大童澄瞳のレビュー一覧

  • 映像研には手を出すな! 2

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    いやぁ~、スゴい漫画に出会ってしまった!
    ドキドキして、手に汗握って、ニヤニヤが止まらなくて、終始心踊らせる、
    本当になんて漫画だ!

    大童澄瞳はホンマにスゴいよ!


    日常とは違う世界へ誘うのが漫画の役割だとしたら、
    この作品はこれほど優秀な漫画はないってくらい
    ものの数ページで別世界へダイブさせてくれる。


    水上に建てられた摩訶不思議な学校、
    芝浜高校。
    度重なる増改築によって校内は複雑怪奇なダンジョンと化している。

    そんな冒険心をくすぐる学校に通う三人の少女たちが奇跡的に出逢い、
    最強の映像を作り出す青春学園アドベンチャー。


    幼き頃から冒険家に憧れ
    やがてアニメ『未来少年コナン』と出会い
    アニメ制作を夢見るようになった、
    『アニメは設定が命』を心情とする主人公の女子高生、浅草みどり。
    (喋り口調はワシやあっし)
    (イメージボードや設定画に命を賭ける)


    俳優になれという役者の両親に反発し、
    アニメーターを夢見るカリスマ読者モデルでお嬢様の水崎ツバメ。
    (観察眼に優れ、人物画とアクション画が得意)


    見上げるほどの長身で美脚を誇り、
    口が達者で、金を稼ぐ悪知恵に長けるため、
    みどりとツバメをサポートし、
    プロデューサー的役割りを一手に引き受ける金森さやか。
    (瓶の牛乳と金には目がない)


    それぞれの夢を叶えるため電撃三人娘たちは
    映像研究同好会を結成する。
    (天井も壁も穴だらけの古いトタン屋根の廃屋を改装した部室は、子供の頃作った秘密の隠れ家の装い)


    まずこの三人娘たちのキャラ設定が絶妙で、
    三人が繰り出すまったりとした中の
    こだわりあるオタクな会話だけでもずっと見ていたいくらい、
    最強の相性を持った三人組だと言える。


    しかーし、この漫画は冒険漫画である。
    会話の妙はひとつのエッセンスだ。

    この漫画のキモで1番面白いところは、
    物語の中で
    いきなり想像の世界に入り込む驚愕の展開なのだ。

    想像の世界に入ったところを読者に分からせるために
    背景も服装も一コマで変わる。

    その瞬間、学校の部室が荒野になり、海底になり、宇宙となる。

    読者もジェットのスピードで
    みどりやツバメの頭の中のアニメ世界へとダイブさせ、
    冒険へと導いてくれるのである。


    みどりとツバメが操縦する
    トンボの羽根を付けたような飛行ポッドで想像の世界を飛び回る
    ジブリ顔負けのファンタジックな飛行シーン、

    回転する風車を描くために
    想像の世界で団地に穴を開け、滝を作り、
    団地から流れ落ちた滝からの濁流が
    風を運び風車を回すというダイナミックなシーン、
    (このシーンの、水しぶきと風の音まで聞こえてきそうな躍動感は本当に秀逸)

    部室を宇宙船に見立てて妄想し
    退屈な屋根修理を
    宇宙船を修理しているイメージを膨らませ楽しみに変えてみせたり、

    そしてそんな想像の世界を詳細に記録したみどりが描く設定画や図解解説も
    メカ好き、背景好きなら
    眺めているだけでワクワクが止まらなくなるハズ。
    (緻密に描かれた1コマ1コマを眺めているだけで、てんこ盛りご飯三杯はイケる!)


    高圧的な生徒会が独断で予算を決める予算審議委員会で
    部費6万円を賭けてプレゼンに挑む話には
    本当にドキドキワクワクさせられたし、

    難敵・生徒会を納得させた、
    荒廃した世界を駆け巡る
    ガスマスクの少女VS戦車のアニメーションや
    ロボット研究会からの依頼を受け、
    文化祭で公開したロボットアニメの
    動きも実に映像的で映画的興奮に満ちていて
    心熱くしてくれた。

    しかし、アメリカザリガニの釣り放題をやっている音曲(おんぎょく)浴場のインパクトもスゴかったなぁ~!(笑)
    (しかも料理してくれるなんて!)


