櫻井祐子のレビュー一覧
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具体的にイノベーションを起こすためにマネジメントが意識すべきことを記した書。
要約すれば、①成長している中でも絶えず破壊的技術の探索を継続すること。②破壊的技術の推進者がモチベーション等を維持できるべく小集団での運営とすること。③マネジメントが積極的に関与すること。という3つである。
実際には『言うは易く行うは難し』となるが、実践している好事例を通じて、実務の上で留意すべき点が記載してあり、前作との連携も判りやすい。
加えて特筆すべきは、10年以上も前に書かれた本書が言い当てていることが今も当てはまるということである。経営における良書の1つと言えるだろう。 -
Posted by ブクログ
[大流の解明]ただでさえ予測が難しくなっている国際情勢の「100年先」を見透そうと試みた意欲作。分析と予言の狭間に位置するかのような予測が、想像力をかきたててくれること間違いなしの作品です。著者は、アメリカの軍や政府機関に向けた講義や情報提供を行っているジョージ・フリードマン。訳者は、『選択の科学』等の翻訳もされている櫻井祐子。原題は、『The Next 100 Years: A Forecast for the 21st Century』。
まずは予測の内容が読み物として純粋に面白い。21世紀においては日本・トルコ・ポーランド・メキシコが大国として浮上することなど、「マジか」とツッコミを半ば入れつつもついつい読み進めてしまいました。議論を促し、想像力をたくましくするために適した一冊ではないでしょうか。
著者が100年の予測を立てるに際して、地政学・人口動態・歴史・リアリズム的国際政治観・情報の不完全性などを基にしている点が印象的でした。国際情勢を考えるにあたり、こういった大きな枠組みがどのように影響を与えているか(もしくは与えていると考えられているか)を理解することができるかと。
〜従来の政治分析には、想像力が著しく欠落している。流れる雲が、いつまでもそこにあると考え、誰の目にも明らかな、強力な長期的変化に目を向けようとしないのだ。〜
本書を紹介してくれたMさん(ありがとう!!)には、何か100年後にも残りそうなものをお贈りします☆5つ -
Posted by ブクログ
2009年に出版された2100年くらいまでの世界を予測した「未来の歴史預言書」と言える本。「影のCIA」と呼ばれる情報機関の分析だけあって、ロシアのクリミア併合などをピタリと当てる。予測は必ずほとんど当たらないだろうが、そのアプローチの仕方は知っておけば世界の動きが良くわかります。
内容もほどよくストーリー仕立てになっており、地政学的な推測の流れがウンチク臭くないのて読みやすく、そのストーリー描写もリアル(ありえそう)なのでまるで映画を見てるように未来が想像できます。
その100年はなかなか衝撃的で、以下はネタバレなので、ストーリーを楽しみにしている人は読まない方がいいかもしれません。
問題は、ここの事象より、どういう原則があって歴史が作られてきたか、とそれを踏まえてどう考えるかです。
この本の存在によって、2050年の日米開戦や諸々の戦争が避けられことを願うばかりです。
そのストーリーとは、ざっくりとは以下の通りです。
2020年代に資源紛争に介入してきたアメリカと冷戦を交えたロシアは軍事支出耐えきれず空中分解。中国も権力闘争で分裂。
ロシア、中国の二超大国が分裂してポッカリ空いた力の穴をポーランド、トルコ、日本の周辺国か勢力圏に収めようとする。アメリカはその取り組みを温かく見守る。
そして大国にのし上がり東欧の盟主になるポーランド、オスマン帝国の再来とも言えるヨーロッパ、中東、北アフリカ、中央アジアに領土と勢力圏を持つ世界帝国のトルコ、分裂した中国に次々に出現した親日的国家に数多くの企業が進出しまたその中国の親日的国家からの移民により人工問題を解決し経済的繁栄をきわめる日本という3つの国が台頭する。
それに並行して様々な技術革新か行われ、とくにアメリカと日本は宇宙開発で世界をリードする。アメリカあらたな宇宙軍事システムを構築し、日本も様々な観測衛星を打ち上げる。
しばらくして、日本はアメリカの宇宙軍事システムに監視されているのを快く思わないようになり、アメリカは日本の打ち上げる民間の衛星がアメリカ宇宙軍の通信の傍受してるのではないかと疑い始める。
