【感想・ネタバレ】ずる 嘘とごまかしの行動経済学のレビュー

あらすじ

偽物を身につけるとごまかしをしたくなり、創造性の高い人は不正をする度合いも高い!? イグノーベル賞を受賞したデューク大学教授が、今度はユニークな実験で誠実さとウソの本質を解明する!

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Posted by ブクログ

不正に関連した仕事をしているので気になって読んでみた本。

自分が当初思っていたことと全く違う結論が、実証実験によって示されており、各章いずれも非常に興味深かかった。

行動経済学って面白いなあ。なんか仕事にも活かせそうな気がする。

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2025年11月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

人は、どのような時にずるをするのか、ずるに焦点を当てた本。耳がいたい。
「そこの解答だけ見るつもりで見えてしまった隣の問題を、自分で解けたことにして、なんとなく出来ている気になる」よくあることだ。この導入部分からすでに引き込まれた。

本書では様々な実験について記述されているのだが、その中でも「偽物を身につけるとずるをしやすくなる」という実験が興味深い。
クロエのサングラスを 本物・偽物(偽物と伝えていても本物を使用)・なにも伝えない という3つのグループに分けて、サングラスをかけたままテストを行う。
すると、偽物だと伝えていた人がずるを多くしたという結果になった。偽物で他人は騙せても自分は騙す事が出来ないのだ。
また、偽物のサングラスを掛けた人は、他の人に対しての疑心も強くなるという実験もある。
他人を疑い深くなるということ。「自分がそうなんだから、他人もそうに違いない」という心理なのだろうか。
他人は自分を映す鏡という言葉がとても良く当てはまる。
反対に、サングラスが本物だと伝えられたグループは、なにも伝えていないグループよりも、ずるをしないという結果になった。
奮発して買ったバッグや靴を身につけていつときはシャンとした気持ちになるもの。
女性は、下着にお金を掛けなさいと言いますが、気持ちの問題というものは行動に現れるから、そういう風に言われるのかもしれないと思った。

日常生活に使えそうだと思ったのが、コイントス決定法。ただのコイントスで決めるわけでない。
まずは、どちらか迷ったときにコイントスを普通に行う。ここまでは、普通のコイントスと同じだ。
大切なことはその結果に対して自分がどう思うか。
少しでも「もう一回やり直したい」と思ったのなら、もう一方を選ぶ。コイントスの意味がない!と思ってしまうが、真理を突いている方法だ。コイントスをどちらか決定する手段としてではなく、自分でも分からない自分のの気持ちを知るための道具として使う。
選択に迷ったときは、試してみようと思う。

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2017年12月22日

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人々の行動の不合理性を行動経済学の視点から考察してベストセラーとなった『予想どおりに不合理』『不合理だからすべてがうまくいく』に続く著者の第3弾。本書ではさらに突っ込んで不正行為について述べている。不正と言っても紙面を賑わすような汚職や粉飾決算などの話ばかりではなく、身の回りのちょっとした「ずる」について、人はどんな時に不正を働くのかを検証したものだ。人々を不正行為に駆り立てるものは何なのだろう。
簡単な問題を解き自己申告した正解の数によって報酬が支払われるという実験を行い、様々に条件を変えて正解数のごまかし(報酬金額の不正な上積み)がどれくらいの割合で起こるかを調べると実に興味深い結果になる。ごまかしが露見する恐れが有る場合と無い場合、他人のごまかしを目撃した場合、その人が自分の仲間内だった場合とライバル集団に属する人だった場合、見知らぬ同士がペアになってお互いを監視した場合、親しくなった同士がペアになった場合、ごまかしをすると自分ではなくペアの相手が得をするという場合、偽物のブランド品を身につけた場合等、様々な実験を行うと、設定した条件によってごまかしの数も変わってくるのだ。
実験により、不正を作る要因は、自分の不正を正当化する能力(自分に対して言い訳上手)、利益相反(経済的な利益関係により公正な判断が損なわれる)、きっかけになる小さな1回の不正、自分が大切に思う他人の得になる、他人の不正を目撃する、疲れて自制力が消耗した脳、文化的背景などであり、不正を減らすものは道徳心を呼び起こすもの、宣誓や署名、監視などであった。そして予想外の事に不正によって手に入る金額や露見する確率などはあまり影響しないことがわかった。
「ずる」を引き起こすものは何なのかを理解すれば行動を自制することもできるし、不正に対する対策を取ることもできるだろう。それが社会科学の真の目的だと著者は述べている。「自分はずるなんてしない」と思っている人、小さな「ずる」を無意識に正当化してしまっていないだろうか。人々の行動には様々な要因が影響を及ぼすことがよく分かり大変興味深い一冊だ。

