しや高校生たちの繊細な心理描写が描かれていて、満腹感がありました。
「黒塗り楽譜と高校生」辻堂ゆめ
合唱の練習中、途中の譜面から黒塗りになっているのを発見。果たして誰がやったのか?
伏線の回収が絶妙な辻堂さん。今回も何気ない行動が、後に大きな意味を持っていることに実力発揮されている印象でした。「負」の状況になりながらも、前に明るく踏み出そうとしている表現や雰囲気が良かったです。
「願わくば海の底で」 額賀澪
東日本大震災から5年後。あの日の祖父の足取りが知りたいという三浦。色んな所で証言を聞いていると、ある隠された事実が見えてきます。
この作品の中では印象深くて、心に刺さり、さらに重い気持ちながらも良かった作品でした。登場人物の心理描写が丁寧で、思いの丈をぶちまけるシーンが読者の心を揺さぶりました。
「あるいは紙の」 青崎有吾
最近何度か見かける高校内での吸殻。誰が吸っているのか、あの探偵が登場します。
「〜の殺人」シリーズの裏染天馬の推理が華麗で、披露する人は異なっていますが、着々と犯人に追い詰めていく過程が面白く、短編では短すぎる。もう少し読みたいと感じてしまいました。
一人一人の作者さんの特色が詰まった作品で、軽いものから重めな話まで面白かったです。 -
Posted by ブクログ
…
粒ぞろい、とはこのこと!
全5編、どれも楽しく読めました。だいたいアンソロジー読むとその中から気に入った作家さんのを見繕って2、3冊買ってしまうんだけど…さて…
「その爪先を彩る赤」武田綾乃
出ました百合ミステリ。あ、百合って部分ネタバレだけどいかにもな疑似餌だからそれくらい大丈夫だよね? 素敵なペアリング、そしてこのテーマもほんとうに放課後にしっくりきていて。開幕にばっちり。
「東雲高校文芸部の崩壊と殺人」斜線堂有紀
念願の斜線堂さん! 思っていたとおりというか、なんというか。文庫が…待てなく…なる…
「黒塗り楽譜と転校生」辻堂ゆめ
片想い探偵のひとね。もう少し上の年代だと思ってた…90年代すごいなー黄金世代か?
気持ちいい、短編。
「願わくば海の底で」額賀澪
いちばん重くて、その分いちばん印象に残った一編。甘酸っぱくて脳天気な放課後から始まる関係性というのが、ずっしりと響いてくる。使いかたである。
「あるいは紙の」青崎有吾
はいはい安定(笑
いやーこの冬は楽しい読書の冬になりそうで。もっと読みたいから☆4。勝手か。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ○ 総合評価
シリーズ2作目だが、1作目とはかなり雰囲気が異なっている。1作目は本格ミステリテイストの作品だったが、2作目は本格ミステリ的な要素は影を潜め、冒険小説的なエンターテインメント作品になっている。
アルセーヌ・ルパンと、ルパンが率いる「ファントム」──すなわちオペラ座の怪人チーム──が、80日間世界一周を成し遂げた男フィリアス・フォッグが所有している「最後から2番目の夜」というダイヤを盗むと予告する。
フォッグはダイヤを守るため、シャーロック・ホームズと輪堂鴉夜を探偵として雇う。さらに、保険機構ロイズの諮問警備部からエージェントが派遣される。
そして、モリアーティ教授が率いる「夜宴」のメンバーも、人狼を探し出す鍵である「最後から2番目の夜」を巡る争いに参加する。ルパン、ホームズ、輪堂鴉夜、ロイズ、夜宴──5つ巴の勢力による「最後から2番目の夜」を巡る争奪戦。かなり良質なエンターテインメントに仕上がっている。
物語は前半の「怪盗と探偵」、後半の「夜宴」に分かれている。前半は、タイトルどおりルパンとシャーロック・ホームズの知恵比べがメイン。真打津軽とルパンの小競り合いもあるが、基本的にはルパン対ホームズ。そしてこの対決は、本家「ルパン対ホームズ」のように、ホームズがルパンの噛ませ犬っぽい立ち位置になっている。ホームズは「最後から2番目の夜」が入った金庫を守るため、そのダイヤがある部屋の鍵を破壊。これがルパンの策略で、ルパンは水責めを仕掛けてくる。結果、ルパンはホームズを出し抜き、「最後から2番目の夜」を盗み出す。
そこから物語は、ミステリから格闘・闘争シーンに転換。「夜宴」のメンバーがフォッグ邸に突入したところから後半に突入する。
ロイズの第5エージェントであるレイノルド対ルパン対真打津軽の三つ巴。ロイズの第7エージェント、ファティマ・ダブルダーツはファントムを追う。ホームズと輪堂鴉夜はアレイスターと遭遇。吸血鬼のカーミラと馳井静句が対峙する。
モリアーティとヴィクターがアレイスターと合流し、モリアーティとホームズ、輪堂鴉夜が出会う。