また地上では気がつけば、トルコと日本がアジアを束ねる超大国になろうとしており、アメリカは不安を隠せなくなる。
この雰囲気を察知した日本とトルコでは反米感情が高まり、ついには日本とトルコは同盟する。この動きはアメリカを刺激し、アメリカは日本、トルコにより圧力をかける。
一方ヨーロッパはドイツとフランスは大国だが社会が衰退期に入り元気がない。そんな中で隣で成長著しいポーランドにドイツは危機感を募らすが行動を起こす元気はない。
アメリカはヨーロッパに自分を脅かす大国が出ないようにドイツとポーランドを刺激しないように同盟関係を維持するがどちらにも関わりすぎないようにする。が、トルコに圧力をかけたいアメリカは次第にポーランドに肩入れする。
2040年代後半には東欧やギリシャなどのバルカン半島を勢力圏に収めているポーランドがアメリカの支援を受けていることを、勢力圏が隣り合わせるトルコはより一層に危機感募らせ、バルカン半島はふたたび火薬庫になる。
宇宙は2020年代の中国、ロシア崩壊の混乱の収束後、イノベーションと宇宙開発を進めた結果、2040年頃には日米で分け合っている状態となる。アメリカは軍事衛星システムを完成させることで日本に圧力をかけ、日本とトルコは宇宙の利用(宇宙での権益?)や、軍事的な安全が脅かされていると感じる。
そして、日本はアメリカの宇宙軍事システムを停止させ、安全に宇宙を利用できるようにするため、日米開戦の世論がたかまる。
2050年夏、緊張が最高潮に達したバルカン半島でトルコとポーランド陣営で小規模な紛争が勃発。アメリカは紛争解決に奔走し、秋にはとりあえず収束する。日本は紛争に関与せず、とりあえずは平和が保たれる。
引き続きアメリカがヨーロッパに目を向けている2050年11月24日午後5時(アメリカ時間)に突如としてアメリカの宇宙軍事システムは日本の攻撃により破壊される。
多くのアメリカ人がフットボールを見ながらうたた寝している感謝祭の夕方を狙ったことと、またそのミサイルは月面に建設された民間施設に偽装された基地から静かに発射されたこと、アメリカの宇宙軍事システムが想定していない方法で行ったことで完全に奇襲となる。
こうやって、日本・トルコ同盟とアメリカ・ポーランド陣営同盟で宇宙軍事システムと地上の軍事システムをターゲットにした第三次世界大戦が始まる。
トルコは機甲歩兵でポーランド勢力圏をぐいぐいと攻め上がり、日本とアメリカは軍事ITシステムの拠点を超音速爆撃機とミサイル攻撃し合う。
ヨーロッパでは屈強な機甲歩兵に苦戦するポーランドを支援するだけの地上部隊をもはやアメリカは持っておらず、ポーランド陣営は機甲歩兵に必要な発電所や送電システムを破壊しながら撤退を繰り返す。
ポーランドが押され気味になっている中、ドイツにはトルコから参戦の誘いがある。トルコは戦後ポーランドから勢力圏を勝ち取ったとしても維持しきる体力が無いので、ギリシャより北の旧ポーランド陣営の領土をドイツに譲るという条件を付けた。この破格の手土産は、ポーランドの脅威から国を守りたいドイツに渡りに船でアメリカとの若干の関係悪化を承知で受諾。ドイツは日本・トルコ連合側に参戦し、ポーランドに進攻する。
2052年ついにアメリカの反撃が始まる。破壊されたアメリカの宇宙軍事システムから集めたデータや予備の設備をかき集めてあらたな情報システムを構築したアメリカはポーランドで戦闘中のトルコ・ドイツ連合軍と中国大陸で戦闘中の日本に大規模な反撃を行い地上軍と発電システムを壊滅させる。
戦場に近いドイツは壊滅し、日ト独連合は地上戦を続けられなくなる。ここでアメリカは窮鼠猫を噛むごとく、日ト独連合が核兵器を使用することを恐れて、講和会議を開催。
アジアでの日本、韓国、中国のバランスをとり、ポーランドとトルコの勢力均衡を維持したいアメリカは曖昧な講和条件で戦争を収束させる。
日本とトルコの勢力圏は若干縮小し、空いたスペースにはアメリカの勢力圏下になり技術支援を受けた中国が駐留。ポーランドは勢力圏を大幅に拡大したが、トルコとの地上戦で多くの死者を出し、あらたな勢力圏も荒廃していたため、後味の悪い勝利に。日本は戦争による被害は宇宙の施設や破壊された施設の職員や防衛関係者に止められまた民間の都市も打撃を受けないが、人口問題が解決しないという代償を負う。