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2014年07月21日

Posted by ブクログ

この本は怖いです。全部あたっている。ホントすいません。私はずるい人間です。「人を動かす」がオモテだとすると、この本はダークサイドから人の行動を説明している。人(私も)は正直でありたいと思いながら、その一方でずるをして得をしたいと考える。そんなとき、「つじつま合わせ係数」を柔軟に変化させることで、矛盾を解消しようとする。ばれない程度に、そこそこ正直者を維持しながら。その係数はどんなときに大きくなる(ずるをしやすくなる)のか、小さくなる(ずるをしにくくなる)のか、面白くかつショッキングな実験を通して分析解説されている。

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2014年11月09日

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誰でも、「ずる」不正行為をする。しかし、自分が悪い人間だとは思いたくない。そこで「自分は正直でまっとうな人間だ」と思うための物語を紡ぎ出す。

人間はどういうときに、ずるをすることが多いのかということを、さまざまな心理学の実験をすることで、解き明かしていく。このさまざまな実験を考え出すということがすごい。「なるほどなぁ。でも、どうやってこんな実験を考えついたのだろう」と思ってしまう。
これこそ創造性だろう。

忘れるといけないのでメモしておこう。

「ずるを助長する要素」
正当化の能力
利益相反(サービス提供者がふたつの方向に引き裂かれる状況):歯科医のCAD/CAM機器の例
創造性(知能は無関係)
一つの反道徳的行為
消耗(ダイエットの例)
利他的不正(自分に利益にならないと、より正当化しやすい)
他者の不正を目撃する(同じ仲間が重要)
不正の例を示す文化(いろいろな実験では調べられない文化というものが重要)

ずるを減らす要因:
誓約
署名(最初にまず署名)
道徳心を呼び起こすもの
監視(見知らぬ他人による。ただ、目の写真だけでも効果あり)

ずるには影響なし:
つかまる確率
不正から得られる金額(SMORC: シンプルな合理的犯罪モデル)

「ずるを減らしたい」ずるの横行に悩んでいる人には良い本だ。

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2013年11月15日

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○シリーズ3作目。過去のシリーズの中で一番面白い。
○過去の著作で触れられた実験について詳細に述べつつ、人間の「ずる」さについて特化しているため、内容を理解しやすい。

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2013年08月12日

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ダニエル・カーネマンのファスト&スローが認知、判断など広く扱っているのに対しこの本で扱うのは「ずる」の心理学、そうは言っても重なる部分はかなり有ります。

どういうときに人はずるをするのか、アメリカのゴルファー1万2千人の調査ではライの改善について「平均的なゴルファーがボールを10センチ動かすと非常に有利になる場合動かす可能性はどのくらいか?」聞いた所、クラブを使って動かす場合23%、ボールを蹴る場合14%、手で動かす10%と言う回答だった。(日本のプライベートコンペだとそもそもリプレースOKとしている場合が多いので質問自体が成り立たないかも・・・)手を使うと心理的抵抗が大きいというわけである。また、マリガンルール(打ち直しOK、一説によるとマリガン大統領からきている)の場合平均的なゴルファーがスタートホールでのマリガンは40%、9番ホールでのマリガンは15%が打つと言う回答だった。そもそもわざわざ平均的な・・・と質問するのも意味がある、あなたはどうしますかだと自分はフェアだと信じたがる人はライの改善はしないし、マリガンもしない。平均的な他人は自分より不誠実だというのは本当だろうか?