    アニメーションを制作することに命を賭ける
    水崎ツバメのセリフ、

    『ロケットはここがかっこいいんだっていう画圧に感動するわけよ!
    わかってんじゃんアンタ‼ってさ』

    『チェーンソーの震動が観たくて死にかかってる人がいるかもしれない。
    私はチェーンソーの刃が跳ねる様子を観たいし、そのこだわりで生き延びる。
    大半の人が細部を見なくても、私は私を救わなくちゃいけないんだ。
    動きの一つ一つに感動する人に、私はここにいるって、言わなくちゃいけないんだ。』

    には陳腐な言葉ながら、本当に感動した。
    こだわりを持つことの様式美っていうのかな。
    好きなことを、
    胸を張って熱く語る人はやっぱカッコいい。



    小説『夜は短し歩けよ乙女』や
    映画『愛のむきだし』やアニメ『天空の城ラピュタ』に触れた時にも思ったけど、
    結局人の心を突き動かすのは、
    計算なんてない
    「好き」に突き動かされてひた走る
    愚直なまでの行動力なのだろう。

    バカばっかやってる三人組だけど、
    この漫画にはワケの分からない初期衝動や熱量やエネルギーが充満していて、
    誰もが憧れを抱く、果てなきロマンに満ちている。

    想像の世界を自由に飛び回ることの喜びと興奮をくれるこの物語が、
    一人でも多くの人に届きますように!


    強く強くオススメしたい漫画だ。

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    2018年01月13日
  • 映像研には手を出すな! 1

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    ネタバレ

    想定していた以上の面白さ。1コマの密度が濃すぎて、1度読んだくらいでは楽しめきれない。2度、3度読み返すとまた新しい発見がある。
    (無重力空間で食べられるラーメンどんぶりの構造を妄想するだけで、どんぶり3杯はいけます)
    自主アニメ制作を目指して部活を立ち上げる主人公は女子3人。しかも一人は売れっ子読者モデルという女子力が振り切ってるキャラなのに、なぜかおっさん臭くて女子を感じさせない。でも不思議とキャラが立ってて魅力的。
    究極超人あ~るの光画部を想像しながら読んだけど、部活動としての濃さは光画部以上かもしれない。自分の妄想をノートに書き写して過去のある人、授業中ノートにパラパラ漫画を描いたことがある人は、どっぶり世界感にハマってしまうと思う。

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    2018年01月04日
  • 映像研には手を出すな! 1

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    アニメを作りたい女子たち3人が出会い、サークルを作り、秘密基地のような部室を作り、予算をとるための短編アニメを作るまでを描く1巻。増築を繰り返し迷宮さながらの学校のレイアウトや、設定オタの主人公が夢想する乗り物や、架空の世界のイメージがワクワクするほど楽しい。

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    2017年11月19日
  • 映像研には手を出すな! 2

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    1巻も最高に面白かったが、2巻で評価が確定した感じ。現実的な目線と、理想とプライドとが入り混じって進んでいく様が痛快。メイン3人のバランスがすごくいい。これ動画で見たいなぁ。

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    2017年09月17日
  • 月刊!スピリッツ 2024年2月号(2023年12月27日発売号)

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    浅野いにおは裏切らなかった!
    浅野いにおが描く戦争。
    きのこたけのこ、あまりにも哀しすぎてぐっときた。

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    2014年01月10日
  • 映像研には手を出すな! 1

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    タイプの違う3人が、違う角度ながらも同じ方向に向かって、周囲を巻き込みながら展開していくストーリーが痛快。
    秘密基地みたいな部隊も見ていてワクワクする。

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    2026年09月15日
  • 自宅で湿地帯ビオトープ!~生物多様性を守る水辺づくり

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    たぶん、基本が優しく書かれていると思う。
    写真豊富で文字が少なめなのと、大掛かりな池でなく鉢やコンテナでの例もあるので「ちょっと興味ある」レベルでも負担なく読めました。

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    2026年04月14日
  • 映像研には手を出すな! 10

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    世界観は中二病と言われればそれまでなんだが、全然嫌いじゃない。独自の方向を突っ走っている感じが良い。

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    2026年02月15日
  • 映像研には手を出すな! 10

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    恐ろしい。相変わらずこの作品は目茶苦茶な中に哲学が詰まってる。魔窟のくだりから、主軸が金森ではなく浅草氏?って思ったけど、こうなるとは!