その戦後2080年ごろになるとメキシコがアメリカを越え、いよいよアメリカはメキシコに取って代わられようとしていることに気づき、関係が悪くなる。
そのころのアメリカ南部ではメキシコ系の住民が多数を占めるようになりもはやアメリカかメキシコか分からなくなる。
人口が過剰になって移民を締め出したくなったアメリカはメキシコと対立。対米感情が高まり、経済的、軍事的にもアメリカを上回るほどに成長したメキシコは、2100年、ついに世界頂上決戦を挑み、開戦する。 -
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地政学的な予測本。
序章に書いてある手法の説明がわかりやすく、この本が単なるSF本ではない、信頼性の高い本であることを教えてくれる。そこには、
地政学的な予測はチェスに似ており、国家の行動はチェスの指し手と同じように非常に合理的である。無限の選択肢がありそうで、実は打てる手はかなり限定されている。
「統治行為とは、ほとんどの場合必要かつ論理的な次の一手を実行に移すことに過ぎない。」つまり、誰が指導者になるとか、指導者が何をするとかではない。戦前の日本は、資源の問題から海外へ行くしかなかったし、ヒトラーのドイツはベルサイユ条約の賠償金の問題からフランスなどに出ていくしかなかった。日本にヒトラー的な指導者がいなかったのは、そういうことだろう。
こういう手法で21世紀を描く。
面白い。そうなりそう。
ウクライナ問題はその通りになったし。
日本は宇宙で「真珠湾攻撃」をして、また負けるって。 -
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人々の行動の不合理性を行動経済学の視点から考察してベストセラーとなった『予想どおりに不合理』『不合理だからすべてがうまくいく』に続く著者の第3弾。本書ではさらに突っ込んで不正行為について述べている。不正と言っても紙面を賑わすような汚職や粉飾決算などの話ばかりではなく、身の回りのちょっとした「ずる」について、人はどんな時に不正を働くのかを検証したものだ。人々を不正行為に駆り立てるものは何なのだろう。
簡単な問題を解き自己申告した正解の数によって報酬が支払われるという実験を行い、様々に条件を変えて正解数のごまかし(報酬金額の不正な上積み)がどれくらいの割合で起こるかを調べると実に興味深い結果になる。ごまかしが露見する恐れが有る場合と無い場合、他人のごまかしを目撃した場合、その人が自分の仲間内だった場合とライバル集団に属する人だった場合、見知らぬ同士がペアになってお互いを監視した場合、親しくなった同士がペアになった場合、ごまかしをすると自分ではなくペアの相手が得をするという場合、偽物のブランド品を身につけた場合等、様々な実験を行うと、設定した条件によってごまかしの数も変わってくるのだ。
実験により、不正を作る要因は、自分の不正を正当化する能力(自分に対して言い訳上手)、利益相反(経済的な利益関係により公正な判断が損なわれる)、きっかけになる小さな1回の不正、自分が大切に思う他人の得になる、他人の不正を目撃する、疲れて自制力が消耗した脳、文化的背景などであり、不正を減らすものは道徳心を呼び起こすもの、宣誓や署名、監視などであった。そして予想外の事に不正によって手に入る金額や露見する確率などはあまり影響しないことがわかった。
「ずる」を引き起こすものは何なのかを理解すれば行動を自制することもできるし、不正に対する対策を取ることもできるだろう。それが社会科学の真の目的だと著者は述べている。「自分はずるなんてしない」と思っている人、小さな「ずる」を無意識に正当化してしまっていないだろうか。人々の行動には様々な要因が影響を及ぼすことがよく分かり大変興味深い一冊だ。 -
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顧客そのものではなく、顧客が置かれている状況、求めている成果でセグメントする。
ニーズは片付けるべき用事。
シェークは朝はドライブのお供に、夜は子供へのご褒美に雇われていた。同じ商品でも求められている成果が違う。これが属性でセグメントできない理由。
シェークは競合のシェークの売上を奪ってもシェア獲得にならない。単なる値引き競争を生むだけ。無消費や仕方なく使われている他の商品の売上を奪う必要がある。(求人なら派遣?)