ずるをする際に最初にすることは自分をだますことなのだ。例えばダイエット中なのに少し食べ過ぎた際どうせ今日はだめだから自分を許して食べよう。朝からがんばればいいとか。自分が受け入れやすい言い訳を作り自分を納得させるのと同じ心理が働いているのだ。例えばニセモノブランド品を身につけるだけで不正行為(ちいさなずる)に対する抵抗は大きく下がる。みんなで渡れば怖くないというのもある。心理的な抵抗のハードルを下げるとずるに抵抗する力が弱まるのでずるは感染するものらしい。

ではずるを無くすためにいい方法はあるのか?これも以外と簡単な答えで例えば宣誓をする、署名をする、見張られていると思わせるなど。いろいろな申告書で署名を取るのはエビデンスを残すためだと思ってたが、署名すること自体に抑止効果がある。ただし、できれば申告前に正直に申告しますと署名をさせる方が効果が高い(心理的な抑制効果が働く)と言うのが著者の実験結果であった。この話は保険会社に進めたがどこにも採用されなかったらしい。道徳心を定期的にリセットする仕組みは宗教などにも取り込まれている。行動心理学関係の本はお勧めできるものが多い。

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2013年05月02日

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これは実験倫理学ですな。



非常に味が悪くて読むとうっとなるが非常に重要。注は原書にもない。

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2021年01月05日

Posted by ブクログ

表紙の「ずる」に惹かれて読みました。

内容は、人間のシンプルな合理的犯罪についての多くの実験結果に基づき進められます。

シンプルな合理的犯罪とは、誰もいない車もこない深夜の赤信号渡るなど日常で人間がやってしまう「ずる」が、どどのような要因で起こり、どのように「ずる」を回避できるのかを説明されており、人間の意思の弱さを感じました。

割れた窓ガラス効果ように職場の人数が、多いほど「ずる」が起きやすくなる。
名前のない仕事(コピー用紙補充、書類整理など)を一部の職員がやって困っていたのでこの本を参考に少しでも「ずる」の少ない職場になってほしいと願います。

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2025年11月03日

Posted by ブクログ

「予想どおりに不合理」の著者が不正と意思決定について著したもの。不正といっても、エンロンの不祥事のような大きなものだけでなく、ゴルフのスコア申告のように、そのほとんどが多くの人に関わりのあるありふれた不正である。
不正が起きるしくみについて、合理的経済学では、人は自分の置かれたそれぞれの状況を合理的に分析し、それをもとに犯罪を行うかどうか決めるというもの(シンプルな合理的犯罪モデル「SMORC」)らしい。しかし、少し考えればわかることだが、あらゆる決定について費用便益分析を覆ない、最も合理的に思われることをするとするなら、たぶん職場を一分離れるときも、財布を引き出しにしまいこむだろうし、どんな取引にも法的契約が必要になり、そのせいで法的闘争や訴訟に時間をとられるようになる。本書は、SMORCでは説明のつかない、「人を不正に向かわせる本当の力」を明らかにしている。
多くの事例に共通するのは、人の行為はちょっとした契機で変わってしまうものだということ。確定申告などの申告の不正を試す実験では、署名の位置を、(道徳心を呼び起こすため)一番上にするか一番下にするかで不正の数が減ったという。こういう工夫は、ビジネスでも十分考えるべきテーマであると思う。
一番興味深かったのは、「創造性が高い人ほど、ごまかしが多い」ということ。
「だれもがごまかしをする能力をもっている。またごまかしをする自分がなぜ不正直でも不道徳でもないのか、その理由を説明する物語を自分に語るのがとてもうまい。さらに始末の悪いことに、わたしたちは他人のごまかし菌に『感染』しやすく、またいったん不正なことをし始めると、同じ方法で不品行を続ける可能性が高い。」

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2021年08月08日

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署名の位置で不正が減る。
利益相反。スポンサーの絵を良いと評価する。本人は気付いていない。
疲れると誘惑に勝てない。不正しやすい。
偽物を身に付けると不正をしやすい。
不正は感染する。同じグループの人が不正をするとその人も不正しやすくなる。

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2015年10月09日

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人は[そこそこ正直で誠実な自分]でいられる範囲でズルをする。


人間がいかに都合よく考えてるかがよく分かる一冊。

テストが終わったら、自己採点した後にシュレッダーに答案用紙を入れてから自己申告した点に応じて報酬がもらえる実験。シュレッダーに入れる場合と入れない場合で「ずる」の度合いが変わる。
た、周りにずるをするサクラを用意すると他の人も「ずる」が増える。ただ、あまりに極端な場合は罪悪感からそこまでずるの度合いは変わらないなど。