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    2026年02月15日
  • 映像研には手を出すな! 10

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    ネタバレ

    今までで一番好きな巻でした。浅草氏がこれまで人生で感じてきたことと、人間愛に胸を打たれました。直接の表現ではありませんが、障害に対してこんなアプローチもあるのかと思いました。
    また、社会問題を上手に抽象化し、その行き着く先も言語化されていることもよかったです。
    彼女らがこれからどんな作品を作るのかとても楽しみです。

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    2026年02月10日
  • 映像研には手を出すな! 10

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    魔窟でしばらく滞在するのかと思ったら意外と早くに出てきた。
    中2病的展開はややツラいものがあるけれど、浅草氏の成長と物語としてのゴールが見えたかなという感じ。

    新キャラの弟子氏、涙袋の表現が面白い。

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    2026年01月16日
  • 映像研には手を出すな! 10

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    「やる気が出せないのだって、人間には理由があるじゃろ!」
    「理由なく怠惰な奴だっている」
    「わざとバカになるな!それは人間の複雑さを考えたくないだけだ!人間のことで考えるコストを減らすな!意味のない抽象化をするな!(中略)人間を尊重しろ!」

    いよいよ浅草氏が宮崎駿みたいになってきてる。

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    2026年01月10日
  • 映像研には手を出すな! 9

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    「映像研賞金稼ぎ編!」
    「スタートだ!!」
    「そんな編はないよ。」

    というアニメ製作&蘊蓄マンガ第9巻。
    ずいぶん空いた気がする。前の話は忘れた。
    今回なんとデフォルメ無しの浅草氏が5コマもいます(表紙のぞく)。
    そして今回はアニメ製作なし。ひたすら探検です。
    地図研究部が部室前の自販機で地図売ってるのとかいいですよね。
    独自経済まわしてて・・・と思ったら完全独立経済圏の魔窟が出てきて、どんだけ人口抱えてたらこんな魔境を構成できるんじゃと突っ込みつつ学園モノの浪漫だなあと唸る次第。

    「いよいよ魔窟に行ってみたい!」
    「たぬきのほら穴ですか」
    「ちがわい」
    伊藤沙莉の声で聴きたい。第2シーズンは作られるべき。

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    2024年12月31日
  • 映像研には手を出すな! 9

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    ひゃっほぅ!魔窟編、超面白い!!!中国の九龍みたいで、どこか中野ブロードウェイみたいで、円が通じなくて、面白そうな奴がいっぱいいる!!

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    2024年12月24日
  • 危機の時代に読み解く『風の谷のナウシカ』

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    序章
    鈴木敏夫 スタジオジプリプロデューサー
     鈴木敏夫は「風の谷のナウシカ」の制作背景やそのテーマについて語っている。彼は、作品が発表された当時の社会的・環境的状況がどのように影響を与えたのかを考察し、ナウシカというキャラクターが持つ強い意志や優しさが、現代においても重要なメッセージを持っていることを強調している。
     風の谷のナウシカの題材は『新諸国物語』(NHK ドラマ1952年)。

     ナウシカが旅をして、見聞きしたものによって、読者が世界の秘密を知っていく。宮崎駿は「勧善懲悪」が好きで、それが「自然を守る人がいいひとで、自然を破壊するのは悪人」と言う物語にした。
     赤坂憲雄の『ナウシカ考 風の谷の黙示録』を読み、宮崎駿は「おもしろいね。俺ってこんなもの書いていたんだ」と言った。他者からの深い考察が、作者に新たな気づきを与える。
     映画では「腐海は自然の象徴で、腐海こそが人類を救う」と謳ったのに、第7巻で「腐海や王蟲が、実は人間の文明が作り上げた人工的な生態系だった」ことが明らかになった。物語全体の構図がまるで変わってしまった。
     ナウシカは、本来、風の谷の500人のために闘った。そして、もののけ姫のアシタカは「個人的な理由で戦う主人公」となった。宮崎駿は、どんどんと変わっていく。

    杏 俳優
     時間の経過とともに死生観や価値観が大きく変わる。そういう時代に生きている。ナウシカは「母は決して癒されない悲しみがあることを教えてくれましたが、私を愛さなかった」という。母は絶対的な存在でなくていい。巨神兵は、ナウシカを母親と思い込んだ。そして王蟲はナウシカを守って死んだ後、「母は私を愛さなかったけれど、オーマは私を愛してくれた」とナウシカはいう。母と娘の関係が全く違うものがある。

    叶精二 映像研究家
     アニメーションが前提でない『風の谷のナウシカ』、コミック版。なるほど。
     連載中に、東西冷戦の終結、ユーゴースラビアの内戦など衝撃的な事件があり、影響を受けている。