コダックの使い捨てカメラ。画質はイマイチだったが、ユーザーは『写真が1枚もないこと』に比較の基盤を置いたため、この画質で満足した。(シェークのカロリーが気にならないのと同じ)
機能を付けすぎるとコモディティ化する。しかし企業はそうした失敗を繰り返す。背景には、的を絞ることへの不安、定量的分析の要求、チャネル構造、広告が製品のターゲットを状況ではなく顧客にしていることの対象の4つがある。
デジカメは売れるのに、赤目補正のソフトは売れない。結局、写真のクオリティは思い出を残すこと以上には求められないケースが多い。
解決すべき用事の優先順位が、商品によって変化することはほとんどない。無消費者なら余計に。
用事を片付けたいが、市販製品が高すぎたり、複雑すぎるため、自力でできずにいる時に無消費は発生する。彼らは不便で高くつく方法、または満足いかない方法でそれを片付けることに甘んじるしかない。
規模が実証できるのはすでに存在する確立した市場であり、資源獲得のため社内起業家が説得力のある論拠を示そうとすること自体が間違い。
組織にある価値基準が破壊する者とされる者の間にある。ある組織で評価されないことが、別の組織で評価される。ここにモチベーションの非対称性が生まれる。
成長率25%を持続するためには、売上高4000万の会社は1000万でいいが、4000億の会社は1000億が必要。この会社には1000万にうまみを感じなくなる。
組織の能力は最初は人材にある。それが成功を収めて成熟するにつれてプロセスや価値基準となり、企業文化になっていく。そうなると『当たり前』が生まれ、変革は困難になっていく。 -
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前書「イノベーションのジレンマ」の改訂版と内容が一部重複しているので、本書だけ読んでも全体がわかるかな。
製品やサービスを改良・改善していくのには持続的な技術と破壊的な技術があって、持続的なのか破壊的なのかは「相対的」なもので、ひとつの技術がある企業にとっては持続的でも別の企業から見ると破壊的となることがある。
いままでの成功体験からつながるのは持続的であるが、この持続的な技術はいつかは顧客の要求レベルを超えてしまい、顧客はその性能向上に価値を見出さなくなり、価格の上乗せを拒否する。
破壊的な技術は最初は(主要な)顧客の要求を満たさないかもしれないが、いつかは満たすようになる。
破壊的な技術は今までのプロセスや価値観のままでは失敗する。プロセスや価値観は組織に根付いている。
製品やサービスは顧客の要求に満たしていない時と(要求以上に)満たしているときがある。
要求を満たしていない時には相互依存設計が性能向上するには最適で、そのときには顧客はブランドを重視する。
市場にある製品が顧客の要求以上の性能を持つと、モジュール型設計へ移行しコスト削減などを目指さなくてはいけなくなる。(コモディテイ化)でそのとき上位か下位のレベルで逆にコストや性能向上のために相互依存設計による逆コモディティ化が起こり、ブランドもそちらに遷移する。
コア・コンピテンスなんてのはまやかしで、それ以外のものを切り捨て(売却や移管)していくと、結局は昔はブランドだったカンバンだけが残ることに。
新規事業を任す人材には、失敗していようが新規事業を立ち上げた経験を持っていることが大事で、じゃないとその新規事業は失敗する。
波乗り(サーフィン)みたいだなと、やったことないけど。大きな波ひとつに乗れて快調でもいつかはその波はつぶれてしまう。つぶれる前の勢いがあるときに次の(今、大きいのではなく)大きくなりそうな波に移っていって自分のスピードを保つ。波に乗る技術と波に乗ったままにする技術が違くて企業は基本アホなのでどちらかの技術しか覚えていない。 -