その一方で、自分は立派な人間でありたいという欲求もあるから、自分にとって良い「つじつま合わせ」をする。

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2017年01月15日

Posted by ブクログ

ヒトは、一方では自分は正直で立派な人物と思いたいが、もう一方ではごまかして金もうけをしたいと思うものです。
ですからちょとしたズルをします。
そしてズルしたことを正当化する言い訳を自分の中で作り上げます。
ダン・アリエリーは、実験を通してどのような時にヒトはズルな行動をとるのか調べています。
面白い実験です。
小さなズルをして自分をごまかしてないか常に振り返ることって大事なことですね。

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2014年02月17日

Posted by ブクログ

社会で周りを見ると、本書で指摘されている「ずる」な人が沢山…
でも本当にずるいのは自分かもしれない。
組織マネジメントで、よく覚えておきたい。

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2013年12月13日

Posted by ブクログ

わたしたちは、「正直でありたい」と思いながら、その一方で「ずるをして得/楽をしたい」とも考える。そのせいで、「正直な人間」という自己イメージと実際の行動との間にズレが生じることがある。わたしたちはそんな時、柔軟性を発揮し、「つじつま合わせ係数」の大きさを自在に変える(行動を正当化する)ことで、ズレを解消しようとする。誰もが、要件が揃えばいとも簡単にずるをする。しかし、ずるは新たなずるを生み、また伝染して巨悪へつながることがある。ずるを減らすためには、宣誓/署名/道徳心を呼び起こす仕掛け/監視、など。

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2013年11月09日

Posted by ブクログ

今少々流行りの行動経済学関連の本。

「ずる」は、悪意を持っただましというよりも、悪意も意図もなく自身をごまかしてしまうことを言う。
人は容易に、かつ自らも意識することなく自らを欺いてしまうことが心理学的実験から示される。これは、意識が後付けで自らの行動を正当化するものであるとする近年の認知心理学の知見にも合致する。

これらを利用して「ナッジ」するというのもひとつの方法だが、少なくとも人は弱いもので、かつ強いものであることを意識すべきだということだ。

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2013年09月24日

Posted by ブクログ

不正がなぜおこるのかを追求した行動経済学の本
いろいろな実験が記載されてありその実験手法と
そこから導きだされる。考え方が非常に面白かった。
なぜ不正が行われるのかという部分については、
なるほどと思われる部分が多かったが、なんとなく
感覚的にわかっていた内容が多かったかと。
その分、それらが実験であらわになる部分が
逆に面白いと思った。

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2013年08月30日

Posted by ブクログ

 家庭や社会において、我々はどのようなメカニズムで不正に手を染めてしまうのか―――人間の業とも言える「嘘」や「ごまかし」を行動経済学の視点から考察し、効果的な予防方法を様々な実験により検証した貴重なレポート。
 罪を罪と認識させる、嘘をつかないことを宣誓させる、前例を作らない、大義名分を与えない、罰則の強化はあまり効果がないなど、興味深い実験データ満載だ。
 誰かが自分に向けた不正を見極めるため、あるいは社会に対して無意識に不正を行いたくなる自分を律するため、役立つ書籍になるかもしれない。
 ただこの本を読んで最も困難だと感じたのは、自分が自分に対して行う不正についてである。
 例えば・・・ダイエット中なんだけど、超人気スイーツが半額で売り出してる・・・とか。
 例えば・・・今日は酒飲まないと決心したが、冷蔵庫にお刺身と吟醸酒を見つけた・・・とか。
 あなたは誘惑に耐えられますか? 固い決心に対するちょっとした不正を、拒み続けることができますか?

