村上春樹のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
初カポーティ。映画でも有名な表題作はまだ観ていません。どうやら原作と映画はまた違う雰囲気のようです。ヘップバーンが演じたホリー・ゴライトリーがどのような人物に仕上がっているかはわかりませんが、本書のホリーはとにかく天真爛漫。誰もが振り向く美貌さと誰にも縛られない奔放さに小説の枠を超えて人々は魅了されるのでしょう。そんな彼女はどこかへ旅立ち、残された人々は彼女の記憶や痕跡を寂しく思いつつもただ楽しむ。そんな余韻すら魅力的な小説でした。
他に収録されている「花盛りの家」「ダイヤモンドのギター」「クリスマスの思い出」も余韻が素敵な小説ばかり。心にすっと入ってくる良作でした。 -
Posted by ブクログ
多様な形で女性と別れることになった男性陣を、様々な角度から眺めた短編六篇が収められている。
タイトルに惹かれて書店で手に取り、購入した。どうやらその判断は適切だったみたいだ。あの寂しげだが温かい、独特の余韻を残す素敵な読書体験ができたのだった。
さて僕は村上春樹の小説を読むと、昔から不思議な感覚に見舞われる。
脳の奥深くの、最深部といっていいほど深い、どこか得体の知れないデリケートな場所。あたかもそこをスコップでせっせと掘り、自分の中に眠っている(というと烏滸がましいが)創造の泉を探り当てようとされるかのような、不思議な感覚だ。
正直なところ、遠い昔はこういう感覚にはしんどいものを感じた。 -
Posted by ブクログ
村上春樹の『走ることについて語るときに僕の語ること』は、単なるマラソンの記録ではなく、生きることそのものの比喩に満ちた、静かな覚悟の書であるように感じた。私自身、ストイックなランナーというわけではないが、走るという行為に魅せられているひとりとして、頁をめくる手に熱がこもった。
なかでも、「痛みは避けがたいが、苦しみは選べる」という一節は、深く胸に刻まれた。外的な痛みに翻弄されることは避けられないとしても、その痛みにどう向き合うかは常に自分次第であるという、静謐な意志の力が滲む言葉だった。
本書では、がむしゃらに努力を重ねることよりも、己の限界を冷静に見つめ、淡々と継続することの大切さが語ら -
Posted by ブクログ
ネタバレクラシックの話題とおしゃれな会話がありとても都会的な雰囲気があるのだが、市営プールで泳いだり、バーではカナディアンクラブを飲んだりするシーンからは主人公は贅沢をしない日常的な雰囲気を感じます。このあたりの空気感が好きなんだよな。
そして物語は主人公をギリシャの小さな島に向わせ、そこでミュウが損なわれたことを知る。日本に帰ると教え子もまたミュウが損なわれたのと同じ「あちら側」に行ってしまったようになり、その母親との不倫関係も解消してしまう。
最終的にすみれは戻ってきたものの、なんだか失うことの方が多いじゃないかと寂しく思う。
また期間を置いて再読したいなと思わせる作品です。 -