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誰でも、「ずる」不正行為をする。しかし、自分が悪い人間だとは思いたくない。そこで「自分は正直でまっとうな人間だ」と思うための物語を紡ぎ出す。
人間はどういうときに、ずるをすることが多いのかということを、さまざまな心理学の実験をすることで、解き明かしていく。このさまざまな実験を考え出すということがすごい。「なるほどなぁ。でも、どうやってこんな実験を考えついたのだろう」と思ってしまう。
これこそ創造性だろう。
忘れるといけないのでメモしておこう。
「ずるを助長する要素」
正当化の能力
利益相反(サービス提供者がふたつの方向に引き裂かれる状況):歯科医のCAD/CAM機器の例
創造性(知能は無関係)
一つの反道徳的行為
消耗(ダイエットの例)
利他的不正(自分に利益にならないと、より正当化しやすい)
他者の不正を目撃する(同じ仲間が重要)
不正の例を示す文化(いろいろな実験では調べられない文化というものが重要)
ずるを減らす要因:
誓約
署名(最初にまず署名)
道徳心を呼び起こすもの
監視(見知らぬ他人による。ただ、目の写真だけでも効果あり)
ずるには影響なし:
つかまる確率
不正から得られる金額(SMORC: シンプルな合理的犯罪モデル)
「ずるを減らしたい」ずるの横行に悩んでいる人には良い本だ。 -
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「イノベーションのジレンマ」に続くクリステンセン教授のイノベーション論第2段。前作が「破壊的イノベーション」の理論構築を主眼に述べられていたのに対して、本作では実践面でのポイントを解説している。
クリステンセン教授は2011年のThinkers50で「最も影響力のある経営思想家」のトップに選出されている。「破壊的イノベーション」戦略論が多くの人を惹きつけるのは、そのダイナミズムからだろう。「破壊的イノベーション」は市場を動的に捉えているだけでなく、組織の中での意思決定プロセスも組織力学を考慮した提言をしている。
また「イノベーション」という経営戦略論の最先端分野を扱いながら、ドラッカー、ポーター、バーニー、ミンツバーグ等、多様な論点を包含しており、経営戦略論の全体像を理解するのにも役立つだろう。
本書には「目からうろこ」が落ちるような記述が随所にあり、経営戦略バイブルの一冊に加える価値がある。 -
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ダニエル・カーネマンのファスト&スローが認知、判断など広く扱っているのに対しこの本で扱うのは「ずる」の心理学、そうは言っても重なる部分はかなり有ります。
どういうときに人はずるをするのか、アメリカのゴルファー1万2千人の調査ではライの改善について「平均的なゴルファーがボールを10センチ動かすと非常に有利になる場合動かす可能性はどのくらいか?」聞いた所、クラブを使って動かす場合23%、ボールを蹴る場合14%、手で動かす10%と言う回答だった。(日本のプライベートコンペだとそもそもリプレースOKとしている場合が多いので質問自体が成り立たないかも・・・)手を使うと心理的抵抗が大きいというわけである。また、マリガンルール(打ち直しOK、一説によるとマリガン大統領からきている)の場合平均的なゴルファーがスタートホールでのマリガンは40%、9番ホールでのマリガンは15%が打つと言う回答だった。そもそもわざわざ平均的な・・・と質問するのも意味がある、あなたはどうしますかだと自分はフェアだと信じたがる人はライの改善はしないし、マリガンもしない。平均的な他人は自分より不誠実だというのは本当だろうか?