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2013年06月12日

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世の中には不正をなくすために考えられた仕組みがたくさんある。
多くは、罰則を厳しくするとか、ばれる確率を上げるような、
費用便益的なリスクを増やすことで、不正を抑制しようとするものである。

でも人はそんなに合理的じゃない、
いつもメリットとデメリットを天秤にかけて行動しているわけじゃない、
ということを、面白い実験を通して明らかにしていく。

本書全体を通して論証している仮説は、
人は自分で正当化しやすいほど悪いことをしやすい、
というもの。

だから、

ちょっとした不正はだんだんエスカレートし、
誰のお金か分かりにくくなるほど、金融のモラルハザードは大きくなり、
会社の金庫から1円を持って帰るのはできないけど私用コピーはでき、
世の中を良くするために、政治家は平気で賄賂をもらう。

読むとどれも、ちょっと意外だが、納得するものばかり。

そして、不正についての人の行動心理を知ることは、
不正の防止、抑制に役立つ。
従来の規制、罰則ではなく、行動心理を知らない人には
信じられないほど単純だが、本当に効果のある対策を
講じることができる。

多くの人が、こういう行動傾向を知れば、
不正が起きにくい楽しい世の中になるのに、と思う。

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2013年05月24日

Posted by ブクログ

なかなか刺激的だった。
単純な実験で母数に関する記述がないため、非常に少ないようであることが気になるところ。
不正は金額が少ないとか多いとか、ばれる確率が高いとか低いとかがその量を変えるわけではない。
不正を防ぐものは直前に倫理的なものを呼び起こすこと、倫理条項への署名、誓約、意思疎通の持てない監視者がある。
不正を促すのは社会的要員の不正を目撃すること、他人が自分の不正から利益を得ること、前頭前野が消耗した状態であること、ちょっとした不道徳から道を外していくこと、創造的な思考で正当化する能力、利益相反、クライアントとの付き合いの長さ、否定的なイデオロギーなどがある。
一旦不正をすると不正に酔い、実力を過信する。

最後のまとめを見るまでは、内容が多くて思い出せないものも。
時間はかかったし、いまいち今後の役には立ちそうにないが面白かった。

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2013年05月20日

Posted by ブクログ

 人は、ズルをすることによって出来るだけ利益を得たいが、同時に自らのことを道徳的な素晴らしい人間だと思いたい。そこで、この二つの動機づけの折り合いがつく(自分で折り合いがつけられると判断する)範囲、つまり、肯定的なセルフイメージを壊さない範囲でズルをし利益を求めることになる。これが、不正が行われる原理として筆者が唱える「つじつま合わせ仮説」である。本書ではこの仮説が実験により得られた結果を用いて様々な面から考察されており、非常に説得力があると感じた。
 署名や監視、(呼び起こされた)道徳心は不正を減らす方向に働き、自制心の消耗や他人のズルを目撃すること、また他人が自らのズルによって得る利益への考慮は不正を促進する。その一方で、ズルから得られる金額や捕まる確率は不正の度合いに影響を及ぼさないことが実験から確かめられたが、この一見不思議な結果も「つじつま合わせ仮説」によって容易に説明できる。すなわち、不正から得られる金額が多くなるほど自己正当化が難しくなり、捕まる確率の大小は自己正当化の容易さに関係しないからだ。

 自分が如何に日常的にズルをし、しかもずる賢くその行為を正当化しているかに気づかされた。

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2020年08月30日

Posted by ブクログ

ほんと一握りの人以外、人は多かれ少なかれ何かのズルをしてしまう。それにはパーソナリティや環境が複雑に関わっている。人のずるは汚いなぁと思うけど、自分も自分が許せる、正当化できる範囲内でずるをしてる。どうしたらずるをしないか、ちょっとだけしれた気がする。

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2020年02月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

【読み易さ】
 やや易しい
【気付き】
 ★★★・・
【ハマり】
 ★★★・・
【共感度】
 ★★★★・

人がずるをするのはときはどんな時か?
ずるを減らすにはどうすればよいか、
実験を元に、人のずるを誘発する条件を検証していく。

・ごまかしによって獲得するものが現金から遠ざかるとごまかしが増え
・偽物を身に付けると、ごまかしへのハードルが低くなり、他人を疑い易くなる
・創造性がごまかしを生む
・他人のごまかしを目撃するとごまかしへのハードルが下がる
・不正行為の基準が文化等によって異なる

仮説を証明する実験結果が平均値のみであり、
被験者の数も明らかになっていない為、データの信憑性に疑問が残る。
ユーモアが取り入れられていて読み易い。

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2018年08月05日

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嘘とごまかしの行動経済学。
「ばれる確率が低くなっても、ごまかしは増えない」「共同で仕事をすると、不正が増える」「偽ブランドを身につけると、ずるしやすくなる」など、なるほどと思った。

