村上春樹のレビュー一覧
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私がこの本で得られたこと、あとがきにあるように、歴史が過去のものではなく、それらが自分の中にあるのだと言うことを感じられたことです。
父と共に猫を捨てにいったのに、その猫が先回りして家にいた。そんな父と僕との何気ない人生の共通の思い出が、2人の中にあり、その共通のものが、2人を作っていくという感じ。その象徴的な絵のように感じました。
小さな日々の積み重ねが、やはり自分をつくりあげ、その一つが違えば、また違う道がある。こうしたいくつもの重なりや偶然の上になりたっていることを、村上春樹さんとそのお父さんの一つの歴史の中で感じさせてもらえる本だったと個人的には想います。
高妍のイラストもこのお -
Posted by ブクログ
村上春樹ブームで数冊おきに読んでいる。
彼の作品に登場する主人公(男性)は2人以上の女性で心が揺れ動き、平穏な日常を壊すほどの大胆な選択をすることがある。
それは彼の周りの女性が魅力的すぎることが問題であると最近気づいた。
主人公を取り巻く女性たちはみんな儚い美しさを持っており、どんな環境であっても軸が揺らぐことはなく、どこかミステリアスで強い印象を持つ。
もはや主人公のキャパシティを超えるほど、大切にしたい魅力的な人物として存在するのだから、不倫云々が致し方のないことなのかと錯覚してしまうほどだ。
今回の作品に登場する小児麻痺で左脚が不自由な島本さん。クラスでも一目置かれるほどの素敵な女の -
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ネタバレ・首都高でヘックラー&コッホによる自殺を図ろうとした青豆を呼び止めたのは、青豆に聴こえた遠くから自身の名前を呼ぶあの声は空気さなぎの中の10歳の青豆に名前を呼ぶ天吾の声だったのかと気づいたとき、本当に素敵だと思った。これ以上ない伏線回収でかつこれ以上美しい愛がそこにはあると思った。登場人物である2人が気づいていないだけで、そこには既に愛はあるのだと思う。
・天吾が猫の町に行く前、天吾も青豆も高円寺の街でお互いを想い続けるシーンは、個人的にミスチルの「君が好き」を挿入歌にしたいと思った。この小説の主題歌がヤナーチェックのシンフォニエッタだとしたら挿入歌は君が好きで間違いないと思う。
・青豆っ -
Posted by ブクログ
二つの並行世界の琴線を辿るように読んだ
状況がどんどんきな臭くなってくる流れと青豆というキャラクターにどんどんとのめり込んでいく本作
ハゲの形が好き,セックスは肌を重ねて描く本質的な、肉体的ではない精神的な欲求であるとする流れがとても良い
どうやら映画のような雰囲気で足取りも進んでいくがとても読みやすく,それでいて話の本筋を掴みにくい
現代においてはスパイファミリーのガーデンように思えるかもしれないが,それはフェミニストの楽園でもなく,ただの個人宗教である
2人の話がいつ交わるのか,本作はどこに歩いているのかいまだに手も足も掴めないままだ