長野まゆみのレビュー一覧

  • カムパネルラ版 銀河鉄道の夜

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     中島京子の作品で、田山花袋の奥さんの視点から「蒲団」を書きなおした「futon」という傑作がある。ちょっとそれを期待した。視点が変わるだけで、全く別の世界が見えてくるから。
     カバーが最近いろんな本の表紙になってるjunaidaで美しいし、銀河鉄道の夜は、夏になると繰り返し読むし。長野まゆみを読んだことないけど、これだけは興味をもって読んでみた。
     
     全然違った。

     確かにカムパネルラが語ってはいるけれど、ときどき中原中也が入りこんで邪魔するという、戸惑う設定。先行する小説があるのかな? なかなか物語に入りこみづらい。
     
     銀河鉄道の夜の世界観を通して、作者である宮沢賢治の人間像に迫ろ

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    2021年08月13日
  • 45° ここだけの話

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    現代が舞台の不可思議な話9編。
    タイトルも記号など変わったものばかりで今までの作風とかなり変わっている。

    記憶や性が倒錯しているのは健在で、大体ケムに巻かれて終わるのでふわふわした読後感。
    人の見方が少々意地が悪い(特に女性に対して)

    「●クロボシ」は従来のパターンならナギサとフルサトは双子ではなく同一人物だと思う。

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    2021年08月11日
  • 兄と弟、あるいは書物と燃える石

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    どこからどこまでが、本当のことなのか、妄想なのか、混ざり合った世界。それが長野まゆみ先生なのだ、と言われればそうなんだけども。舞台が現代で、妙に現実的すぎるからなのか、謎を追いかけながら読み進むことに、いつものような楽しさを感じなかった…。

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    2021年05月30日
  • 三日月少年の秘密

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    自動人形である三日月少年の世界は好きです。
    最先端でいて、レトロ。片仮名混じりの話し言葉を読むのには手間取るものの、好きな世界観。
    ミステリアスな「かばんの秘密篇」が特に好みです。倅はやっぱり三日月少年だったんじゃないのかなぁ。。

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    2021年05月21日
  • コドモノクニ

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    昭和の子ども、を垣間見ました。
    著者紹介を読んでいてはたと気付いたのですがたぶんうちの母親と同い年だ長野さん。うちの母とは違って都会っ子の長野さんですけど、あの頃の女の子の楽しみってこんな感じだったのかなぁと思ったりしました。

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    2021年05月01日
  • フランダースの帽子

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    家族の関係性をテーマにした短編集。
    親子だと思っていたら姉妹だったり、姉妹だと思っていたら従姉妹だったり…。

    テーマのある短編集って、そのテーマが広ければ面白いけど、狭いと物語のパターンが出来ちゃってその中でどれだけ読者が差異を見出せるかみたいなことになりがちな気がする。
    わたしはちょっと飽きてしまった。

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    2021年05月01日
  • 冥途あり

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    散文調が心地よい。現実、幻が混ざり合い、私小説のようなフィクションのような歴史小説のような。戦争、そして広島の話が出てきて驚き、親近感を覚える。

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    2021年04月08日
  • 猫道楽

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    艷やか。〈猫飼亭〉の佇まいが素敵です。
    猫道楽…皆さんそうやすやすと〈猫〉になるのかなと思いましたが場の力かな。先日観た映画で、三毛猫の牡はどうして生まれるのかを学んだことを思い出しました。
    芳緑くんはいったいどんな格好してるのかちょっと気になりました。

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    2021年02月25日
  • よろづ春夏冬中

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    生と死、異界や時間も混ざり合う不思議な世界でした。
    BL色は強いけど、少年や青年の造形は変わらず長野作品です。
    蓋付きの御飯茶碗が欲しくなったりしました。

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    2021年02月14日
  • 左近の桜

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    ネタバレ

    常世の男と関わりを持ってしまう美青年の話。
    話のパターンは大概同じだが、情景描写などの文章が美しく、また、妖しく描かれていて心が惹かれる。
    序盤の主人公は美青年という事を除いては普通の青年だが、話の中で様々な常世の男と関わるにつれ、男でありながら女としての魅力も徐々に増す。中学生という子供ではなく大人とも言い難い微妙な年齢の主人公だからこそ、耽美的な作品に仕上がっている。

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    2022年11月26日
  • カンパネルラ

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    ほわほわと存在感のない人々が、ほわほわと同じ場所を行ったり来たり。ロケシーン少な過ぎの低予算映画かよ!って小説だけど。
    まぁ存在感のなさで言うなら爺ちゃんは本当に存在したのか謎。死んでんじゃねーのか。爺さんを殺してその罪悪感に苛ませるままに幻覚に囚われて第二の人格お兄ちゃんを生み出して最終的には誰もいない一人きりで爺ちゃんを埋めたところに生えてきた銀木犀がすくすく育って犯罪がバレる、という話になってた。嘘だけど。
    そんなこんなで実際にはほわほわだった。