ずるをする際に最初にすることは自分をだますことなのだ。例えばダイエット中なのに少し食べ過ぎた際どうせ今日はだめだから自分を許して食べよう。朝からがんばればいいとか。自分が受け入れやすい言い訳を作り自分を納得させるのと同じ心理が働いているのだ。例えばニセモノブランド品を身につけるだけで不正行為(ちいさなずる)に対する抵抗は大きく下がる。みんなで渡れば怖くないというのもある。心理的な抵抗のハードルを下げるとずるに抵抗する力が弱まるのでずるは感染するものらしい。
ではずるを無くすためにいい方法はあるのか?これも以外と簡単な答えで例えば宣誓をする、署名をする、見張られていると思わせるなど。いろいろな申告書で署名を取るのはエビデンスを残すためだと思ってたが、署名すること自体に抑止効果がある。ただし、できれば申告前に正直に申告しますと署名をさせる方が効果が高い(心理的な抑制効果が働く)と言うのが著者の実験結果であった。この話は保険会社に進めたがどこにも採用されなかったらしい。道徳心を定期的にリセットする仕組みは宗教などにも取り込まれている。行動心理学関係の本はお勧めできるものが多い。 -
Posted by ブクログ
《本書のテーマはビジネスにおける新たな成長を生み出す方法である。》
イノベーションを方向づける力。個人ではなく、事業構築に携わる人々に作用する力を理解する事が、予測可能性をもたらす。
アイデアが形成されるプロセス:中間管理職のアイデア選別に加わる力。資金を勝ち取る計画を優先する。
★理論とは「どのような条件下で、何が、何がを、何故、引き起こすか」の言明。⇒状況によって理論が異なる。⇒属性ではなく、状況によって分類することが重要。『状況による』ということ。
理論はどのように構築されるか。三つの段階を経る。
①理解の対象となる現象を記述することから始まる。
②現象をいくつかの区分に分類する。
③現象を引き起こすのは何か、何故かを説明する理論を明確に打ち出す。
理論構築の初期段階では、現象は属性によって分類され、どのような行動や事象が成果ににつながるかという説明するは属性と成果にの因果関係ではなく、相関関係に関する言明にすぎない。
例)
羽根や翼と飛行能力 ←相関関係。
ベルヌーイが流体力学を通じて翼と揚力のメカニズムを解明 ←因果関係。
相関関係を示す言明に留まらず、成功事例の背後にある根本的な因果のメカニズムを明らかにする。
予測可能性の基盤ができ始めるのは、同じ因果のメカニズムが予測と異なる結果が生じるのを見る時。その「状況」の中の何が原因となってそのような結果となるのかを探り始める。
持続的戦略/ローエンド型破壊/新市場型破壊
新市場型破壊:無消費に対抗するもの。無消費が競合。
アイデアの破壊的戦略可能性の見極め
①これを全く行わずにいたか、もしくは料金をしはらって専門家にやってもらっている人々が大勢いるか。または不便な場所までいかなければならない人々が大勢いるか。
②ローエンドには価格が低ければ性能面で劣る(が十分よい)製品を好む顧客がいるか。そしてその価格でも利益がだせるビジネスモデルを構築できるか。
③このイノベーションはすべての大手企業にとって破壊的か。
状況で分類する方法:顧客が特定の「用事」を片付けるために製品を「雇う」というように市場を見る。【ミルクシェークの例】
「片付けるためにべき用事」人々がやり遂げようとしているかを注意深く観察しすることによって見抜き、彼らに問いかけることを通して仮説を立てる。←イノベーションのDNA
属性ベースの市場分野にイノベーションの的を絞る原因となる四つの抵抗力
①的を絞ることへの恐れ←資源配分プロセスに関わる理由
②定量分析の要求←資源配分プロセスに関わる理由
③小売チャネルが属性に基づく構造を持っている
④製品のターゲットを状況ではなく顧客に定めざるを得ない←広告の経済学
新市場型破壊のパターンを構成する四つの要素
①片付けたい用事があるが、金やスキルを持たず、解決策を得られない状況
②このような状況にいる顧客を満足させる要求性能は低い。
③「誰でも使える」シンプルで便利な製品を作る。
④新しい顧客は新しいチャネルで購入し、従来と違う場所で利用することが多い。
