長野まゆみのレビュー一覧
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夏の初めから病床に臥す友人・夏宿(かおる)を見舞いにきた市郎が、彼の家で過ごす4日間を描いた物語。家には彼ら以外に、夏宿の弟である弥彦、そして弥彦のピアノ講師である諒(まこと)が登場する。
夏宿の屋敷のふもとにある池には鯉が住い、市郎は夜な夜なその池に降りるたびに夏宿の幽霊らしき白い姿と出会う。弟の弥彦は兄がすでに夏の初めに亡くなったと言い、ある鯉は彼の生まれ変わりだと教える。しかし日が昇れば夏宿は自室におり、床でいつものように本を広げている。
最後まで夏宿の生死がはっきりしない、彼岸にいるような曖昧な世界観だった。家の周りでは木々が鬱蒼としていて、その環境が余計に外界と断絶されたような幻想的 -
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BL。
短編なんだけど、前に出た話が後で出てきたり、関わってくる。わかんなくても問題ないけど。
私が読んだのはハードカバーなので表紙は、アートちっく、というか、縄文風味。
BLじゃなくても、面白いの作れそうなのに、BL入れないと駄目かな。まぁ、あっちこっちで出てくるけど。
相変わらず、知らない言葉が多く出てくるし(調べても分からないままの言葉もある)、漢字と平仮名の割合が美しい。(この文字平仮名なんだ、とか。)
読み直さないと理解出来ないし、何なら読み直しても理解出来てないかも。
箪笥の中って言葉が出てきて、関連しないよね?とか。
勧酒が出てくるの多い。 -
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今回はウソがテーマの短編集。ウソはウソでも、人をひどく傷つけるようなものではなく、アッと思わせるような無邪気なウソなのが可愛らしい。しかしテーマが読者をだますようにできているので、集中して読まなければ最後のネタばらしについていけない。読みながら登場人物の相関図でも書きたくなるような複雑さである。
またいつもながら、長野さんの文章は美しい。特に情景描写がきめ細やかで、想像が膨らむ。会話も軽快で洒落がきいていて、口に出して読みたいくらいだ。「シャンゼリゼで」のモモコの長い語りも苦にならないし、でまかせで話しているとわかっていても信じてしまうほどの説得力がある。
お気に入りは「ノヴァスコシアの雲」 -
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ネタバレうおおおややこしいいい年表と図が欲しいいい
と思いながら読んでた。仕方ない。わたしは時間移動系のお話がものすごく苦手なので…。これはいつの誰のことやろう…といちいち前のページを確認しながら読まんといかんかった。
でもそれを除けばいつもの長野まゆみって感じで面白かったよ。シリル部を最後まで読めば割とすんなりそーゆーことかとなったし。最後のミロル部は必要な話やったのかよく分からんかったけど。
しかし、初期の頃の長野まゆみと違って、美め麗しい不思議な雰囲気を持った少年ていうのが歳をとる。時間移動系で歳を取らんのかと思わせといてばっちりおっさんになっとるぞ。 -
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ショートパンツを穿いてサンダル履き、シャーツの前をはだけて、腹を丸出しにして、裾を風にはためかせている奴の姿を見ると、破滅の予感が沸いてくる。Tシャーツに印刷された絵や文字は、どうにも珍妙で道理に反している。自分の内在している思想や感情を表現しているように見えてしまうことが卑怯すぎる。見えてしまうことによって、人は破滅に向かう。Tシャーツ1枚で偉そうに思想を語った気になる。自分の弱いモチーフを服によって増幅させる。これは刺青をちらつかせて人を威圧するのと変わらない。相応の覚悟もないまま雰囲気だけまとって、さも中身があるかのように取り繕う人間には破滅の道があるだけ。破滅が恐ろしくてTシャーツが着
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銀河鉄道の夜を介した、宮沢賢治の紹介本。
手に取ったきっかけは、装丁の美しさから。
銀河鉄道の夜のリメイクを期待していたが、
カムパネルラを交えた上の、
考察・評論という内容に少しがっかり。
けれど、宮沢賢治史と重ねた考察は面白く、
改訂を重ねるごとに移り行く内容に、
彼の心情を近くで感じているような不思議な感覚がある。
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紀元前2200年に生きた人や
紀元前1000年に生きた人がいて、
彼らはそれぞれの時代に正しいと思ったことを述べ、
その考えを史実として書き留めました。
それが歴史であり地理であるとその人はいいます。
つまり歴史も地理も、
その時代を生きる人のためにあるの