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    2021年02月13日
  • メルカトル

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    ネタバレ

    地図収集館で働く17歳の主人公と絡んでくる女性たち。ファンタジーのようなミステリーのような。どう展開していくかわからない面白さがある。ただ終盤の種明かしで、人情的にスッキリしないのが残念。エルヴィラの都合は理解できるが、彼女も周りもちょっと身勝手すぎないか。これでいいのか。登場人物たちの人柄(というか価値観)に、いまひとつ好感を持てない。表紙を眺めている分には素敵でワクワクするのだが。

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    2021年02月07日
  • 新世界〈5th〉

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    シュイがとことん報われなくて悲しい。
    主要な登場人物はみんな死んでしまったっぽいのも…あんなにグロテスクだったミュラーに至ってはナレ死レベル。
    長野作品では最も多く大人が出てきたのも珍しかったです。どの大人もそれぞれの冷酷さがありました。
    目に包帯した白い服の少年、あれがソレンセンの本当の息子だったのかな。
    ミンクでイオの産んだ子どもはこのあとどうなるのか…碧と銀杏(の翡翠の方の色だと思う)のオッドアイって凄い。
    白い沙の地を舞う焔の蝶の景色の鮮やかさ。イオはこれからずっとここを彷徨うの…?
    寂しく、虚無なラストでした。謎は謎のままで。

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    2021年01月27日
  • 新世界〈3rd〉

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    謎は深まるばかり。。
    シュイ、ソレンセンに思慕…よりも強い感情を抱いている気がします。希んだら殺してくれますか?って言ってしまうほど。
    イオとミンクはやはり同一人物の別人格なのかな。
    ハルも結構好きだったので、P.U.S.を発症したっぽいのが寂しい限りです。リュカ一体何したのか。。

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    2021年01月22日
  • 新世界〈2nd〉

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    ネタバレ

    2巻も面白かったです。シュイのお話。
    イオってミンクだったんだ、シュイの弟でなく。
    肉塊となってる《女》が貪る哈蜜と、恩寵の注入…ってあれなんだろうけど、膨張しまくってる《女》はやっぱり長野作品では1番醜いものかも。
    ジャウがミステリアスで気になります。
    ここまで階級の差が激しく、支配するものされるものが残酷な程きっちりあるのは…そして階級が下の種族?は好きに扱っていい、というのはなかなかダークな世界です。

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    2021年01月21日
  • 天球儀文庫

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    彼らが彼らでいられる時間が短いから、こんなに燦めいて見えるのかなと思います。
    言葉遣いも行動も丁寧じゃないのに、上品さは全く失われなくて長野作品の少年は良いです。

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    2020年12月30日
  • 少年アリス

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    世界観がすごく好き。
    漢字の使い方も素敵。
    しかしその文章が読み難く、一冊読むことがつらい。
    それでも、それをも超える独特の世界に揺蕩う魅惑。

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    2020年11月24日
  • 天然理科少年

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    丁度今頃の季節のお話で良い読書でした。
    このお話での時間の流れ、たった3日なんだ…もっと長い気がしていたけれど。
    岬と同い年の梓は、今現在の岬の父親である梓とは違う性質で、あれから彼に何が?と思ってしまいました。
    切ないお話でした。

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    2020年11月22日
  • 兄と弟、あるいは書物と燃える石

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    実在するのはどちらで、どの過去が本物で、事実はどれなのか?
    劇中劇のように見えるのに、ほんの少しずつずれた情報が重なり合い、物語と虚構と登場人物達の位相をずらしていく。
    一読しただけでは整理しきれず、再読を試す。が、ますます混乱する。この感覚には覚えがあるぞ、と私のように作者の初期作品に傾倒したことのある読者の一部は感じるのではないだろうか。
    当時とは趣が大分異なるが、散りばめられたエッセンスに作者らしさを見つけるという楽しみ方もできる一冊。

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    2020年10月16日
  • カムパネルラ版 銀河鉄道の夜

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    カムパネルラが「銀河鉄道の夜」について語りなおすのではなく、カムパネルラ、通信局、中原中也が、「銀河鉄道の夜」と他の作品(「春と修羅」)賢治の為人について考察する。という内容。 銀河鉄道の夜を深く解釈することや、宮沢賢治について理解することなどにつながる一冊。特に、中原中也(宙也)の意見が面白い。

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    2020年09月30日