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2013年10月27日

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大きな犯罪ばかりでなく、日常自分も良くやっているような小さな【ずる】がどういう行動理論から起きているのか解き明かす事で、大きな犯罪の抑制に繋がる可能性があるか。

小さなズルをしてしまう、その条件、環境や心理特性、歴史など、多くの実験例を通して解説する。

医療従事者としてはMRの作戦は見抜いているつもりだが、それでも想定以上の危険がある事を意識すべきだろう。

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2013年10月24日

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ズルは皆、出来るところでは少しずつやってしまう。後押しする要素と止める要素。
ネタを知られると追試がし難いと思うが、他の研究者で検証されているのだろうか。
インパクトの大きい実験結果が多いが、その結果の綺麗さも相まって、鵜呑みにするにはまだまだという印象。
他国でやっても結果が同様というのも何かおかしい。学生だから、ということか。

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2013年10月11日

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へええ。2桁の数字を覚えさせられた被験者は果物を選び、7桁の数字を覚えさせられた被験者はチョコレートを選ぶ。ストレスが大きいほど高カロリーな食べ物を選ぶ傾向にあるというのは言われてみれば確かによくある話だ。

ここを読んで思ったのが、普段の生活にストレスがあるから高カロリーの食事を自分に許すというよりも、そもそもストレスの無い状況に持っていく改善こそが人間にとっては必要であるはずなのに(というようなことはこの本には書いていない)。

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2013年08月24日

Posted by ブクログ

ネタバレあり。

|なぜ疲れているとしくじるのか・・・
ストレスの多い日は誘惑に屈して健康を害すると分かっている食べ物を選んでしまう。
引越しで疲れ果てた夜は、ジャンクフードを取ることが多い。

|自我消耗・・・
論理的な思考力が占有されてしまうと、衝動システムが行動を支配してしまうことがある。
惑に抵抗するには、大変な努力とエネルギーが必要という考え方。
意志力を筋肉に置き換えると分かりやすい。

フライドチキンやチョコレートを見ると、食べたい!という欲求が湧き上がる。この欲求を克服して、回避する時にはエネルギーを消費する。(重量挙げを1度するようなもの)
これを繰り返しているうちに、欲求に抵抗することが出来なくなり、いつしか意志力が消耗していく。

何しろ、私たちは、常に何かを決定することを求められる。
決定を下すたびに、エネルギーは消費されている為、1日働いた後の夜に、自制を失い、欲求に負けてしまうことが多いのも、説明することが出来る。

<判事の例>
釈放の可否を決める判決を行う時、殆どの場合は、拘留延長の判断が下される時、釈放を判断されるのはどういう時か、という傾向を調べたデータがある。

勇気を要する"釈放"を判決されたのは、朝一の判決、もしくは、昼食直後の判決だったことがデータで示されている。

これはまさに、朝一、ランチ後の自我消耗が最も少ない時間帯だからこそ、勇気ある決断を下すだけの意志力が残されていた。
他の時間帯では、重大な決断を下す意志力が残されていない為、安易な拘留延長を選択してしまっていた。

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2013年07月07日

Posted by ブクログ

不正は費用便益分析の結果行われる。極端に言えば、強盗しても捕まらないなら、やっちゃう人は結構いるはず。しかしそれよりも、不正というのが、悪事というよりも、創造性から生まれる場合もある。
不正を増やすファクターと、不正を減らすファクターは、全然別の出来事が作用している。不正を増やす側の重みを減らすために、ある種の宗教的道徳心リセット儀式っぽいという話。しかし日本にはそういうものがさっぱりない。せいぜい初詣、ぐらいか。こうした傾向により、ますます無自覚な不正ブームが加速する、きっと。多分本書の意図はそういう読み方じゃないけどね。自分に置き換えるか客観的に見るかで、爽快感が随分違うと思う。

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2013年05月25日

Posted by ブクログ

誰もがごまかしをする能力を持っている。その自分が不正直でも不道徳でもない理由を説明づけるのがうまい。他人のごまかしに感染しやすく継続しやすい。

人間としての根源的なもの。みんなが、ちょっとづつの効果。

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2013年09月15日

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