    小泉悠 軍事アナリスト
     現実のウクライナとナウシカの世界、戦争の「ネイチャー」は変わらない。核戦争による世界の破滅は、ウクライナでは現実のものになるかもしれない。戦争を経験した世代、戦争を経験した世代を親に持った世代、戦争を知らない世代。世代によって、大きく戦争の捉え方が違ってくる。

     『宇宙戦艦ヤマト』『ウルトラマン』は、作り手の戦争体験が塗り込められている。
     庵野秀明は、『宇宙戦艦ヤマト』『連合艦隊』に影響を受け、『エヴァンゲリオン』を作っている。
    戦後の日本では、戦争の悲惨さや反戦が訴えられたが、戦争そのものを真正面から描きにくかった。それがサブカルチャーの一部がになった。日本人には「敗戦で自分たちの国は、一度滅びてしまった」という感覚がある。

     ナウシカによって、「滅びはやってくる可能性がある」「文明が滅びた後はこうなる」を知らされる。小泉は、戦争が、悲惨であるにもかかわらずかっこよさがある。「人間は本来、こんなひどいことをするはずはない」と小泉は言いたくもないという。宮崎駿は、兵器や飛行機の時として持つエロティックな美しさに魅了されているところがある。戦争の実相は、巨大な悲惨が人々を襲い、世界が破滅の淵に追いやられていくこともある。

    川上弘美 作家
     ナウシカは不思議な人。自分を傷つけるクシャナ、敵国の人々、深井の動植物など自分の周囲に来たものを全部守ろうとする。ナウシカは、物語の中でみんなを繋ぐ絆になっている。ちょっとした破綻、なんでこんな文章がという驚きや作者自体が制御できないものが雑音としてあっても、ノイズがあることは避けられない。それも受け入れることだ。

     精一杯生きること、自らの死を認めることは、両立する。原発の使用済み核燃料は10万年も危険な放射能を出し続ける。その間、人類が確実に存続し、責任もって保管し続けられると考えること自体がおかしい。「滅びはあり得ない」と信じ込もうとしているのではないか。
     ボーヴォワールは「人おのおのは死にますが、人類は死ぬべきものではないことを我々は知っています」というが。川上弘美は「人類の未来を自然に委ねる」という選択をする。確かに、『風の谷のナウシカ』は、単純な物差しで測れるようなシロモノではないのだね。

    福岡伸一 生物学者
     老いるからこそ、死ぬからこそ人は美しい。環境の全体のバランスを考え、人間に害を及ぼしかねない存在とも共存していく。ナウシカは人類のことを「大地を傷つけ、奪い取り、汚し、焼き尽くすだけの、もっとも醜いいきもの」としている。

    竹宮恵子 漫画家
     物語が始まった時「これから何かが違う世界が始まるんだ」ナウシカはあまり言葉で説明しない。ナウシカの世界でも、たとえ人工的に作られたものでも、生命は常に変化し、創造主の意図を超えていくとして描かれた。素晴らしきディストピアの拒絶があり、それでも自分の意思で生きようとする。

    鈴木涼美 文筆家
     『娼婦の本棚』を書いた著者は、夜の街=腐海に生きている。腐海に生きる蟲たちは美しい。闇があって光がある。悪の方に魅力を感じる。ナウシカは生に執着せず、死の恐怖がない。

    河野真太郎 英文学者
     ナウシカは戦う力と、腐海の真実に気づく科学的知識を持ち、包み込むような母性とカリスマ性のない混ぜになった女性。族長の父は「男であったら何もいうことはない」という。
     クシャナは、母親が、王家の陰謀の犠牲、家父長制の犠牲になって心を病んだことへの怒りを動機に、父王や兄王子たちと戦ってきた人。女性性を捨て、男性性を獲得しなければならなかった。
     ナウシカの物語は、「自然を守ればそれでいい」という考え方とは、異なる思想。

    大木毅 現代史家
     戦争では多くの住民が飢えや病気で死んでいく。ナウシカは「なんという戦争、いかがわしい正義すらかけらもないなんて」という。戦争はそのような残虐性を持っている。