「脅威硬直」に陥ると人間は本能的に柔軟であることをやめ「指揮統制」志向になる。⇒現象を「脅威」として捉えるか「機会」として捉えるかで反応が異なる。【新聞社のオンライン化】
⇒【資源配分プロセス×新事業構築プロセス(脅威ー機会)マトリクス
Step①資源配分プロセス:破壊的イノベーションを「脅威」として上層部からコミットメントを引き出す。←脅威硬直を利用
Step②新事業構築プロセス:破壊的イノベーションを機会として捉えられる自律的な組織に責任を任せる。
統合するか外注するかは『状況による』
・製品が十分でない状況:統合←相互依存性
・十分によい状況:外部委託←モジュール方式
コモディティ化のプロセス:六つのステップ
①新市場が生まれると独自のアーキテクチャを通じて利益を得る。
②競合と競争することでローエンドのニーズを超える。
③この階層の競争基盤の変化が促される。
④モジュール型アーキテクチャへの進化が促される。
⑤産業の非統合化が進む。
⑥製品、コストでの差別化が困難。⇒コモディティ化
(組織にできることできないことを決定づける)能力
①資源
②プロセス
③価値基準
組織の能力と無能力を定義する最も強力な要因は、
資源→プロセス・価値基準→文化
と移動する。
実績ある企業は破壊的技術でも成功できる資源を持っているが、プロセスや価値基準が無能力にしてしまう。
⇒イノベーションのための要件が、運営組織のプロセスや価値基準と適合していなければ成功しない。
買収
・資源を買収:親会社への統合は意味あり。
・プロセス・価値基準:親会社への統合はやってはならない。
二つの戦略策定プロセス
①意図的戦略
②創発的戦略
資源配分プロセスを導く価値基準に影響を与える二つの要因
①コスト構造
②規模の閾値
戦略策定プロセス(p259の図8ー1)における三つの力点
①コスト構造の管理
②前提の検証による有効戦略を生み出すプロセスの加速
③創発的か意図的か。戦略策定のプロセスを意識的に判断
発見志向計画方
①目標とする財務成果を打ち出す。
②どのような仮定の正しさが証明されれば、この目標が実現されるか。
③重要な仮定の妥当性を検証するために、学習計画を実行する。
④戦略を実行するために投資を行う。
事業生成期に適した資金:「成長は気長に待つが、利益は気短に急かす」タイプの資金
不十分な成長から生じるデス・スパイラル
Step1:企業がせいこうする。
Step2:企業は成長ギャップに直面する。
Step3:良い金は成長を待ちきれなくなる。
Step4:経営陣は一時的に損失を容認する。
Step5:損失が増大し、縮小を促す。
潜在的失速点を知るためのパターン認識(財務成果ではなく:財務成果は当時の健全性を計る尺度)
①破壊者が無消費に対抗している。
②人々が全く異なる用事を片付けるために実地教育を雇っている。
③競争基盤が速度、便利性、カスタマイゼーションへ移ってきている。
④相互依存型カリキュラムとモジュール型カリキュラムの違いがある。
状況に基づく経営者関与の理論
直接的関与が必要なな状況と権限を移譲すべき状況とを見極める方法論
階層間の情報の非対称の克服:現場をあるきまわること。
破壊能力をプロセスに埋め込む:破壊的成長エンジン
①必要なになる前に始める。
②上級役員による監督
③専門家チーム「始動者と形成者」
④部隊の訓練
船乗りのアナロジー
いつ、どこからスタートするかによって、目的地にたどり着く難易度、可能性が大きく異なる。
★
利益ある成長を遂げるための事業構造と初期条件
・低価格でも魅力ある利益をあげ、上位市場に持ち込むことができるコスト構造
・競合企業に対して破壊的ポジションをとり、逃走したいと思わせること
・無消費者であった顧客の攻略から始めること
・顧客がかたづけようとしている用事にターゲットを定めること
・これまで金があった場所ではなく、これから金が向かう場所へと滑走すること
・経験の学校で適切な科目を履修したマネージャーに任せ、必要な課題と調和したプロセスと価値基準のなかで遂行させること
・有効な戦略が出現したら柔軟に対処すること
・成長を気長に待てる資金で始めること
《「新たな破壊的成長事業の構築を監督する経営幹部は、才気溢れる戦略かである必要なはない》