レイノルド、ルパン、津軽がいた場所には、ファントムとファティマが現れ、さらに切り裂きジャックも登場。切り裂きジャックはあっという間にファティマを殺害し、レイノルドも瀕死の状態になる。
切り裂きジャックと真打津軽の戦い。切り裂きジャックが圧倒的優位に立つが、津軽は「最後から2番目の夜」を切り裂きジャックから奪うことに成功する。
ルパンは「最後から2番目の夜」を奪うために、堀の水を地下に流していた。これは逃走路を確保するためでもあり、その逃走路から夜宴のメンバーも逃亡する。
最後にホームズと輪堂鴉夜は、紫外線を利用し、「最後から2番目の夜」に隠された暗号の謎を解き、人狼の居場所が「牙の森」であることを突き止める。夜宴もその情報を得ており、次の話は人狼を巡る争いになりそうだ。
キャラクターが生き生きと描かれており、話の筋も非常に秀逸。青崎有吾は本格ミステリも見事だが、漫画の原作を真剣に手がけたらとんでもない傑作ができるかもしれない。最後まで非常にワクワクして読むことができた。
シャーロック・ホームズ、ルパン、ロイズ、夜宴、そして輪堂一味が人狼を巡って争う次の展開にも大きく期待したい。途中で盛り上がりすぎて尻すぼみになる可能性もあるが、最後まで盛り上がれば大傑作になるだろう。
この段階での評価は★4で。十分に楽しむことができた。
○ サプライズ ☆☆☆☆☆
エンターテインメント性は高いが、特にサプライズ要素はない。
○ 熱中度 ★★★★★
話のスピード感があり、最後まで盛り上がる。登場人物が生き生きと描かれており、ルパン対ホームズ、ホームズと輪堂の絡み、ルパン対津軽、静句対カーミラ、切り裂きジャックの登場、モリアーティとホームズ・輪堂の再会など、最後まで一気に楽しめる。★5をつけられる。
○ インパクト ★★★☆☆
文句なしに面白い。ただ、突出したインパクトはない。
○ キャラクター ★★★★★
シャーロック・ホームズもルパンも、すでにしっかりしたキャラクターができており、素直にそれを踏襲している(ルパンはややルパン三世っぽい気もする)。
ロイズのメンバーや夜宴のメンバーもきちんと描き分けられており、輪堂、津軽、静句も『アンデッドガール・マーダーファルス1』ですでにしっかりと描かれている。キャラクターの魅力は十分。★5で。
○ 読後感 ★★★☆☆
起承転結でいえば「承」。その「承」でここまで面白いとは……。これがさらに盛り上がっていけば傑作になると思うが、ここがピークの可能性もあるかもしれない。
この段階での読後感は、良くも悪くもないので★3で。 -
Posted by ブクログ
新本格30周年を記念して作られた「館」をテーマにしたミステリアンソロジー。もうそれだけで踊りだしたくなるほど嬉しいのですよ。
執筆陣は東川篤哉、一肇、古野まほろ、青崎有吾、周木律、澤村伊智と比較的新しめの作家が集まっています。新本格何世代になるのでしょうね。感覚的に孫曾孫世代という感じですが。
新本格らしい要素がそれぞれに込められています。奇矯な探偵、思い切った設定、大胆なトリック、遊び心に富んだパズルゲーム、一発ネタ的な大どんでん返し、などなど。そうそう新本格黎明期にどんどんガンガン投げつけられたあの感覚がよみがえります。
ひとつひとつの力が弱くともその組み合わせで読ませるものもあります。パズルゲームとして穴が大きいけれども、探偵役の奇抜さと文体で突き進んでいくものもあります。大胆なトリックをふんだんに散りばめたギャグの中に埋没させて隠したものもあります。(と書くだけで誰の作品のことかわかるかも)
本格ミステリは出尽くしたと言われて久しいです。でも本格ミステリの要素を細分化し構築し直すことで新たなものを生み出すことができる。それを示したのが新本格ムーブメントだと思うのです。
30周年を機にこのようなアンソロジーが作られたことは、これから先にもこの本格の要素を楽しむことができ続けられる証かもしれません。それを楽しみにします。 -
Posted by ブクログ
普段アンソロジーなんぞには手を出さない性分ではあるのだが、創刊以来のお付き合いであるタイガであり、お気に入りの作家も複数参加しているということで、購入に至る。
東川篤哉「陽奇館(仮)の密室」・・・ユーモアミステリの覇道を往きながら、ユーモアミステリらしからぬオチ。
一肇「銀とクスノキ」・・・青春叙述ミステリ。
古野まほろ「文化会館の殺人」・・・臨床真実士ユイカ登場。素晴らしいの一言。
青崎有吾「噤ヶ森の硝子屋敷」・・・著者らしいの一言。
周木律「煙突館の実験的殺人」・・・著者の真骨頂。
澤村伊智・・・「わたしのミステリーパレス」・・・知らないお人。新鮮で面白かった。
面倒くさくなって適当になったけど、買って良かった読んで良かった。