    赤坂憲雄 民俗学者
     ゴジラは1954年に発表された。ゴジラの映画には、科学やテクノロジーへの信頼がある。ゴジラを最終的に葬るのは、一人の科学者の自己犠牲。それは宮沢賢治の『グスコーブドリの伝記』の主人公の姿と重なる。ナウシカは、最先端テクノロジーが暴走し、地球環境を破壊してから1000年後の世界。科学や文明への信頼が裏切られていく時代を予感しながら作られている。「何が起こるか分からない」という不気味さ、不安の中に置かれている。ナウシカの世界が、とてもリアルに感じられる時代へ運ばれつつある。
     ナウシカの物語は、宮崎さんの巨大な無意識が充満している。それが最大の魅力。宮崎駿はいう「こういうふうにしたい、じゃなくて、こうなっちゃう、ものを作る主体というより、ただ後ろ方くっついていっただけ」

     権力に善意は期待できず、権力そのものを無化する仕掛けを作り出すしかないという作品。
     王という存在は必然ではない。首長というのは、部族の人々に隷属を求める権力ではなく、むしろ、言葉によって自分の権力を絶えず無化していくことを求められ、それを理念や義務として積極的に引き受ける。ナウシカは、人々に命令を下すことはなく、権力を持たず、深い思索に裏打ちされた言葉だけで人々を励まし、なだめ、導き、ひたすら調停者としての役割を果たそうとする。宮崎駿は「虫愛づる君」に、自らの知性と探究心で腐海の謎を解き明かす役割を与えた。
     民主主義は、権力の毒や腐敗を知る人が作り出した暫定的なシステムである。愚かにして美しい人間を完全にコントロールはできない。ナウシカの物語は、それぞれがれっきとした価値を持つ声たちによる真のポリフォニー(多声音楽)が本質なのだ。いやはや。ナウシカを読み解く力の深いことよ。

    もう、ナウシカの物語は、実に多面的な見方ができる。いろんな問いかけがあり、考えるきっかけになるいい本である。なぜか、頭の中の芯を熱くする。

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    2024年12月22日
  • 映像研には手を出すな! 2

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    ネタバレ

    仕事に責任を持つために金を受け取るという台詞は
    説得力がある。
    金をもらわないなら好きに描けるのは最高、
    というのもまた真実だなと思う。

    映像研とロボ研が互いを面倒くさいと思った末
    突然の和解をするところが好き。
    問題が感情で解決する人間が一番嫌いだ、と
    金森さんが言っているのが笑える。

    アニメは作者が意識して描いたもの、
    ここが恰好良いという画圧に感激する。
    水崎さんの言っていることはよく分かる。
    「私はチェーンソーの刃が跳ねる様子を観たいし、
    そのこだわりで私は生き延びる。
    大半の人が細部を見なくても、
    私は私を救わなくちゃいけないんだ。
    動きの一つ一つに感動する人に、私はここにいるって、
    言わなくちゃいけないんだ。」
    が恰好良い。

    ご両親も反対していると聞いてどうなのかと思ったが
    理解がありそうで一安心。
    友達ではなく仲間。わくわくする。

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    2024年12月04日
  • 危機の時代に読み解く『風の谷のナウシカ』

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    マンガのナウシカは、最後の方の記憶がなく、途中までしか読んでいないかもしれない。
    改めて読み直そうと思う。
    読んでいても読んでいなくても面白かったが、自分はここまで考えながら読めなかったから、途中までしか読んでないのだろうと思った。

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    2024年12月01日
  • 危機の時代に読み解く『風の谷のナウシカ』

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    いろんな解釈があってほんとうに面白い。
    ナウシカの原作再読したくなった。
    闇の中にも光があって、完全な世界よりも、いつかは滅びるかもしれない世界、それがまたいい。

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    2024年10月05日
  • 自宅で湿地帯ビオトープ!~生物多様性を守る水辺づくり

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    父が昔、ベランダ(マンション6F)でビオトープをやっていて、いろんな生き物が発生してきて面白かった。当時はその意味は分からなかったけど、この本には、大切なことが非常にわかりやすく、しかも楽しさを交えて記されている。
    ビオトープ、いつかやりたい。

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    2024年08月05日
  • 自宅で湿地帯ビオトープ!~生物多様性を守る水辺づくり

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    湿地帯、要は水と土と中間部があるビオトープの作り方が載っている本。
    序盤はなぜビオトープが必要なのか、生物多様性とは、と少しお固い基礎知識の解説。
    それからビオトープの作り方や、実際のビオトープの実例が豊富な写真とともに紹介されている。
    後半にはビオトープに来る生き物や、ビオトープに入れてはいけない特定外来種に特化した図鑑もあり、盛りだくさんの内容。

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    2023年08月05日