似鳥鶏のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
第16回鮎川哲也賞佳作入選デビュー作。連作短編のような体であるが、実は一つ一つは本当には完結しておらず、最後まで読んで初めて完結するうまい構成の作品だった。
相前後して読んだ相沢沙呼と類似点が多く、鮎川賞デビュー作、学園もの、ワトソン役は平凡な男子高校生、日常の謎、とかなり共通しているのだが、語り口がこちらの方が好みである。語り手にも美術部員というキャラ設定がちゃんとあり、それを反映した地の文になっているのが読みやすいのだと思われる。冬に「出る」ものの正体が二転三転する終盤は見事。
でも実はあとがきが一番面白かった。ということでこれはホクホクと続編を読むことにしました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ相変わらず読みやすくて面白い作者。忙しかったせいで手を付けるまでが長引いてしまったが、夏の間に読んでおきたかったなと思う。
本の主人公に本を読むような人種の内心を語らせたり、別人種への理解を深めさせるのはなかなか面白い読書体験。登場する暗号はほとんど部分的にしか解けず。出題者の正体は早めに予想できたが、動機だけがわからずに読み進み、余命が出てきて少しがっかり。そうとわかって読み返せば得心の行く描写はいくつかあったし、夜の湖あたりは露骨にほのめかされていたが、病室の映像あたりはまだこれが引っ掛けで平和に落着するのではとも思った(病院の近くに高圧電線ってどうなの? というのもあり)。
別に読後感が悪いとまでは言わないし、余命の話が当たり前に出てきてもいいとは思うが、出題の動機付けは「わるいネット」のくだりで十分だったので、どうにも蛇足の感が否めない。
とはいえ久しぶりに長々と文字量多めで語りたくなる本だった。すぐにでも読み返そう。 -
Posted by ブクログ
初めての作家さん。最近ろくに本読んでなかったので、ゆっくりペースだったけど、内容的には1日で一気読みするほど面白かった。短編集。「クママリ」という謎のキャラクターが必ず各話に登場するけど、特に話に繋がりはない。
『瑠璃色の交換日記』
強盗に殺された8歳の女の子の取材で家を訪れた主人公が母親に彼女の日記を見せてもらう。これは先が読めてしまった。クママリのシールが謎を解くポイント。
『空間認識』
ぶらりと訪れた田舎町の線路を撮った写真に人が写り込んでいて……ホラーとしてはよくある話かも。
『街灯のない路地』
自宅への帰り道で必ず通らなければならない不気味な家。見なければいいのについ見てしまうってあるよね。2階の動かないカーテン越しの人影の意味が判明した後がさらに怖い。
『こどもだけが』
幼い男の子のひらがなだけの一人称。お祖父ちゃん家へ行った帰りの新幹線で後ろを何度も振り返ってくる怖い女の人。
『遠くのY字路』
東京の下町に越してきた小学生男子が帰り道に冒険心を出して、どんどん路地の奥へ入っていく。「Y字路おじさん」という都市伝説めいた噂をルールも含めて小出しにしていくのが効いている。
『オンライン中』
エゴサしてみたら、覚えのない自分の動画を見つけた主人公。どう見ても自分なのに、そんな行動した覚えがなく……と言うよりそもそも動画を撮ってるのが何者なのか、どんな目的なのかわからないのが怖い。
『後にそれは』
疲れて帰宅した主人公の頭に時折浮かぶ警鐘のような考え。それを何度も無視した彼女に待っているのは……。
『労働後の子供』
駅の立ち食い蕎麦屋で働く60代の女性が、帰り道で見かける謎の少女。これはいい話。何気なく言った言葉が人の命を救ったりする。それを知って、女性自身も救われている。
『口は動いてない』
一人暮らしの女の子を観察する視線。視点が固定されているから隠し撮りなんだろうなと思っていたら……意外なオチ。
『不恰好な雪だるま』
雪が降ってはしゃいでいる小学生女子の描写の合間に挟まる同年代の女の子の行方不明事件。どう繋がっていくのかなと思ったら、それか〜。
『敵性記憶』
友人と会うために久しぶりに地元にやってきた女性が子供の頃屋根の上でみたナース服の女の記憶を急に思い出し……とにかくナース服の女の描写が怖い。だんだん近づいてくる系の怪異はよくある話だけど、この設定は斬新だと思った。
『インターネット・プロトコル』
Googleのストリートビューで検索してはいけない怖い座標について書いてる。もちろん私みたいに実際に入力してみる輩のために何も出てこない座標になってます。
『終わりの日記』
ラストで一番ボリュームある話。事件に巻き込まれた形で失踪した刑事の父親が最後に調べていた「久賀和里村人体大量発見事件」の真相を探るため、廃村となった久賀和里村を訪ねた兄弟が遭遇する恐怖体験。父親の同僚刑事の言動がだんだん変になっていったのと同じく、言葉の中に「くがわり」が混じっていく弟の様子とかジワジワと迫る恐怖がいい。帰結のしかたがやや甘いような気もするけど、いつのまにか引き返せないところまで踏み込んでしまったみたいな怖さが好きな人にはおすすめ。
あとがきで作者が書いているように、怖がりな人(なのに怖いコンテンツを見てしまう人)の方がもしかしたらホラーは上手く書けるのかもしれないなと思った。「クママリ」についての描写があまりないのは敢えてなんだろうけど、読む人によってはモヤモヤするかもしれない。 -
Posted by ブクログ
またしばらく読書から遠ざかってしまっていた。
数冊、読んでは途中でやめてしまったものもあった。
そこで、もったいなくて読んでいなかったこのシリーズに頼ることにしたが、やはり私はこのシリーズが好きだ。
本作は短編集で、それぞれ、時系列としてはこれまでの既刊の物語の前か後の時点に位置するようだった。
そのためか、一つ目の話では、柳瀬さんと葉山くんの距離感が遠くなったのかな、とも感じた。
最後の短編がやはり一番衝撃的だった。思わず既刊も読み返そうと思ったが、あら探しのようなことをしなくても、おそらく矛盾などないのだろうと思う。
短編集なので小ぶりながら、個々の物語できちんと不可思議な謎が提示されることと、名探偵伊神さんの謎解きが読めて満足だった。
しかしとりわけ本シリーズの最大の魅力はコミカルな語り口にあると思う。巻を重ねるごとに脚注の数と内容とが増している気がする。。 -
Posted by ブクログ
8つのアンソロジーからなる作品。正直アンソロジー作品は多少はハズレがあるが、この本はそれがなくどれも当たりだなと思った。朝井リョウが大好きなので気になって買ったが、他の作家も良い作品だったのでこれを機会に読んでみたいなと思う。
各ページ冒頭の間取り図も見ていて楽しい。
1話目
◎朝井リョウ「それでは2人組を作ってください」
どうしてこんなに女子心がわかるんだろうと思うくらい、人の心の繊細さや機微を感じ取るのが上手だなと改めて感じた。『何者』を読んだことのある人だと余計楽しいと思う。朝井リョウ大好きすぎる。
2話目
◎ 飛鳥井千砂「隣の空も青い」
韓国出張に行く前と行った後の、主人公の心の変化がポジティブな形で細かく描かれていて良かった。高畑は帰国後、香奈とともに過ごしていくこの先の未来のために、同棲やお互いの国に対する考え方や抱えている思いを話し合うんだろうなと明るい気持ちになった。
3話目
○越谷オサム「シャイニングニー」
夢を追う男女が最後自分の道のために別れてしまうのはよくある設定だが、それが爽やかでお互い明るく吹っ切れたラストだったのが良かった。
4話目
◎ 坂木司「女子的生活」
小川さん(くん)が自分の性に対して自信と誇りをもって楽しく生きている姿が素敵だったし、部屋に転がり込むことになった後藤くんもいい意味で気を遣わなく気が回らないので、この2人なら自分たちらしく生活していくんだろうなと思った。小川さんが後藤くんに文句を言いつつも、後藤くんが気にしないで「でもこれも良いじゃん?」と笑顔で言ったことに「まぁしょうがないこれも良しか」となってる未来が見えて微笑ましく思った。
5話目
△徳永圭「鳥かごの中身」
これが一番平凡だったかも。多少抱いた同情で、隣のよく知らない子どもを無責任に勝手に預かって世話をするのはどうかと思った。よくあるテーマ説定感が否めなかった、、ななかちゃんは素直でいい子なんだと思った。
6話目
○似鳥鶏「十八階のよく飛ぶ神様」
SFと神話を盛り込んであるのに、厨二感がなくサラッと楽しく読めた。ミニどんでん返しがあるのも良かった。
7話目
○ 三上述「月の砂漠を」
戦争や昭和の文化観を感じながら読んだ。亡くなった大事な人が同じ男女が共に、そのつらさや思いを抱えて支え合って生きていくためには、時間と深い愛情と話し合うことが必要なんだと思った。
8話目
◎ 吉川トリコ「冷やし中華にマヨネーズ」
毎日一緒に過ごし、特別なことはしない。だらだらとつき合っているが、無意識化でかけがえのない存在だと感じる。結果的には別々の道を歩むことになったが大丈夫、やっていけるはずだと思った。リアリティがあって良かった。 -
ネタバレ 購入済み
推理大戦 第0章
人間の子供ではないと途中で気づく。彼をしのぐ推理能力をもった者の存在がきになるが、物語はそこで終わってしまう。続きが気になる。